橋本元司の「価値創造の知・第110夜」『情熱のリレー』

2018年2月28日 『命を使う・命を懸ける』

本日の朝のニュースを見て、「感動・感激・感謝」しました。
それも含めて、『価値創造』を綴りたくなってしまいました。

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カーリング女子・吉田知那美選手の常呂町凱旋でのコメント

「私は七歳の時からこの町(常呂)でカーリングを始めました。
正直この町何もないよね。
この町小さいときは何もなくてこの町にいても絶対夢はかなわないと思っていました。
だけど、今はここにいなかったらかなわなかったなって思っています。
ここにたくさんの今日来てくれた子供達の皆もたくさん色々な夢があると思うけれど、
場所とか関係なくて大切な仲間がいたりとか、
家族がいたりとか、
どうしてもかなえたい夢があるとか、

この町でもきっとかなえられると思います。
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いやぁー、心と目頭が熱くなりました。

カーリングの聖地「常呂町」のことについて昨晩特集していました。
1980年1月にカナダの国民的スポーツのカーリング講習会が北海道で紹介され、
そこに参加した小栗祐治さんという熱血漢がこのカーリングに情熱を傾けられたそうです。

この小栗さんが情熱の種を蒔きつづけて、そこに本橋(マリリン)が続き、
その情熱のリレーが、今回の銅メダルにつながったのです。

そして、その情熱と物語が次世代を惹きつけ、引き継がれるのでしょう。

上勝町の「葉っぱビジネス」もそうですが、「何もない」と思っているところに
実は『将来の宝物』が埋まっているのです。
ただ、この「将来の宝物」は、本気(情熱)であたらないと掘り起こせません。

昨日のフィギアスケート連続金メダルの羽生選手は、
「金メダルをとりにいくことに命をかけた。
命をかけなければとれません」
という旨のコメントがありました。

小平選手も、高木選手も同じでしょう。

『人』は本来が『楽(らく)をしたい』のです。
自分の子どもに苦労をかけさせたくありませんよね。

でも、イチロー選手も『楽』をしていません。
『楽』をしないで、夢と覚悟を持った人に『情熱のリレー』が動きます。

そして、何かに強く『夢・覚悟』をかかげた人に、神様はその強さ分の『辛い試練』を与えます。
これまでの自分の拙い経験と、周りの一流の方達をみるとその試練が分かります。
それを乗り超えて、『夢・想い・情熱』が次世代に伝わり、繋がります。

自分も少しでもその一部分・一翼を担いたいと想います。
残りの命を懸けて・・・。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
情熱のリレー

橋本元司の「価値創造の知・第109夜」 農業⇒工業⇒情業⇒脳業の時代

2018年2月23日 3C=脳業の時代

AI( Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、Industry4.0(第4次産業革命:製造業のデジタル化・コンピューター化を目指すコンセプト)という『I(アイ)』の入った言葉がメディアを賑わしています。いったい、これをどのように把えたらいいのでしょうか?

実は、1995年、前職(パイオニア社)でヒット商品緊急開発プロジェクトを立ち上げる前にいろいろと世の中の動向を検討していました。

その時に、「ニューロサイエンス」「ニューロコンピュータ」が未来を洞察する中で、キーワードとなっていました。今から23年前ですね。「ニューロ」(neuro)とは、 神経回路網のような学習や自己組織化の機能をもっているという意味を表す語です。

その時に、整理して1995年の「経営会議」で発表したのが、下記の時代推移の洞察です。

A.農業⇒B.工業⇒C.情業⇒D.脳業⇒⑤E.**業⇒⑥F.**業

(「脳業」のあとの⑤⑥の「**業」については、長くなるのでまたどこかの「夜」に綴ります)

C.「情業」については、第108夜の図に記しています。当時、高度情報時代と云われていましたが、その「情業」に込めた想いは、「情報(左脳:インテリジェンス)」と「情緒(右脳:エンターテイメント)」が新結合して時代を牽引する「世界と世間」(第80夜)でした。

そして、その次に到来するのが、B.工業、C.情業を超えたD.「脳業」です。

自分の中では、2020年から10年間がこの『脳業』の時代です。それは、首記の「AI、IoT、Industry4.0」の融合した世界になります。ここで使われる『I(アイ)』に注目してみましょう。
①AIのI:Intelligence
②IoTのI:Internet
③第4次産業革命:Industry

