20世紀は「鉄道の世紀」でした。レールがあり目的地も明確で、「改善と効率でいかにそこに早く到達できるか」を競い合っていた。つまりオペレーションとマネジメントを得意とした企業が勝つというモデルでした。それが得意な方々が現在、企業の役員です。ところが21世紀は先行きが不確実な混迷の時代です。レールがないから行く先も、道筋も分からない。言わば「航海の時代」です。私のやり方は社内の選抜メンバーにドックに入っていただいています。最初に、「私たちが将来に向けて大切にすべきなのは、一体何か?」という『錨』(本来)を明確にした上で、「この船はどの方向へと向かっていきたいのか?」目指す『北極星』(将来)を一緒に探していきます。実は、この「何が大切なのか?」を浮き彫りにするプロセスが得意なのは女性なんです。それは『こころ』を扱うからなんですね。また、良い意味で企業の固定観念に縛られていませんから。「ちょっと、ここがおかしいと思います」「こうじゃないですか?」と堂々と言えてしまう(笑)。それが強み。そのように言える環境をこちらが醸成していくのですが、メンバーの中で女性が一番スキルアップすることが多く、『場』が活性化します。だからこそ私は、経営陣の方達にあらゆるプロジェクトに、必ず女性を入れることを推奨しています。
グーテンベルクの活版印刷機は、羅針盤、火薬と並んで「ルネッサンス期の世界三大発明」と呼ばれています。グーテンベルク氏の実家は刻印機を作っていたそうです。家の周囲にはワイン製造に使うぶどう搾り機がありました。そんな環境の中、ぶどう搾り機と刻印機が新しく組み合わさり、活版印刷機という化合物ができました。そのような意味で、何かと何かをつなげるアイディア、ヒット商品、新事業とは、すべて既存のモノ、コトの組み合わせです。イノベーションという言葉を提唱したシュンペーターは、それを『新結合』と呼びました。前述のヒット商品『ピュアモルトスピーカー』も新結合です。そのコツは、共通項を見出し、境界を乗り越えて新しい生命を吹き込み、そこに素敵な物語を紡ぎ出すことにあります。AI/IoTの時代、すべての製造業は今後、形を変えたサービス業へと変化すると思います。もし難しい場合は、それを専門とした企業とアライアンスをすることで道を拓くことをお薦めします。
◆企業へのメッセージ
もしも行き詰ったり悩んだりした時は、常識の殻を破る「三本の矢」をイメージして下さい。第一が、「私たちは一体何を大切にしていくのか?」を洞察します。事業の再定義がポイントです。これが「インサイト(深く読む)」。第二が、「世の中いったいどうなるのか?」と洞察する。それが「フォーサイト(高く読む)」。そして、第三がそれらを新結合する「ゲシュタルト(広く読む)」。この3本の矢が出揃うと新しい事業の輪郭、顧客の笑顔が見えてきます。
さて、21世紀は「イメージメント(構想)とイノベーション(革新)」が牽引する時代です。従来価値観の常識を疑い、顧客・社会を幸せにする「イメージ力」が問われます。新しい時代の本質を見抜き、次の本流をイメージして、本気(PASSION)→本質(MISSION)→本流(ACTION)の流れを創ってくれるのが「三本の矢」なんです。そして、新しい成長には、構想→行動→更新が必須です。それが私の得意とする構想力と革新力です。ぜひ、ご一緒に、隆々とした未来を創りましょう!