SDGsシフト㊻「価値創造の知・第291夜」:『ガイア(Gaia)思想とコロナ危機』

2020年5月31日 「地球とは一つの巨大な生命体である」

「ガイア(Gaia)」という言葉を多くの人は聴いたことはあると思います。
「アース(Earth)」とはどう違うのでしょうか?

「ガイア理論」(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
ガイア理論とは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げていることを、ある種の「巨大な生命体」と見なす仮説である。ガイア仮説ともいう。
ガイア理論は、NASAに勤務していた大気学者で、化学者でもあったジェームズ・ラブロックにより1960年代に仮説が提唱された。
ラブロックは当初、この理論を「自己統制システム」と命名したが、後に作家のウイリアム・ゴールディングの提案により、
ギリシア神話の女神「ガイア」にちなんだ名前へ変更した。

自分と「ガイア理論」の出会いは、前職パイオニア社でオーディオ事業に翳りが顕在化した1992年ごろのことです。
21世紀のオーディオ事業の将来を洞察したときに、これまでの20世紀のビジネスモデルの見直しとして
・「ディスクレス」
・「エコロジー(共生)」
・「複雑系」

を考慮した世界観が必要になると思いました。
その後、第9夜で綴りましたが、「三つのエコロジー」(フェリックス・ガタリ著)を読んで、

・「ガイア理論」:地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げていること
・「三つのエコロジー」:「環境・社会・精神(心)のエコロジー」の三位一体理論

から、

・「エコロジー(静脈)×エコノミー(動脈)」
・「ハードウェア×ソフトウェア×ヒューマンウェア」

の融合が21世紀には必然という確信がありました。

1990年から、谷口正和師匠が主宰する「エコロジー研究会」に参加していて、
そのご縁で、エコロジー商品の代表となる「ピュアモルトスピーカー」をプロデュースすることができました。
30年前から、「エコロジー(静脈)×エコノミー(動脈)」が自分の心と頭に棲んでいます。

さて現在の「コロナクライシス」ですが、グローバルエコノミーの影響で地球が痛んできたことと大きく影響しています。

京都議定書・パリ協定等、気候変動に関する国際的枠組みは、世界の多くの人たちの思いに届きません。
その反省の上に、2030年に向けた「SDGs」の思想と活動があるのですが、その最中に、全世界に打撃となるコロナクライシスが登場しました。
それは、人と人との接触、交流が人の命を危うくするというものでした。
グローバリゼーションとは、良いものも悪いものも運んでくる陰陽の世界でした。

生態系が壊れて、生物が生存できる領域・場所が狭まり、縮まってきて、人間がいる領域に生物が入り込んでいるニュースが多くなっていますね。
今回の新型コロナウイルスもそこから感染した事例のひとつである可能性が高いと思われます。
気候クライシスが、将来にわたり感染症危機、経済危機を引き起こすことを目撃することが洞察されます。

つまり、SDGsとコロナクライシスは深いつながりがあるということです。

これは「ガイア思想」とリンクしてきますね。
「地球とは一つの巨大な生命体である」とJ・ラブロックは語っています。

もう一つ、「ホメオスタシス」という言葉があります。
ホメオスタシスは、生態恒常性と呼ばれる概念で、生態は何か変化が起こると、それを元の状態に戻そうとするために、様々な変化が生じるということである。
例えば、体温が下がると鳥肌になり体温の低下を防いだり、体を震えさせて強制的に運動を起こして体温を上げるなど。
このような、安定した状態を保つために、内分泌系、自律神経系、免疫系などに変化が起きる機能をホメオスタシスという。
ホメオスタシスは生命活動の基本であり、これが正常に機能しているから生態は命を維持することが出来る。

地球は「ホメオスタシス」機能を持っていて、それが気候クライシス等となって現れるということ。
多くの科学者がそれに警鐘を鳴らしています。日本でもここ数年に気候危機が顕在化して、地方経済に大きな痛手があります。

さて、今回の騒ぎで、地球環境は大きく改善されました。多くの人の命がかかわるとなると経済活動をSTOPさせるのです。
しかし、経済活動がSTOPすることで失業率が上がると、自殺者がコロナウイルスで死ぬ方たちの人数を上回るようになります。

短期的にみれば、「医療危機と経済危機」を両立させる仕組みをつくることです。
「PCR検査数を増やす」ということは、「見える化」して「不安から安心」へ移行するということです。
デジタルフォーメーション(DX)とは、「見える化」して「魅せる化」して「SDGsに貢献」するということです。