これは、人間に例えると、下記『3つのC』に転換できます。
①C: Computer=脳(AI)
②C: Communication=神経系(IoT)
③C:Control=手足等(Industry)

B.「工業」の時代は、③C:「Control=手足等」が中心でした。そして、C.「情業」の時代は、「Communication=(情報の)神経系」が急速に発展しましたね。
いよいよ、ここに、D.「脳業」の時代が登場するのです。

これを併せて1995年に発表しました。
このような時代には、従来の「工業」のカタチでは対応できませんよね。「①C: Computer=脳(AI)」と②「C:Communication=神経系(IoT)」から③「C:Control=手足等(Industry)」を眺めると違った風景が現れてきます。

「③C:Control=手足等(Industry)」だけでは勝てません。それは、日本のオーディオが「iPhone(アイフォン)」にやられてしまったのを思い出してください。
それは、アップルが、「ハードウェア・ソフトウェア(iTunes)、ビジネスウェア」の三位一体で勝負してきたからです。

「クルマ」業界も世界の大手が、昨年から上記の『3C』にシフトすると続々と宣言しました。
日本の「TOYOTA」がやっと今年に入って、アンカーとして発表しました。

日本は出遅れてしまいましたが、この風景が観えれば逆転できます。それは、第2夜、第20夜、第86夜、第93夜で綴った日本のお家芸である『おもてなし』(ハードウェア・ソフトウェア・ハートウェアの融合)の出来がポイントになります。

さて、皆さんもお分かりの様に上記『3C』は手段です。
これが進展していくのは間違いありません。
重要なのは、その奥と先にあるどのような『価値(バリュー)』を創り出すかということです。
(新価値創造研究所は、この『価値(バリュー)のイノベーション』の心得と方法にフォーカスしています)

その新しい目的、大局観、新しい市場を見つけ出しフォーカスすることで、
「手段」との付き合い方も、働き方も変わってきますね。
そして、全ての製造業は、「新サービス産業」へと業態を変えていきます。

この業態変化が、「働き方改革」の一番地です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
3C 脳業

橋本元司の「価値創造の知・第108夜」 ファン(嬉しい・楽しい)がファン(愛好者・熱狂者)を生む

2018年2月21日 『本分(分母)』の再定義の第3弾

『本分(分母)』の再定義の第3弾です。
時代の変化を図に示します。世の中は、「モノづくり⇒コトづくり⇒ヒトづくり」にシフトしています。
それに対応して、「顧客との関係」は、「顧客を囲い込む」から「顧客に囲まれる」に移行します。

 そう、ここで重要なキーワードは、図の右下の「顧客に囲まれる」にあります。このことについては、第20夜、2夜、93夜に詳細を綴ってきました。

「送り手」と「受け手」という関係が大衆消費者(Consumer)でした。
それが、部分的な双方向性が可能になり、「利用価値」が全面にでてきて、「顧客」という言葉がメディアを賑わしました。
多くの企業が、顧客を「如何に囲い込むか」ということ専念しました。
でも、誰も「囲い込まれたく」ありませんよね。

それでは、「Facebook」の世界をみてみましょう。
そこには、従来のプロの「送り手」ではなく、「プロではない人達」が舞台の上で、プチプロ的に表現(=コミュニケーション)をしています。
1980年に未来学者アルビン・トフラーが発表した著書『第三の波』の中で示した概念に「生産的消費者:プロシューマー(prosumer)」があります。
生産者 (producer) と消費者 (consumer) とを組み合わせた造語です。
プロフェッショナル (professional)と消費者を組み合わせ商品に詳しい消費者といった意味でも使用される場合もあります。
今は、「プロシューマー」の時代です。(この「プロシューマー」がどのように進化することが重要です。)

この情報時代に、IT・SNS等の進展で、「送り手」側からの情報の信頼が揺らぎ、信頼できるプロシューマーが身近になりましたね。
従来の消費者から、進化して「プロシューマー」に続々と誕生しています。少し周りを見渡してみましょう。

