SDGsシフト55「価値創造の知・第300夜記念」:『情業→脳業→幸業の時代へ』

2020816日 「愛・力・知」

2016126日から「価値創造の知」を綴り始めて、本夜は記念の「第300夜」になりました。
もともとは、松岡正剛師匠の「千夜千冊」(本日時点で1749夜)に大いなる刺激をもらって記したのが始まりです。
その量・質ともに、ぜんぜん及ばないのですが、大師匠のアドバイスをいただきながら、後先のことを考えずに挑戦してきました。
大きな変化としては、海外からのアクセスやダウンロードが飛躍的に増えてきたことです。
さて、第100夜は2017年の年末、第200夜は2018年の年末にそれぞれアップしました。
本来であれば、昨年末(2019年)までに第300夜をまとめなければいけないのに、ここまで時間がかかってしまいました。
大きな理由の一つは、第246夜から、「SDGsシフト」に傾注したことがあると思っています。
ただ嬉しいことに、第245夜以前のコンテンツと「SDGs」を組合わせ、掛け合わせ、時代の潮流を洞察することで、自分の2030年までのライフワークが立体化して浮かび上がったことでした。
さてさて「記念の300夜」なので、10年先の2030年も踏まえながら、自分がどのように時代を洞察しているのかの筋を披露します。
[時代の流れ]
・貞業農業工業情業脳業興業(幸業)浄業
上記は、28年前の前職パイオニア社の経営会議(1992年)で、これからの時代の流れを自分が発表したものです。
時代は、工業(製造)の時代から、工業が進化した情業(2005年~)にシフトして、その先には、脳業(AI)の時代(第109夜、第209夜)がくるというものです。
その「情業の時代」に適応した会社に変容しましょうというという基本的な考えと具体策を提案しました。
いかがでしょうか。30年前の構想でしたが、その通りに進展してきたのではないでしょうか。
その構想に基づいて、1995年、情業の時代に対応して、社長直轄・異業種コラボ「ヒット商品緊急開発プロジェクト」(第14夜)を第一弾として実行しました。
その後、シナリオプランニングの第一人者のJ・オグルビー氏を東京・目黒本社に招聘し、直伝のもと、将来洞察と具体策に磨きをかけました。(第15夜、第86夜、第126夜)
時代の流れを俯瞰すると、現在は「AI」が牽引する『脳業』の時代です。
と同時に、工業時代・情業時代・欲望の資本主義に傷ついた地球環境・社会環境を取り戻す『SDGs』の時代でもあります。
マクロ(世界)でとらえれば、添付図のように、『SDGs×脳業』の両輪を融合させた『価値創造』がこれからの本筋(メインストリーム)になることは間違いありません。
ミクロ(世間)については、どこかで綴ろうと思います。そのキーワードは『匠』です。
[時代をけん引するトライアングル]
図のように、このステージでは、
・力 技術:Computation
・愛 環境:Environmentation
・知 価値:Value Innovation
の3つの調和が肝要であることがわかります。
自分は、それらへの挑戦・調和を『SDGsシフト』と名付けました。
これまで「54夜」の連載で、その「心得と方法」を綴ってきました。
これから、マクロでみると産業や生活は、2030年に向かって、この『SDGs×脳業×価値』が新機軸、求心軸になって動いていくと妄想・確信しています。
それを前提にすると、日本国はどこに遅れがあるのでしょうか?(第299夜)
(今回のコロナ禍で、私たちは、政治・行政の遅れ、弱みを目の当たりにしましたね)
さて、皆様の会社・地域・教育(人財養成)は、これからの変化の激しい将来に、何を求心軸にされていますか?
2030年という10年後の社会に、持続可能などんな会社(地域・学校)を目指すのか?
これが、日本国・企業・行政・個人に求められていることです。
最も大切なことは、当事者意識をもって、自分たちでプラン・ビジョンをつくることです。
これまで、多種多様な会社・地域をご支援してきましたが、実践プロジェクトで「燃える集団・次の人財」が生まれることが成長・成功につながります。
上記を検討するときに重要なことは、「脳業」の次の時代を洞察することです。
それは、「脳業興業(幸業)浄業」です。
・幸業:「幸せ」を追求・実現すること
・興業:新たに産業・事業をおこすこと
そのような価値観の「生活革命の時代」がきっときます。
そう想うと、いま何をしたいのか、するべきなのかが見えてきませんか?
隆々とした日本にするために、大学・教育界がどのような人財を社会に輩出するのかという役割も見えてきませんか。
「愛・力・知」を持ち寄って創発する。
隆々にできるかどうかは、ここからの10年の私たちの想い・志と行動にかかっています。
皆で、顔晴って頑張って、私たちの未来を切り拓いていきましょう。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

