橋本元司の「価値創造の知・第142夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑪「競争」から「共創」へ

2018年4月30日「一途に競争」から「多様に共創」へ

 

20世紀後半:一途に「競争」する。
21世紀前半:多様に「共創」する。

 21世紀の社会は、20世紀の其れとは大いに異なります。
そこでは、
・「いったい、何を大切にするのか」
・「何が魅力/価値となるのか」
・その際の、「ルール・ツール・ロール」(第80夜、第54夜)
を「21世紀の本質」をイメージして共通認識することが重要です。
そして、それを後述するように、「フィードフォワード」展開すること。
(フィードバックは「ダメ出し」の過去思考。フィードフォワードは、「変えられる」未来思考。)

それらを通して、何を目的に、何を目標にするのか、という道筋を考えましょう。
「すでに起こった未来」(第126夜)として、現在の中に散りばめられて点滅しています。
その本質を洞察することは難しくありません。

その中の一つのキーコンセプトが、首記の

・多様に「共創」する

となります。

さて、「副業」を認める会社が10%を超えました。
「終身雇用」という慣習がもたない実例がいっぱいでてきています。
また、年金問題で未来が抉られていることも影響を及ぼします。
更に、「AI・Iot」の進展が「働き方」の本質を大きく変えていくのが必然です。

「副業」について、
・新入社員向けに、「副業」メニューを提示して先進的な会社をアピール。
・中堅に、社外のイノベーション獲得や人脈づくりを推奨する
・50歳以上の社員に、第2の人生プランを検討してもらう
・政府は、年金問題で未来が抉られているので一億総活躍をうたう
等々、様々な対応があり、副業の率は速い時期に50%を超えるでしょう。
それは、「学校教育」と無縁と考えますか?
それをネガティブorポジティブに把えるかで見方は変わってきますね。

それは、“終身雇用”の「一途に競争する」から“自立・自律”「多様に共創する」時代の転換期です。

・「魅力/価値」があると人(対価)が集まる。
・従来のやり方・考え方を超えた「イノベーション(価値創造)」が求められる。
・その価値創造の中心は、①「引くこと=深い知:禅的思考」、②「将来を見通すこと=高い知:温故知新」、③「連結すること=広い知:主客一体」にある。
・それを実践できる「内部人財」の開発・育成と「外部人材」の積極的活用が肝要。
・上記を実現するための本気の「ビジョン/ビジョン」「組織体制」「仕組み」の一気通貫を覚悟・実践する。
という現状突破の認識と実行が求められます。

上記のコトに自分が気づいたのが、30年前のことです。
それで、前職(パイオニア社)の年一回開催の技術発表会のコンセプトを「新価値創造」にしてプロデュースしました。
20年前には、③「連結すること=広い知:主客一体」を異業種コラボレーションによりヒット商品をプロデュースしました。
15年前には、②「将来を見通すこと=高い知:温故知新」に挑戦して見える化につなげ実践、多くの業種・業態をご支援してきました。

“教育”をクルマの運転に例えると、バックミラー的に「フィードバック」するものではなく、将来を洞察して「フィードフォワード」するのが本来の在り方です。
国際比較の「イノベーション能力」が20位台後半に低迷しているのは、“日本教育”の遅れにあると思っています。
2000年に、ビジネスの現場に顕在化(=すでに起こった未来)したことを“学校教育”にフィードフォワードしていれば、今の「日本のイノベーション能力」は変わっていました。

さてさて、

「美徳(横軸)」と「創造(縦軸)」

が“教育の課題”のキー2軸(シナリオロジック)です。
それは、図解の様に、
・横軸:「マーケティング能力:美徳/共感」
・縦軸;「イノベーティング能力:創造/革新」
に繋がってきます。それらが全く不足していますね。

それを数式にすると、「価値創造の方程式」(第53夜)に繋がります。

バリューE(幸せ・愛のエネルギー)=M(ミッション)×C(Combination:情報編集力)×C(Communication:情報受発信力)

価値創造のエネルギーを大きくするには、「顧客・会社・地域・社会の幸せ(E)」をベースに
「ミッション(何に命を使うのか)×イノベーティング×マーケティング」で成立します。
縦軸:最初のC(Combination:情報編集力)は、『新結合』のことであり、「イノベーティング」そのもの。その本質が「創造/革新」です。
横軸:後方のC(Communication:情報受発信力)は、広義の「マーケティング」のことであり、その本質が「美徳/共感」です。

時代は、“心の豊かさ”の時代に転換しています。

是非、“学校教育”の中に、
・バリューE(幸せ・愛のエネルギー):自分、社会の「魅力/価値」とは何か?
・M(ミッション):自分、社会の「志/使命」とは何か?
・C(Combination:情報編集力):自分の「広い知・新結合」
・C(Communication:情報受発信力):自分の「伝える力・伝わる力」

そして、それらを「一途の競争」から「多様の共創」に転換すること。

それが、学校教育の「2020プロジェクト実践」としてフィードフォワード展開できることで、子供たちが、会社が、地域が、日本が隆々となる将来にリーチできることを望みます。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
将来社会

 

橋本元司の「価値創造の知・第141夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ➉NEXT「道徳教科」の本質を図解

2018年4月26日 2軸:「美徳/共感」&「創造/革新」

前夜(第140夜)は、21世紀に望まれる“道徳教科”を踏まえ、超えた“共感・創造”教科について記しました。
本夜は、第139~140夜に綴った内容をもう少し明らかにして図解します。
ここでは、二つの重要な軸(「美徳/共感」と「創造/革新」)を提示して、それらを個別に対応するのではなくて、
「二つでありながら一つ」(第33夜:禅の修行で一番大切なコト)として右上の象限を実践に移すことが望まれます。

さて、横軸の「美徳/共感」は「心の問題(=心性)」です。この認識が重要です。
“いじめ”がクローズアップされていますが、真因の一つが、「心がネガティブに内側に向いている(=内向き)」ことにあります。
そこには、“競争”“格差”“仲間外れ”“貧困”等の社会問題の縮図が絡んでいます。
一人ひとりの「心」を、「内側に向かった負のエネルギー」を外に向かせることが肝要です。

その切り口に必要な一つが、“美意識”です。
(実は、美意識だけでは足りなくて、後述する「自立・自律のための創造性」がセットで必要です)
・「いじめているコト」が格好悪い
・「いじめているコト」がみっともない
という「意識=ココロ」です。

例えば、社会生活の中で、電車ライフを上げると、
・電車の順番待ちで割り込んでくる。
・電車の中で化粧をする
・電車の中で痴漢をする

人が嫌がることを「格好悪い」「みっともない」と強く思う“ココロ”です。
自分中心(ジコチュウ)ではなく、“公(おおやけ)”“他分”からの視点です。
そこから、「大切にしたい心のあり方」「大切に想う心の在り方」を共有するコトです。
幸せなことに、この日本国民には、“公意識”がまだ息づいていますね。