・Amazonへの書評
・ユーチューバー
・クラブツーリズム
・クックパッド

プロシューマーには、給料は払われていないのに、もう、準社員の様に活躍しています。そのパワーを使っている会社(地域)と使っていない会社(地域)には大きな差が出ています。
その『舞台(Stage)』を創り、役者として嬉しく、楽しく演じて貰っています。今では、充分な対価(見返り)のある「プロシューマー」に進歩してきていますね。

ここでの一つ目のポイントは、自分が「社会に役立つ(=価値)」ということです。自分の表現、発信、行動が「社会に役立つ、関与する」って嬉しいですね。
特に、「・・のお母さん」という主婦の人にとって、社会の多くの人達から「いいね!」や賛辞を貰うことは「生きがい」にもつながってきます。
この「生きがい・欲望」の視点・視座をどうとらえるかが肝要です。

二つ目のポイントは、企業や行政が、「会社や地域にとって大事な領域を社会にオープンにするコト」です。
枯山水(第50夜、第89夜)のように、「大事な水」を抜いてしまうことで、観客が自分の頭の中に「隆々とした水を想像・創造する」ことにあります。
会社や地域が行き詰っているというのは、この「余白・空白」が創れていないことを意味しています。

大事な領域を明け渡す『舞台』を創り、そこにプロシューマー(プチプロ)が役者を演じるようにプロデュースするのです。主客一体です。
勿論、こちら側の目利きは必要です。 そこに集まる情報群が、次の柱を創る『宝物』になります。

この領域の匙加減、舞台づくりと覚悟がなかなかできないのですね。
ここのヒントは、第106夜に示しました。横軸(世間)をオープンにして、プロシューマーに参画してもらい、拡張するのです。
難しいことはありません。これまで、大事にしている「縦軸」世界は無くなりません。横軸への拡張で、縦軸(世界)にも良い影響が出てきます。
前職(パイオニア社)の異業種との連続ヒット商品化はこれで実践しました。

上記の『本分(分母)』の再定義の方法は、「「後発」や「ベンチャー」が老舗企業の先を行く大チャンスです。ただ、老舗企業にこれを先行されたら、「後発」「ベンチャー」には『芽』がありません。

その時に重要なのが、その舞台が向かおうとする先の『良い目的』(第28夜、第107夜)を明確にしておくことをお伝えします。
そうすると、『ファンFUN(嬉しい・楽しい)がファンFAN(愛好者・熱狂者)を生む』世界と世間が迅速に創れます。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

囲まれる推移00

帯広セミナー:「北陸むつみ会」

2018年2月13日 「北陸むつみ会」帯広セミナー

北陸銀行・帯広支店様から招かれて講演をしてきました。
日本のあちらこちらを巡ってくると、土地柄、時節、経済環境等によって、参加される方達の雰囲気が大きく違うのがすぐに分かります。

ここに集う方達は、誠実で前向きで、大地に根付きながら、新しいことに挑戦しようというフロンティアスピリッツを強く感じることができました。

さて、『次の柱』は衰退時期にむかう前に、前向きな危機感と当事者意識を持って「構想・行動・更新」により創られる方が成功の確率がぐーんと高くなります。
この十勝帯広には未開拓のポテンシャルがいっぱいありますね、
『中心の軸』がまだ空白のように見えます。つまり、余白があり伸びしろがいっぱいあります。このままでは、十勝帯広はたいへん「勿体ない」です。

さてさて、セミナーの後の懇親会では、北陸の美味しい料理とお酒、そして素敵な話のご馳走をいただきました。
またお会いできることを楽しみにしています。
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橋本元司の「価値創造の知・第107夜」『本分(分母)』の再定義実例②

2018年2月8日 『本分(分母)』の再定義実例② TANITA

本夜は、『本分(分母)』の再定義の第2弾です。

なぜ「本分」を再定義する必要があるのでしょうか?
それは、「現状や将来・未来に行き詰まりがある」という認識があるからです。
皆さんの会社・地域は如何でしょうか?

