価値創造の知・第16夜 女性活躍の「舞台」をつくる

2016年12月27日 ダイバーシティ

 多様な業種のご支援をしていますが、今夜は「女性の活躍」について、二つの体験を綴ります。
 一つ目は、第4夜の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」の中の開発秘話です。
 1996年、異業種コラボレーションの真っ最中の時です。
「文化経済研究会」という谷口正和師匠の主催するセミナーでベネッセの取締役の方が講演され、その考え方・取組みに感銘し、後日二人で懇親する機会がありました。
 皆さん、「たまごクラブ・ひよこクラブ」という雑誌ご存知ですか?妊娠、出産、育児でNo.1の雑誌です。それを一から創りあげた女性を連れてきてくださり、その開発プロセスを教えてくれました。
 「ここにいる彼女は、感性は素晴らしいのだけれど、仕事の完成度が低かった。そこで、感性は低いけれど、仕事の完成度が高いベテランの男性をペアにして開発させてみた。
それで仕上げたのが、たまひよクラブです。今は彼女の仕事の完成度も非常に高いのです」と。
 これには感動しました。
 ヒット商品緊急開発プロジェクトには、女性が一人いました。まさしく、「感性が高いのですが、まだ若く仕事の経験が少ない方」でした。そこで「仕事の完成度が高いベテラン男性」をペアリングしました。
 コールセンターの役員にも声掛けして、コールセンター女性6人とベテラン男性一人の混成緊急プロジェクトを誕生させました。
 そこで生まれたヒット商品が、お風呂で使うポータブルオーディオ「ハッピーアクア」です。プラニングからマーケティング、新しい販路開拓・プロモーションと一気通貫で仕上がりました。自分たちの想いを世の中に発信して、今までなかった販路を開拓し、多くのお店と顧客からの反響がありました。
 そうなんです。彼女たちの感性スキルが生きる「新しい舞台」を用意することが、イキイキと活躍することに繋がりました。女性の活躍には、特別の「新しい舞台」をプロデュースすることが必要なことを実感した時でした。
 さて、国民一人ひとりが輝ける「一億総活躍社会」を実現するためには「舞台づくり」が必要です。よりたくさんの人々が参加できるのかは、プロデュースの出来、不出来で結果が違ってくるように思います。
 ただ、じっと待っていても自分が思う「舞台」はきてはくれません。そのためには、第1夜、第7夜に記した「イメージメント&イノベーション」へのアプローチが必要なのです。
 二つ目は、ご支援している企業の女性活躍についてです。
 依頼テーマで一番多いのが、
「現事業を成長させたい、新事業を創りたい、多角化したい」
というものです。
 ベンチャー企業、老舗企業、または、製造業、サービス業に関わらず、ご支援するクライアント先のトップとお話しする時に、
「プロジェクトメンバーの中に必ず一人は、女性を入れてください」というお願いをします。
 今までのやり方・考え方を変える時に、「女性」の視線・思考、あるいは存在そのものがとても重要になります。
 先ず、プロジェクトの前半で、「価値創造の基本」を判りやすい事例・演習で体得して貰います。すると、「自分でもできる、わかる」という感覚が芽生え始めます。
 そして3回目くらいからは、男性陣では出てこない視線・思考からのアイデアやプランや物語がでてきます。皆がいい提案に拍手することもよくあります。
トップも大喜びです。かけがえのない仲間になります。
 それを引き出すには、自分の様な外部の存在が必要なのですが、女性は男性陣が言えない本当のこと、本質をずばり発言することができるのが強みです。そう、多くのプロジェクトの中で、一番伸びるのは参加した女性なのです。メンバー達もそのことを実感します。
 プロジェクトメンバーに選出され、役割が与えられ、そこでWill・Skillを習得すると、「舞台」に上がっていいパフォーマンスにつながります。そのような「場」も多く創りたいと想いこの仕事をしています。
現在の日本では、出産や育児などの様々な事情で退職をされた方達の「学び直し」の為のリカレント教育の充実も望まれています。
  迅速に、一人ひとりが活躍できる社会にしてゆきましょう。
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価値創造の知・第15夜 危機意識、不確かな時代を読み解く方法