中長期的にみれば、「地球環境」を抜本的に良くするということです。
再度記しますが、今回の騒ぎで、地球環境は大きく改善されました。
上記に綴ったように、地球環境が良くなることが、感染症クライシスを遠ざけることになります。
そして、「地球環境と経済環境」を両立させること。
それには、人々の心の環境(自覚と覚悟)が求められます。第277夜(3つのエコロジー)

そこには、これまで「後手後手」ではなく、「先手先手」のリーダーシップが求められます。
政治は「先送り」「責任逃れ」することで事態を悪化させていて、その体質から脱却することが「令和の時代」と認識されること。
そのポイントは、第283夜(「賢明=インテリジェンス」)と第284夜(『使命⇒概念⇒仕組』)に綴っています。

企業、行政が取り組むことは、

・本業×SDGs

を統合させることです。

それは、新価値創造研究所のトップページ(https://shinkachi.biz/)に大きく謳っています。

---------
—結論を先に云いますと、これから2030年に向けて、全ての経営の成長・成功の秘訣は、
「本業とSDGsを結び付けて、持続可能な成長価値(コア)を創り出すこと」
つまり、『①本業×②SDGs×③価値創造』を
三位一体にした『SDGsシフト経営』
の先取りにあると実感、確信しています。—
---------

アフターコロナでは、ガイア思想を自覚されて、是非「SDGs×本業」を検討されてください。
それが、会社の地域の「経営戦略」に直結します。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsガイア思想

 

SDGsシフト㊺「価値創造の知・第290夜」:『災い転じて福となす』

2020年5月17日 来し方行く末(こしかたゆくすえ)

新型コロナはもちろん禍(わざわい)なのですが、

「災い転じて福となす」

ということわざがあります。

その意味は、
「身にふりかかった災難を活用して、そのまま自分に役立つものとして利用するさま」
あるいは、「厄介ごとが一転して幸福の種に転じるさま」
(【出典】‎: ‎『戦国策』 『史記』蘇秦列伝)

新型コロナによっての自分なりの気づき(情報)、教訓を「3つのエコロジー」(第277夜)で整理します。

1.地球環境視点
経済活動がダウンして、
①空気がきれいになった
・世界中のの空が澄み渡り遠くまで見れるようになった
②水がきれいになった
・インド洋海岸やイタリア運河がキレイになった
③石油使用量の大幅減少
・大気中のCO2が減った

2.社会環境視点
①リモートワーク
・在宅勤務
・テイクアウト増
・満員電車、航空機発着減
・時差通勤推進
・不要な移動の禁止
②ECの一般化
・ネット化
・キャッシュレス化
③副業、地方在住の増加
・従業員シェア
・生活様式
④知事、政治家の資質
・リーダーシップの有無
⑤衛生面
・日頃からの手洗い、うがい、手の消毒の大事さ

3.心身環境の視点
①日常ストレスの削減
・心の余裕の人も
・通勤ストレスからの解放
②命を考える
・命を大事にする
・日々の日常の大切さ
③生き方、趣味の見直し
・人間らしさ

さて上記は、『SDGs』の素直な大目的である

⇒いまよりも良い未来、地球にしたい

という全世界の人々の想いと共通しています。
SDGsの2030年に向けたその途上での挫折に、多くの教訓とヒントをくれたと思いませんか?

⇒災いを転じて福となさねばならない!

・医療と経済の両立
・地球環境と経済の両立
・資本主義と共産主義の両立

おそらく、人類が「SDGs達成に本気になる」には、今回の新型コロナ以上の「強力な災い・打撃」を受けなければ無理かもしれないと思うのは自分だけではないと思います。
「欲望の資本主義」を超えるには『大いなる賢明・知』が求められると思います。(第289夜:禅×コロナ×SDGs)

⇒ ZEN × イノベーション(価値創造)
⇒ LOVE × POWER

の両立が望ましい。
それは、JAPANの出番だと思っています。
是非、挫折を超えて強くしなやかに連携していきましょう。

さて、第172夜(なぜ、倒産?)に、変化に対応できないで失敗した事例をあげました。
-------

—成功と失敗はコインの裏表の関係にあるます。多くの失敗と挫折の先に、成長があります。
成功はいくつかの要因の組合せですが、失敗は究極的には一つの判断ミスによるもの。
例えるなら、成功とはブロックを地道に高く積み上げることであり、失敗とはブロックの山のどこか一か所に異常な力が加わることで一気に崩れるイメージです。
成功の要因と違って、失敗は原因を特定できる分、ダイレクトに役立つのです。・・・

