2017地球温暖化防止展・NEW環境展

2017年5月23日 選ばれる企業になるためには?

クライアントが出展している「2017地球温暖化防止展・NEW環境展」の初日に行ってきました。アジア最大級の環境展ですが、環境先進国として、国や産業、学術の連携が更に求められますね。そして、「選ばれる企業」になるためには、改めて、スマート化・AIoT化を組込んだ価値創造の急務を感じました。
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時代の大きな変わり目

2017年5月17日 「魔法の世紀}

本日の文化経済研究会のゲストスピーカーは、この頃特にメディアの露出頻度が高い落合陽一さんでした。メインテーマは、「コンピュテーショナル・ダイバーシティー(計算機的多様性)」。人間が人間のために働く時代から、人間がやるものをコンピュータ・ソフトウェア・AIロボットが代替する時代へのパラダイムシフトを分かり易く説明されていました。
「その時の人の幸せの風景とは?」を思わず想像・創造してしまいました。
落合陽一_n

「オーディオ」の未来は

2017年5月14日 オーディオの定義を革新する

昨日・今日と開催された「OTOTEN2017」に、クライアントからの依頼を兼ねて情報収集に行ってきました。今年は「4つの抜本的見直し」があり、その熱い意気込みを感じました。
会場には、先輩も後輩もいっぱいいて同窓会の趣でした。客観的に視ると「このままでは“オーディオの未来”は非常に厳しいもの」があります。
理由は明確です。
前職・パイオニア社で、「オーディオの進化」について提言と実践をしてきました。約30年前の1989年前後をピークにして右肩下がりを続けています。詳細は、このHP「価値創造の知」(第9-10夜、第78夜等)に綴っています。
ポイントは、手段を目的にしないで、新しい目的を洞察するコトにあります。

それは、1989年以前の過去の成功方程式を「現在の真実の基礎」にしてはいけないということです。私たちの眼前にある右肩下がりの過去のデータをみて、そのやり方、考え方、進め方に同意しますか?反対しますか?
「いったい、あなたはどのように考えますか?考えていますか?」
さらに、深い(高い、広い)問いかけが必要なのです。

深い問いかけで洞察すれば、「オーディオの進化」と使命が観えてきます。

さて、変革・進化は中心(人物・事業部、業界)からは難しく、周縁から音連れます。その周縁は、顕在化して点滅しています。その進化のシナリオを描くことがポイントです。
インパクトとして「音・音楽とモビリティー」と「顧客に囲まれる時代:価値創造の知・第20夜、第72夜、第108夜」の新しい交差、新文化を創り、そのエコシステム(生態系)をお見せするのがお薦めです。

コンサルの筋目からは、「オーディオそのものの定義・常識」を抜本的に迅速に革新することが始まりです。それは、「イノベーションのジレンマ」なのですが、「オーディオ(手段)から把えるのではなくて、これからの時代の“人間と音・音楽の関わり方”からの新しい目的を分母にして、顧客の笑顔・新スタイル・新文化を創造するコト」が新しい主流(オルタナティブ)への道筋であり構造です。

そのための幾つかの具体的成長シナリオを用意しています。

結果、日本の新しい五感文化、おもてなし文化を創れる可能性が高いと洞察します。
2020年の節目に、そのポリシーとスタイルをお披露目することが試されます。
その本質と次の本流に意欲、関心のある方は、連絡ください。

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「見える化」から「魅せる化」へ

2017年5月12日  ビッグチャンスの到来!
本日は、クライアント様が出展してる「第6回 IoT/M2M EXPO春」最終日(東京ビッグサイト)に行ってきました。春秋の2回となりたくさんの方達で活気あふれていました。
ニッポンの様々なハードウェアとIoTの新結合により、新しいライフスタイルと市場が拓けるワクワク世界が目に浮かびます。ビッグチャンスの到来です。製造業が新サービス業に転換するまたとない機会です。
感度を高くして、本質を把えて、迅速な決断が求められますね。
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価値創造の知・第43夜  困難をチャンスに変える

2017年5月11日 困難がチャンス!