2016年12月25日 シナリオプランニング

2004年49歳の時に、総合研究所のトップから呼ばれました。
研究所の二つの顕在的な課題・不足を解決するためです。
それは、
①顧客と接触が不足しているコト
②将来の構想力が不足しているコト
でした。

 当時、本社の「ヒット商品プロジェクト・新事業創造室」で積極的な異業種コラボレーションで様々な顧客と接触し、「守破離・弁証法」で未来をとらえて実践しているスキルが研究所に呼ばれた理由でした。

異業種ネットワークで、他社の研究所とも広く人脈を持ち、後述する複数会社の「シナリオプランニング」作成を経験しているので判るのですが、当時多くの研究所が高度IT時代に向けて、同様の悩みを抱えていました。
IT時代とは、顧客が主役になる世界だからです。

二つの不足は、言葉を変えると
①インサイト:顧客を深く読み洞察するコト
②フォーサイト:未来を高く読み洞察するコト
にあります。

従来のビジネス環境と様変わりして、半導体や情報通信の進化という「ムーアの法則」「メカトーフの法則」等を考察することが必要な時代でした。

それに伴う顧客価値の変遷を洞察し、組み込んで、チャンスとリスクを紡ぎ出す「物語」が求められるようになりました。従来の「物づくり」時代から「物がたり」時代への移行です。

その様な今まで経験したことのない「不確かな時代」を読み解くために、「シナリオプランニング」という方法があります。製造業、情報業、脳業等、様々な業種で活用できます。その第一人者(J・オグリビー氏)を米国から招き、私達のチームに直伝して貰いました。(下図)

ところが直伝を受けても、チームはまったく「シナリオプランニング」を使いこなせませんでした。それは、自分たちが「モノ発想」から抜け出られていないことにありました。

そこでは、「顧客価値発想」「コト発想」「弁証法」「新結合」のスキルが求められていました。

2006年に、パイオニア社の10年後のリアルな世界(シナリオプランニング)を描くために、下記①②③によるシナリオプロジェクトをプロデュースしました。

①「ヒット商品プロジェクト」で活用してきたインサイトとフォーサイトを組込む
② 紺野登先生(日本の第1人者:J・オグリビー氏を招聘)をモデレーターとして招聘。
③ 研究所横断でメンバー(6人)を選出。

半年後に、10年後(2017年)の4つ(4象限)の世界をシナリオにしてまとめ、ビデオも作成して一年に一回の発表会でプレゼンしました。
来年は2017年です。自分でも驚きですが、10年前に作成したビデオはほとんど未来を言い当てていました。皆さんにお見せしたいですね。

異能のメンバー達が当事者意識を持ち、本気で創発し、本質(インサイト&フォーサイト)を捉えれば未来は洞察できます。
業種の違う複数の会社からの依頼で、シナリオプランニングの監修を行ってきましたが、やはり時代を先取りできます。そんな経験を何度もしてきました。

上記は、12月15日に記した不確かな時代を読み解く「イメージメント&イノベーション」の世界の話しです。

とっても重要なな問題を一つ指摘すると、その羅針盤を判断する経営陣がインサイト&フォーサイトから遠い「マネージメント&オペレーション」の人達の場合には行動に移せない・移さないことがあり、未来を開封できないことがあります。メンバーのモチベーションは谷底に向かいます。

経営陣は「価値創造&イノベーション」のWillとSkillが必達です。
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価値創造の知・第14夜 社長直訴そしてヒット商品緊急プロジェクトへ

2016年12月24日 ポリシーとスタイル

 35歳、前職のパイオニア社で、1990年に目黒本社に異動になりました。その翌年の1991年、日本のバブルがはじけました。ホームオーディオは急激な下降曲線を描きましたが、真の理由は、もうオーディオ事業そのものがピークを過ぎて衰退期に入り、業界全体が東南アジアで安く製造して輸入するビジネスモデルが本格化していました。そして赤字に突入していきました。

それは、これまで(12/19、12/20、12/15、12/10)ここに記してきたイノベーション曲線2005年の衰退への道です。

当時、自分はカーオーディオ事業部の一介の課長でしたが、「全社オーディオ活性化委員会」の委員として呼ばれ、ホームオーディオ衰退の構造説明と次の一手を提案しました。しかし、当該事業部からは受け入れて貰えませんでした。