-------

「ピンチはチャンス!」(第288夜)なのです。
現在のコロナ禍から、「来し方行く末(こしかたゆくすえ)」をしっかり考えなければいけない分水嶺にいます。
私たちはアンテナを高くして、多くの痛みと悲しみを超えて、よりよい生態系、未来社会、地球を共に創り上げましょう。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGs災い転じて

SDGsシフト㊹「価値創造の知・第289夜」:『禅×コロナ×SDGs』

2020年5月14日 Reconnect=本来・大元にあなたに再びつながること

いま新型コロナ禍により、非常事態宣言前の「仕事のやり方」、「欲望の資本主義」に振り回されていたライフスタイル、価値観を将来的に見直す機会となっています。

・これから私たちはどう生きるべきなのか?

と自粛中に自問自答をしていました。

その最中に「禅×21世紀」の放送がありました。

「のん語り」で、
・禅の英知は高度情報社会となった21世紀こそ必要!
・マインドフルネスと瞑想と禅の関係とは?
・コロナへの知見も加え世界に名高い禅僧藤田一照と川上全龍が科学と経済万能の世に心と身体と環境の大切さ示す!
放送の中では、尊敬する知人のエバレット・ブラウン氏(未詳俱楽部)も登場していました。

そこで語られていた内容は、
・SDGs
・価値創造の知
と深い大いなる関係がありましたので、エッセンスをお伝えします。

◆座禅について
座禅は、人間という存在の全体性を味わう体験です。全体性とは「心、身体、環境」という三つの間の関係です。
私たちの身体、心、環境は常に相互に作用しています。それが私たちの「命」を形づくっています。
しかし私たちは、環境から切り離された存在だという考えに駆り立てられています。
座禅は、私たちが「命の原型」に戻るためのダイレクトで率直なアクションです。

◆西洋(マインドフルネス)と東洋(ZEN)の瞑想について
・西洋人は瞑想に対しても、自分をよく知るためとか、穏やかな心が、欲しいとか成果を求めます。
西洋のマインドフルネスは、私が、楽になりたいが出発。つまり、セルフインプルーブメント。
西洋は個人主義をもとに仏教の実践を取り入れたため、西洋の瞑想はエゴ、自己を強化する修行になってしまった。
(そのため、自己が固くなる、強くなる)

・東洋の瞑想は、私(自己)を手放す、自分の思い込みを手放すことにある。
(ついつい)私たちは、思考に誘拐される癖がある。
瞑想・座禅は、思考や思い込みによって切れていると思っているいろいろなものとのつながりを、もう一回本当は繋がっていたんだと気づくためのツールです。
座禅は。小さくなった心を取り戻すオリジナルな自分を取り戻すための型です。
瞑想とは、あなたの本来があなたに再びつながること(=Reconnect)です。

◆未知の脅威(新型コロナ)にどう向き合うか?
・コロナは、だれか一人が自分勝手なことをすると他の人に影響を与えるので、普段から私たちが繋がっていることを痛い形で教えてもらっている。
みんなが幸せに生き残れる状況を作り出すために、思いやりの実験が行われている。
「不確かさ、寄る辺なさ、フラジャイル」の中で、瞑想によって人間らしさを取り戻すこと。
分断の中でもつながることができるし、悪い事だけではなくいいことも起こっている。
「心配」ではなく、新しい未来を思い描くことが求められる。

さて、禅・瞑想については、自分が実践者(第6夜)であること、イノベーションの神髄でもあることから、この「価値創造の知」連載で何回か綴ってきました。

・第6夜:「色即是空・空即是色」超越瞑想
・第33夜:禅と価値創造
・第76夜:価値創造の秘訣
・第157夜:スティーブジョブズ

禅・瞑想は、言葉で表現することは難しいのですが、
日々の雑念・雑事を遠ざけて(=無にする)、「大元(おおもと)」(=空)とつながることで「本来の自己、将来の世界・世間」とつながることができます。
それは、「あなたの本来があなたに再びつながること(=Reconnect)」を意味します。
(同体験者には直ぐに伝わることも、言葉で考えている方たちには難しいのが現実です)

