橋本元司の「価値創造の知・第168夜」:谷口正和 『Free Style Shift』

2018年8月4日 オールフリーランサーの時代へ

谷口正和師匠が著書『溶解する社会 Free Style Shift』を上梓されました。昨年に「生かされる自由力-Free Style Shift」というコンセプトがあり、先週に書籍のリリースがありました。

先ず、その昨年のコンセプトを引用します。
「謙虚でありながらも大局観を持ち、自由自在に仲間を募る姿を連鎖させることをイメージしながら、

“自由度を高めて更なる結果を
- 自立・自在・自発・自活・自創
– 一人一人のフリーランシング
— 生き方働き方の革新へ”」

それは、『生き方働き方の革新』の提起でした。

それでは、本著の「はじめに」を引用します。
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わ社会速度が高まり、あらゆる分野で破壊的創造<ディスラプション>が繰り返されている。我々は、この現実をどれだけ直視できているのだろうか。
旧態依然のビジネスモデルを続けていれば、もはや事業を継続することもできない。ディスラプションとは、個人の小さな気づきの連鎖によってもたらせられる。
・・・個人が社会の中で向き合っていける、自在で臨機応変なステージやプラットフォームが重要になってくる。
そのプラットフォームが多彩であれば、個人の活躍の場も広がっていく。それぞれの個人が持っている得意技が生かせるチームを編成し、社会の課題に挑む「フリースタイル」という新しい働き方、生き方がますます顕著になっていくだろう。
新たな市場とは、過去の延長線上にあるのではなく、夢や理想を掲げた時にこそ現れる。
・・・
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ここに綴られているは、今話題になっている「働き方改革」の先にある『新しいフリースタイルという働き方』です。
自分は、正にいま、上記の「夢・理想・チーム編成・プラットフォーム」を創ろうとしている真っ只中なので驚きました。

異能のチームで、実際にユニットを組んで、一歩先の社会課題を解決する「自在で臨機応変なステージやプラットフォーム」を検討しているところでした。
その様な状況の中で、この本を観た時に、ヒントと事例が満載なのでした。「偶有性=セレンディピティ」(第19夜)の嬉しい出現です。

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・・時代の流れと並行する人生100年という新たな価値観。この価値観をしっかりと把握し、どの様な変革が、今、最もふさわしいのかを見定めなければならない。この課題をきちんと整理しないまま、ただ闇雲に動いても何の解決にもならない。
しかし、今を逆にきちんと整理して、問題の解決の糸口をきちんと直視し、チャンスだという認識を持ってチャレンジしていくことができれば、もはや全ての問題は解決したといっても過言ではないのだ。・・・
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「AI」についての認識も必要ですね。
文化経済研究会にゲスト講師で登壇された「落合陽一」さんが、著書の『日本再興戦略』で綴られている箇所を引用します。
“これまでのインターネットは統一された「マス」だったのですが、今後、インターネットは個人化していきます。その個別最適化のための関数の名称が、総じて「人工知能と呼ばれているもの」というのが僕の現状把握です。・・・”

「働き方改革」が長時間労働を解消するという狭い領域で論議されていますが、本質はそこではありません。
「Free Style Shift」「日本再興戦略」を理解するだけでも、そこからその一歩先の世界から現在を観れば、何に優先的に『次の一手』にするのかが明らかになります。

未来の予兆は、いま、ここに、明滅しています。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生へ」

http://lifedesign.ne.jp/?p=5647

スティーブジョブズ12

橋本元司の「価値創造の知・第167夜」:ジョージ・カーリン この時代に生きる私たちの矛盾

2018年7月31日 人生で大切なコト

https://feely.jp/9763/ この時代に生きる私たちの矛盾

『ジョージ・カーリン』が最愛の妻を亡くしたときのスピーチです。

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ビルは空高くなったが人の気は短くなり
高速道路は広くなったが視野は狭くなり
お金を使ってはいるが得る物は少なく
たくさん物を買っているが楽しみは少なくなっている
家は大きくなったが家庭は小さくなり
より便利になったが時間は前よりもない
・・・

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多くの人たちが「人生において大切なコト」の深い話に共感されているのですね。
ただ、共感だけしていても未来は拓けません。

「5年以内に約500万人の雇用が失われる!?」(2016年1月に開催された「世界経済フォーラム(ダボス会議)」)

フォーラムの創始者であり会長でもあるスイスの経済学者クラウス・シュワブ氏が『仕事の未来』というレポートを発表しました。
「AI、ロボット技術、バイオテクノロジーの発展で5年以内に約500万人の雇用が失われる」というショッキングな報告を行ったことで大きな注目を浴びましたね。

実際には、雇用は失われるコトと創出されるコトの両方が進行すると洞察しますが、カーリンのスピーチの中の矛盾は更に加速させることは間違いありません。

いつの間にか私たちは、「上記の科学技術やお金・資本主義」が上位にいて、その下に「人間」が置かれているような状況になってしまいました。何かがおかしいと思いませんか?
ミスマッチが顕在化し続けているのです。「科学技術やお金・資本主義」は、“手段”なのですが、その手段の上にある『上位目的』を明確にして共有・認識することが肝要です。

その様な意味で、これまでの「古い価値観/パラダイム」の呪縛から早急に解き放たれることが必要ですね。
「古い価値観」に依存し続けるとどうなりますか?そのような価値を次世代に引き渡せますか?
その奥底にある古い価値を明確にして、「創造的破壊」することが求められます。

前夜まで連載していた「スティーブジョブズ」はその「創造的破壊」を行いました。顧客がそれを選択しました。「既得権益」は吹っ飛びました。
それは、「情業の時代」の覇者でした。「脳業の時代」には、「人間優位」の価値観/ポリシー/スタイルのルネッサンスが必要です。

さて、人生を豊かにするのは「深い知」です。カーリンのスピーチが促しているのも「深い知」「深い行動/更新」です。
「深い知」を共有すれば、これまでと質の違う「高い知」を望むことができます。「深い知」と「高い知」を認識できれば、「広い知」が拡がります。
それは、「価値創造の知」シリーズで綴ってきた「TI:トリニティイノベーション」そのものです。

今ここで、求められているのは、「三つのエコロジー」(フェリックス・ガタリ著)です。特に「心のエコロジー(ココロジー)」(第9夜)の共有です。
“従来のエコロジー運動がいわゆる「環境問題」(自然環境を中心とした)に限定されてきたことに疑問や不満を感じ、それだけでは現代世界の全面的危機に対処しえないとして、「環境のエコロジー」に加うるに、「社会のエコロジー」と「精神(心)のエコロジー」の三位一体理論を提唱する”

そして、もう一つ必要なキーワードは『おもてなし』(第2夜)です。日本伝統の「①ZEN、②間(ま)、③おもてなし」が上記の課題をジャンプアップします。
日本が上位目的実現の大きな役割を担って進化してゆく可能性大ですね。

このシリーズで綴ってきた「意味のイノベーション」「認識のイノベーション」「価値のイノベーション」が表舞台に上がってくるのは時間の問題です。
それは、『人間の進化(エヴォリューション)』の序章です。

だって、『進化』できなかったら「人生一切皆苦」になってしまいますから。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生へ」
ジョージ・カーリン