それから一年かけて構想をブラシアップしました。上司を全部飛び越えて、当時の会長、社長にその構想を提案しましたが撃沈しました。もう諦めかけていたのですが、総務部から専務が新社長になるという情報があり早速アポを取りました。
 もう背水の陣で、自分の尊敬するパイオニアOBの大先輩にも同席いただき提案致しました。新社長はそれを前向きにとらえてくれました。結果、全社再建13プロジェクトの一つに推薦いただきました。

「ヒット商品緊急開発プロジェクト」として命名して、そのプロジェクトリーダーとなりました。1994年39歳の時です。

それから、経営会議でプロジェクトの「①ポリシー、②スタイル、③プラニング」をプレゼンテーションすることになります。 その経営会議の前に、新社長に「自分はこのプロジェクトが失敗したら会社を辞めます」と本気の覚悟を伝えました。
経営会議後に新社長から呼ばれ「辞めなくていい。その代わり、入口(プラン)から出口(販売)まで責任を持て。そして思い切ってやれ」と言われました。
 プロジェクトの立ち上げ時は、自分含めて3名(総務・企画)だけでした。新社長に「責任をとるために、社内から選りすぐりメンバーを一本釣りしたい」とお願いに行き了承いただきました。それから人買いを始めるのですがこれはこれで大変でした。その凄まじい話はさておいて、「マーケ・販売」の逸材を説得に、とある営業所に行きました。
彼は自分と同期なのですが、「提案内容は了解した。ただし、今まで筋のいい提案が経営に上がるときに、そこで口出しされて、捻じ曲げられたことで何度も失敗している。
一気通貫で自分たちの想いが入口から出口までできるのなら引き受ける」と。
 この一気通貫が、私達の重要な「スタイル」の一つになりました。
 さて、ここではその時に提案した「ポリシー」をお伝えします。
弁証法から導いた次の本流は12月19日に載せましたが、下図に示すように、心理時代と工業時代が融合した世界を創出するのがプロジェクトの「ポリシー」です。そこに、思想・夢・新文化を込めました。
ポイントは「モノではなくコト」「技術の商品化ではなくて、欲求の商品化」「社内単独型ではなく、社外ネットワーク型」です。今から22年前の話です。現在では当たり前ですがこのような取組みは当時珍しかったのです。
ポリシーが、会社再建のための「ヒット商品緊急開発プロジェクト」の分母であり下半身です。何がポリシーなのか、その考え方を関係者に明示することはとても重要です。それがないまま進めるプロジェクトがいっぱい沈んでいくのを見てきました。
 さてさて、そのポリシー(考え方)を表現するのが分子である「スタイル(流儀)」です。ポリシーとスタイルはコインの裏表です。
異業種コラボレーションがその一つでした。100社くらいの異業種の方達とお会いしました。
「音とウィスキー(味覚)」「音とファッション(視覚)」「音とインテリア(視覚)」「音とお風呂(触覚)」って相性がいいですよね。「GIVE & GIVE」の精神で、「共感と信頼」のスタイルで、連続ヒット商品が生まれました。
現在は異業種コラボレーションのニュースが飛び交っていますが、当時は「未来のあたりまえ」を実践していました。
 さてその延長上で、1998年に私達ヒット商品プロジェクトが「Will(異業種合同プロジェクト)」に呼ばれました。「Willブランド」を覚えていますか?
 1999年から2004年にかけて行われた日本の異業種による合同プロジェクト名です。商品の全てが「WiLL」のブランド名とオレンジ色のロゴで統一されていたものです。
ここでは、当初参加する各5社全てのコラボレーション企画を用意して臨みました。
「せっかく6社が集まっているので、異業種による日本の新しい文化を創りませんか?、異業種コラボレーションのメッカにしませんか?」という提案をしました。そのような考え方が中心ではなかったことも含めて、残念ながら辞退しました。
 セミナーやコンサルでは、異業種コラボレーションの極意をお伝えしています。
基本は「共通項」と「新しい命・物語」を創ることです。そんな大それたことではありません。誰にでもできます。どこかでエッセンスをご紹介します。
さてさて、いつか「ニッポンの異業種連合による新しい文化創造」がプロデュースされることがあるといいですね。その文化創造が経済をひきつれてきます。
 もしもそのようなプロデュースがあれば馳せ参じたいと思います。笑
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価値創造の知・第13夜 倒産、そして新価値創造