本夜は、「価値創造の心得」の3つの要点を綴ります。

企業にとって大事なことは、大きな困難(問題)を解決することで顧客から対価が巡ってくるということです。
今まで通りのやり方、考え方の踏襲では、どんどん右肩下がりに向かってしまいます。つまり、困難がチャンスだという認識が重要です。
「適応しなさい・変わりなさい」という天からの声ですね。

 それを前提として個人の心得は、
①一つ目は、問題(困難)解決の熱意が必要です。大きな問題には、必ず高い壁が待ち受けていますので、その試練を乗り越える持続する熱意・情熱・本気が不可欠です。
②二つ目は、経営陣(上司)から、指示されるのを待っていてはいけません。上から、ハシゴを用意して貰うのではなく、自分でハシゴをつくることです。
(様々な業種の会社をご支援してきましたが、「事業創生・地域創生」のための「バリュー・イノベーション・プロジェクト」に上記①②の素質を持った最低2人がメンバーに参加していると結果(出来高)が大きく変わってきます。特に、②のスキルをもった人財が少ないのです。自分を乗り越えるような部下を持つ上司の方は居心地が良くないのも事実ですが自分の器を大きくされてください)

③三つ目は、周りを巻き込む行動力です。①②の覚悟と構想があれば、共感・支援・協働する社内外の人たちが必ず現れます。
上記①②③が「要(かなめ)」なのですが、次夜からその3つを自分の現場の実体験を踏まえて綴ってゆきます。

第43夜 価値創造から経営革新へ

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マイナビ顧問紹介・インタビュー記事

2017年5月7日 価値創造の知・エッセンス

●従来のマネジメントからどうはみ出すか?
大手電機メーカー・パイオニア株式会社で、エンジニアの専門分野を歩んでこられましたが、ある時、発想の転換とともに「異業種とのコラボーションによる経営革新」という構想に辿り着きます。顧客、社会が幸せになれる顧客価値を創造しなければならないのに、機能&性能のモノ発想に追われ、効能という本筋を見失いがちな「専門分野一途の危険性」に気づき、積極的に異業種とWIN-WINとなる新しいライフスタイルを提案することで数々のヒット商品を生み出しました。100社以上とのコラボを行い、異能ぶりを発揮。「ミスター・アライアンス」と呼ばれることも。2013年、パイオニアを早期退職し、自らを代表に「新価値創造研究所」を立ち上げ、様々な企業に「顧客価値創造による経営革新」を促しております。業績不振からの脱却、異業種と交わることで社内活性化を狙う企業にとって、この構想力は躍進へのヒントに満ち溢れることでしょう。