“徳”とは?
-------------
・身についた品性。社会的に価値のある性質。善や正義にしたがう人格的能力。
・広く他に影響を及ぼす望ましい態度。のり。おしえる。めぐむ。
-------------

“道徳”とは?
--------------
・社会生活を営む上で、ひとりひとりが守るべき行為の規準(の総体)。
・自分の良心によって、善を行い悪を行わないこと
ーーーーーーーーーーーーーー

そのような意味では、“道徳”よりも“美徳”という言葉が相応しいと思いました。
“美徳”とは?
--------------
・ほめるべき、うるわしい徳。人として望ましいりっぱな心のあり方や行い。
・ 美しい徳行。道徳の基準にあった性質や行為。
--------------

その様な“美徳”“徳行”“美意識”というものが、
・将来の世界に
・将来の日本に
・将来の社会に
・将来の地域に
・将来の家族に
・将来の学校に
・将来の友人関係に
・将来の自分に
備わっていた方が「いいのか?」{必要ないのか?」
ということを大きいところ(マクロ)から考え、気づいてもらうことが望ましいと思いませんか?

それが、前夜から力説する“魅力”です。
・魅力ある日本
・魅力ある社会
・魅力ある地域
・魅力ある学校
・魅力ある友人
・魅力ある自分
という視点・視座から把えて貰えると「道徳/美徳」の目的実現には、入門しやすい、とっつきやすいのではないでしょうか?

それらの「美徳/魅力」について、“アンパンマン”は子どもたちに色々なシーンを用意して教えてくれましたね。
大きな役割を果たしていただきました。

さて二つ目は、縦軸の創造性です。

横軸の“美徳”は、「心性」「共感性」を扱っていますが、
縦軸の“創造性”は、「知性/体性/匠性」「革新性」を扱っています。

20世紀は、決められたルールに従うことが求められました。
それが、列強に「追いつき追い越せ」の工業の時代(第56夜、第140夜)の“レール・ルール・ルート”でした。
自分の小学校、中学校は、朝礼で「前へならえ! なおれ」と何回も訓練させられました。

それまでのやり方、考え方の“ルール、ルート”に適応する、習得するにはそれなりの意味がありました、
“守破離”(第5夜、第88夜)で云えば、“守”のステージです、
1990年代から、レールのある「鉄道の時代」から、レールのない「航海の時代」という“破離”のステージに移っています。
詳細は、第30夜「経営革新のすすめ」に記していますので、ご関心のある方はご覧ください。

20世紀のやり方・考え方の“レール・ルール、ルート”が錆びついています。
これまでの依存体質から抜け出て、「創造・革新」が強く求められているのです。
・ルート変更
・ルール変更
・レールのある「鉄道の時代」から、レールのない「航海の時代」

それらは、「依存」体質から「自立・自律」体質への転換です。
AI・IoTがそれを後押ししています。

そこに求められている能力/才能が、殻を破る、常識を超える3つの力である
・想像力
・創造力
・構想力
ということを第122夜、第127夜に綴ってきました。

上記の3つの力(想像・創造・構想)が革新となり、将来の「魅力」「価値」を生み出す「知性」です。
そこに、「匠の技」という「体性」が交差/交流します。

それが「幼な心」から醸成されると、
・羽生結弦
・大谷翔平
・藤井聡太
につながります。
従来は、出る杭は打たれたのです。

彼らには、「美徳/共感」と「創造/革新」が両立していると思いませんか?

その二つは両方とも、「自分ゴト」です。
①美徳/共感(心性): 将来の『魅力』をつくるために、心を磨く。自己を確立する。
②創造/革新(知性/体性): 将来の『魅力』をつくるために、殻を破る。常識を逸脱する。

将来の自分を「自分ゴト」として把えて、「美徳/共感」&「創造/革新」に向かう授業です。
21世紀は、今までなかった「AIoT」が出現しています。
20世紀の成功体験は、そのままでは通用しません。

「将来を生き抜く、受け継ぐ若者たち」にどのような環境が必要なのか、その本質を真剣に洞察しましょう。
これまでの延長線上に、未来はありません。それは、会社も地域も同じです。

自分も常識の殻を破る「異業種コラボ・ヒット商品プロジェクト」を提案・実践した時には大いに叩かれました。
何か新しいことをすると、衰退している既存の勢力から妬まれる、恨まれることが多いのです。それはやむをえないことです。
ただし、成功すると潮目が変わります。
メディアでもそのような光景がよく放送されますね。
なにせ変革時を生きているのですから。
時代の波に飲み込まれずに、乗り超えましょう。

まとめです。

・“いじめ”等対策で「マイナス」を潰すよりも、「将来」からの発想/構想で、「プラス」に転換して包みこむ。
・キーワードは「自分ゴト」になれるかどうか。
・そして、彼らの幸せづくり(成長・成功)に役立つかというコト
・その為に、「将来の魅力」という視点から、早くから気づき、主体性が芽生えるコト
・「美徳/共感」&「創造/革新」が相乗効果を生むコト、そしてその仕組みが肝要
・「美徳/共感」&「創造/革新」の授業が他の教科との間で好循環が生まれるコト
・「美徳/共感」&「創造/革新」の達人をいっぱい輩出しましょう。
・隆々とした人財/会社/地域/日本を創りましょう。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
美徳創造教科
違いと共感00.jpg

橋本元司の「価値創造の知・第140夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑨「道徳」教科から「共感創造」教科へ

2018年4月25日 「A:修養」⇒「B:教養」⇒「C:修教養」

前夜(第139夜)は、“道徳”が“価値”とコインの裏表であること、そして、その切り口として、“いじめ”ではなくて、“魅力”が得策であるということを綴りました。

いま、日本の教育の大きな課題は何でしょうか?
それは、
①相手をいつくしむ心、おもてなしの心
②自己を磨き高める力、創造力
がかなり不足していることではないでしょうか?