2016年12月22日 臆病な自分

31~32歳の時に、パイオニア社の当時2000人規模のセンター工場で労働組合の支部書記長をしていました。そこに、同じ地域にあるお菓子会社の労組の委員長と書記長が尋ねてこられました。

「会社の経営が危ないので、緊急にお菓子を斡旋していただけないか」と。年末だったのですが、お引き受けしてすぐにチラシを作成して、組合員にたくさん購入して貰いました。

その一年後に、同じ二人が来られました。
「昨年は本当にたくさんのご支援、有難うございました。しかし、力及ばず会社は倒産することになりました」

今、私達が悔やんでいるのは、3年ほど前に会社を立て直す機会があったのですが、そのままにしてしまったことです。あの時に本気で労組が再建の行動をとっていたら、このようにはならなかった」

まだ若いその時に、とっても大事なコトを学びました。

「変化に対応できなければ、会社は倒産する」と。

組合を降りて一年後の33歳の時に、一年に一回開催される重要なイベントである「技術発表会」の事務局長になりました。

その発表会が「これからの大きな変化に対応できる」ものにするために、下記二つを新規導入しました。
1.技術発表会の「コンセプト」の確立と実行
2.「自主研究発表」の制度(仕組みと予算をつける)

それまで、発表会にはコンセプトがなかったのですが、
「新価値創造 NVC(=New Value Creation)」
を中心において、全てのテーマが「新しい価値を創造すること」を中心に置いて進めました。

・新価値=「世の中に役立つコト」
・創造=「未来を先取りするコト」

当時、「新価値創造」という言葉はなかったので造語です。
上記導入の二つは、28年経ったいまでも活用されているようです。

現在、「価値を創造する」という言葉がメディアに氾濫しています。自分からすると「20年遅いなぁ」というのが素直な気持ちです。

3年前(2016年)、早期退職した時に「新価値創造研究所」を立ち上げました。ホームページURL https://shinkachi.biz/

「新価値創造で人々を幸せにしたい」

というのが自分の使命です。
25年の時を経て、「新価値創造」が繋がった現実・縁が不思議です。

さて、「変化に対応できなければ、会社は倒産する」
という認識が深く自分の中に棲み込んでいて、前職では下記のプロジェクトを推進してきました。

・オーディオ衰退期の時の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」
・不確かな時代を突破する社内外「シナリオプランニング」監修
・次の柱を創る「新事業創出プロジェクト」&「人財開発プロジェクト」リーダー

振り返ると、「自分は他の人より臆病なのだ」
ということが、よーくわかりました。

そのままで時間が過ぎると、「会社が潰れてしまうから何とかしなくては。時代の変化対応した目的・方法に変えなくては。価値創造できる人材を創出しなくては。」
そう思うと、もう落ち着かないのです。
ただ、会社には従来のやり方・考え方・既得権のイナーシャ(慣性)があって、イノベーションに向かうのは大変です。

でも、「会社が潰れるよりはマシです」

「あの時に本気で再建の行動をとっていたら、このようにはならなかった」

自分の中で方向が定まれば、スイッチが入りもう行動するのみです。なので、どのプロジェクトでも大きな反発がありました。左遷も降格もありました。スティーブジョブズも会社を追われました。本当・本質のコトを言い、実践するからです。成長・成功の前には、大きな必ず落込み・壁があります。

でも、顧客・社会の幸せのために、「時代の波に飲み込まれず、時代の波に乗る」のが本筋です。それを実践してきたので、いいコトもご褒美もいっぱいありました。

さて、ニッポンは、「新価値創造」の時代です。顔晴って頑張ってゆきましょう。笑

価値創造の知・第12夜 イノベーションの心得②:500年企業・虎屋の本分

2016年12月21日 一気通貫:本分・本気・本質・本流

 