●あの芳醇なスピーカーを生み出した構想力
非常にわかりやすい異業種コラボの実例としては、パイオニア時代にサントリーさんと『ピュアモルトスピーカー』という商品をプロデュースしました。サントリーさんで40~50年使用し続け、すっかりウイスキーが染み込んだ樽の木を使用したスピーカーです。樽材は樹齢100年の水楢材を使用していますが、ウイスキーを樽の中で10~15年と熟成させ、それを約半世紀の間に3回も繰り返しますと、もう香りや色等がなくなって御役御免なんですね。ただ、木材としての寿命はあと50年もあるのです。そこでウイスキー樽をスピーカーへと活用し、商品化するプロデュースに取り組みました。ヒントは有名な高級バイオリンの『ストラデバリウス』です。あれも木材を塩漬けにすることによって、中の導管が通り、あのような美しい音色が可能になるそうです。そこには樽物語というストーリーをつむぐこともできますし、元々ウイスキーと音楽は相性が良いのです(笑)。新聞発表したら、すぐに完売しました。次のヒット商品は「音楽とファッション」の相性に着目しました。ポータブルCDプレーヤーをスケルトンにして、その商品をラフォーレ原宿の全マネキン人形にたすき掛けする展示でニュースになりました。そのヒットプロジェクトには異能な人財を社内から集め、新たな生命と物語を次々に生み出し、また、企画から販売までを一気通貫することで、自分たちの新しいスタイルをそのまま顧客にお届けすることができました。
21世紀はレールなき航海の時代
20世紀は「鉄道の世紀」でした。レールがあり目的地も明確で、「改善と効率でいかにそこに早く到達できるか」を競い合っていた。つまりオペレーションとマネジメントを得意とした企業が勝つというモデルでした。それが得意な方々が現在、企業の役員です。ところが21世紀は先行きが不確実な混迷の時代です。レールがないから行く先も、道筋も分からない。言わば「航海の時代」です。私のやり方は社内の選抜メンバーにドックに入っていただいています。最初に、「私たちが将来に向けて大切にすべきなのは、一体何か?」という『錨』(本来)を明確にした上で、「この船はどの方向へと向かっていきたいのか?」目指す『北極星』(将来)を一緒に探していきます。実は、この「何が大切なのか?」を浮き彫りにするプロセスが得意なのは女性なんです。それは『こころ』を扱うからなんですね。また、良い意味で企業の固定観念に縛られていませんから。「ちょっと、ここがおかしいと思います」「こうじゃないですか?」と堂々と言えてしまう(笑)。それが強み。そのように言える環境をこちらが醸成していくのですが、メンバーの中で女性が一番スキルアップすることが多く、『場』が活性化します。だからこそ私は、経営陣の方達にあらゆるプロジェクトに、必ず女性を入れることを推奨しています。

●21世紀はレールなき航海の時代
20世紀は「鉄道の世紀」でした。レールがあり目的地も明確で、「改善と効率でいかにそこに早く到達できるか」を競い合っていた。つまりオペレーションとマネジメントを得意とした企業が勝つというモデルでした。それが得意な方々が現在、企業の役員です。ところが21世紀は先行きが不確実な混迷の時代です。レールがないから行く先も、道筋も分からない。言わば「航海の時代」です。私のやり方は社内の選抜メンバーにドックに入っていただいています。最初に、「私たちが将来に向けて大切にすべきなのは、一体何か?」という『錨』(本来)を明確にした上で、「この船はどの方向へと向かっていきたいのか?」目指す『北極星』(将来)を一緒に探していきます。実は、この「何が大切なのか?」を浮き彫りにするプロセスが得意なのは女性なんです。それは『こころ』を扱うからなんですね。また、良い意味で企業の固定観念に縛られていませんから。「ちょっと、ここがおかしいと思います」「こうじゃないですか?」と堂々と言えてしまう(笑)。それが強み。そのように言える環境をこちらが醸成していくのですが、メンバーの中で女性が一番スキルアップすることが多く、『場』が活性化します。だからこそ私は、経営陣の方達にあらゆるプロジェクトに、必ず女性を入れることを推奨しています。
●従来のマネジメントからどうはみ出すか?
グーテンベルクの活版印刷機は、羅針盤、火薬と並んで「ルネッサンス期の世界三大発明」と呼ばれています。グーテンベルク氏の実家は刻印機を作っていたそうです。家の周囲にはワイン製造に使うぶどう搾り機がありました。そんな環境の中、ぶどう搾り機と刻印機が新しく組み合わさり、活版印刷機という化合物ができました。そのような意味で、何かと何かをつなげるアイディア、ヒット商品、新事業とは、すべて既存のモノ、コトの組み合わせです。イノベーションという言葉を提唱したシュンペーターは、それを『新結合』と呼びました。前述のヒット商品『ピュアモルトスピーカー』も新結合です。そのコツは、共通項を見出し、境界を乗り越えて新しい生命を吹き込み、そこに素敵な物語を紡ぎ出すことにあります。AI/IoTの時代、すべての製造業は今後、形を変えたサービス業へと変化すると思います。もし難しい場合は、それを専門とした企業とアライアンスをすることで道を拓くことをお薦めします。
●企業へのメッセージ
もしも行き詰ったり悩んだりした時は、常識の殻を破る「三本の矢」をイメージして下さい。第一が、「私たちは一体何を大切にしていくのか?」を洞察します。事業の再定義がポイントです。これが「インサイト(深く読む)」。第二が、「世の中いったいどうなるのか?」と洞察する。それが「フォーサイト(高く読む)」。そして、第三がそれらを新結合する「ゲシュタルト(広く読む)」。この3本の矢が出揃うと新しい事業の輪郭、顧客の笑顔が見えてきます。
さて、21世紀は「イメージメント(構想)とイノベーション(革新)」が牽引する時代です。従来価値観の常識を疑い、顧客・社会を幸せにする「イメージ力」が問われます。新しい時代の本質を見抜き、次の本流をイメージして、本気(PASSION)→本質(MISSION)→本流(ACTION)の流れを創ってくれるのが「三本の矢」なんです。そして、新しい成長には、構想→行動→更新が必須です。それが私の得意とする構想力と革新力です。ぜひ、ご一緒に、隆々とした未来を創りましょう!

