2024年12月1日 谷口正和師匠の言葉を伝えます
前夜は、
価値創造/イノベーション実現で大事なことは、『心のフェーズ』と『ものの見方のフェーズ』を変えることをお伝えしました。
本夜は、それを「谷口正和師匠」(第313夜)がどのように語っていたのかを記すことで皆さんのご理解が進むことにつながれば幸いです
1997年頃、私が前職パイオニア社で「ヒット商品緊急開発プロジェクト」で、『本気』で異業種コラボによるヒット商品を創出していた時に、谷口師匠のところによく相談に行っていました。

その時の言葉を紹介します。
前夜の『心のフェーズ(本気・覚悟)』を谷口師匠は、『本気のポリシー』と言い換えていました。
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・・・「本気のポリシー」を持ち、独自なる企業創造、事業創造に賭けたものだけが生き残ります。
未来を自ら計画し、実践し、我が「本気のポリシー」の意志の現れとして行動した者だけが生き残るのです。
・シュガーレディ(冷凍食品・宅配サービス)
・東都観光バス(車椅子利用者・観光バス)
・ミグロ(スイス最大の小売業)
等々の事例も上げていただきました。
我々は企業経営を「次なる未来への大局観」にシフトして現在を経営しなければなりません。
企業哲学、理念、指針を「本気のポリシー」そのものとし、顧客と市場に公開しなくてはなりません。
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当時の自分の心性と知性に大きな影響を与えてくれました。
師匠主宰の勉強会「文化経済研究会(2002年から2017年の間に計75回開催)」(第313夜)には、上記の『本気のポリシー」』を持って実践している講師(経営者)の方たちが、毎回2名(年6回)来られて講演されます。

そのうちの100人くらいの講師(経営者)の方と懇談・面談する機会があり、その後の自分の「知(インテリジェンス)」と「人的ネットワーク」の大きな得難い財産となりました。
30歳半ばから、そのような機会に継続的に参加(15年間)できたことに「感謝」しなければなりません。
さて、重要な認識は「文化が発生して、その後に経済が起こるコト」にあります。
「小手先の儲かることよりも、文化を発生させて新しい市場を創り経済を起こすコト」を重要視してきました。
その為に、自分の思考や行動が「新文化づくりのヒット商品(新ライフスタイル創造)」や「新市場/新事業開発」のほうに大きくシフトしました。
(前職パイオニア社では、ヒット商品緊急開発プロジェクトを成功させた実績を元に、上記活動を認めてもらえるようになりました)
さて、当該事業の行き詰まりを突破するために、「新市場づくり、新文化づくり」を突き詰めて検討していくと、そこで観えてくる将来の風景・構想から、自社の「本来と将来」の見直しが必要とわかってきます。
1997年、まだ一課長の分際で、そんな生意気なことを考えて実行に移していきました。
その過程で、結構な摩擦・軋轢と役員からの反対の声もありました。これも必ず起きることです。
それでは、次の「新しい物差し」に移ります。
1997年、谷口師匠が『新しい物差し』という本を上梓されました。
それは自分にとって、とっても痺れる内容でした。

プロローグの一部を引用します。
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私たちは今時代の大きなカーブを曲がろうとしている。
しかもそのカーブは非常に大きく、しかも猛スピードで曲がり切らなければならないカーブである。
曲がり切れなければ次なるニューパラダイムの遠心力で吹っ飛ばされるだけだ。
「古い物差し」を捨てよう。『新しい物差し』を使おう。
新しい価値観を示す『新しい物差し』、その物差しで時代を、社会を、生活者を計ろう。
我々には、『新しい物差し』が必要であり、その物差しによって次なる想像力を喚起し、行動を速めることができる。
それが今、何よりも大切なのだ。
波のように押し寄せる新しい価値観をなんら恐れる必要はない。手に一本の「新しい物差し」さえ持っていれば、新しい出来事の意味と解釈、その対応策まで見えてくる。
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転換期はややもすると声高に叫びすぎたり、過去の事例に引っ張られて慎重になりすぎたりする。当然ながら、混乱はつきものである。
この混乱の中から次なる新しい物差しが出てくるのであり、我々はそのことに対して素直になればいいのである。むしろチャンス到来とばかりに、爽やかに変化を迎え入れればいいのである。
この時期、この混乱をお互いに身の保全ではなく、生まれ変わるチャンスと認識すれば、混乱もまた楽し、である。企業だけでなく、国家も個人も、みな第2の創業期なのである。
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27年前の本ですが、全く色褪せることなく直球で、心と頭に入ってきます。
『新しい物差し』とは、いわば新しい判断基準であり、判断の根拠です。
それを探求、発掘、実践しながら、「本来と将来の羅針盤」となる『3つの知』を体系化していきました。
「深い知」「高い知」「広い知」を体系化した方法『3つの知』は、谷口正和師匠、松岡正剛師匠の『知』と自分との合作で仕上がりました。

さてさて、現在は、
「学生の、企業の、地域の、国家の『新しい物差し』は何だろうか」
をよく観察、考察、洞察して、『心のフェーズ』と『ものの見方のフェーズ』の変化をベースにしてご支援しています。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