橋本元司の「価値創造の知・第101夜」:価値共創の『ものさし』

2018年1月11日 価値共創進化

第90夜~99夜にわたって、『価値共創』について、その構造と実例やセミナー風景を綴ってきました。
本夜は、価値共創1.0~5.0を「見える化(=一枚化)」(下図)することによって観えることの一部をお伝えします。

「見える化」するというのは、第80~89夜に綴った『抽象化能力』です。「価値創造」には、この「抽象化能力」が不可欠なのです。
それは、溢れた情報を削いで削いでいくことで、『本質』が姿を現し、『関係性』が観えてくるからです。そう、この『本質』と『関係性』がキーワードです。

さて、価値共創1.0~5.0は、其々を既に抽象化してきました。今回はそれらの抽象化群を一堂に会することで何が観えるでしょう。
その為に必要なのは、それら(価値共創1.0~5.0)をどのように配置するかということです。
・右肩上がりに「一直線」に並べる
・マンダラ図のように「価値共創5.0」を中心に並べる
・螺旋形に並べる
・・・

いろいろな並べ方があります。
どれにも「正解」「不正解」はありません。

私の「関心」は、
・この「価値共創1.0~5.0」が更に進化するものなのか?
・進化するとすれば、どのような要素が加わるのか?
・それらをごのような「メガネ=ものさし」で観ればよいのか?(第40夜)

ということでした。
それが下図です。これは、この「価値創造の知シリーズ」で何回も顔を出してきた「ヘーゲルの螺旋的発展弁証法」(第27夜、第87夜)です。
そうすると、図の左側が「企業領域の進化」、右側が「顧客領域の進化」という図式が見えてきます。
価値共創5.0は、そのどちらも合わさり、もう「企業領域」を超えているのが分かります。それは、成長してきた青虫が蛹(さなぎ)になったように映ります。
おそらく、ここから脱皮するのでしょう。それを想像・創造(先どり)するのが、「価値創造=イノベーション」です。

さてさて、この下図を上半分と下半分で観ていきましょう。
上半分は「マクロの領域」で、下半分は「ミクロの領域」と位置づけしています。私はどちらの活動・実践にも関わっているので、どちらの価値が高い・低いということはありません。どちらも重要です。「ホロン」の関係です。
いきなり、「マクロ領域」に手をつけようしても、「ミクロ領域」が活性化していないと頓挫してしまいます。私は20年前に前職で、「価値共創1.0」(ヒット商品緊急開発プロジェクト:第14夜)に着手しました。まだ、ここを手掛けていない企業・地域がいっぱいあります。
次に、下半分(下半身)が積み重なっても、上層のマクロ領域には「構想力」がないとオープンにできません。下層の領域も「構想力」が命です。「新しい市場」とは、過去の延長線上にあるものではなく、夢や理想を掲げた時にこそ現れます。
重要なキーワードは「オープン・マインド」と「構想力」です。この二つは、「二つでありながら一つ」(第33夜、第82夜)なのです。自前主義(スタンドアロン)でやってきた会社・地方が苦手なところです。ここの壁を克服する必要があります。

この構造は、私が関わっている「事業創生」と「地域創生」のどちらも同じです。地域創生では、「住民協働」「官民協働」が重要課題になっています。上手くいっているところは隆々としています。
企業(会社)も地域(自治体)も、この図の中のどのポジションにいるかを自ら指さしてください。縦串から横串(第23夜、第80夜)へ。
重要なことは、『新しい目的』(第28夜)を掲げ共有することです。構想力があれば、まだまだできること(余白:第50夜・89夜)はいっぱいあります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
価値共創進化