①の問題が、「いじめ」であり、
②の問題が、「創造性・イノベーション」の欠如につながります。

それに対応できない理由は何なのでしょうか?
「教育」というものを歴史から紐解いてみることが必要です。
それは、第27夜(志:修養と教養)に記しました。
----------
過去の江戸時代に大事にされていたのは、『修養』(徳性をみがき、人格を高めること)です。
その中心は、肚(丹田)にあり、肚の文化でした。茶道も柔道も相撲もそうですね。弁証法で把えると、その修養が『正』です。
明治維新で、列強を追いつき追い越せという切実な状況があり、その中心が頭のほうに上がってきて『教養』重視になったのが明治です。その教養が『反』です。
それが今でも続いて、「歪(ひずみ)」を生み出しています。
さて、21世紀の「知」はどのようになるのでしょうか。
弁証法でとらえれば、それは、「修養(正)」と「教養(反)」が結合した『修教(合)』の時代ではないでしょうか。
・・・
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「A:修養」⇒「B:教養」⇒「C:修教養」

という進化形です。
ここの「B:教養」で、二つの問題が切実なものになりました。

それは、「A:修養(徳性をみがき、人格を高めること)」が時代の変化とともに、廃れてしまったのです。
そのために、「道徳教科化」というものが浮上してきました。

そして、「B:教養」の問題も顕在化しました。
相変わらず、「答えがわかっているものを速く答える」という教育です。
いま、求められているのは、「答えのわからないものを導き出す力=創造性」です。
そのための方策ができていません。

それは、第135夜(=幼な心にもとづいた逸脱)に綴りました。
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さて再び、「将来の魅力/価値」です。
・『日本、会社、地域、自分』の魅力はいったい何なのか?
・ 自分/社会の「魅力」をどのように創っていくのか?
・ 自分/社会の『将来』をどう考えているのか?
・ 自分/社会の『価値』は何なのか?
・ いったい何を伝えたいのか?何が伝えられるのか?

それらは、
・「魅力とはいったい何か?」を考える
・「価値をつくるコト」を考える
・「大切なコト、将来の可能性」を考える
という様に、「魅力」や「価値」という主観性(第102夜)と、自分ゴトとしての『主体性』を伸ばすことにあります。(第131~134夜)

そのために必要なのが、「幼な心にもとづいた逸脱」です。
・・・
----------

この「幼な心にもとづいた逸脱」というのが重要です。
小さい時から、目を輝かせて逸脱することが必要で、北欧の教育はそれに基づいています。
では、日本の教育は「北欧の真似」でいいのでしょうか?

それについては、第138夜(イノベーションの御三家)に綴りました。
-------------
右肩下がりや停滞している状況から抜け出るには、『イノベーション(革新)』が必要という認識は一致しています。
・・・
それは、従来の価値観から、新しい幸せの価値観/魅力に移行することです。
・・・
さて、その「イノベーションの御三家」ですが、それは日本人ならよく知っています。
それは、
①禅思考
②守破離
③間(ま)
という「日本流」です。
・・・
-----------

「日本の方法が、創造性の大元(おおもと)」にあります。
それを、事業開発/ヒット商品/地域創生で実践してきました。

さて、整理します。
「A:修養」⇒「B:教養」⇒「C:修教養」

「C:修教養」をどうするか?
ということです。

足りない修養(=徳)、足りない教養(=創造性)を合わせた「C:修教」をつくる。
ここに、「日本の方法(禅・守破離・間)」を組込みます。

それは、上記の「魅力」から入り、気づいてもらうことから始まります。
それが、二大問題の「いじめ」&「創造性」の特効薬になります。

さてさて、次夜(第141夜)は理解をすすめていただくために「2軸」で図解します。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
共感創造

橋本元司の「価値創造の知・第139夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑧道徳教科化と新価値創造研究所

2018年4月24日 “道徳教科”成功の核心は、「魅力」&「創造力」革新にある

昨日(4/23)、クロースアップ現代+で「“道徳”が正式な教科に密着・先生は?子どもは?」が放映されました。
そこには、新価値創造研究所のミッションである『価値』という言葉が何回か出てきました。
そう、“道徳”と“価値”はコインの裏表なのです。

“道徳”とは?
--------------
・社会生活を営む上で、ひとりひとりが守るべき行為の規準(の総体)。
・自分の良心によって、善を行い悪を行わないこと

社会の成員によって承認され,かつ実現される倫理的諸価値ないし規範の総体。
その原理は,主観的内面的規制原理として,主体のうちに現れる自然的本能,自保全の欲求,名誉欲,権力欲,所有欲などの利己的,本能的欲求と正義,真理,愛,誠実,信頼,平等,国益などの普遍的ないし社会的諸価値の対立あるいは現実と理想の相克を調整し,社会的成員にふさわしい行為を選択するようにしむける。
さらに道徳は内面に深く関わるものとして実存の重要な構成契機となり,個人の世界観に重大な影響を及ぼす。
--------------

通常の教科が「客観的」であり、「合理性」を扱うのに対して、“道徳”のポイントは、「主観的」であり、「主体性」を扱うことです。
この「価値創造の知」連載の第102夜に、「価格(客観的)と価値(主観的)の違い」を綴りました。同じ構図です。
『価値』とは、その人にとって、どれくらい大切か、役立つか、というものです。
「主観的・精神的」なので評価することが不向きです。“愛”を評価できないのと同じです。

・「価値」とは何か?
・「価値観」の本質
というものを「深く・高く・広く」理解していくことが望まれます。
この“道徳”を教科にすることは、新価値創造研究所として他人事ではありません。

“道徳”とは、「主観的」「主体性」「価値感」を対象にすることを認識しておくことが重要ということがおわかりいただけたでしょうか?

そのような視点で「クロ現代+」を観ると、そこで見え隠れする道徳教科化の目的と大局観に少し違和感がありました。
「こうしたら、いいのに」
という想いが浮かんできたのでそれを勝手に綴ります。

道徳の授業では、教えなければならない「価値」が定められています。「家族愛」「親切・思いやり」「礼儀」「国や郷土を愛する態度」など、その数は22に上ります。
図にそれをアップします。

そもそもなぜ、道徳は教科化されたのでしょうか?
------------
森並慶三郎記者(社会部):道徳の教科化というのは、戦前に道徳的価値を教えていた「修身」という教科が軍国主義的教育の中心となっていたという反省から、戦後一貫して見送られていたんですね。
しかし、全国でいじめによる自殺が相次いだことなどから、国は子どもたちの規範意識を高める必要があるという理由で、方針を転換して、教科化することを決めたんです。
ーーーーーーーーーーーー

“いじめ”をきっかけにして、“子どもたちの規範意識を高める必要がある”という切り口は切実性があると思いますが、もっと違う切り口のほうが得策です。

それは、
・大目的は、「輝かしい将来の自分/社会/日本/地球をつくるため」に置いてみてください。
・「変化が激しい時代をどうやって乗り切っていけばいいのか?」という問題意識。
・ポイントは、「共感性」と「自立(自己の確立)」の両立です。
(ここに、「主観的」と「主体性」がつながってきます)
・“切り口”の中心は、「魅力」&「創造力」です。

少し説明します。
必要なのは、「輝かしい将来(自分/社会/日本/地球)」から考えることです。
あるいは、狭くなりますが、「インバウンド外国人」の目からです。

⇒ 魅力的な日本は?
⇒ 魅力的な社会は?
⇒ 魅力的な自分は?