300夜記念

SDGsシフト54「価値創造の知・第299夜」:『負のSDGsスパイラル』

2020年8月11日 『正のSDGsスパイラル』

第298夜に「日経スペシャル・SDGsが変えるミライ」の放送を通して、『SDGsとコロナ禍の関わり』を取り上げました。
本夜は、同放送にあった「負のSDGsスパイラル」について綴ります。

スパイラル(spiral)とは、螺旋(らせん)のことで、連鎖的な変動という意味です。
「負のスパイラル」という言葉は、日常生活でも使用され、悪循環にはまってしまった時によく使われますね。
今回の様な新型コロナウイルスのパンデミック(広範囲に及ぶ流行病)により、『負のSDGsスパイラル』を多瀬和夫(SDGsパートナーズCEO)さんが解説されました。

その内容を加筆引用します。
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本年3月の時点では、図の「2.経済が打撃を受ける」でしたが、現在(7月末)では、
①この感染症が保健の問題だけではなく、経済に打撃を与え、格差を拡げて、だんだん社会的弱者にしわ寄せが行くようになる。
②そうすると、生活に最低限必要なものまで手に入らなくなって、下手をすると、最終的には平和も環境も全部失われてしまうことになる。
③いまは、この図では半周まわって、「7.貧困層の最低限の要求が満たされなくなる」くらいのところまでに、世界の一部の国では起き始めている。
例えば、アメリカで起きている人種差別をベースにした暴動といったことも、ある意味大きな不満に火がついてしまったという現れではないか、と思う。
(人種差別はSDGsの10番目: 人や国の不平等をなくそう」)

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図の「負のSDGsスパイラル」を見ると
8.過激な思想が出現し、平和が壊れる
9.さらに格差が広がる
10.地球環境の破壊が進み。環境が汚染される
と予想されています。

私たちは、この様な「負のSDGsスパイラル」には進みたくはありませんね。

どうしたらいいのでしょうか?

わかりやすい方法は、逆の方向(つまり、正のスパイラル)をたどっていけばいいのです。
それは、経済に大打撃を与えないように、新型コロナウイルスの発生を抑えるということです。

さて、日本の状況を見ていきましょう。

8月7日に発表された「新型コロナの流行状況4段階」を加筆引用します(8/7毎日新聞)
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政府の有識者会議「新型コロナウイルス感染症対策分科会」(会長=尾身茂・地域医療機能推進機構理事長)は7日、流行状況を4段階に分けて対策をとる際に、現状がどの段階にあるかを判断するための指標を公表した。
「病床の利用率」や「陽性率」など6項目で、それぞれの数値指標も設定した。

流行状況は「感染散発」「感染漸増」「感染急増」「感染爆発」の四つの段階をステージ1~4として分類。
判断の指標は「病床利用率」「療養者数」「陽性率」「感染経路不明者の割合」など6項目を設定。
4月に発令した緊急事態宣言の期間のデータを参考に、流行状況に応じ「病床利用率はピーク時の確保数の半分以上」「陽性率10%」「感染経路不明者の割合50%」――など、どの段階にあるかを判断する数値目標を定めた。
病床利用率が50%を超えるなどすると、ステージ4の「感染爆発」に達し、緊急事態宣言発令も検討する。—
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・「感染散発」→「感染漸増」→「感染急増」→「感染爆発」
という流れは、「負の感染スパイラル」です。
各ステージにその指標が記されていますが、
そんなことよりも、提示すべきことは、

・「感染爆発」→「感染急増」→「感染漸増」→「感染散発」
という「正の感染スパイラル」という解決にどう手をうつのか?