さてさて、上記の「Reconnect(リ・コネクト)=本来・大元(=空)にあなたに再びつながること」が最重要ポイントです。
SDGsの将来を語るときに肝要なのは、心(個人)・社会・地球の「本来・大元」につながっていることを共有することです。(第9夜:3つのエコロジー)
これまで、近世の「欲望の資本主義」で、心(個人)・社会・地球は大きく傷ついてしまいましたが、「欲望の資本主義」が機能停止した今回の世界的な新型コロナ禍で、地球の環境は良くなりました。
テレワークや様々なシェアもそれに貢献していますね。

SDGsは、「命の原型」にダイレクトにつながっています。
全地球人が、心を落ち着かせて、禅・瞑想や祈りを通して「本来・大元」に繋がる「Reconnect(リ・コネクト)主義」が肝要です。
そうすると健全な「価値創造の知」「新経済」「新ライフスタイル」が始動することが洞察できます。それができなければ、未来は抉られてしまいます。

新価値創造研究所が提唱する「価値創造の知」は、トリニティイノベーション(第11夜・第21夜)という3本の矢でできていますが、それは「深い知」「高い知」「広い知」のトライアングルです。
上記の禅・瞑想の知は、第1法則の「深い知」の中心に組み込んでいます。それがあって、翔べて(高い知)、拡げる(広い知)ことが可能になります。

そう、価値創造の本来・大元は、「深い知」から胎動します。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsZENコロナ

SDGsシフト㊸「価値創造の知・第288夜」:『新型コロナは黒船である』

2020年5月10日 「前例主義」から「創造主義」へ

前夜(第287夜)は、『懸命と賢明』について綴りました。
「新型コロナ禍」は、一生懸命だけでは長続きしません。その頑張りは大切なのですが、どこかで必ず「持続性」に問題が出て破綻してしまいます。

鎖国状態であれば、元の状態に戻ることに向けて推進していけばいいのですが、今回の事象と環境変化を受けて、仕事や暮らし、経済や政治の様々な場面で、これから先の考え方の枠組み、価値観や仕組みを大きく変えていかなければならないことは明白です。

一例を上げてみましょう。
「9月入学制」です。
先ず、5年後・10年後を想像したときに、「4月入学制」と「9月入学制」のどちらを多くの人たちが選びますか?
日本は鎖国をしていないので、世界とのつながりを考えたときに、「9月入学制」は理にかなっています。
勿論、反対する人はいるでしょうが、その言葉を聴くと、

・入学制だけでなく、就職や会計年度等にも絡んでいる
・今のコロナ騒動のこの時期にやることではない
・従来のやり方を変えたくない

結局、「現状を変えたくない」
というのが透けて見えてきます。

行政に多いこの思考を「前例主義」「先例主義」と云います。
ここでいう「前例主義」とは、過去に取っていた方法(前例)が将来機能しないにもかかわらず、その事柄に適した処理を考えることなく、それを見直すことなく踏襲し続けてしまう不合理のことを指します。

そのために、「後手後手」になってしまうのです。

・オンライン授業
・リモートワーク
・感染症見える化対策
・特別定額給付金申請、振込み
等々で、「後手」に回っている事実を目撃しています。

他国にいいお手本があるにもかかわらずです。
単純には、「IT化」「インテリジェンス化:第283夜」が遅れているための悲劇です。

日本国は、「生産性向上」を掲げながら、司令塔・大臣や行政そのものに、「IT化」「インテリジェンス化」の戦略と人材が不足しているために、その付けが回ってきたのです。

さて、

『新型コロナは黒船である』

と認識することで、これからの生き方、暮らし方、ライフスタイルが変わります。
過去に取っていた方法(前例)が機能しないと覚悟して、人々・社会・地球の未来が幸せに近づくことにシフトする。
江戸時代に大きな黒船をみて驚異を抱き、環境変化・ギャップを認識して日本は大きく変わっていきました。

『ピンチはチャンスである』(第282夜:認識→備え→対応)

いま、このピンチを前向きに把えて、チャンスに変えている事例がメディアに溢れています。
「賢明」という“知”で、生き方・働き方を改革する必要があります。

『創造とは、未来の先取りである』(第75夜:価値創造とは何か)

他国のキャッチアップでは不足です。すぐに遅れをとってしまいます。
未来を先取りする能力が必要です。
それためにも、縦割りから横串への転換が急務です。

それを受けて、

・「前例主義」から「創造主義」へ

に生まれ変わることが求められます。

今回の「新型コロナ禍」は、「SDGsシフト」の一部です。
「SDGsシフト」のために、それは多大な教訓を与えてくれました。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
SDGs黒船