虎屋の羊羹が大数寄です。
さて、あの虎屋さんが「大切にすること」をご存知ですか?
違う切り口で質問すると、「変えていいもの」と「変えてはいけないもの」が何かです。

・変えていいものは「味」
・変えてはいけないものは、「お客様への感謝の気持ち」

です。素晴らしいですね。

この頃、講座やコンサルの前段でそれを使わせてもらっていますが、自分はそれを「本分」と定義づけ活用しています。

本分とは何でしょうか。
辞書では、「その人として本来尽くすべき責務」と記しています。

昨日(12/20)のコラムで、イノベーションの心得として、
「本気・本質・本流」
をしたためましたが、プロジェクトの前に経営の方達に確認しておくのが「本分」です。

何故でしょうか?

それは、プロジェクトメンバーがアイデア・企画・事業構想を検討して、最終発表の経営会議に提案したときによく出てくる言葉です。

「この提案は、うちらしくないからダメ!」

前職でも自分も含め、これで何度挫折する現場に遭遇したでしょうか。

その企業のあるいは対象の「・・・らしさ」とは何かを十分に共通認識しておかなかったからです。イロハのイができていません。
それができていないと上記に出くわして、たくさんの労力が無駄(生産性とモチベーショの低下)に繋がります。
そこには、冒頭の「変えていいらもの」と「変えてはいけないもの」があります。

昨日(12/20)のコラムで、「もう従来のやり方、考え方では右肩下がりで、改善だけではどうにもならない。
アイデアがあっても具体的な事業立案が進まない。何とか成長・成功の道筋を見出したい」
という悩みや相談事が多いという現実を記しました。

目的と手段(ツール・方法)を混同して、従来成功してきた手段に固執してしまうことが多いのです。
経営陣は「従来のやり方、考え方」が通用しないと言いながら、常識の殻を破ったやり方・考え方について躊躇してしまいます。
もちろん、チャレンジングな方法やビジネスモデルになるのが大方なのでリスクがあるのは当然です。
経営の方達には、経験したことのない「壁」を前にして「その提案がダメな理由」をいっぱいテーブルに出すのでななくて、「それができる理由」を率先して道を拓く側にいていただくことを事前に確認しておきます。

下記の事前の頭の切り替えも必要です。

例えば、20世紀の製造業は、
「性能>機能>効能」 という順番でした。~馬力、~W、~デシベル等、

現在は、その逆で、
①「効能>機能>性能」という顧客・社会の効能(=目的)からの順番で把へる時代です。

現在のプロダクツの前段(Before)には、センシング(IoT・AI)があり、後段(アフター)にはコンサルティングが控えています。従来のプロダクティングだけでは不十分で、
② 「センシング → プロダクティング → コンサルティング」
それを一気通貫で先取りすることにより、従来と全く違う風景と目的が現れてきます。

③また、「顧客を囲い込む」時代ではなくて、「顧客に囲まれる」時代です。

メンバー全員(経営陣も含め)で、自分と他分を融合して、「本分」を明確にした後に、新価値創造研究所の「成長マトリクス」で整理すると、ワクワクした「将来と未来」のシナリオが見えてきます。

「本分→本気→本質→本流」

この「本」の一気通貫が成長と成功の心得であり本筋です。

 

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価値創造の知・第11夜 イノベーションの心得:「本気・本質・本流」編

2016年12月20日 「三つの本」を「ブリッジ(橋わたし)」する
 次の成長・成功を目指される多種多様な企業をご支援しています。
多くの企業(中小企業のみならず、大企業も)が次の一手、次の柱づくりに苦労されています。

「もう従来のやり方、考え方では右肩下がりで、改善だけではどうにもならない。アイデアがあっても具体的な事業立案が進まない。何とか成長・成功の道筋を見出したい」という悩みや相談事が多いですね。

「従来(20世紀)のやり方、考え方」を超えるのはどうしたら良いのでしょうか?昨日(12/18)のコラム(イノベーションとのかかわり)でイノベーション曲線(導入・成長・衰退)の話をしました。大局的には、次の世界を深く・高く・広く読み(=トリニティ・イノベーション)、「次の本流(オルタナティブ)」と「多角化経営」を併せて挑戦することが良い結果に繋がります。