それが「有識者会議」「国」が示すことではないでしょうか。
もう、打つ手はわかっているのに、そのリーダーシップ、表明がまったく見えません。
4月から、第2波の用意・対策がメディアでずっと叫ばれていましたが、政治は、行政は、いったい何をしていたのでしょうか?

それは、「インテリジェンス」「リーダーシップ」の不在です。
私たちは、その弱さを目の当たりにしました。

「正の感染スパイラル」「正のSDGsスパイラル」に舵をきりましょう。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
負のスパイラル

SDGsシフト53「価値創造の知・第298夜」:『SDGsとコロナ禍の関わり』

2020年8月2日 SDGsが変えるミライ

一昨日7月31日夜に、小谷真生子「日経スペシャル・SDGsが変えるミライ」が放送されました。副題は、コロナ時代の「新SDGs」:持続可能な社会のためニッポンは何ができるのか?

概要は、
1)コロナ時代の働き方~新SDGsの考え方
2)コロナ時代の街の変化
3)コロナ時代の医療の在り方
4)人種差別をめぐる議論とSDGs
5)新ESG ~マネーの世界での新潮流が加速~

色々な視点からのSDGsとの関わりが取り上げられていましたが、番組では、昨年原宿の会合でお会いした多瀬和夫(SDGsパートナーズCEO)さんがコメンテーターのお一人でした。彼はSDGsスペシャリストの第一人者です。
そこでは、図にあるような「SDGs施策」と「コロナ対応」の共通項を提示され、その関係性の深さ・広さを実感できるものでした。
そのため、本夜は『SDGsとコロナ禍の関わり』から、企業価値を上げる方法の一つを綴ろうと思います。

さて、世界中が、この「①コロナショック」と近年激しさを増す「②気候クライシス」と合わせて大変な苦痛があり、経済成長率も大幅なマイナスに陥っています。
経済循環が滞り、企業倒産が相次ぎ、それは、SDGsが2030年までになくそうとしている「貧困や格差」の悪化を増長しています。

私たちは、この「「①コロナショック」「②気候クライシス」という有事に、社会(政府、行政、会社、医療、教育、IT等々)の弱いところをいっぱい目の当たりにしました。
逆に言えば、「幸いなことに、弱いところをいっぱい見つけることができました」

それは、「危機」ではありますが、「機会(チャンス)」であると思いませんか?

第004夜:「不足転じて満足となす:用意と卒意」
第288夜:「新型コロナは黒船である」
第290夜:「災い転じて福となす」.
等に綴ってきました。

図(SDGs施策とコロナ対応)の重なり合う黄色の領域を是非じっくりご覧ください。
ここには、不足、課題と機会、がつまっています。そして新しいライフスタイルが見つかります。ビジネスチャンスの宝庫です。

そして重要な視点は、SDGs17の項目(開発目標)は、すべてつながりあっているという側面があり、それぞれがビジネスに影響を与えていることです。
そう、大事なことは「すべての項目」が関連していることです。

上記や「SDGs17の項目」を「本業」と組み合わせてみたり、IoT、AI、センサー、ビッグデータ、ロボット、第4次産業革命等とも重ね合わせてみてください。
新しい役立ち、社会貢献、ビジネスモデル、新しい企業価値がきっと見つかるはずです。
見つからないのは、これまでのやり方、考え方から離れられないことが原因であることが殆どです。
視点、視座を変えて、頭の金型を柔らかくしてみることをお薦めします。

課題解決したいという真剣な「情熱」があれば、そこには、必ず新しい存在意義、新しい目的が見えてきます。
お悩みが続くときは、新価値創造研究所「オンライン新価値塾」への入門をお薦めします。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
SDGsとコロナ禍