2018年12月31日 松岡正剛師匠
2018年の大晦日に、記念の第200夜を綴ります。
「価値創造」のためには、それが改善であれ、革新であれ、考え方の母体・分母となる『型』を理解していることがとても重要です。
日本には、『上質な型』が受け継がれているので、それを体得、駆使することで『価値創造の知』を豊穣にすることができます。
今回のテーマの「理解の秘密」では、その母体・分母は、第197夜の『地:背景(バックグラウンド)・コンテクスト』にあたります。
インストラクションとしての「地(分母)と図(分子)」の理解に肝要なことは、たんなる説明や学習や指導要領ではなくて、送り手と受け手の相互の継承の“具合”にあります。
本夜は、自分の師匠との「相互の継承の具合」と「第5夜:守破離」を絡めて綴ります。
「千夜千冊1252夜:守破離の思想」から引用
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守って破って離れる、のではない。
守破離は、
・守って型に着き、
・破って型へ出て、
・離れて型を生む。
この思想は仏道の根本にも、
それをとりこんで日本的な様式行為をつくった
禅にも茶にも、また武芸にも、
開花結実していった。
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宮城道雄(546夜)は、芸道は「型に入って型に出ることに尽きます」ということを頻りに言っていた。そのためにはまず師の門に入る。この当初の師弟相承で「型が動いている」という実感が如実に出てくることを、宮城は何度も強調した。
熊倉功夫(1046夜)は、「型は変移するが、前の型を否定して新しい型が生じるのではなくて、つまり排他的なのではなくて、新旧の型が相対的ないし補完的な価値をもち、重層的に積みあげられていく」と書いている。まったくそのとおりだ。
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そこには、川上不白、世阿弥、利休、織部、遠州が次々に交差しながら現れるので楽しめます。
皆さんの「世界と世間」(第81夜)が拡張すると想いますので、是非、上記全文をご覧いただけると幸甚です。
さて、自分が「経営革新や事業革新」というイノベーションに集中するときに、五感と脳裏を駆け巡るのが、『守破離』(第88夜)と「弁証法」(第15夜・第176夜)です。
様々な講座やプロジェクトでも必ずお伝えするのですが、その際に、肝要の『型』を動かすときにポイントとなるのが「心性・身体性」です。
受講者に、ビデオを含む事例を使って説明してもどうしても頭(脳性)の理解になります。そこにはどうしても伝えられることの限界があります。
自分にとっての『知』のご褒美・財産は、松岡正剛師匠主宰の「未詳倶楽部」(第26夜・第136夜)における「知の出遊」で出会った「格別・別格のゲストの方達の身体知」が大きく影響しました。。
そして、ゲストとホストである松岡師匠とのインタラクションによる「体性・心性・脳性」そして、『守破離の型』のインストラクションでした。
そこで出現する格別・別格を体験することで、「守破離」と「意味のイノベーション」(第130夜)が直結しました。「わかることは変わる」ことなのです。(第8夜、第128夜)
格別・別格の量と質が新結合して、「どうしたら心と身体に響く革新ができるのか」という課題の解決の道筋が観えてくることを経験しました。
そして、2020年以降の時代のキーワードとなる日本流の「第2夜:おもてなし(しつらい・ふるまい・心づかい)」がイメージできます。
その様な『豊穣のインストラクションの場』がこれからの「日本のイノベーション」には不可欠なのですね。
松岡正剛師匠の「格別・別格の場」の身体知により、ご支援対象の『地:背景(バックグラウンド)・コンテクスト』・『新ビジネス・市場』・『新ライフスタイル』の扉の多くを拓くことにつながりました。
そう、自分の中心軸には、松岡師匠による格別・別格の『指図・指南・インストラクション』が息づいているのですね。
そして、それをどう『編集』『継承』するのかが来年の課題です。
本年はたいへんお世話になりました。
皆々様のご多幸を心よりお祈り致します。
価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