2017年3月21日 コンセプト(concept)
“二つでありながら一つ”という最も重要な方法について、第31夜~第36夜に亘って綴ってきました。本夜は、その方法によってできる『コンセプトのつくり方』をご案内します。
前職でも現職でも“コンセプト”の良し悪しでその後の事業の成長や成果が大きく影響を受けることを数多く体験してきました。 なので、『価値創造』にとっても非常に重要なプロセスとなります。
そもそも“コンセプト”とは何でしょうか?それは、
1.概念。
2.企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方。
と記してあります。
なにかピン!ときませんね。
【三省堂ワードワイズ・ウェブ】では、
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コンセプト(concept)は、本来「概念」を表す言葉です。しかしながら、日本語でコンセプトの語を用いる場合は、「全体を貫く基本的な概念」を表すことが多いようです。
例えば「今度開店するレストランのコンセプトは“近未来”でいこう」と言った場合、レストランの店名・内外装・メニュー・広告などに、近未来的な演出を施そうという意味になります。
どんな時に登場する言葉かと云えば、
企画立案が関わるすべての分野で、広くこの語が用いられています。例えば「競合優位な独自の切り口とコンセプトは何か?」(小売)
「劇的空間のコンセプトはワビサビ」「ニューヨークがコンセプトのスタイリッシュ空間」(飲食)「風をコンセプトにした町おこし」(地域振興)などの使用例があります。
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と記されています。
なんとなくイメージできてきましたでしょうか。
上記の様に、とても幅広く使われている言葉なので、ここでは、競合がいる場合を念頭において、顧客価値創造に繋がる“コンセプトのつくり方”をご案内します。
ポイントは、
・『人間の背骨』のように、全体を貫く基本的な概念
・『他社や他国との違いを創る』新しい視点、視座
にあります。
価値創造の基本は、“二つでありながら一つ”でした。
添付図は、『バリュー・プロポジション=お客様から選ばれる理由』(出典:goo辞書)について説明していますが、私がコンセプトづくりする時にはこの図を必ず活用する優れものです。
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バリュープロポジションとは、顧客に提供する価値の組合せ。製品やサービスのメリット、自社の存在価値や独自性を顧客に伝え、その価値を高めること。
バリュー・プロポジションを検討する際には、顧客の立場に立って自らの製品・サービスを見つめることが必要だ。顧客は、自分たちが想定している価値とは別の価値を求めていたり見出してたりする可能性もある。
例えば、ある喫茶店が、コーヒーへの拘りこそが自社の価値だと考えていても、顧客からは単にタバコの吸える喫茶店と見なされているかもしれない。
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通常は、どうしても右丸の「自社が提供できる価値」ばかりを考えてしまうのですが、重要なのは、左丸の「お客様が望んでいる新しい価値、スタイル」です。
どのような“お客様”に価値提供するのかを明確にすることがとっても大切です。
さらに、上丸にある「競合他社が提供できる価値」が存在しますので、その3つが合わさったセンターが『レッドオーシャン(= 競争の激しい市場のこと)』になります。
一番分かり易いど真ん中なのですが、絶対にここに入り込んではいけません。
ここまでを整理しますと、
環境変化が激しい時代に適応した『①お客様が潜在的に望んでいる価値と、②競合と被らずに自社が提供できる価値が新結合した新価値領域』が“バリュープロポジション=お客様から選ばれる理由”です。
それを彫り出すには、新結合の上等のスキルが必要です。そのことをこれまでの夜話でお伝えしてきました。
この領域をメンバー全員の創発で浮かび上がらせることができれば、価値創造、事業創造の半分は終わったようなものです。
さて、「バリュー・プロポジション」では、複数の洗練されたキーワードが浮上してきますが、それを一つの「言葉」に絞り込んで落とし込む(言葉化)のが『コンセプト』なのです。
磨き上げたコンセプトは将来事業の『背骨』であり、モノゴトを動かす『中心の考え方』であり、戦略的で行動にうつす『羅針盤』の役目を持ちます。グレートキーワードですね。
確認ポイントは、
①環境変化、将来をしっかりと捉えられていること!
②競合とは、かぶらない新価値が明確に伝わること!
③顧客も自社もワクワクドキドキする「光りもの」があること!
更に、新しい文化、新しいライフスタイルを創出できること!!
です。
是非、チャレンジしてみてください。
次の夜は、『言葉化』するときのノウハウをお伝えします。
第37夜 価値創造から経営革新へ