昨夜(第106夜)は、『性能』(縦軸)の行き詰まり、コモディティー化でした。
そのために、『効能』(横軸)を拡張し、ライフスタイルや新文化を創るという目的から、従来の『本分(分母)』を再定義しました。
20世紀は、性能⇒機能⇒効能でしたが、21世紀は、効能⇒機能⇒性能の順番になります。

さて、本夜は多くの「製造業」の行き詰まりからの『再定義の型』の一つを記します。
事例は、よくセミナーで取り上げる「株式会社タニタ」さんです。三代目の谷田社長には二度お会いしました。

「健康をはかる”タニタ” 「健康をはかる」から「健康をつくる」へ。 タニタは、食事・運動・休養のベストバランスのご提案を通して、 24時間皆様の健康づくりをサポートしていきます。」
とホームページに記されています。

皆さんが良く知っている体重計や体脂肪計という「健康をはかる」会社でしたが、3代目の社長が「タニタ食堂」という新事業に挑戦しました。(丸の内のタニタ食堂には何回か通いました)

「世界から肥満をなくしたい」

という熱いスローガンをお聴きしました。体重や体脂肪をはかるだけでは、「肥満」はなくなりませんね。

それが、会社としての「新しい目的」、社会的課題を把えた「良い目的」(第28夜、第68夜詳細)です。熱い想いを持った、この「新しい目的・良い目的」づくりの構想・実行・更新(第61~74夜)がとっても重要です。
ここが『本分(分母)』の再定義のターニングポイントであり肝(きも)になります。

そして、「タニタ食堂」を立ち上げられました。それは、それまでの会社の「本分のBefore」にあたります。なので、とても相性がいいのです。これもとっても重要です。
そして、スローガンに挑戦するために、情報・ソフトウェア・インターネットを組込むことで「健康をはかる」を「健康をつくる」という「新本分」の新健康産業に再定義しました。
さなぎ(健康をはかる)から、蝶(健康をつくる)への脱皮です。

現在、増加する健康保険料への問題対策として、多くの企業・行政・デベロッパー等から、引っ張りだこです。

さてさて、『本分(分母)』の再定義のインパクトが伝わりましたでしょうか?
「健康をはかる」という本分を変えなければ、会社の将来はレッドオーシャンの中で右肩下がりになっていったでしょう。
新健康産業により、TANITAにしかできない価値を提供できるのです。これからの「AIoT」時代に、上記のビジネスモデルは加速していきます。

これをセミナーでは、分かりやすい図(2軸の成長マトリクス)で見える化・魅せる化してお伝えしています。
上記に関係する他業種の実例をいくつかご紹介したあとに、自社・自地域の「成長マトリクス」を作成していただくと、それに誘因されて想いもよらなかった将来・未来が立ち現われてきます。

ここのマネタイズのポイントは「添付図」です。料理のプロセスとビジネスは近似しています。
「新しい目的」を基盤に、自分の会社・地域の前(Before)と後(After)を統合し回すことをイメージ・実行することです。
その時に、「製造業・ハードウェア」で統合しようと思わないことです。「ハードウェア」は目的ではなく手段だからです。(多くは、TANITA同様に、「Performance」の領域に製造業が含まれます)

「社会の課題」を解決する新しい目的(「世界から肥満をなくしたい」)を持って、ソフトウェア・ハートウェアで一気通貫させます。そこで上がってきた「情報」が『宝物』になります。
これは多業種・多業態で応用できます。

最後に、AIoTの時代に多くの製造業は、「新サービス産業」になっていると宣言します。

次夜(第108夜)は、「顧客に囲まれる」時代の「本分の再定義」を綴る予定です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
再定義3P資料

橋本元司の「価値創造の知・第106夜」『本分(分母)』の再定義実例①

2018年2月7日 『本分(分母)』の再定義実例:ヒット商品緊急開発プロジェクト

前夜(第105夜)では、「事業創生・地域創生」の為には、
『本分』という「分母」を明確にする必要性について綴りました。

 依って立つ下半身がグラグラしていては、何を「評価」していいのかもぐらつきます。
自分の前職(パイオニア社)の実例を提示しますので、理解が深まれば幸甚です。

1995年のコトです。
新社長に直訴して、3人で「ヒット商品緊急開発プロジェクト」(第14夜詳細)を立ち上げました。
パイオニア社の『本分』は、「感動を創る」なのでしたが、
実際は、「Hifi(ハイファイデリティー):高忠実再生」が中心にありました。