当事者意識として、魅力的な将来を考えると、“いじめ”はつまらないものに見えてきます。
是非、皆さんも考えて下さい。

「魅力」を考えると横軸の「共感性:いたわり・慈しみ・やさしさ」と、縦軸の「主体性・創造性:価値づくり、イノベーション」が見えてきます。
それを気付いてもらうことがポイントです。
日本政府が実現したい2軸そのものです。
それは、将来に向けた私たちの一番の課題であります。

助け合うという気持ちの元は、人を慈しみ、いたわる、やさしさという感情です。
その根っこの感情が自己の中でしっかり根付くこと。
それをここでは「共感性」と置いておきます。横軸です。

もう一つ重要なのが、「主体性(自己の確立)」です。
共感性(横軸)は、「人にやさしく」なのですが、主体性(縦軸)という、他に依存するのではなく、自分に厳しく社会/日本/地球を良くしていこう、切り拓いていこうという自立・自律の精神です。
それが、一人ひとりが元々持っている「創造性」の掘起しであり、それを花開かせる「創造性」です。
それが将来の「魅力的な自分」を考え、育むきっかけになります。

そのこと(「創造性」)は、この「価値創造の知」で多くを綴ってきました。

「魅力」(横軸)から入り、考えて、「(想像力)・創造力」を伸ばしていく。
それが基盤にあると、通常の教科がまるで違って見えてくることでしょう。

上記の
・「共感性」(横軸)と「主観性」(縦軸)
・「魅力」と「創造力」
の双方を「二つでありながら一つ」(価値創造の知・第33夜)で教科にすることが一石二鳥です。

その意味で、縦軸(主体性・創造性)を組込み、構想することが重要です。
それを手にした時に、「学校」のあり方、「入試」のあり方が変わります。

それを第131~139夜に綴ってきました。
まるで、それを待っていたかのように「道徳教科化」が出てきました。そこには、大きな不足があります。
「本来と将来」から取組みましょう。
今の「道徳教科」を革新しましょう。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
道徳教科

橋本元司の「価値創造の知・第138夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑦イノベーションの御三家

2018年4月20日 「サナギ(会社/地域)」から「蝶」への脱皮

右肩下がりや停滞している状況から抜け出るには、『イノベーション(革新)』が必要という認識は一致しています。
私には、動きが止まっている「サナギ(会社/地域)」から「蝶」として羽ばたくイメージがあります。
それは、従来の価値観から、新しい幸せの価値観/魅力に移行することです。

「蝶」に脱皮するために、「イノベーションの御三家」があります。
皆さん、その「御三家」をご存知でしょうか?
「経営革新」や「イノベーション」の本はいっぱいありますが、その御三家のことは、その中にあまり出てきません。

いったい、何故でしょうか?
それは、それらの本やテキストが「欧米流」のものだからです。
前職(パイオニア社)の

・技術職
・企画職
・調査職、マーケティング職
・研究開発職
・事業開発職、人財開発職
に次々と従事していたので、様々な研修やコンサルタントから、欧米流の方法を学びました。

その延長線で、「シナリオプランニング(第15夜)」の第一人者(J・オグリビー氏)から直伝して貰ったり、
スタンフォード研究所(Stanford Research Institute)関係のSRIインターナショナル(世界最大の独立系研究機関)の方法を何年か浴びてきました。
そして、それらをアカデミーではなく、実務で実践活用してきました。失敗も成功も多く経験しました。

なので、「欧米流」の方法や進化過程も、通常の方達より高いレベルで知っているつもりです。
ただ、私のこれまでの体験では、それを「将棋」に例えると、「欧米流」だけでは、スーパー跳び道具の「飛車・角」の一枚落ちと同じです。
その一部を第15夜(「不確かな時代」を読み解く方法)に綴りました。上手くいかないのです。
(そのため、通常のコンサルティング会社は、いきなり「欧米流」をやりますが、私たちは後述の「イノベーションの御三家」を先に行います)

さて、その「イノベーションの御三家」ですが、それは日本人ならよく知っています。
それは、
①禅思考
②守破離
③間(ま)
という「日本流」です。

さて、ここで少し回り道をします。
それは、日本の教育の現状(第135夜:21世紀型「学校の革新」提言)を知っていただくためです。
------------
私の母校(W大理工)の敬愛する先輩のひとりに、日本の大手総合建設会社の方がいます。

イギリスに駐在となり、赴任先の現地英国人から問われることが気になりました。
それは、いつも「ゴルフ」のことばかりを話題にするからです。

ついに彼は、現地人に聴きました。
「どうして、いつもゴルフの話しばかりするの?」と。

現地英国人からの答えは、
本当は、いろいろ日本のことについて聴きたいことがあるのです。
例えば、
・出雲大社や横綱の「しめ縄・しめ飾り」について
・大相撲の土俵を4色の房について
・桂離宮の間(ま)
・枯山水(禅思考)
・・・等について聴きたいことがたくさんあったのです。
でも、日本の駐在員の皆さんは誰も答えてくれません。
皆さん頭がいいはずなのに、日本人駐在の会話が盛り上がるのが「ゴルフ」しかないなので、ゴルフの会話になってしまうのです。

ということでした。
彼はびっくりされて、「これは拙い。何とかせねば」と。
日本に戻った彼は、松岡正剛師匠主宰の「未詳倶楽部(第26夜)」に入門しました。(そこでお会いしました)
そして、日本・本社の中に、海外に駐在する人達向けの「社内学校」をつくられました。
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上記「イノベーションの御三家」は、「価値創造の知」(第89夜:「本質的な違い」を生み出す3つの抽象化能力)の中心です。

①禅思考 : 深い知(第85夜)
②守破離 : 高い知(第88夜)
③間(ま): 広い知(第17夜)

この御三家が、「創造性」の井戸となります。
その3つが「サナギ」から「蝶」に飛翔する心得と方法です。
新価値創造研究所のシンボルの三角形(トリニティイノベーション)です。

なぜならば、上記「シナリオプランニング」や「SRIメソッド」という欧米流と
「イノベーションの御三家」の「日本流」が新結合することで、その二つが飛車角となって、揃い合わさって、
「ヒット商品」、「経営羅針盤づくり」、「新事業開発・地域創生」という実績に繋がりました。
それは、第33夜で綴った「二つでありながら一つ」という『禅(ZEN)』の修行で一番大切なコトです。
研修やセミナーで、それらを事例をふまえてお伝えしています。

