SDGsシフト:『朝日SDGsフォーラム』

『総合的』に把えて、『統合的』に取り組む

朝日新聞社が主催の「SDGsフォーラム」のお知らせが届いたので、11月11日夕刻に有楽町朝日ホールに行きました。一番大きなホールで800人くらいの収容なのに満席でした。
どこがフォーラムの主催かで、来場される方達の年代や雰囲気がガラッと変わるので、それを観察するのも自分の仕事のひとつです。
17時の開場なのですが、すでにいっぱい並ばれていて、関心の高さが伝わってきました。全体的に中小企業の経営者が多いように感じました。
女性は20%くらい。興味深かったのが、親子連れの女子高校生が数組いたことです。いろいろな想いが集まっているのがわかりました。

 フォーラムでは、講演、パネルディスカッションを通して、SDGs策定の背景や意義、日本の現在の立ち位置や今後の期待などの話が中心でした。

プログラムは、外務大臣政務官の挨拶から始まり、コロンビア大学・ジェフェリーサックス氏の基調講演「Experctations of Japan」、後半は、著名3人のパネルディスカッションでした。
根っこにあるのは、
・人類が地球を変える力を持ってしまったこと
・「気候変動」ではなく、「気候危機!」であること
・「気候危機」を共有し、今までのやり方ではぜんぜん足りないので、自分たちで考える集団にすること
・「気候危機」は、SDGs17ゴール(目標)全てと不可分であること
・それでは、いったい「SDGs」をどう行動(経営)に結びつけるのか?

メインテーマは、「SDGsを行動に落とし込む」
主催者から、アンケート結果では、「SDGsをどう行動におとしこんだらいいのかわからない」というのが多かったのが選んだ理由と云う案内がありました。
今は、
・経営者が「実際どうやって行動に落とし込んでいいのかわからない」という悩みが多いのです。

一例として、地球の温暖化が広がることで、「顧みられない熱帯病」も温帯部にどんどん進みます。
貧困、健康、教育等々、様々な問題に広がってきます。
そう、一つのSDGsゴール(目標)だけではなく、他のゴール(目標)と「不可分なつながり」を検討されること。
この「不可分」というのが重要なキーワードの一つです。

また、「SDGs・目標5」には、「ジェンダー平等を実現しよう」があります。性別に関わらず平等に機会を与えられる「ジェンダー平等」な社会を実現したいのです。
しかし日本は、先進国といいながらこのテーマには随分と遅れています。
・いま、御社は平等な雇用、昇進、配分をされていますか?
・2030年の「ジェンダー平等」には、どのような状態がありたい姿ですか?
・なぜ御社はこれまでそれが進まないのでしょうか?
それを考えると、教育・経済・社会・環境とつながってきますね。
私たちはついつい得意なことをテーマに選んでしまうのですが、自社の「社会への『負』」を検討することで、様々な気づきとチャンスが湧出します。

大きく整理すると、「『総合的』に把えて、『統合的』に取り組む」ということです。

入門は一つのテーマでいいのですが、実践では一つの目標だけをピックアップしてはいけません。目線が狭く低くなってしまいます。
入り口は何番でもいいという心構えで、そこから17ゴール全てに広げてみること。「不可分」な中に独自のチャンスが埋もれているのです。

等の切り口がパネラーの方達から紹介されました。他にもキラリとした参考事例を紹介されました。

さて、このフォーラムでは話題になりませんでしたが、とても重要なことは、『SDGs』は自発的・自主的な取組みが基本だということです。
できる人(会社)ができるところから迅速に着手できるルールになっています。
「チコちゃんに叱られる!」ではないのですが、これまでの護送船団方式の横並びの様に、ぼーとしていると置いていかれてしまう怖いルールなのです。

今年(2019年)のSDGs取組みは2極化(10:90)していて、これまでの啓蒙・手探りのステージから、一気にアクション(実践)モードに移っているのが現実です。どんどん差がついていってしまうのが気になります。
CSR(企業の社会的責任)で気になるところが「慈善事業」や「単なるコスト」、「守りの経営戦略」として把えていて、本業と合体して「持続可能な社会への取り組み」になっていないことにあります。サッカーで言えば、守ってばかりいたのでは、点(ゴール)が取れません。
片手間でやっていても置いていかれるだけです。

是非、「目の前の本業の課題」と「社会変化を洞察した2030年の課題」を併記してみてください。。
一段上の視座を持つことで、観える経営の姿は大きく変わって観えます。
「課題を高く大きくする」と自信を失ってしまって着手できないように想いますが、素敵な「目標」を掲げることで応援してくれる人、アイデア、お金等が集まってくる時代です。
それは、自分が第14夜「ヒット商品緊急開発プロジェクト」で「この指とまれ」で実践した経験です。今はもっとチャレンジ環境が進化しています。

さてさて、このコラムの第8夜で、『「わかる」ことは「かわる」こと』を綴りました。
SDGsの『本質』を経営者が「わかる」ことが重要です。それを「自社の本来と将来」に落とし込むこと。そうすれば、納得して「かわる」ことができます。
「かわる」とはどういうことでしょうか?
それは「できないことが、できるようになる」ということです。

「わかる」→「かわる」→「できる」の順です。

ついつい従来の癖で、「方法」に頼ってしまうのですが、SDGsの精神で持続可能にするためには、「目的をつくる」ことが重要です。
情熱・大志がそれを後押しします。
そのためには、自分ファースト、自分中心ではなく、「利他の精神」がとっても大切です。
更に、限られた市場の中で、パイの奪い合う「競争」ではなく、パイを広げて「共創・共生に届くこと」が理想の姿です。そこには、たくさんの「地球人」の笑顔・しあわせが待ち受けています。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
SDGs朝日フォーラム