橋本元司の「価値創造の知」第320夜:iPhoneの衝撃

2024年11月28日 スティーブジョブズとiPhone価値創造DG

「2+1」「価値創造DG」を解説してきましたが、現代のNo1イノベーターである『スティーブジョブズ氏』と『iPhone』をそこに埋め込んでみることで、皆様の理解の度合いが劇的に変わることを経験してきました。『自分創生、企業創生、地域創生』のヒント満載です。

 ジョブズ氏の生年月日は、1955年2月24日です。今生きていれば69歳。自分の誕生日とはたった一か月の違いで、色々な意味で親密感を持っていました。
前職パイオニア社の時に一回だけですがいい出逢いをしました。「イノベーションのカリスマ&権化」のオーラがありました。

 さて、「スタンフォード大学卒業式辞」には、3つの話があります。
①点を繋げること
いまやっていることが何かに役立つと信じること。その点がどこかにつながると信じていれば、他の人と違う道を歩いていても自信を持って歩き通せる。それが人生に違いをもたらす。

②愛と喪失
自分を見失わない。あなたも仕事にも恋愛にも愛せるものを見つけましょう。

③死について
死は古き者を消し去り、新しき者への道をつくる。他人の雑音で、心の声が掻き消されないようにしてください。そして、最も大事なのは、自分の直感に従う勇気を持つとこです。直感とは、あなたの本当の求めることを分かっているものです。

この3つの話を通底するものは、「禅の思想」です。ジョブズ氏が「禅寺」に通っていたことは有名です。『禅・ZEN』という視座をもっているかどうかで観え方がぜんぜん変わってきます。
「価値創造の知」連載では、『禅』について、
第6夜:「色即是空・空即是色」
第33夜:禅と価値創造
第76夜:価値創造の秘訣
にて綴っていますので関心のある方はご覧ください。

それを観ていただければ、下記がつながってきます。
①革新:点を繋げること(イノベーション)
②情熱:愛と喪失
③覚悟:死について

『禅(ZEN)』の修行で一番大切なコトは、“二つでありながら一つ”ということです。(第33夜)
イノベーションの本質は、“新結合”(第32夜:イノベーションと価値創造)ですが同一です。

 「The second story」のテーマは、「love and loss=愛と敗北」
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アップルを追われなかったら、今の私は無かったでしょう。非常に苦い薬でしたが、私にはそういうつらい経験が必要だったのでしょう。最悪のできごとに見舞われても、信念を失わないこと。自分の仕事を愛してやまなかったからこそ、前進し続けられたのです。皆さんも大好きなことを見つけてください。仕事でも恋愛でも同じです。仕事は人生の一大事です。やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。決して立ち止まってはいけない。本当にやりたいことが見つかった時には、不思議と自分でもすぐに分かるはずです。
すばらしい恋愛と同じように、時間がたつごとによくなっていくものです。だから、探し続けてください。絶対に、立ち尽くしてはいけません。
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④偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛すること
⑤最悪のできごとに見舞われても、信念を失わないこと
⑥探し続けてください。絶対に、立ち尽くしてはいけません

 『挫折・切実』→『逸脱』→『別様』

 という『イノベーション・セオリー』
の最高のお手本です。

 それでは、上記を背景にしながら「2+1」でiPhoneを紐解きましょう。

携帯、カメラ、レコーダー等、持ち歩く情報機器をシームレスにして、一つ上のレベルにイノベーション・ジャンプしています。
iPhone以前、私はそれらをいつもカバンの中に入れて持ち歩いていました。
それがシームレスにつながった時の感動を今も忘れません。

iPhoneのコンセプトは、

『創造的な人々の知性を増進する道具を届けたい』

新しい組み合わせによる新しい価値創造の基盤です。

それでは、上半分を入れ込んだ価値創造DMを見てみましょう。


①Problem:次のアップル社の柱をつくりたい
②Insight:イノベーターマインドの提供

④自社の強み:三位一体のシステム
⑤顧客の幸せ:コンシェルジュ
⑥新しい文化:全世界にスマホという新しい文化、ライフスタイルを創造しました。

 当時、日本のソニー社、パイオニア社はいいところまで近づいていましたが、
④スティーブジョブズ氏が三位一体の仕組みを創り上げたことが「未来の先取り」であり、成功の礎になりました。
 前夜にも綴りましたが、私たちの生活、仕事、「知」、「未来」を大きく変えました。

 ビジネスで最も大切なコトは、「④違いを創るコトと、「⑤共感を生み出すコト」を一緒にして、継続的に新結合することです。
これが、「戦略・戦略・新文化の肝(キモ)」になります。
参考になれば幸いです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