価値創造の知・第42夜 地域創生・住民協働

2017年5月9日 住民協働の真の目的から考える

前職の総合研究所・新価値推進センターの所長時代から、「地域創生・住民協働」のご支援をしてきました。ちょうど、平成22年に政府が「新しい公共」を宣言した時と、軌を一にしていたように思います。

その時の政府の「新成長戦略」の中で、
“国民の満足度や幸福度には、所得などの経済的要素だけではなく家族や社会との関わり合いなどの要素も大きな影響を持つ。
「新しい公共」の考え方の下、全ての国民に「居場所」と「出番」が確保され、市民や企業、NPOなど様々な主体が「公(おおやけ)」に参画する社会を再構築することは重要な課題である”
と宣言していました。

 何か上から目線が気になりますね。課題であることはわかりますが、この上から目線では上手くコトが回せません。そのことは後述します。

このように新しい公共が重要課題となったベースは、第40夜「新しい時代の価値観」に記した、
①減少社会: 不足
②モノよりココロ: 繋がり
という大きな二つの変化の新結合から捉えるとわかりやすいので是非第40話をご覧ください。

さて、総合研究所の7年前の企業人時代に、ある地域の行政職員と住民&NPOの間に入って「地域課題の抽出と構想・実践」の触媒をお引き受けしました。
参加している皆さんが、それぞれにやりたいことがあり、積極的で前のめりで、初期段階では全体をまとめることがとても厳しい状況でした。

そこで、
・私たちは、いったい何を大切にしているのか?(錨の確認)
・私たちは、何を目指そうとしているのか?(北極星の共創)
を提案して、時間をかけて協議しました。

皆さん仕事の後なのに、夜6時半から10時頃まで熱く語られていました。
そのような会合が毎週1回、2か月半続きました。
結果、それは今でも続く地域のセンターになりました。
とてもいい経験をさせて貰いました。

そして前職を早期に卒業し、独立して、ここ2~3年は「地域創生・住民協働」に複数関わることになりました。
ここで、7年前との違いを半径1.5メートルの中で記します。

やはり、人口減少社会で地域は過疎化が進み、都市でも空き家が点在するスポンジ型になりました。その中で、早期から志・本気で取り組み、花開いて仕組み化、円卓化できている地域Aと思うように進まない地域Bが2極化しています。

友人はそれを「ゆでガエル現象」で説明していました。よく企業経営やビジネスの文脈で使われています。
それは、「カエルを熱湯の中に入れると驚いて飛び出します(A)が、常温の水に入れて徐々に熱すると、カエルはその温度変化に慣れていき、生命の危機と気づかないうちにゆであがって死んでしまう(B)」という話です。