パイオニアに限らず、「業界」は添付図の縦軸にある「性能」を高めることが中心でした。
それは、オーディオ業界に限らず、20世紀は「**馬力」「**ワット」等、性能を高めていればいい時代だったのです。

オーディオ商品は、性能の高さを軸に、縦軸で「5万円」「7万円」「10万円」と価格付けしていました。

ところが、性能差による差別化がはかれない「コモディティー化(一般化したため差別化が困難となった製品やサービス)」が進行し、
更に、賃金の安い地域(当時は東南アジア)で製造できるというダブルパンチがありました。
そして、10年後の2005年には、CDに代わる次世代メディア(超高密度メディア:今のHDD)や通信の進化が視界に入ってきました。(第10夜・第29夜・第85夜詳細)

さて、ここで『本分』の再定義です。
縦軸の世界(第80夜)の「性能」は、前述のコモディティー化していますので、横軸の世間(第80夜)の「効能」を拡げることに注力しました。
それは、ライフスタイルからの『顧客価値』を創造することです。

ということは、分母を「性能:Hifi」ではなく、「音・音楽」から把えることになります。
・「音・音楽 * ウィスキー」
・「音・音楽 * ファッション」
・「音・音楽 * インテリア」
・「音・音楽 * お風呂生活」

という図式が浮かび、それは、一社だけでは「物語を創れない」ということを意味します。
ヒット商品は、物語から生まれるのです。(第17夜、第18夜、第37夜、第66夜、第92夜~第99夜詳細)

つまり、異業種とのコラボレーション(価値共創1.0:第92夜)がマストなのです。
(なので、結果的に100社との異業種との協議を行いました)

従来の世界(縦軸)では限界があり、世間(横軸)に拡張したのです。それを経営陣に、本夜のテーマである『本分(分母)』として提示・提案しました。

経営陣や対象事業部は、縦軸で成功してきた人達です。
それを発表してから、ある重役から呼び出しがありました。

「そんなコトがうまく行くはずがないじゃないか。・・・」

「・・・」は大叱責です。

まだ、異業種コラボレーションがなかった時代です。
でも、新社長がその『本分(分母)』に納得して任せてくれました。

ただ、想定外は添付図の領域です。
右上の象限(高性能・高効能)を予定していたのに、新社長命令は、右下の「低性能・高効能」でした。
結果的には、連続のヒット商品の創出に繋がりました。

音・音楽には、進化形があるので、それを基盤にすれば、まだまだオーディオのヒット商品は生み出せます。Hifiに拘らなければ、まだまだいけます。

さて、ヒット商品プロジェクトでは、「音・音楽*ファッション(ループマスター)」「音・音楽*インテリア(ハッピーチューン)」の商品群では、従来の縦の価格ラインナップではなく、価格は同じにして、ライフスタイルに合わせて、横展開ラインナップという画期的な商品展開になりました。

ファーストペンギンとして、『本分を再定義』することは大変なのですが、そのことが、今、多くの会社に、地域に、一人ひとりに、そして「日本」に求められている必要性・重要性を確信・核心しています。
一緒に、革新していきましょう。

次夜は、事例(パイオニア社ではない)の第2段をお伝え致します。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

本分二軸

橋本元司の「価値創造の知・第105夜」 価値と評価と本分

2018年2月6日 本分・本気・本質・本流

第102夜~第104夜にわたり、『価値』とその周縁を綴ってきました。
本夜は、「価値(アイデア、企画案やビジネスモデル案)を創出」しても、それを自社・自地域でどう評価したらいいかわからない、という課題群について記していきます。

 さて、第11夜に、イノベーションの心得「本気・本質・本流」を綴りました。
時代を切り拓く「次の本流」を創るためには、
・本気(Passion):情熱危機感、当事者意識
・本質(Mission):何に命を使うのか、何を目指すのか?
が必要という基本の流れ(プロセス)と心得を上げました。

本当は、その前に確認しておくべきことがあるのです。
その実体験談と抑えるべきポイント(=本分)を記します。

前職(パイオニア社)での、「新事業創出プロジェクト」の初期の頃の体験です。あるプロジェクトから、パイオニアの本流からは逸脱しているキラッ!とヒカル提案がありました。