「次の本流」を掴み取るには、二つの要素が必要なのでご説明します。それは順番に、
1.「本気」ステージ:メンバー全員が本気であること。特に当事者意識があることです。
「当事者意識」は「情熱・志」のコインの裏表です。
次の「2.本質」を紡ぎだすのに必要不可欠なので、この意識を醸成するために多くの時間を割くこともあります。
2.「本質」ステージ:トリニティ・イノベーションで「新しい価値」を紡ぎ出す
  先ず、表面的な手法に走らずに、
・自分たちが顧客の幸せのために何をしたいのか?
・そのために、大切にしたいことは何か
・どのような未来を創りたいのか?

 つまり、「何に命を使うのか」という本気の使命(MISSION)をメンバー全員で紡ぎ出し、共通認識することが重要です。その本質を見出し、洞察する作法がトリニティ・イノベーションなのですがそれはまた別の機会に記します。
 この三位一体を検討すると、「未来の輪郭」が見えてきます。

上記「1.本気(PASSION)、2.本質(MISSION)」ステージが整うと、次のイノベーション曲線である「3.本流」ステージの行動(ACTION)に移ることができます。さて、ベンチャー企業の方達は、「2.本質」のトリニティ・イノベーションを検討している最中に次の一手が少しでも見えると迅速に動き出します。その「機動力」は大企業と違って感動モノです。

 実際には、企業の将来の「羅針盤」と「多角化戦略」を「3.本流」ステージに行く前に全メンバーで作成することをお薦めしています。急がば回れではないのですが、不確かな時代を突破する二つのマトリクス(成長マトリクス&シナリオマトリクス)に「2.本質=トリニティ・イノベーション」で創出したものを組込んでいくと、将来経営のためのサバイバル(生ききる)な「羅針盤」とサスティナブル(持続的)な「多角化経営戦略」が浮かび上がってきます。

 12月7日のコラム(「おもてなし」とは何か?)で、これからの時代が、「顧客を囲い込む時代」から「顧客に囲まれる時代」になっていることをお伝えしました。そこでは、「日本の方法」と「IoT・AI」というものをどう結合させるかということが重要になります。

 つまり、「本気・本質・本流」で「モノ・コト・ヒトの三位一体」で挑戦されることをお薦めします。

  私の苗字である「橋本」には、上記の3つの「本」を「ブリッジ(橋)」するという使命があるのでしょうか。
 皆様の「本気・本流・本質」を橋渡しできれば幸甚です。 

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価値創造の知・第10夜 イノベーションとの関わり(オーディオ事業編)

2016年12月19日 イノベーションと弁証法

39年前に、パイオニア社に就職しました。
その時に、「会社の寿命は30年」という説が朝日ジャーナルに載っていました。
「世は常ではなく(無常)、栄枯盛衰をしっかり把へて限界突破すること」が自分に残像しました。
まさに、オーディオ事業は導入期、成長期、ピーク期(1988年)、衰退期とイノベーション曲線を描いたのを体感したのでした。

少し解説します。音・音楽は、「神と人間の意思の疎通を行う媒介」として存在していました。祭り、宗教儀式に使われた「精神文明」です。
楽譜の発明を540年にすると約1300年。1877年のエジソンの発明が転換(イノベーション)となりました。

次のイノベーション曲線は電気音響技術の発展です。1988年に機会を媒介としたオーディオ事業がピークを迎え衰退に向かいました。
そのピークを過ぎた1992年に「オーディオ事業活性化委員」と「超高密度メディア(後のSDカードやUSBメモリに進展)委員」となりました。
その時に、「音と人との関わり」を過去・未来に広げて、イノベーション曲線を弁証法で表しました。(下図)

さて、オーディオの次の本流(オルタナティブ)はどこにあるのでしょうか?
外部環境を検討すると、13年後の2005年に放送系・通信系・メディア系が出揃ってシフトするタイミングであることが委員会で洞察できました。
CDメカやDVDメカではない世界が刻々と近づいてきていました。

超密度メディア(SDカード等、当時2~3万円)がCDメカを凌駕する時をシミュレーションすると2005年だったのです。
その時に思いました。
「今のオーディオ事業は2005年後にたいへんなコトになる。次の本流をイノベーションせねば」と。