従来、官(役所など)や学(大学など)は、大学入試に見られるように、
「間違えないこと」が求められ、最優先されました。
しかし、未来が不確かなイノベーション時代の現在では、それが足かせになっています。
従来の価値観で成長している時はそれで良かったのでしょうが、上記の①減少社会と②繋がりの複合が進む時代には、従来の価値観では対応できません。

「官」の役割が大きく変わっていることは明白です。
・啓蒙から「共感」へ
・先導から「触媒」へ
・改善から「革新」へ
「住民・NPO・企業・大学」も新しい目的の元に変わらなければいけません。

人口減少や高齢化など社会状況が大きく変化するなか、「地域創生・住民協働」の必要性・重要性は すます高まります。
ただし、「住民協働」はあくまでも手段であることを忘れてはいけません。

・地域創生、地域活性、住民協働はいったい誰のものなのでしょうか?
・どうであったら、住民が、地域が元気になったといえるのでしょうか?
・そもそも「何のために住民協働」を推進するのでしょうか?
という、真の目的や大切な問いを関係者と共に考え、共有することがとても大事なのです。

「やり方」につんのめる前に、上記の「あり方」を共有・共感することがとっても大切です。それは、7年前の地域創生の実践成果とその後、各地の失敗事例を見聴きして実感したことです。

上記の「あり方」から「パッション・ミッション・アクション」の道筋に向けて、下図の「課題・人・場」を三位一体で創造し、具体化し、新成長に繋げていくのが「新価値創造」です。

「価値創造で多くの人を幸せにしたい」

第42夜 価値創造から地域革新へ

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価値創造の知・第41夜 二つの脳:察しない男・説明しない女

2017年5月3日 コンセプトメイキング②

多くの企業や自治体が、世の中の変化に対応して「新事業・新業態」に踏み出すことが常態化しています。
その時に問題となるのが、対象の顧客が今までとは違う新規顧客であったり、求めるものや価値観が変わってくることです。
そして、それに合わせて『コンセプト』を再定義して、ミッション、ビジョン、更に組織革新、賃金体系等の経営革新に手を入れていくことが必要になります。

本夜は、上記に関連する“コンセプトのつくり方”の第2段を、首記ベストセラー「察しない男・説明しない女」を交えて綴ります。

すべての事業(戦略)の基本は、
① WHO:  一体どのような顧客に  (誰に)
② WHAT: どのような効能・価値を (何を)
③ HOW:  どのような強みを提供して(どのように)
にあります。

コンセプトは、上記①②③を圧縮したようなものです。
コンセプトは、人間の背骨のようなものですから、それが明確になると、何をすれば良いのかがハッキリ・スッキリします。

さて、皆さんもご存知のように、市場が『業際化』しています。
“業際”とは、異なる事業分野にまたがることを意味します。
今回は価値創造の本丸である『業際に係るコンセプトの再定義』の事例を提示します。

それは今までと異なる風景であり、新価値創造研究所では、それを成長マトリクスで“開際(従来・開発・開拓・開際)”と表現して、顧客価値レベルの高い象限で表してします。
参照:https://shinkachi.biz/ NEW!JQAA寄稿:「顧客価値創造にもとづく経営革新」
さてさて、それでは固い内容ですみませんが、「建設業界の事例」で新展開の実例を観てゆきましょう。

参考: 建設新聞引用(新たな付加価値の源泉・業際ビジネス用)
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『業際』とは、産業の垣根に相当するもので、「そこを超えると異質と感じられる境界領域のこと」である。これまでの事業との連続性と不連続性を併せ持っているため、本業と異なりアイデンティティを形成することは難しい。

