橋本元司の「価値創造の知・第114夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』③学ぶ⇒真似ぶ⇒翔ぶ

2018年3月10日 学ぶ⇒真似ぶ⇒翔ぶ

本夜は、次夜(第115夜)の『インターネット的:価値創造とイノベーションのあいだ』のための前段です。
『3C』(第112夜)の時代に、異業種・異業態のいい仕組みを取り入れることによって「イノベーション」につなげられている実例です。

それを下地にして、『インターネット的』なるものをベースにした時に、現在の会社(事業)はどのようなイノベーションの可能性があるのかを考えてもらうための前提になります。
研修先やご支援先によって幾つかの事例(コンテンツ)をご用意していますが、今回は「バリューイノベーション研修」で活用しているものをご紹介します。

今回は、3つの事例(①スターバックス、②トヨタ生産方式、③株式会社武蔵野)をあげます。

①スターバックス
エスプレッソの歴史は18世紀初頭、ナポレオンが発令した大陸封鎖令によって、イタリアでのコーヒー豆の流通が激減し、 ローマのカフェで小さなカップで飲まれるようになったのが始まりと言われる。
米スターバックス CEOハワード・シュルツがミラノを訪れたのが1983年。シュルツは現地で多くのカフェバールを訪れるが、その後のスターバックスの将来に大きく影響を与える光景を目の当たりにする。
それは、上質で洗練されたエスプレッソとホスピタリティ溢れる熟練したバリスタ、人々が集まり形成されるコミュニティの存在だった。
アメリカに戻ったシュルツは、それまでコーヒーの量り売り専門店だったスターバックスにエスプレッソを持ち込み、1984年にカフェビジネスをスタートする。
こうして、現在のスターバックスのスタイルが確立された。(引用加筆:ESPRESSO JOURNEY)

②トヨタ生産方式
「アメリカのスーパー」から生まれたトヨタ生産方式は、 意外な結びつきによって何かが生まれ、新しい発想が得られるという模倣から生まれた逆転の発想です。
それは改善ではなく、「イノベーション」です。

大野氏は、著書『トヨタ生産方式』で次のように説明している。
「スーパーマーケットから得られたヒントとは、スーパーマーケットを生産ラインにおける前工程とみてはどうかということであった。
顧客である後工程は、必要な商品(部品)を、必要なときに、必要な量だけ、スーパーマーケットに当たる前工程へ買いに行く。
前工程は、すぐに後工程が引き取っていった分を補充する。こうしてやっていくと、私どもの大目標である『ジャスト・イン・タイム』に接近していけるのではないかと考え
本社工場の機械工場内で昭和28年(1953年)から、実地に応用してみた」

③株式会社武蔵野
株式会社武蔵野は、「経営品質賞」を2度受賞された中小企業の会社で、小山昇社長には、2回お会いしました。

私は自称「パクりの天才」です。「他社からパクる」ことを決定する。真似こそ、最高の創造である。「『株式会社武蔵野』の正式名称は、『株式会社盗品見本市』」と冗談めかして話すくらい、他社の真似ばかりしてきました。
個性が尊重される時代にあっては、「真似すること」は「恥ずかしいこと」だと思われがちです。「独自性で勝負することが正しい」と考えられています。ですが、私はそう思いません。
とくに中小企業は「真似することが、正しい」。「学ぶ」は「マネぶ」。真似こそ最高の創造であり、真似こそ最高の「戦略」です。「他業界の成功事例」を積極的に取り入れてきたからにほかならない。
「株式会社武蔵野」のしくみは、100%どこかの真似であり、自社で考えたものは、なにひとつありません。

この会社の凄いのは、「真似たものを徹底的にシステム化」するところにあります。それも含めて本格的にコンサルタントをされています。

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第100夜に綴りましたが、先輩や師匠のおかげで、たくさんの会社・地域の現場を訪問し、数百社の想い、仕組みを私自身が体験してきました。そのような引き出しを持っていることで、連続のヒット商品もプロデュースしてきました。
「学ぶ」の語源は「まねぶ」であり、模倣は「創造の母」とも言われます。優れた異業種・異業態を学び、お手本として、そのの本質を見抜き、そして飛翔する。ここがポイントです。そこには、『確信』が必要です。

学ぶ ⇒ 真似ぶ ⇒ 翔ぶ

というのが、上記、①スターバックス、②トヨタ生産方式、③株式会社武蔵野
でも分かりますね。上記はほんの一部で、イノベーションの神様の「スティーブジョブズ」も同様でした。

さて本夜は、首記で記したように前段です。ここに、「インターネット的」なるものを「合わせ、重ね」をした時のイノベーションを次夜(第115夜)に綴ります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
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