しかしながら、その提案は経営陣が参加する「**評価会」においては、
・パイオニアらしくない
という理由で却下されました。

このような光景は、パイオニア社に限らず、多くの会社で見かけてきました。ただ、この「**らしい」「**らしさ」というのはとっても主観的なものなので、各人様々でズレがあります。

それは、
・年齢(若手とベテラン)
・所属部門(営業と開発・研究、管理部門と革新部門等))
に端的に現れますが、経営陣の中において同様です。

「パイオニアらしい」とはどういうことでしょうか?
この「***らしい」ということを抽出して、明確にして
共有する必要があります。その方法は別夜に綴ります。これを経営陣とトコトン共有することに大きな意味(第85夜:Meaning)があります。

なぜならば、ここで共有したものを前提・基盤にしていれば、 経営陣が「**評価会」で
「・・・らしくない」
と発言することは、まずない(=逃げられない)からです。
(「**評価会」の「評価」(いったい誰が評価できるのか)に違和感があります。これにつきましても別夜に綴ります)

つまり、「前提になるもの」、「分母」を明確に共有することがポイントなのです。そのような意味で、その会社(企業)・地域(自治体)には、口先だけでない本気の
・ミッション(使命)
・ビジョン
が俄然重要であることがわかっていただけるのではないか、と思います。

さてさて、ここにおいて「プランニング編集術:松岡正剛師匠監修」に書かれている「地」と「図」の関係が、前述の前提・分母に参考になるので引用します。
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・発想のための「地」と「図」
情報には、「地」(ground)と「図」(figure)があります。地は情報の背景的なものを示し、図はその背景に浮かび上がっている情報の図柄をさします。
情報を瞬間的にとらえるとき、私たちは情報の図をみていることが多いものです。「地」情報は、漠然としていたり、連続しているいたりするので思考からついつい省いてしまいがちです。地の情報は、見ているようで見ていないのです。

意識して「地」の情報に着目してみましょう。何を地の情報としているかです。
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そう、この依って立つ「地」(分母)の部分が重要なのです。

是非、会社・地域を成立させている「要素・機能・属性」(第28夜、第92夜)と共に、この「地」(分母)を明確にしてみてください。

それが、『本分』(添付図)なのです。
その「本分」という分母の上に、「本気・本質・本流」(第11夜)という分子が動きます。

ただ、「事業創生・地域創生」で重要なのは、旧来からの逸脱です。
その「本分」に縛られて、従来のやり方・考え方で右肩下がりをし続けている数多くの現実、実際をみてきました。

ポイントは、「本分」を『再定義』することにあります。
「事業創生・地域創生」プロジェクトの前段で行うことは、『本分』の再定義です。

その「再定義」が首記の「価値創造」と「評価」の救世主となります。

次夜は、その再定義の実例をお伝えします。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

本分本気本質本流

橋本元司の「価値創造の知・第104夜」 解発⇒創発⇒開発

2018年2月5日 解発⇒創発⇒開発

本夜は、「価値創造」を‛誘発して、発現する流れ’を綴ります。

『解発』という言葉を聴かれたことはありますか?
その言葉を、「連塾・方法日本Ⅰ 神仏たちの秘密」(松岡正剛師匠著)の中ではじめて出逢いました。

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「モノに赴く物語」

物語というものは世界のどこにでも、どの民族にも
あるものです。そして、シンデレラの型が世界中の人間の心を
打つように、いくつかの物語の型は、民族を越えて多くの人々の心を動かすような『解発力』を持っています。

「解発」はリリースともいう、私が大好きな言葉です。ちなみに‛創発’、エマージェントという言葉もいいですね。

「解発と創発」、この二つの「発・発」がおこると、
そこから何かが出てきます。

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『発』とは、「はじめて外に現れる。出す。おこる。」
と辞書には書いてあります。
つまり、エマージェンス・発現するすることですね。

『創発』とは、
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「創発」とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない特性が、全体として現れること。物理学や生物学などで使われる用語「emergence」(発現)が語源で、自律的な要素が集積し組織化することにより、個々のふるまいを凌駕する高度で複雑な秩序やシステムが生じる現象あるいは状態をいいます。

