2020年12月13日 トリプルシフト
「コロナ禍を通して、企業が生き残るための3つの変革(新ルール)が浮き彫りになりました。---」
というキャッチフレーズで、自分が関わるセミナー等のリーフレットに記すことが多いのですが、
自分の本心は、
・生き残り
・サバイバルandサスティナブル
という言葉はあまり使いたくありません。
そこには、「悲愴さ」や「寂しさ」がついてまわります。
私たちが求めているのは、変革の先にある「喜びや楽しさ、充実感」ではないでしょうか。
「3つの変革の先の喜びと道筋・心得」をお伝えしたいのですが、リーフレットでは、それが直接響かないところにもどかしさを感じています。
さて、先日、東洋経済online(11月23日)で
→日本人が即刻捨てるべき「経済大国」という幻想
という記事がありました。一部を引用します。
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— いま、日本に必要なのは、「日本は経済大国」「日本はものづくり大国」といった幻想から脱却し、生産性を高める産業構造へ変革することだ。
それは、これまでの常識をリセットする、大変革である。コロナ禍で世界が大きく変わりつつある現在、日本は最大の転換期を迎えているといっても過言ではないのだ。—
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確かに、「経済大国」という名のもとに、長いデフレの中の「ハングリー精神の薄さ」が大問題でした。
「ハングリー」については、第157夜に綴っています。
第157夜(スティーブジョブズ編:Stay hungry.Stay foolish)から引用します。
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—直訳では、「ハングリーであれ、バカであれ」
普通の人はピンときませんね。本質がわからないと表面的なものになってしまいます。
繰り返しますが、頭では、机上では分かりづらいのです。この理解には「禅」の思想、思考と実践知が求められます。
そして、「情熱・覚悟」ゆえの「「痛み、辛さ」そして「喜び」の体験をした人には、直感できるように思います。
自分が意訳すれば、
Stay hungry. =「安泰」でいるな、“不足”を大事にしろ。
Stay foolish. =「良い子」でいるな、“逸脱”を大事にしろ。
となります。
「安泰」「良い子」は「楽(らく)」なのです。試練がないのです。イノベーターではなく、オペレーターなのです。
でも「安泰」「良い子」のままでは、イノベーションのスタートラインにつけません。
日本の教育は、高い処理能力のオペレーターをつくってきたのですね。そのオペレーターは、AI・ロボットの登場でその場を失ってゆきます。—
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日本の生命線は、「ハングリー&バリュー・イノベーション」であり、「バリュー・イノベーター」をつくることが肝要です。
それなのに、「安泰オペレーション」ばかりしていて、「ハングリー・イノベーション」に遅れをとりました。
そこに、今回の各国の「コロナ禍」対応の比較で、政治・経済・社会・地域・医療・教育等々の数々の問題や遅れが白日の下に炙り出されました。
「日本はそんなに遅れていたのか」
黒船来航のような、それが国民の実感でした。
さてさて、上記の東洋経済記事の「大変革・日本最大の転換期」とは何でしょうか?
それは、突き詰めると、
・SX: SDGsトランスフォーメーション
・DX: デジタルトランスフォーメーション
という二つのシフトのことであり、それを基盤とした「新産業化」の先取りです。
そして、SXとDXを統合した「HX:ハーフandハーフ変革(第302夜)」が様々な業種業態で次々に生まれてきています。
(それは、HXと記していますが、『GX:ゴールデン・トランスフォーメーション』と呼んでもいいかもしれません。「SDG」とは、SX・DX・GXのs新結合と表せます)
それらは、首記の「変革の先にある喜びや楽しさ、充実感」を目指しています。
そこにフォーカスして、「働き甲斐」「働き方改革」「生産性改革」を実現していくのが道筋ではないでしょうか。
そして、「SX」の17ゴールと「DX」の双方は、単独で存在していられなくて、つながり合い、結び合っている特質があります。
(SXの各ゴールは、密接にリンクしています。そして、DXの本質はボーダーレスになることです)
そのため、単独(スタンドアロン)でやることには限界があります。
SX・DXはひとりでいられないのです。
参考に、松岡正剛師匠の「千夜千冊・第1125夜:ボランティア」より加筆引用します。
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—金子さんが本書で証していることは、一言でいえば、ボランティア・ネットワークを自分が動くことそのものがもうひとつの情報の特質だったということにある。
—ボランティアという言葉には、もともと志願者とか義勇兵とか篤志家という意味がある。それらはボランティア活動者という主体の意志をあらわしている。なるほどボランティアは主体的である。
けれども、本来のボランティアの意味の奥には”WILL”そのものの動向というものがあり、その”WILL”はじっとしているわけではないのだから、
それらが「つながり」や「かかわり」や「めぐりあい」をおこしたとたん、そこには関係性というものが形成される。
その関係性に結び目をしっかりつけたものがネットワークの正体であって、そのネットワークはもとをただせば何かが自発することで開始された情報の動向そのもののことでもあったのである。
電話線やコンピュータ・ネットワークのルーターばかりがネットワークではない。そこに相互の出会いをもたらし、「もうひとつの情報社会」の潜在性が立ちあらわれて、見えないボランタリー・ネットワークがそこかしこに見えてくること、そのことが金子さんが実感したかったネットワークだったのである。
大筋、金子さんは本書を通して、こうしたことを”発見”した。ボランティアとは、ボランタリー・ネットワークを自発させる一人ずつのエンジンのことであり、そのように情報を見直すことだったのだ。
ぼくはここから「情報はひとりでいられない」というメッセージを貰った。—
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「二つの変革『SXとDX』は、“ひとりでいられない”という特質を持っている」
ということを心に留めておいていただきたいのです。
・「ありたい姿」に、はしごをかける
・「本業の前後」をつなげる
・「異業種」とつながる
はしごをかけて「ありたい姿」を明確にして、ボーダーレスに次々つながる、結び付ける(=新結合=イノベーション=価値創造)
そう、「つなぐ、わかる(新しい性質)、かわる」ことの素敵な成長物語が新しい価値やGDPを創っていきます。
次夜は、「そのつなぎ方、結び方」に日本本来の強みがあることを綴りたいと思います。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
