橋本元司の「価値創造の知・第262夜」:SDGs(持続可能な開発目標)⑰『4.「新しい舞台」を構築する』

2019年10月2日 気立て → 見立て → 仕立て

本夜は、「SDGs取組みの5ステップ(基本編)」の第4ステップである『「新しい舞台」を構築する』を綴ります。
前半のステップは、「こころ」をたっぷり使い、後半のそれは「頭と身体」を使います。この両輪が不可欠です。
「こころをたっぷり使えるかどうか」が後半の出来に大きくかかわります。

1.「新しい常識」を深堀する
2.「新しい感動」を想像する
3.「新しい結合」を着想する
4.「新しい舞台」を構築する
5.「新しい価値」を創造する

(1.)(2.)で「気を立て」て、(3.)で世の中に役立つ新しい価値を「見立て・構想」してきました。
(4.)(5.)は、それの頭と身体を使う「仕立て」のステージです。(第21夜、第67夜)

参考に、第21夜(:トリニティイノベーション)で綴った一部を引用します。
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—「気立て・見立て・仕立て」の三つは新価値創造研究所が企業をご支援する時の重要な心得・指標を表しています。
その現場に行くと、これまで何回か現状突破に挑戦した後の行き詰まり感があり、淀んだ空気が流れて「横」に停滞していることが多いのです。原因は「構想」が立っていないこと、「行動力」に繋がらないことにあります。常識を疑い時代を突破するするためには、横のものを縦にしていく『構想力』(想いを組み立てる力)を体得していただいています。

ゴール(目標)は、クライアントの『目的』を再定義して、その『新しい目的』に向かって行動・更新し、やり抜き、創り上げ、成長・成功に導くことにあります。
なので、『発動』(行動・更新)するための「仕立て」が後方(三番目)にいます。

その前段階(二番目)には、現在の非常に不確実で不透明な時代を生き抜くための『仮説力』の体得が必要です。「見立て」とは、見て選び定めることです。選定です。—

—さて、その「見立て」・「発見」につなげるには、その前段(一番目)で社会(人)に役立ちたいという心の在り方・持ち方がとっても重要です。そこに集まるメンバー全員の心が奮い立っていてやる気があること、当事者意識があることが必要条件です。
このステージは横になっていた『気』を立てることであり、自ら心を奮いたてて大いに努力しようとする『発奮』に向かいます。
これが『気立て』であり、『発奮』です。
つまり、価値創造(=バリュー・イノベーション)には、
・気立て → 見立て → 仕立て

のように、現状突破するために「立て」るためには、
・発奮  → 発見  → 発動
という燃える状態、燃える集団の「発~」が求められます。

ここに、時代の変化に対応した「新しい物差し」「プラットフォーム」(第20夜)を私達が用意することで、
卒意(第4夜)につながり、市場創造と文化創造の道筋が観えてきます。—

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さて、上記引用の後部にある「プラットフォーム」が、本夜のメインテーマである『舞台』であり、『場』です。
参考に、来年に近づいた「東京オリンピック」をイメージしていただけると少し理解が進むかもしれません。
4年に一度の舞台があるとないとでは盛り上がりが欠けますね。そして、注目度が違います。
その舞台に向けて、心を一つにして「しつらい、ふるまい、ころろ遣い」の用意と卒意があってドラマが次々に生まれます。

先月(9月)から、ラグビーワールドカップも日本開催で日本テームの活躍で観客やメディアがフィーバーしています。
「目標」があるので、ベクトルが合わさり、今までは隠れていた才能がその舞台の上で花開きます。
そこには、役者(選手)がいて、観客がいて、演出家、舞台監督等々、多くの人たちが関わります。
SDGsとは、2030年の目標を掲げ、そのギャップをイノベーションとプラットフォームで埋めていきます。

『新しい舞台の構築』とは、

「多くの関係者を『場(=プラットフォーム)』に乗せることによって、外部ネットワーク効果を創造して、新しい事業のエコシステム(生態系)を構築する」

と「ビジネス現場」では表現しています。

さてさて、「SDGs」に目を移せば、2030年に向けて、どのような『舞台づくり』をすればいいのでしょうか。

市場構造の分析に基づく競争戦略論大家マイケル・ポーターは指摘しています。
「CSR(企業の社会的責任)は偽善である。企業の事業戦略と社会的価値の創造との融合が競争優位の源泉となる。Creating Shared Valueがゴールである」と。

それは、「自社の事業戦略とSDGs(社会的価値の創造)との融合が競争優位の源泉である」と置換できます。

『新しい舞台の構築』では、「価値創造の知」シリーズでは何回か引用した参考事例を次夜に綴ります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
SDGs新しい舞台