橋本元司の「価値創造の知・第264夜」:SDGs(持続可能な開発目標)⑲『柔軟性と執着心』

2019年10月11日 “二つでありながら一つ”

2019年10月9日に、吉野彰さんのノーベル化学賞の受賞が決まり、日本中がその快挙に沸きました。
「リチウムイオン電池開発」は、スマホ、車、航空、宇宙等への貢献は勿論なのですが、太陽発電、風力発電という非常に変動が激しい発電技術が、普及しやすくなってくる中で、大きな環境問題への貢献だと吉野さんは語っていました。
インタビューから引用します。

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—「リチウム電池というのは電気を蓄えるのがいちばんの機能で、普及すると変動の激しい発電技術が普及しやすくなる。研究者としては、今後は再生可能エネルギーと組み合わせることで、新たな発電システムを使っていかなければならない」—
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そう、それは「ノーベル化学賞」なのですが、「ノーベル環境賞」「ノーベルSDGs賞」でもあるのです。
今後、本テーマの「SDGs」を核(コア)とした「ノーベル賞」が多く選定されると洞察します。

・吉野さんは、どんな研究者ですか?
・研究で大切にされていることは?
との問いには、

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—研究者ていうのは、基本的に1つは、やっぱ頭が柔らかくないと、いけないんですよね。、柔軟性ですね。
もう一つが、その真逆のいわゆる執着心というんでしようか、しつこくしつこく最後まで諦めない執着心ですね。

この二つが必要です。

「未来の人たちはこういうものを必要とするはず」。それさえ自分で自信を持っていれば少々のかべにぶち当たっても必ず乗り越えていけます。
マラソンの42.195キロのように、自分で目標、ゴールを決めること。そのゴールが変わらないから頑張れる。

一生懸命考えて頑張りぬくは絶対必要ですが、それだけだと人間めげてしまうので、まあ、なんとかなるという柔らかさが必要です。
大きな壁にぶち当たったときも「まあ、なんとかなるわね」とそういう柔らかさが絶対いるんじゃないのかなと思います。

この二つ(『柔軟性と執着心』)をどうパランスさせるかが重要です。

そして、基礎研究では無駄な研究が必要です。—
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第33夜(禅と価値創造③)で、“二つでありながら一つ”を綴りました。
イノベーション(新結合)の本質もここにあります。(第17夜)
参考に、少し引用します。

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『禅(ZEN)』の修行で一番大切なコトは何だと思いますか?
それは、「二つ」にならないということにあります。
座禅の姿勢は、「結跏趺坐(けっかふざ)」という右足と左足を組んでいますね。

この姿勢は、『二つではない、一つでもない』という「二元」性の「一者」性を表わしています。
これが、もっとも大事な教えです。(引用:禅マインド)

もし私達の心と身体が二つである、と考えるとそれは間違いです。心と身体が一つである、と考えるとそれも間違いです。私達の心と身体は、“二つでありながら一つ”なのです。
私達は普通、もし何かが一つ(単数)でなければ、それは二つ以上(複数)であると考えます。けれども実際の人生の経験に照らしてみましょう。
私達の人生は、複数であるばかりではなく、単一です。私達は、互いに支え合うと同時に自立しています。—

—「色即是空」というのは、「現実=色」に問題・課題があるのなら、先ず心を無にして、「大元=空=大切なこと=真心」に戻りなさいと教えてくれているように思います。
そして、「空=大元=真心」に戻って従来のしがらみや常識から解き放たれて、その本質(=コンセプト=核心)を把えてから「現実=色」を観ると
新しい世界(=現実=色=確信)が観えるということではないでしょうか。その確信を革新するのがイノベーションであり価値創造です。—
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如何でしょうか。
何かに行き詰ったときに、“二つでありながら一つ”であることに想いを馳せることで解決のヒントが必ず湧き出てきます。
「二つが何かを理解していること」が前提です。
このことを体得することで将来が変わってきます。

さて、吉野彰さんは、胸にSDGsのバッジを着けてられましたね。
私も公用の時に、そのバッジを着けて出向きます。その様な人たちが増えてきました。

令和は、「SDGsシフト」の時代なのです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
SDGs