さてさて、インバウンドの方達が増え、海外に駐在する方達が増えて、
伝えるべき文化、哲学、思考、物語のど真ん中に「日本流」のコンテンツ・文脈が役立ちます。
なによりも、「創造性」の一丁目一番地なのです。

21世紀、「創造性」は20世紀の「読み書きそろばん」と同じくらい重要なのです。
「二つでありながら一つ」です。
学校は、そのような教育を行うべきと考えています。
だって、日本人のDNAにあるのに話せない、使えないというのは、あまりにもお粗末なのではないでしょうか。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
イノベーションの御三家

トリニティイマップLAST

橋本元司の「価値創造の知・第137夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑥自分と他分「コペルニクスの地動説」

2018年4月18日 の眼前の現実欠けたモデル」だと思うこと

写真は、ベストセラーの「君たちはどう生きるか」です。次女が持っていました。
冒頭は、ものの見方をテーマに「コペルニクスの地動説」から始まります。
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君は、コペルニクスの地動説を知っているね。コペルニクスがそれを唱えるまで、昔の人はみんな、太陽や星が地球のまわりをまわっていると、目でみたままに信じていた。
これは、一つは、キリスト教の教会の教えで、地球が宇宙の中心だと信じていたせいでもある。しかしもう一歩突きいって考えると、
「人間というものが、いつでも自分を中心として、ものを見たり考えたりするという性質を持っている」ためなんだ。
・・・
しかし、君も知っているように、この説が唱えはじめられた当時は、どうして、どうしてたいへんな騒ぎだった・・・
今日のように、小学生さえ知っているほど、一般にこの学説が信奉されるまでには、何百年という年月がかかったんだ。
・・・
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「いつでも自分を中心として、ものを見たり考えたりするという性質」として思い出されるのは、
前職(パイオニア社)に勤めていたときに、ある白物家電の企画マンと話したことです。

「パイオニアさんが、居間にセパレートオーディオを置いているように、居間に洗濯機をおきたいのです」と。
まるで、洗濯機が宇宙の中心だと信じているようでした。その気持ち、よく判ります。その熱意の目が忘れられません。

そう、私たちは目の前にあるものを「天動説」としてとらえやすいのです。
しかし、会社/地域の魅力がなくなったステージでは、「天動説」から「地動説への視線・視座の転換」が必要なのです。

それは、今の眼前の現実が「欠けたモデル」「途中/中途のモデル」だと思うことです。
その事例を、第133夜の「文具店」の本来と将来、そして、第134夜の自動車業界(境界・業界の越境)で綴りました。

その転換がなかなかそれが難しいのですね。それを壁を乗り越えるために役立つコツを記します。
①量が質を生む(第136夜)
②自分と他分
③価値創造の方程式(第53夜)

1.量が質を生む(第136夜)
これは、前夜に綴りました。
誰かが、チームが自分の業界/地域の狭い領域から、坂本龍馬のように外遊することです。それが、天動説から地動説の始まりになります。
多くのヒトが会社/地域の狭い領域に縛り付けられて、外遊がなかなかできないことが問題です。
そのために、会社/行政に入る前に、広い領域で一流/本物を体験することが求められますね。そうすると、「横ぐしの知」が備わり、「地動説」に近づきます。
しかし、自分が経験した第136夜のような「場」「環境」がないのですね。

また、そのような人財が必要なのに、それを受け入れる「職場」「上司」が狭い(ナロー)器量なのが問題です。
それは、行政をみてもわかる様に、「縦割り(サイロ)」から抜け出れないからです。「縦割り」から「横割り」にするのがトップの仕事です。
大企業の場合は、「横割り」のトップは副社長であり、大局観が求められます。その人が社長になる道筋が望ましいですね。ここを何とかしなければなりません。
ベンチャー企業の場合は、トップが兼ねます。なので、迅速に革新が進みます。

2.自分と他分
宇宙が地球を中心に回っていないように、世の中が自分を中心に回っているわけじゃないコト。
「自分」があるならば、「他分」があります。「他分」を豊かにすること。
「自分」の中に、「他分」の要素をたくさん取り入れることで、新しい「質/価値」を生み出すことに繋がります。
「他分」の視点・視座が、次の一手、次の柱の地動説につながります。
隆々とした将来のために、一流/本物の多くの「他分」を取り入れる教育・研修が必要だと思いませんか?

3.価値創造の方程式(第53夜)
E = mc2とは、エネルギー E = 質量 m × 光速度 c の2乗
の物理学的関係式を指し、「質量とエネルギーの等価性」とその定量的関係をアインシュタインが発表しました。

それに倣うと、「価値創造の方程式」ができます。それは、
バリューE(幸せ・愛のエネルギー)=M(ミッション)×C(Combination:情報編集力)×C(Communication:情報受発信力)

価値創造のエネルギーを大きくするには、「顧客・会社・地域・社会の幸せ(E)」をベースに
「ミッション(何に命を使うのか)×イノベーティング×マーケティング」で成立します。
最初のC(Combination:情報編集力)は、『新結合』のことであり、「イノベーティング」そのものです。
後方のC(Communication:情報受発信力)は、広義の「マーケティング」のことです。

上記①②は、「自分/他分」のバリューE(幸せ・愛のエネルギー)とミッションを直感することであり、「Combination:情報編集力」の元を吸収するステージです。
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世の中を回している中心なんて、もしかしたらないのかもしれない。
太陽みたいにたった一つの大きな存在が世の中を回しているのではなくて、
誰かのためにっていう「小さな意志」がひとつひとつつながって
僕たちの生きる世界は動いている・・・
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少しでも皆様のお役に立てれば幸甚です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
コペルニクスの地動説

橋本元司の「価値創造の知・第136夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑤量が質を生む

2018年4月17日 盗めよ、さらば与えられん。

前夜(第135夜)は、将来の「魅力/価値」を創るためには、いまの「学校の在り方」を革新しなければ手遅れになる、という主旨の提言をしました。

本夜お伝えしたいことを要約すると、
「魅力/価値」を創るためは、
①「量が質を生む」コト
② それは「一流/本物」を体験するコト
③ その「心得と方法」を習得するコト
がたいへん有効というより、必要ということです。
それを体験させて貰い、受け取り、実践してきた実感です。

それでは、
①「量が質を生む」コト、とはどういうことでしょうか。

あらゆる分野に、感動や革新があります。
それらをたくさん見る(観察・体験)ことです。

そうすると、第127夜:インストラクション(相互理解)に綴った
a.『大きな絵』(すなわちインストラクションを与えられるコンテクスト)で説明できる
b.『ある分野の知識をほかの分野に応用できる』ように、パターンを見つけることができる
c.『ひとつのアイデアをいろいろに表現する』こと、つまり3次元的な像を示すことができる
ようになります。