弁証法的には、下図をご覧ください
①正「精神文明」1300年
②反「科学文明」130年
③合「心理文明」13~14年

それは、「ハードウェアとハートウェア」を融合した「心理文明」世界です。その為の前座が、以前のこのコラムに載せた「ヒット商品群」です。
この「心理文明」のど真ん中のプランニングも用意していました。ただし、それは100%の人を満足させるものではなくて、カラオケやCDJの様に、コアの人達から広がっていくものです。
今でもこの心理文明のヒット商品(ホームでもカーでも)を出す自信があります。

さて、結果的に従来のオーディオ事業は衰退しそこには「iPod」が参入してゆきました。それは、「ハードウェア・ソフトウェア(iTunes)・ビジネスウェア」の三位一体の世界です。
そしてこれもコモディティー化しました。2019年に大きな変化が音連れます。愉しみですね。%e9%9f%b3%e3%81%a8%e4%ba%ba%e3%81%a8%e3%81%ae%e9%96%a2%e3%82%8f%e3%82%8a

価値創造の知・第9夜 「三つのエコロジー」とは?

2016年12月18日 心のエコロジー

25年前の自分の人生に大きな影響を与えた本をご紹介します。
「三つのエコロジー」フェリックス・ガタリ著です。

前職(パイオニア社)36歳の時に、エンジニアリング時代(設計・技術企画)から目黒本社に異動して、プランニング時代(情報企画・開発企画)の入り口にいました。

従来のオーディオ事業は、1989年をピークにして衰退期に入っていて、ハードウェアを主体にしていた事業は行き詰まりを見せていました。その中で立ち上げられた全社「オーディオ活性化プロジェクト」に入った自分は、「未来を構想する」「自社のミッション再構築」の手がかりを探索していました。

ふと、渋谷の本屋(大盛堂)に立ち寄った時に、何かオーラを纏った「三つのエコロジー」(フランス新左翼を代表する哲学者ガタリが縦横無尽に語った、精神分析・科学・生物学・倫理学・政治そしてエコロジー問題。生前最後のインタビューを収録)という本を手にして感動しました。そのエッセンスを記します。

従来のエコロジー運動がいわゆる「環境問題」(自然環境を中心とした)に限定されてきたことに疑問や不満を感じ、それだけでは現代世界の全面的危機に対処しえないとして、「環境のエコロジー」に加うるに、「社会のエコロジー」と「精神(心)のエコロジー」の三位一体理論を提唱する。

自分(橋本)の編集では、
 「人間は下記3つの世界(エコゾフィー)の中に生きている。
    ①地球環境   :物の公害
    ②人間社会環境 :社会の公害(テロ、離婚等)
    ③心の環境    :ストレス
これを別々に切り離すのではなく、三位一体で直視して展開すること」

業界は、物の公害という領域のエコロジーばかりに目を向けているが、パイオニアという製造業の会社は「音(サウンド)や光(ビジュアル)」を心の領域(=心のエコロジー)で、ハートウェアとハードウェアを新結合して未来展開できるのでは?という仮説を立てました。
もともと、サウンド&ビジュアルの本質はは、心の領域(幸福な気持ち、創造的な生活等)で人々に役立っていることにあるのですから。

そして経営会議では、 「パイオニアは、音・ビジュアル・情報の可能性を究めて、人々の『ココロのエコロジー』の領域に貢献する企業として進化する」を提案し、具体例と共にプレゼンテーションしました。
それが結果として、3年後の連続ヒット商品(ピュアモルトスピーカー等)と会社初の「エコプロダクツ展」への出品、初の「エコマーク」作成へと繋がりました。

さて、現在に目を移すと「エコロジー問題」は遅々として進んでいません。偶然かどうかわかりませんが、いま「再生可能エネルギー&不動産」の会社をご支援しています。
これからも、心のエコロジーを基盤として「地球・社会・心」の三位一体の展開に貢献してゆきたいと思っています。

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価値創造の知・第8夜 「わかる」ことは「かわる」こと

2016年12月17日 「知」の本質

更新・刷新・一新・革新と「変わる」言葉が多くあります。
数年前に、どの言葉が「イノベーション」と「リノベーション」と符合するのかを調べていた時に出会った感動した本(対談:佐治晴夫・養老孟司)がありましたのでご紹介します。

