2019年11月6日 攻めのツール
本夜は、「巻き込む力・巻き込まれる力」と「SDGsシフト」の関係について綴ろうと思います。
みなさん、「RE100」という国際イニシアチブをご存知でしょうか?
それを「サスティナブルジャパン」から引用します。
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RE100とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって「RE100」と命名されています。2014年に発足したRE100には、2019年2月16日時点で、世界全体で164社が加盟。この164社には、食品世界大手スイスのネスレ、家具世界大手スウェーデンのイケア、アパレル世界大手米NIKEなど、日本でもよく知られれている企業が数多く含まれています。
事業運営を100%再生可能エネルギーで行うなんて話は、日本では一笑に付されてしまうかもしれません。日本では、東京電力や関西電力など、電力事業者によって差はあるものの、大半の電力は天然ガスや石炭などの化石燃料を電源としています。化石燃料の削減のための方策として日本の産業界から話題に上がるのも、再生可能エネルギーより原子力。再生可能エネルギーを推進しようという勢いは、まだ経済界で強くはありません。
この夢物語に聞こえそうな「100%再生可能エネルギーでの事業運営」を、実現に移そうとしているのがRE100です。電力を再生可能エネルギーに切り替えることで、二酸化炭素の排出量を削減し、低炭素社会への移行を実現することを目指しています。RE100の加盟企業には、「事業電力を100%再生可能エネルギーにする」というコミットメントが求められます。それでも、RE100に加盟する企業は増加し続けており、今日では欧米にとどまらず、中国やインドの企業にも広がりを見せています。その上、多くの加盟企業は、達成目標年も宣言しています。
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「Apple、Google、Amazonなどの企業はいち早く、自社で使う電力を100%再生エネルギーでまかなう『RE100』を宣言。日本企業にも追随する動きが出ています。Appleではさらに、自社のサプライヤーに対しても、このRE100をはじめとするサステナブルな対応を求めている。対応が遅れた企業とは、取り引きしなくなる可能性もあるということです」
第260夜(SDGsシフト:『How SDGs?』)で「ESG投資」を取り上げた内容を引用します。
「世界各国で広がる環境破壊や、労働者を酷使する人権問題。これらを防ごうと急拡大しているのが“ESG投資: 環境(Environment)、社会(Social)、 ガバナンス(Governance)”です。
“環境・社会・ガバナンス”に力を入れる企業への投資が急増する一方で、“十分に配慮していない”と見なされた企業からは資金が引き揚げられ、厳しい対応を迫られるという」
このような動きが加速していることを認識して、次のアクションに迅速に移行することが経営者には求められます。
さて、『SDGs』の使い方には二つあります。、
①従来の「CSR」に様に社会的責任を果たすという“守りのツール”
②将来に向けて、新しい事業成長への機会を創造する“攻めのツール”
もともと、「SDGs」17ゴールは、人類社会の課題(=ニーズ)であり、それは「実現されるのを待っている未来」(第252夜)ですから、そこには多くのビジネスチャンスが眠っています。
まだ、「SDGs」にトライしていない会社は、①の“守りのツール”から入門されるのがいいと思いますが、そこでとどまっている多くの会社・地域が多いのが日本の社会課題と思っています。
例えば、「RE100」の様に果敢に挑戦している会社は、
「この指とまれ」
でプロデュースする「巻き込む力」を発揮します。
そこに素早く対応している会社には、当然お声がかかる確率が高くなります。
それは、「巻き込まれる力」です。
第71夜・第72夜に、「巻き込む力・巻き込まれる力」について綴っています。
少し長くなりますが、実際の現場を知っていただくと理解が進むと思いますのでそこから引用します。
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—「巻き込む力」には、「巻き込まれる力」が必要で、同様に、「巻き込まれる力」には、「巻き込む力」が必要です。
この二つの力が相乗して、成長・成功に向かいます。
それでは、実例として「社長直訴そしてヒット商品緊急開発プロジェクトへ」というコラム(第14夜)を取り上げます。
それは、39歳の時に社長直轄「ヒット商品緊急開発プロジェクト」のプロジェクトリーダーとしてご指名いただいたコトから始まります。
早速、全社経営会議でプロジェクトの「①ポリシー、②スタイル、③プラニング」をプレゼンテーションすることになります。 その経営会議の前に、新社長に「自分はこのプロジェクトが失敗したら会社を辞めます」と本気の覚悟を伝えました。
経営会議後に新社長から呼ばれ「辞めなくていい。その代わり、入口(プラン)から出口(販売)まで責任を持て。そして思い切ってやれ」と言われました。
プロジェクトの立ち上げ時は、自分含めて3名(総務・企画)だけでした。新社長に「責任をとるために、社内から選りすぐりメンバーを一本釣りしたい」とお願いに行き了承いただきました。それから人買いを始めるのですがこれはこれで大変でした。その凄まじい話はさておいて、「マーケ・販売」の逸材を説得に、とある営業所に行きました。
彼は自分と同期なのですが、「提案内容は了解した。ただし、今まで筋のいい提案が経営に上がるときに、そこで口出しされて、捻じ曲げられたことで何度も失敗している。
一気通貫で自分たちの想いが入口から出口までできるのなら引き受ける」と。
この一気通貫が、私達の重要な「スタイル」の一つになりました。
社内で、選りすぐりのメンバーを探す時に、あなたならどうしますか?
それが「巻き込まれる力」に関係してきます。
「じんざい」は下記の4つに分類できます。
①人財: 動きを起こす人(仕掛け型)
②人材: 動きに巻き込まれた人(こなし型)
③人在: 動きを見守る人
④人罪: 動きが起こったことすら知らない人
さて、あなたはどこに所属していますか?
「動きを起こす人」には「巻き込む力」が必要です。人は一人では何もできません。
リーダーに必要なのは、上記事例の自分の同期の様に、キラリと輝くポリシーと経験を持ち、提案力・行動力をも併せ持つ「巻き込まれる力=選ばれる力」を持つ人材です。そのような人材と『共創・創発』することで大きな力が発生します。
そのようなメンバーを集めました。このパートナーたちがいなければ、連続のヒット商品は生まれませんでした。
ポイントは、パートナーたちが活躍できる『舞台をつくる』ことです。
リーダーがすることは、志・覚悟・ミッションを持って、変わるべき方向・ビジョンを示し、それを実現する「舞台」をつくり、そこで沢山の人たちに喜んで演じてもらい、「囲い込むことではなく、囲まれるプラットフォーム」をどう創るかです。
さてさて、「巻き込まれる力」に戻りますと、用意・準備ができている人に「白羽の矢」が立ちます。この「巻き込まれる力」を持っている人が育っていなくて、少なくなってきているように思います。—
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上記は、「人」について記していますが、それは、「会社・地域」でも同様です。
「巻き込む力・巻き込まれる力」は表裏一体です。その両方が必要なのです。
新価値創造研究所では、「価値創造の7つの秘訣」を第76夜に綴っています。
その6番目が、『信頼をつくる:巻き込む力・巻き込まれる力』です。
1.自分を変える:危機意識・情熱力
2.他者を愛する:幸せ想像力
3.余白をつくる:本質創造力
4.舞台をつくる:仕組構想力
5.関係をつくる:伝える力・伝わる力
6.信頼をつくる:巻き込む力・巻き込まれる力
7.成功をつかむ:すぐやる力・やり抜く力
是非、「SDGsシフト」に向かって、「②将来に向けて、新しい事業成長への機会を創造する“攻めのツール”」のモードに入られることを切望します。
その方法について、次夜に綴ろうと思います。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