しかし異質との接触面であり、最もイノベーティブな組織行動がとられる領域でもある。

業際論争については金融業における銀行、証券、保険のそれぞれでの調整や垣根撤廃が有名であるが、現在では流通企業やメーカーが金融業に進出するなど、業際の拡大活動もしくは既存の業態と異なる業態の融合が活発に繰り広げられている。
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従来(20世紀)は産業の垣根があり、その範囲の中での競争でしたが、現在は、単に「土地に継続的に定着する構築物を作り出す」という従来の建設業の在り方では付加価値を生み出すことが難しくなっており、新たな価値創出の方法や枠組みが求められています。
たとえば、ある大手ゼネコンは不動産投資顧問業や地震・環境汚染のリスク管理事業といった手数料ビジネスに新たな事業展開を試みています。
また、通信工事業者がこれまでに蓄積したノウハウを広く活用するために土木分野に事業を展開し始めています。

さらに、ある中堅ゼネコンは外部から経営資源を調達し、通信工事という専門業者が存在する市場セグメントに参入し、成功を収めている。建屋だけではなく、付随して必要となる検査機器や教育など、建造物の構築以外の業務活動をもまとめて顧客に提供することによって、付加価値を高めています。

つまり、建設業だけでは価値が出せないので、不動産投資顧問業、手数料ビジネス、通信工事、教育等の事業の前後左右の事業分野にまたがってきます。それは、建設業だけでなく、あらゆる業種業態に及んでいるのです。

私のご支援している複数業種の会社も同様です。
それでは、“業際”により、住宅業界に参入した場合の“コンセプト・メイキング”についての事例を上げます。
やはり、一番活用できる方法は、第37夜でご紹介した「バリュープロポジションからのコンセプト化」です。

・異業種からの参入であること
・故に、ハウスメーカーと同様のコンセプトでは通用しないこと
・「新築一戸建て」の場合は、決定者が夫と妻の最低二人がいること

上記の状況で、夫婦双方に添付写真の「察しない男と説明しない女」がコンセプトメイキングにはとても参考になります。その一部を抜粋します。

右脳と左脳をつなぐ脳梁が太い女性は、物事を感情と一緒に記憶しやすく、過去のことも今この瞬間に起こったかのように臨場感を持って思い出せます。
いっぽう、男性は脳梁が細いため、過去の出来事は「すでに終わったこと」として処理をすることが多いそうです。
回路が違うのですね。

担当の方達からお聴きしても、「新築一戸建て」の購入を検討、決定する際に、奥さんと旦那は観ているところがかなり違うと言っています。

・男は世界から認められたい
・女は世間から認められたい

・男は違いがわからない
・女は違いなんかどうでもいい

・男はヤンキー好き
・女はファンシー好き

・・・・
わかる、わかる。笑

コンセプトは、 “二つでありながら一つ”ですから、夫婦が一つで共感、納得できれば効果が倍増します。
上記を編集しながら、バリュープロポジションと誰に(WHO)、何を(WHAT)、どの様に(HOW)を明確にしながら、コンセプトを浮き彫りにしてゆきます。
「誰に」を“夫婦でありながら一つ”にして、価値創造ダイアグラムのコンセプトにまとめるコトがアドバンテージになります。
是非、皆様挑戦されて下さい。

そのような新結合ダイアグラムのスキルを身につけられてから、既存のハウスメーカーの「コンセプト」をチェックするとその会社が何を大事にされて「価値発信」しているのかが透けて見えてきます。
次に、大手企業群はずっと同じ業界の中で競争して練れているので、そのコンセプトは「似たり寄ったりで面白みに欠ける」というのが素直な感想です。

なので、違う業界の多くのコンセプトを見聞きすることにより、対象の業界に新しい視点で「インパクトと話題」を持ち込むことが可能です。

その際に重要なことは、作成した新しい価値観を持ったコンセプトが「先端的な顧客」や「関心のない顧客」にどのように響くのかを自ら“Face to Face”で感じ、掴み取ることです。そこで新しい風景が見えてくることが多いのです。

そのヒアリングからの新風景がワクワクドキドキの瞬間であり、その後の出来不出来にも大きな影響を及ぼします。

そして、その核心、確信のあとは、勇気を持って絶妙なタイミングで「伝え方革新」をするのみです。

第41夜 価値創造から経営革新へ

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