橋本元司の「価値創造の知・第256夜」:SDGs(持続可能な開発目標)⑪『3.「新しい結合」を着想する』

2019年9月11日 『新結合ダイアグラム』

いよいよ『3.「新しい結合」を着想する』のステージですが、ここからは「具体化・具現化のモード」になってきます。
そのための「基礎」「心得」を先に綴ります。後々に効いてきます。

それではご案内します。
『SDGs』を1ランク上の視点から観ると
・それは、「3つのエコロジー」(第9夜)という哲学・思想を「17のゴール」にまとめ、具体化しようとしたもの

として把えること。
そのことで、SDGs取組みの全体像(SDGsの本来と将来)が浮かび上がってきます。

その中身は、
「人間は下記3つの世界(エコゾフィー)の中に生きている」という認識の元に、
①地球環境   :物の公害
②人間社会環境 :社会の公害(テロ、離婚等)
③心の環境    :ストレス
これを別々に切り離すのではなく、三位一体で直視して展開すること。
上記の①②③を『生態系』と見なすことです。

上記の「三位一体で直視して展開すること」をそのまま納得していただくことがポイントになります。
その理由として、会社/地域の「SDGs」取組みの数多くをみてきましたが、「SDGsの17のゴール」のどれか一つを単独でやり通すことには限界があることを痛感してきました。
「SDGs17のゴール」それぞれが独立しているのではなく、つながり・関係の中にあるという認識です。

単独としてではなく、
・急がば回れ
なのです。

それは共生(エコロジー)そのものなので、「つながり」の中で次々に「つながり合う」ことで、他にない「新しい価値創造(=新しい感動・化合物)」が生まれます。
「つながり合う生態系」を創るところと創らないところでは、その魅力・価値に大きな差ができます。
観光地でも一箇所だけでなく、3箇所を用意することで魅力的な『物語』が生まれ、『面』のシナジーが生まれます。

点・線から面に展開する。
私自身(橋本)が、前職・パイオニア社で異業種コラボレーションによる「ヒット商品」(第14夜、第78夜)でプロデュースした内容と全く同じ構図です。

サントリーとパイオニアが異業種コラボレーションした実例をあげます。
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—そして、もう一つ重要なのが、“物語”です。
上記、“ピュアモルトスピーカー”の物語は、“樽物語”でした。(第18夜)
「100年の樹齢の水楢をウィスキー樽に使い、まだ木としては50年使えるその材が魅力的な響きを持ったスピーカーに生まれ変わる」という物語に多くの顧客が共感されました。
“モノづくりとモノがたり”の新結合が人々に幸せをもたらします。—

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それらの図解は、第39夜(一人ではできない「命&物語」を創出する)、第40夜(新しい時代の価値観は?)の『新結合ダイアグラム』で明らかにしているので、興味関心のある方は是非ごらんください。

さてさて、
・「1.「新しい常識」を深堀する」で、業界や自分自身のこれまでのやり方、考え方の殻を取り払う
・「2.「新しい感動」を想像する」で、多くの人たちと共有したい感動する物語を想い描いてみる

1.2.では、「知性・心性」が重要な働きをしていることがわかりますね。
「大切なこと」は目に見えないのです。そこには、素直・実直な情熱・当事者意識が必要です。

「感動する物語」がイメージできてくるということは、「将来の構想」「将来の価値」の輪郭が見えてきたということです。
その構想・価値を実現するには、、自分たちに『不足』があることが明らかになってきます。「不足」を埋めるのが、新結合であり、コラボレーションです。
その不足ををチャンスと把えるか、悲観するかで結果が変わるのは自明です。

ここで重要なことは、「従来の会社/地域のやり方・考え方の重心が移る」ことです。

従来から抜け出て、『重心が移る』という認識の有無がその後の展開、結果に大きな影響を与えます。
「将来の確信」がなければ「重心」は移りません。「重心」が移らないということは本気でないこと、覚悟がないことを意味しています。
「相撲」「柔道」「剣道」でいえば、下半身を鍛えないまま上半身だけのテクニックで相手にのぞむようなものです。

そのためにも、次のステップ(3.4.5.)に進むために、上記1.2.を充実することが肝要なのです。

さて、「SDGs」を把えるときに下記二つの軸をイメージすると整理しやすくなります。

・縦軸:革新(ちがい、現状を超える)
・横軸:結合(つなげる、横串を通す)

1.「新しい常識」、2.「新しい感動」は、『縦軸:革新(現状を超える、突破する)』に包摂する「違い」です。
その「将来の構想」を実現には、前述しましたが単独ではできません。

上記で触れた様に、
①SDGsには、「17のゴール」がありますが、それぞれが独立しているのではなく、密接なつながり・関係があること
②実現・展開するためには、様々な場面で、『コラボレーション・アライアンス』が必要なこと

構想から感動物語を創り、重心を移し、新しい結合から実行に移す。

・感性→心性→知性→体性

という流れです。

そこに、会社/地域の「新しい価値&将来」が生まれてきます。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
SDGs⑪