所与の条件に基づく予測や計画、意図を超えたイノベーションが誘発されるところから「創発」と呼ばれ、組織論やナレッジマネジメントの分野では、個々人の能力や発想を組み合わせて創造的な成果に結びつける取り組みとして注目を集めています。
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私たちの「バリューイノベーション・プロジェクト」では
『解発・創発』が必須です。
異能なスキルを持ち寄り、その各人の『知』を誘発して、
リリースして、奥にあるものを見出し、将来を洞察して、
新しい価値を創造する「道筋」を発現します。

『解発』(goo辞書)とは、
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動物が、同種の仲間の形態・色・音声・におい・身振りなどによって、
求愛・採餌・威嚇?(いかく)?などの行動を誘発されること。
その特定の反応を引き起こす要因をリリーサー(解発因)という。
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『創発』も『解発』のどちらも『誘発されて発現すること』です。

私たちは、事業創生・地域創生のナビゲーターとして、参加者の想いや知を『解発(リリース)』して、「1+1が10」になるように『創発』して、「新価値創造・イノベーション」に導きます。

それは、第6夜「色即是空・空即是色」の構造とよく似ています。「空(大元):解発」をとらえて、「新しい色:創発」に向かう方法です。

そこには、「型・様式」と「コツ・ワザ」があります。
是非、マスターしてください。

それらを「守破離」(第5夜)して、成長マトリクス・シナリオマトリクスの『開発』⇒『開拓』⇒『開際』(第66夜、67夜)の実践編の道が拓きます。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

創発・解発・開発

橋本元司の「価値創造の知・第103夜」 「勿体(もったい)と価値」の関係性

2018年2月4日 『勿体』と『価値』は同一である!

前夜(第102夜)は、価値と価格の関係(主観と客観)について記しました。
本夜は、ずっと気になっていた「勿体(もったい)」と「価値」の関係を初めて綴ろうと思います。

 結論からいうと、「『勿体』とは『価値』のことである」
と直観しました。

さて、『勿体』とは何かをひも解いて『価値』との関係を引き出します。

「プラネット・リンク編」では、
「もったい」と「もったいない」について次の様に著しています。

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「もったい」とは、物の本体を意味する「勿体=物体」のこと。「ない(無い)」は、それを否定したもので、本来は、物の本体を失うことを指す言葉でした。
また。「もったい」には重々しく尊大なさまという意味もあり、それを「無し」にすることから、畏れ多い、かたじけない、むやみに費やすのが惜しいという意味で使われるようになりました。

しかし、なによりも「もったいない」という言葉の奥には、
「努力」や「苦労」、「時間」や「歴史」など、せっかく積み重ねてきたことを「失ってしまう」「無にしてしまう」ことへの無念と哀しみがあるのです。

友人がせっかく淹れてくれたコーヒーを目の前でこぼしてしまったら、「あー、もったいない」という言葉が咄嗟に出てくることでしょう。
それは、コーヒー自体を無駄にしてしまった恨みもさることながら、「おいしいコーヒーをあなたに飲ませてあげたい」と思ってコーヒーを淹れてくれた友人の「努力」と「時間」、「苦労」と、そしてなにより「気持ち」を無駄にしてしまったことに対する申し訳なさ、情けなさ
なのです。 ・・・。

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物を節約するだけでなく、自然を尊び、人間の可能性を大切にするこころ。「もったいない」は、日本が世界に誇る美しい精神です。

第50夜でも綴りましたが、
ここで、日本人が使う「物(もの)」への感覚を提示します。
「物語」の物(モノ)とはどのような意味を持っていると思われますか?ものづくりの「もの」とは違いますね。

「モノには精神性(心性、霊性)が宿っているという感覚」を日本人は無意識のうちに受け継いでいるように思います。
物(モノ)には、物の奥にある精神性・時間が同居しているのです。
「勿体=物体」には、それが含まれているのですね。

そう、それはとても「主観的」です。

自分がまだ20代の頃に、尊敬する「草柳大蔵」さんの講演に参加しました。その中で、「『勿体』とは、そのモノが本来持っている可能性のコト」と話されていて感銘したことが自分の脳に強く残っています。

「大切なもの」「役立つコト」が『勿体』の本質です。

そうすると、それは前夜(第102夜)に綴った『価値』と同一です。
・『価値』=『勿体』
・『価値創造』=『勿体創造』
如何でしょうか?