それは、次の一手を繰り出す『大局観』に繋がります。
それは、先を見通す『構想』の元になります。

次に、② それは「一流/本物」を体験するコト
上記①に関係することですが、その「量」も「「一流/本物」を体験することです。
そのことで、③ その「心得と方法」を自然に習得するコトができます。

1.一つ目が、20年に亘る『格別・別格の一流人』との出会い
それが、松岡正剛師匠主宰の「未詳倶楽部」(詳細は、第26夜・第119夜)です。

松岡正剛師匠は、「知の超人」です。

一年に2回ほど開催される「秘密倶楽部」に20年前に入門しました。「未詳」とは、まだ詳しからず、まだつまびらかでないのです。
意味のある「場」に、格別・別格の一流人が来られ「日本という方法」を一泊二日で体験します。そのゲストと共に夜のプログラムは進み、夜中を越えて宴は続きます。

そこでは、主人と客は分離されていなくて、毎回「主客一体」「一期一会」となり演じていきます。
「能、大鼓、三味線、謳い、俳句、料理、書、歌、茶道、茶碗(第5夜)・・・・」
それは、「日本という方法」を身をもって体感できる「至福と冷や汗」の入り混じった極上の「場」と「時間」となりました。
それが、20年続きました。日本の一流の系譜を心身で受け取りました。

そのエッセンスが写真の『侘び・数寄・余白』-連塾・方法日本-にあります。是非ご覧ください。
また、「ISIS編集学校」(編集工学研究所がインターネット上に開校した、方法の知のための学校)では、自分が学衆となって『編集』の基礎を学びました。
私がこれまで「価値創造の知」で綴ってきた「日本流の知」は、上記「未詳倶楽部」・「ISIS編集学校」・『侘び・数寄・余白』をビジネス用に編集したものが土台になっています。

2.二つ目が、マーケティングで素晴らしい成果を上げている100社の企業訪問
それが、永田仁先輩主宰の「企業訪問フォーラム(詳細は第23夜)」(日本マーケティング協会主催)です。
マーケティングで素晴らしい成果を上げている様々な企業を訪問して、、
①現場で学ぶ、②実例に学ぶ、③相互に学ぶ、というように、直接企業風土に触れながら、事例研究をして、意見交換もできる研究会でした。
それは、1993年~2010年まで18年間続き、その殆どの100社をその先輩を通して訪問させて貰いました。
その100社は、全て業種・業態が異なります。
そのことで、どのような会社/地域から、ご支援依頼がきても動じない土台ができたように思います。

通常では体験できない、この一流の100社を直接見ることで、技術者出身の自分が一気に「マーケティング」の深さ・高さ・広さを知覚することができるようになりました。
それが、後の「ヒット商品開発プロジェクト(詳細は第13夜)」に繋がりました。その方法は、①の「未詳倶楽部」(詳細は、第26夜・第119夜)をフルに活用しました。

3.三つ目が、変革をリードする企業(および起業家)の200社のセミナー
それが、谷口正和師匠師匠主宰の「文化経済研究会(第24夜)」「エコロジー研究会」です。
「文化経済の視点」からマーケットに新しい価値を創造した人、次世代ビジネスを実践されている人などを講師に迎えながら、我々が直面する企業課題をひも解き、
新しい時代に求められるべきストラテジーを指し示していく研究会です。
21世紀を牽引するのは、「文化」です。文化が発生して、その後に経済が起こる。この文化経済の時代の重要な認識は、今までの経済優先の発想を越えられるか、ということです。
過去の大企業主義、シェア至上主義は音を立てて崩れつつあります。
小さくても志を持って立ち上がり、自分たちのミッション、フィロソフィー、ポリシーをあくまでも貫き、従来の提供者論理を切り捨て、真の顧客主義に立った企業だけが存在を許される時代です。
人も企業も個性が連鎖して新たな変化の潮流を引き起こす21世紀。未来社会経済学ともいうべき視点から、変革をリードする企業および起業家からその発想と戦略を学んできました。
一年に6回開催され、変革をリードする企業および起業家の200社(人)からその発想と戦略を学んできました。

「文化が先行して、その後に経済が起こる」

私が「新文化づくり」を先行させる原点はここにあります。
様々の業種・業態の起業家の皆様から、その想い・心得とビジネスモデルを学びました。
同時に、前述の「ヒット商品プロジェクト」の企画の元はここにあり、更に、異業種コラボ展開の企業を谷口正和師匠から直接紹介されたことが成功の加速になりました。
如何でしょうか?
上記、「一流・別格・格別」の『量』をいっぱい浴びてきました。
それらが、「大局観」となり、次の一手、次の柱の「質/次元」を生み出します。

・自分に自信がないときは、歴史にも世の中にもまだまだ「欠けたモデル」があるのだと思えばいい。
・21世紀を牽引するのは、「文化」です。文化が発生して、その後に経済が起こる。
・盗めよ、さらば与えられん。

そう、たくさんの一流・本物を「感動・感激・感謝」しながら、盗んできました。
それらをつないで「新結合」すると未開の地平が見えてきます。
みなさま是非、格別な師匠をもたれてください。
その系譜が、核心⇒確信⇒革新につながります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

量が質を生む

橋本元司の「価値創造の知・第135夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ④幼な心にもとづいた逸脱

2018年4月16日 「新・学問のすすめ」

本夜は、日本の将来のための21世紀型「学校の革新」提言です。

その問題意識の中心は、第131~132夜に亘り綴ってきました。
それは多くの会社や地域において、従来のやり方・考え方の延長線上では、
・経営危機が訪れる
・地域の衰退・崩壊
という「維持できない衰退」への現実があり、転換しなければならないからです。

 そこに必要なのは、会社/地域を自分ゴトとして、
①「将来の価値観」から創りなおす
② そのために、顧客/社会が求める「魅力&価値」を創る
ことにあります。

それが苦手である背景は構造的であることをこれまで何回か綴ってきました。
第112夜、第130夜に詳しいのですが、要約すると、20世紀は、縦割り業界の「技術のイノベーション」が中心の時代で成長しましたが、
21世紀は、それは全体の一部(第130夜)となり「意味/価値のイノベーション」の時代に移行しています。それは、前夜(第134夜)に綴った「自動車業界の将来」の事例からもおわかりいただけると思います。

今(21世紀)は「深い知・高い知・広い知」を通して、業界を越境し、既存の価値観を超える「将来の価値観/魅力」を創り出すことが強く望まれています。

私が過ごした「小学校~大学」の20世紀型教育は、
・「答えの分かっているもの(客観性)」を如何に早く効率的に対応するか。
・それは、「追いつき追い越せ」の1940年体制に基づく護送船団方式型教育(体系)
にありました。
これでは、既存の価値観を超える「将来の価値観/魅力」を創り出すことが困難です。

