2020年8月11日 『正のSDGsスパイラル』
第298夜に「日経スペシャル・SDGsが変えるミライ」の放送を通して、『SDGsとコロナ禍の関わり』を取り上げました。
本夜は、同放送にあった「負のSDGsスパイラル」について綴ります。
スパイラル(spiral)とは、螺旋(らせん)のことで、連鎖的な変動という意味です。
「負のスパイラル」という言葉は、日常生活でも使用され、悪循環にはまってしまった時によく使われますね。
今回の様な新型コロナウイルスのパンデミック(広範囲に及ぶ流行病)により、『負のSDGsスパイラル』を多瀬和夫(SDGsパートナーズCEO)さんが解説されました。
その内容を加筆引用します。
---------
本年3月の時点では、図の「2.経済が打撃を受ける」でしたが、現在(7月末)では、
①この感染症が保健の問題だけではなく、経済に打撃を与え、格差を拡げて、だんだん社会的弱者にしわ寄せが行くようになる。
②そうすると、生活に最低限必要なものまで手に入らなくなって、下手をすると、最終的には平和も環境も全部失われてしまうことになる。
③いまは、この図では半周まわって、「7.貧困層の最低限の要求が満たされなくなる」くらいのところまでに、世界の一部の国では起き始めている。
例えば、アメリカで起きている人種差別をベースにした暴動といったことも、ある意味大きな不満に火がついてしまったという現れではないか、と思う。
(人種差別はSDGsの10番目: 人や国の不平等をなくそう」)
---------
図の「負のSDGsスパイラル」を見ると
8.過激な思想が出現し、平和が壊れる
9.さらに格差が広がる
10.地球環境の破壊が進み。環境が汚染される
と予想されています。
私たちは、この様な「負のSDGsスパイラル」には進みたくはありませんね。
どうしたらいいのでしょうか?
わかりやすい方法は、逆の方向(つまり、正のスパイラル)をたどっていけばいいのです。
それは、経済に大打撃を与えないように、新型コロナウイルスの発生を抑えるということです。
さて、日本の状況を見ていきましょう。
8月7日に発表された「新型コロナの流行状況4段階」を加筆引用します(8/7毎日新聞)
---------
政府の有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」(会長=尾身茂・地域医療機能推進機構理事長)は7日、流行状況を4段階に分けて対策をとる際に、現状がどの段階にあるかを判断するための指標を公表した。
「病床の利用率」や「陽性率」など6項目で、それぞれの数値指標も設定した。
流行状況は「感染散発」「感染漸増」「感染急増」「感染爆発」の四つの段階をステージ1~4として分類。
判断の指標は「病床利用率」「療養者数」「陽性率」「感染経路不明者の割合」など6項目を設定。
4月に発令した緊急事態宣言の期間のデータを参考に、流行状況に応じ「病床利用率はピーク時の確保数の半分以上」「陽性率10%」「感染経路不明者の割合50%」――など、どの段階にあるかを判断する数値目標を定めた。
病床利用率が50%を超えるなどすると、ステージ4の「感染爆発」に達し、緊急事態宣言発令も検討する。—
---------
・「感染散発」→「感染漸増」→「感染急増」→「感染爆発」
という流れは、「負の感染スパイラル」です。
各ステージにその指標が記されていますが、
そんなことよりも、提示すべきことは、
・「感染爆発」→「感染急増」→「感染漸増」→「感染散発」
という「正の感染スパイラル」という解決にどう手をうつのか?
それが「有識者会議」「国」が示すことではないでしょうか。
もう、打つ手はわかっているのに、そのリーダーシップ、表明がまったく見えません。
4月から、第2波の用意・対策がメディアでずっと叫ばれていましたが、政治は、行政は、いったい何をしていたのでしょうか?
それは、「インテリジェンス」「リーダーシップ」の不在です。
私たちは、その弱さを目の当たりにしました。
「正の感染スパイラル」「正のSDGsスパイラル」に舵をきりましょう。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