『勿体』を「つくるコト」と「引き出すコト」がとっても重要です。
それを『才能』と呼びます。

『能』とは、『才(元々備わっている力)』を引き出す力です。その『能』が新価値創造研究所が扱うトリニティー・イノベーションになります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
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橋本元司の「価値創造の知・第102夜」 価値と価格の違い

2018年2月3日 価値とは主観的なもの

価値と価格の違いは何でしょうか?

・価値とは主観的である
・価格とは客観的である

 という「本質を抽象的(第83夜)」に捉えることで、その後の理解と行動が大幅に違ってきます。

それでは「価値」「価格」について、どのように
記されているかを調べてみましょう。

[価値]
・どれくらい大切か、またどれくらい役に立つかという程度。
またその大切さ。ねうち。
・ 哲学的には,人間主体の欲求や関心に対して対象のもつ意味をいい,
それゆえ欲求や関心の度合いにより価値は相対的なものともなる。
・古来,真,善,美,有用性などが哲学上の絶対価値とされてきた。

[価格]
・有形・無形の各種の商品(サービスを含む)の取引に際して提示される金額をいう。
値段(ねだん)とも呼ばれ、サービスについては料金(りょうきん)ということもある。
・価格は、購入される個々の財貨・サービスなど1単位に支払われる貨幣の量のことを指す。
広義には、賃金、利子率、為替レート、地代も含まれる。

有名な投資家のウオーレン・バフェットは、
・「価格」とは、何かを買うときに、支払うもの
・「価値」とは、何かを買うときに、手に入れるもの
と、定義しています。

さて、自分が何について綴りたいかと言えば、
・『価値とは主観的』なもの
ということです。

それでは、添付写真の「空気イオンカウンター」を元に綴っていきます。

私の娘たちは、小学校・中学校時代の夏休みに、埼玉県が主催する「科学展」に毎年テーマを決めて、実験を行い3枚の模造紙に展示発表していました。

ある年、「今年は何のテーマにする?」と中学生の次女に聴くと、
「マイナスイオンについて、調べてみたい」
ということなので、
マイナスイオンの数を測定できるポータブル機器を調べました。

すると、「空気イオンカウンター」が定価7万円くらいでありました。

如何でしょうか?
今この時、あなたは7万円を支出して、手に入れたいですか?
多くの人たちは、その「価値」を全く感じないので千円でも購入しないと想います。
そう、とても主観的なものですよね。

『価値』とは、その人にとって、どれくらい大切か、役立つか、というものです。

私たち新価値創造研究所では、
『新価値 = 世の中に役立つコト』
と定義しています。

それは数値化・客観化できないので、それを説明・説得するのは難しいものがあります。
これは、企業・地域で「今までの枠をはみだす事業企画・商品企画」を経営陣に発表・評価される時の難しさに現れます。

前職のパイオニアスピリッツ・ヒット商品緊急開発プロジェクト(第14夜)の立ち上げで実感したのは、
「経営陣を説得することはできない。納得させることができるか」
にありました。
「主観的なもの」を説得ではなく、納得してもらうコト!

新しい試みには、説得できない、納得しない経営陣が多くいるのです。

「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ。」

心で観ようとする経営陣の共感レベルが、その後の判断と速度を決めていきます。

星の王子様の一節(第63夜)が響いてきますね。

でも、企業・地域の成長の本質は、「価値創造」にあります。
これを重点にして行動している企業・地域とそうでないところとは結果的に大きな差ができます。

さてさて、我が家では、早速その測定器を購入して、
あちらこちらで、「マイナスイオン」を測定しました。

軽井沢の白糸の滝では、凄いレベルのマイナスイオンがありました。驚いたことは、同等のプラスイオンが発生してたことです。
パソコンとプラズマテレビのある締め切った部屋には、
多くのプラスイオンとマイナスイオンが殆どない。
・・・。

そう、それを手に入れることによって、日常の空気の見える化がはかれ、五感と次女との会話と家族の日常が豊かになりました。
もちろん、科学展では素敵な評価とご褒美がありました。

この14年前の経験が、これからの『AIoT』の本質を知る
有用な経験となりました。
一歩踏み込むことで、世界は拡がるのですね。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

 

価値と価格の違い