それは、佐治晴夫さんが高校で理科を担当しているエリートの先生たちの研修会に呼ばれての話です。

そこで宇宙の始まりから人間に至るまでの話しをされた時に、国立大学のドクターで立派な業績を持って高校の先生になっている人が佐治さんのところにきて、

「今日先生がお話しされたようなことは、私は全部知っています。ビッグバンが起こる前に、どういうゆらぎがあったか、そこのところの数学的な話が聞きたかった」というわけです。そこで僕は彼に言ったんですよ。
「先生がそういうことをよく知っていらっしゃるということは僕にも想像できるけれど、僕から言わせていただくと、宇宙のことをあなたが勉強して知ることによって、あなたの人生がどう変わったかということをもって、知る、ということなのです。
あなたは生徒に、授業を通して彼らの人生をどのように変えられるかということを念頭において、地学の講義をしていますか?」

そう言ったら、彼は黙りましたね。
一番そこが問題ですよね。だから僕は「わかる」ということは「わ」と「か」を入れ替えて「かわる」ということだと思っています。

当時の自分(橋本)は、革新(イノベーション)で世の中を「変える」ことばかり考えていたのでその内容に衝撃を受けました。いまは、「価値創造」を通して、人・社会・企業のさらなる「かわる(更新・革新)」に貢献してゆきたいと思います。

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価値創造の知・第7夜 イメージメントとマネージメント

2016年12月15日 「イメージメント」って?

「イメージメント」という言葉を聴いたことがありますか?
前職の新事業創出プロジェクト時代に、松岡正剛師匠からいただいた言葉(造語)です。
「多くの会社はそこそこマメージメントができているけれど、イメージメントができていない。イメージメントが全く不足している」と。

松岡師匠の講演レポート(セイゴオちゃんねる)が参考になりますのでご一読ください。
http://www.isis.ne.jp/seigowchannel/archives/2007/06/news_23.html

さてここからは、「イメージメント」に向けた橋本の理解と取組みを記します。

20世紀の工業時代は右肩上がりの時代で、オペレーションが上手な人達が重宝されていました。
1950年代から1960代にかけて「マネージメント」ブームが花開きました。右肩上がり時代は「マネージメント」が得意な人達が経営陣に多いのです。
しかし、今の「IT・情報時代」、これからの「AI・脳業時代」は、イノベーションの時代です。
現状を打破する、新たな「知」を紡ぎ出し、新たなパラダイム(枠組み・次の本流)を創るのが「イメージメント」です。
これができる人が少ないのがニッポンの問題です。

次を創るには、「マネージメント&オペレーション」の前に「イメージメント&イノベーション」が把えることにあるのです。「イメージメント&イノベーション」をオペレーショナルマネージャー(経営陣)がキャッチできないことが課題です。

多様な企業をご支援していますが、多くの経営者の方達は「マネージメント」は得意なのですが、
「イメージメント」が苦手です。その環境(色)に染まってしまった社員の方達も同様です。
なにせ、学校や企業で教えてもらったことがないのですから。

学校や企業の教育カリキュラムを変えることも必要なのですが、大学入試の仕組みから変えないと難しいですね。否、仕組みの前に事業の「目的」を共通認識することが必要ですね。

ベンチャー企業と老舗企業を同じタイミングでご支援してきましたが、経営陣の姿勢、情熱とスピードが違います。ただ当事者意識・危機意識が醸成され、本質を掴み取り、最初の大きな壁を乗り超えれば、あとは一緒に波乗りです。

それでは、橋本流の知を紡ぎ出す「イメージメント」習得のエッセンスを記します。
A.心得: 本気(PASSION)→ 本質(MISSION) →本流(ACTION)
B.作法: 価値創造の3本の矢=トリニティ・イノベーション(深く読む・高く読む・広く読む)

さてさて、前職ヒット商品プロジェクト時代(20年前)に発表した「イメージ&マネージ」MAPを載せます。%e3%82%a4%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%81%a8%e3%83%9e%e3%83%8d%e3%83%bc%e3%82%b8