橋本元司の「価値創造の知・第255夜」:SDGs(持続可能な開発目標)⑩『2.「新しい感動」を想像する』

2019年9月4日 「感動する物語」

前夜(第254夜)は、SDGsに取り組みステップの第1『「新しい常識」を深堀する』を綴りました。
本夜は、第2のステップ『「新しい感動」を想像する』です。

さて、前夜『1.「新しい常識」を深堀する』の中で、「未常識と非常識」(第29夜)をお伝えしました。
自分が「未常識」という言葉を初めて意識したのは、前職・パイオニア社時代の1992年の経営会議の時です。もう27年も前ですね。

「未常識と非常識」には、大きな違いがあります。自分の実体験を第29夜に綴りましたが、人々の喜び、共感が想像されているかいないかがポイントです。
数年前、テレビのCMによく流れていたのが、DNPさんの「未来のあたりまえをつくる」(2015年8月)がありました。これが「未常識」の事例です。
たいへん参考になるので、一部を引用します。

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~社会課題の解決につながる新しい価値の創出に向けて~

DNPはいま、「未来のあたりまえを作る。」ことを目指しています。
「未来のあたりまえ」とは、企業や生活者、社会の課題を解決する製品やサービスを開発して、
それらが私たち一人ひとりの身近に、あたりまえに存在するようにしていくこと――。
そしてその実現に向けては、どのような「未来」になるのかではなく、
どのような「未来」にしたいのかというビジョンを持ち、そのために解決すべき課題を明らかにし、
DNPが主体となって多くのパートナーとともに挑戦し続けていく必要があります。
例えば、高度情報化社会、超高齢社会へとすでに変化しているなかで、持続可能な社会、
多様性を認め合う社会の実現が求められています。望まれる社会に生きる人々に寄り添うことで、
“大切な情報を守りながらコミュニケーションを深めたい”、“安心できる食生活を続けていきたい”、
“環境に対する負荷を減らしたい”、“教育の充実と知恵の継承によって次世代を育てていきたい”、
“医療の進歩と普及のなかで健康な暮らしを続けたい”、“安全な生活空間で心地よく暮らしていきたい”、
そんな「あたりまえ」を望む声が聞こえてきます。
私たちDNPは、自分たちの、そしてパートナーの強みを組み合わせて、
そのような要望に先んじて、効果的な解決策を示していきたいと考えています。—

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そして、DNPさんは「4つの成長領域」を具体的に設定されていました。
①「知とコミュニケーション」
②「食とヘルスケア」
③「環境とエネルギー」
④「暮らしとモビリティ」

さあ、ここからが本題です。
それは、「未来のあたりまえ(=未常識・新常識)」には「新しい物語(=新しい感動)」が必要だということです。

その体験を綴ります。
自分が39歳(25年前)の時に、次期社長に直訴して、「ヒット商品緊急開発プロジェクト」を任されました。
経営会議では、従来オーディオの行き詰まりを打開する「新しい切り口(=新しい常識)」と「新しい物語(=新しい感動)」を提案しました。

「新しい物語(=新しい感動)」がないと、「新しい切り口(=新しい常識)」が納得されないのですね。

第57夜(『本来・将来・縁来』)にも記していますが、
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人間は「心」で「つながり」をつくる生き物なので、
人間は、「物語」を介在させないことにはつながり合うことができません。
物語とは、新しい現実を受け入れる形にしていく働きです。(第54夜)
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人に、新しい現実を受け入れていただくためには「物語」が必要です。つまらない「物語」では理解・納得してもらえませんね。

どうしても「感動する物語」が肝要なのです。

でも無理やり「感動する話」をでっち上げる必要はありません。
もう、自分の中に想像する「感動」を取り出し、磨きあげればいいのです。
(自分の中に感動がなければ先に進めませんね)
そのような意味で「感動」する感性と「絶対に実現できる」という心性(信念)が絶対に必要です。

「感動する」ということは「自分の心に響く」ことです。
「感動」を伝えるということは、「心が響きあう」ということです。

自分にとって、とってもラッキーだったことは、前職・パイオニア社の企業理念が

・「より多くの人と感動を」

だったことです。それは創業の精神を表しています。
全社の新ビジョン策定委員にもなり、『感動』の求心軸にして、「パイオニアの本来と将来」を深く高く広く洞察しました。

そう、「感動とは何か?」
ということを脳性・知性・体性から考え、実践してきました。
『感動』を「手段」としてではなく、「目的」「価値」「意味」として把えることがポイントです。

さて、実際の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」ではどうだったのでしょう。
「新しい切り口(=新しい常識)」と「新しい物語(=新しい感動)」を提示したのですが、これまでの常識に固まっている役員の人たちの反応は鈍いものでした。

料理で言えば、メニューで見る「絵・画像」(バーチャル)では全く判断できなくて、口の前まで試作品という料理(リアル)を持っていって、やっと反応するという状況でした。

そうなんです。「新しい切り口(=新しい常識)」と「新しい物語(=新しい感動)」の大元がなければ始まらないのですが、それだけでは前に進めないことが多いことがフツウです。
それは、前職・パイオニア社に限ったことではありません。多くの業種・業態(中小企業・大企業)と地域をご支援してきましたがどこも一緒なのです。

さてさて、SDGsには、「17のゴールと169のターゲット」があります。
是非、前夜・本夜の「新しい切り口(=新しい常識)」と「新しい物語(=新しい感動)」という視点で把えてみてください。

是非、多くの方たちがチャレンジして開眼されることを楽しみにしています。

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SDGs⑩