企業(会社)/地域(行政)のご支援をしている時の当初にいつも感じることがあります。上記教育の影響のせいだと思いますが、なかなか縦割り(サイロ型)の業界から抜け出る発想・構想・覚悟が乏しいところがあります。
そのままで留まっていては、「境界をまたいで領域を広げる」という方針・戦略・行動に届きません。

そのような中で、キラリと光る「人財」がいます。

それは、ご支援するベンチャー企業社長や地方の若手市長であったり、第133夜にご紹介した老舗文具店「伊東屋」の伊藤社長やユニクロの柳井正会長兼社長等です。
その方達に共通するのは、「幼な心にもとづいた逸脱」があることです。

それは、今大活躍している「大谷翔平選手」、「羽生結弦選手」にも見えます。
私の二人の師匠(松岡正剛師匠、谷口正和師匠)はその達人です。御二人から「逸脱の系譜」を受け取ってきました。

さて再び、「将来の魅力/価値」です。
・『日本、会社、地域、自分』の魅力はいったい何なのか?
・ 自分/社会の「魅力」をどのように創っていくのか?
・ 自分/社会の『将来』をどう考えているのか?
・ 自分/社会の『価値』は何なのか?
・ いったい何を伝えたいのか?何が伝えられるのか?

それらは、
・「魅力とはいったい何か?」を考える
・「価値をつくるコト」を考える
・「大切なコト、将来の可能性」を考える
という様に、「魅力」や「価値」という主観性(第102夜)と、自分ゴトとしての『主体性』を伸ばすことにあります。(第131~134夜)

そのために必要なのが、「幼な心にもとづいた逸脱」です。
それを、
・学校教育
・大学入試
・新入社員
・企業研修
に組み入れることが肝要です。

それは、速く正確に答えを出す20世紀の教育ではありません。それは、コンピューターやAIが得意なことです。
「平等を旨とする」今の大学入試のあり方では、それらは『無駄』と見なされそうですね。
小学6年生の時に、「将来の夢」を書かせることでお茶を濁す時代から脱皮しましょう。

「あっ、やはり日本人は違うな、先行しているな」

「偏差値」ではなく、「幼な心にもとづいた逸脱」からの「魅力⇒価値⇒将来」の才能を若い時から磨く「環境」「場」「仕組み」を用意しましょう。
日本には、「魅力・価値・物語」が埋もれているのです。原石でいっぱいです。
それらを「想像力⇒創造力⇒構想力」(第122夜・第127夜)を体系的に磨き上げることで花開かせることが可能です。

「公立」が過去のしがらみでできないのであれば、「私立」が先行しましょう。そのための「私学」です。
「新・学問のすすめ」というイノベーションが必要です。
それは、横割り、横串(第80夜、第133夜)対応の実践の「魅力学」「価値学」「物語学」の「体系知」です。

そんな21世紀型の「学校教育の革新」を実践・実現したいと想っています。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

学校教育の革新

橋本元司の「価値創造の知・第134夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ③境界・業界の越境「自動車業界」

2018年4月14日 無意味な過去のフレームワークは捨てる

前夜(第133夜)は、「文具店の魅力」から、その本来と将来を綴りました。
それでは、自動車業界についてみてみましょう。
私も前職(パイオニア社)の関係で、「10年後の音楽・カーナビ・クルマ・AUI」絡みで、名古屋・和光・宇都宮に出入りしていました。

 さて、ここで自分が尊敬する石倉洋子氏(経営学者 一橋大学名誉教授)がお話しされた内容が参考になると想いますので、その一部を加筆引用します。
それは谷口正和師匠が主宰する「文化経済研究会(2017年)」のゲスト講師としてこられた時のものです。
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スコープ(SCOPE:領域や範囲)が広がると、例えば消滅する業界があれば新しく生まれる業界が出てきます。
自動車も大きく変化しつつある業界の1つです。昔は自動車業界といえば製造業で、パーツが多くありそれを組み立て、ディーラーを通して車を消費者に販売する。

競合はトヨタ、GM、などというように分かりやすかった。
しかし、今やトヨタの最大の競合はGoogleと言われています。それは、求められているのは「車」というハードな製品ではなく、モビリティだからです。

移動の1つの手段が「車」なのです。そうなると都市計画、道路、自動運転など広範囲に考えないと、とんでもないことになります。

「自分たちの業界はこのまま続くだろう」と何となく今までの延長線で考えていると、予想もしていないところから、とんでもない競合が来たときにやられてしまう。

新しい製品やサービスが出てきたときに、「あれは品質が悪い」などと言っている間に顧客を失ってしまうのです。
UberやAirbnbなどのサービスはますます広がっています。以前は「他人の家に泊まるの?」と想像もしなかった、驚くようなことがドンドン広がっています。

Uberは自家用車を持っていても実際は90%以上使っていないのだから、もっと使いたい人に使わせてあげましょうとシェアリングを考えたわけです・・・
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皆さんご存知の通り、自動車業界は変化の時代の真っ只中にあります。

「自動車製造からモビリティ産業へ」

トヨタさん、ホンダさんは、かなり前から、コンセプトを「モビリティ」に変えて事業転換を図っていました。
車の役割が従来の「買って乗るもの」から「移動手段(=モビリティ)」へと変わりつつあることに伴い、各社「クルマづくり」をモビリティサービスの一部として把えています。

そして、 そこに「自動運転」「インダストリー4.0」「電動化」「つながるクルマ」というテクノロジーや生産技術が絡んでいます。その「モビリティ産業」を誰が担うのかということです。

なぜ、従来の境界が消滅したり、全く新しいビジネスモデルの企業が登場するのでしょうか?
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それはテクノロジーによって、瞬時に情報が交換できる、だからそれをプラットフォームで活用できるからです。テクノロジーの進歩がこうした新しい動きの背後にあるのです。

それに加えて、新しいアイデアも盛んに出てきています。最近のAirbnbは部屋だけでなく、「私が持っている経験やスキルを一緒に」と経験もシェアしてしまいます。
このようにいろいろな可能性が出てきています・・・
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自分が新入社員で通勤していた頃、電車の中では、新聞・漫画・雑誌を読んでいる風景でしたが、今は皆さん殆ど「スマホ」を見ています。
どうしてでしょうか?スティーブジョブズ(第6夜)が業界を越境して、横串(第66夜・新結合)を通しました。

新聞の魅力がなくなりましたね。無常です。

新聞 < スマホ < AIコンシェルジュ

これまで通用していた「**業界」という区分けがなくなっています。
20世紀後半は、業界の垣根の中でビジネスを考えていれば良かったものが、そうはいかなくなりました。私が業界の垣根を超えて、「異業種コラボ」したのが1995年でした。

前述の石倉名誉教授のお話しにあったように、自動車メーカーの最大の相手は、同業者ではなく、「Google」や「Uber」になっています。
クルマは、所有する時代から、シェアリング(第40夜、第115夜)する時代に移行しています。

これまでのやり方や習慣がどこで壊れ、崩壊し、形をかえるかを迅速に察知する必要があります。それが、本質を見抜く「洞察力」(第132夜)です。そして、それは「魅了力」(第132夜)と共にあります。

その変化を洞察して、その変化に先立つ「先行力」が必要です。それは、ファーストペンギン(第123夜)になることですが、それを恐れないことです。

さてさて、第20夜・第108夜に、顧客を「囲い込む時代」から、「囲まれる時代」について綴りました。競争の「ルール」が変わっているのです。

そうすると、「ルール・ロール・ツール」(第80夜)も変わります。トータルに取組むことが必要です。
皆さん、「顧客に囲まれる」次の一手を打たれていますか?

私の視点・視座では、自動車業界はまだ「縦割り」の世界から脱していません。「第80夜:世界と世間」で云うと、従来のフレームワークから脱する「世間」の横割り・横串が不十分です。

これから「ハードウェア・ソフトウェア・ハートウェア」三位一体の本格的な「おもてなしの時代(第2夜、第40夜)」です。
つまり、まだまだ余白(第50夜、第89夜)があり、可能性がいっぱいということです。

最後に、谷口正和師匠の言葉を引用します。
「無意味な過去のフレームワークは捨てる。そうした段階に、我々は突入しているのだ」

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
自動車業界

橋本元司の「価値創造の知・第133夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ②「文具店」の本来と将来

2018年4月13日 常識破りの革新

『魅力がなくなるコト』について、文具店を事例としてみてゆきましょう。

自分が子どもの頃、通う小学校の近くに「文具店」がありました。ノートや鉛筆や消しゴム等を買うのですが、子ども達がいっぱい出入りして、昭和の風景として懐かしく想い出されます。中学に入る時には、「万年筆」を買って貰って、何か大人に近づく儀式のようなものを感じました。

魅力がなくなって、その「文具店」は10年ほどまえに解体されてしまいました。

さて、前職(パイオニア社)で、1995年ヒット商品プロジェクトリーダーとして常識を破る異業種コラボレーションからのヒット商品づくりを実践しました。
その最中の1997年に、パイオニアOBの永田仁先輩から、「常識を破る注目の会社を見に行きましょう」というお誘いがあり、文京区音羽の「アスクル」の本社に現場訪問しました。

そこで創業まもないアスクルの岩田彰一郎社長とお会いし、プラス株式会社から分社独立した経緯と熱い想い、成長の仕組み(ビジネスモデル)をお聴きしました。
文具・事務用品に特化して、メーカーの枠を外して「文具の流通革命」に取組まれたのでした。
アマゾンや楽天の取組みのずっと前のことです。

その時に、「文具・事務用品の世界」が大きく変わると直感しました。それまでの縦割りの事務機器メーカー業界が崩れると。
それは、メーカーオリエンテッド(送り手中心)ではなく、カスタマーオリエンテッド(ユーザー中心)であり、業界を「横串」するものでした。

数年後、アスクル本社が江東区に移転となり、再び、永田仁先輩が主宰する「企業訪問フォーラム」(第23夜)で「アスクル本社」を現場訪問しました。
どでかい本社ビルのど真ん中に、直接のお客様の声をお聴きするオペレーターが配置されていたのでした。

アスクルは「お客様のために進化する」を企業理念としオフィスに必要なモノやサービスを「明日お届けする」トータル・オフィス・サポートサービスの会社として進化し続けています。

さて、皆さんは「文具」をどこで購入されますか?
・シンプルに美しく暮らしたい私の娘は、「無印良品」のものが殆どです。
・私たちが仕事関係でたくさん調達する時は、「ダイソー」です。
・私のモノは、「銀座・伊東屋」「日本橋・丸善」のものが多いです。

普通の文具店に行くことは殆どなくなりました。変わりましたね。そう、昔は輝いていたのに、今は「魅力がなくなりました」。過去の延長上に未来はありません。

次に、文具老舗の「銀座・伊東屋」について綴ります。
2015年に、谷口正和師匠が主宰する「JLDS・文化経済研究会」に株式会社伊東屋の伊藤明代表取締役社長がゲスト講師としてこられました。
「伊東屋」は、明治37年に銀座で創業し、文房具の販売を通じ文化と表現を担ってきました。
5代目社長の伊藤氏により、2015年6月にリニューアルオープンした銀座・伊東屋は、幅広いライフスタイルを提案し、従来の文房具店の枠組みを越え「働く」「移動する」「遊ぶ」など生活シーンすべてにおける価値をカバー。常識破りの革新を成し遂げられました。

セミナー後、伊藤社長に質問し、早速、拝聴した着眼力と発想力をリニューアルオープンした店舗で見学・観察しました。
そして、もう少し詳しく知るために、隅田川のウォーターフロントタウンで社員の方達からもお話しを伺いました。

そう、こうやって異業種の「常識破りの革新(=構想力)」の本質をお聴きし、自分の目で確かめるのが自分流です。(観察力・洞察力)
そして、現場に行って、「それは、本当にお客にとって心を惹きつけるのだろうか?(=魅了力)」
を反芻し、また、定点観察することで「進化」の度合いをみていきます。

そのようなコトをしながら、もう片方で、
「PCやスマホ、ICレコーダー等」も文具ととらえます。
これからの「AI時代」「キュービタル時代」にどのように活用され、進化していくのだろうか?
というアブダクション(第123夜)から将来像を描きます。

そのために、本質的な「2軸」を選択します。
一つ目の軸は 「アシスト⇔アメニティ」です。
二つ目の軸は、いま2案あって磨いているところです。
(「文具」という言葉が変わりますね)

さて、これは「文具」の本来と将来なのですが、様々な業種・業態に「常識破りの革新」があります。あちらこちらの現場に足を運びます。
それらたくさんの『知』と『仮説』の群が私たちがご支援する際の「お宝」「財産」になり、下記に近づくことができるようになります。

①大きな絵、すなわちインストラクションを与えられるコンテクストを説明できる
②ある分野の知識をほかの分野に応用できるように、パターンを見つけることができる
③ひとつのアイデアをいろいろに表現すること、つまり3次元的な像を示すことができる

に繋がります。それは、第126夜に綴りました。

「魅力がなくなったら、常識破りでイノベーションに向かうコト」

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
文具店