2024年12月2日 (株)マザーハウス「まずやってみる、そして夢中になる」
前夜に、谷口正和師匠/文化経済研究会の「新しい物差し」をお伝えしました。
文化経済研究会に招聘される講師の方たちは、皆さん「新しい物差し」を持って邁進されていました。
と同時に、その内容は、「2+1(ツープラスワン)」の事例の宝庫でもありました。
研究会で語られる「心得と方法」群は、自社の中では絶対に聴けないものでした。
本夜は、「2+1(ツープラスワン)」の最適事例の一つをご紹介します。
それは、2015年11月19日の第80回文化経済研究会のセミナー第2部で講演された、株式会社マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナー山口絵理子さんです。

その講演レポートを引用します。
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「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をミッションにバッグ
づくりを始めた山口氏。爆弾テロや天災に遭いながらも、誠実にビジネスを
進め信頼できる生産体制を確立した。ハーバードビジネススクールクラブ・
オブ・ジャパンアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2012受賞。可能性を信じ、
夢を実現した同氏の市場を作る力に学ぶ。
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・・・マザーハウスは途上国から先進国に通用するブランドを作るというコンセプトのもとにバングラディッシュの工場でバッグを作り、今やその販路は日本だけではなく台湾や香港などアジアに広がっていこうとしています。
途上国の開発にもともと興味を持っていたために、ワシントンの国際機関での勤務やバングラディッシュの大学院での勉強を経ますが、その中で「フェアトレード」という活動の持つ歪さに気付きます。
「途上国の人が作った製品を、先進国の人はそこまで欲しくも無いにもかかわらず『可哀想だから』と憐れんで買う、これのどこがフェアなのだろうか?」
バングラディッシュでも大学はあり、そこに通える人は高い家柄と能力を持った人ばかりですが、バングラディッシュの状況を変えられるかもしれない彼らはコンサルタントやIT技術者を目指し、自国の産業であるジュードやモノ作りの分野は敬遠される傾向にあるそうです。前者の方が報酬が圧倒的に良いであろうことからそれは致し方ないのかもしれませんが、そこで山口氏はなんとかしてバングラディッシュの特産品であるジュードで「カッコいい製造業はできないだろうか」と考え、先進国の人々がお情けではなく本当に欲しいと思えるようなブランドをバングラディッシュから発信しようと決心します。
「ビジネスとして成立しなければ生き残れないし、真の途上国・生産者支援にはならない」と考えたのです。
マザーハウスは今やバングラディッシュのバッグ製造業としては国内4番目の工場を抱えており、そこで働いているということは現地社員の方々にとっても誇り。
例えば、日本では会社に勤めている人であれば当たり前のように首から下げている社員証。
現地社員の方はこれを親戚に見せびらかすぐらいに嬉しいものだそうです。写真を撮ったり撮られるということもあまり無いために自分の顔写真やIDの入っている社員証が自分の社会的地位を示すものとして尊厳の一つになるのだとか。
バングラディッシュで作られたそれらの商品の数々はクオリティ的にも第一線のブランドに全く劣らないものばかり。質が均衡しているとすれば、支持されるのはストーリーや背景です。あるいは、マザーハウスの活動によってバングラディッシュなど途上国が盛り上がればそれは新興国の経済効果となって結果的に誰もがメリットを得ることができる。この
グローバルな三方一両得の構図に気付いている人が徐々に増えていっているのかもしれません。・・・
・・・心が若くある限り、会社全体もそうあることができます。いつも考え続けることで、私たちは若いままでいられます。もっと成長できるのです。もうグローバル企業になるスタートは切っているのです。最初のステップはアジアにもっと進出すること。本当に夢を達成できたといえるのは、世界のあらゆる場所にマザーハウスができたときです。それがお店であっても生産地であっても、マザーハウスの存在感も商品も両方、世界中に広めたいのです。それがマザーハウスと叶えたい私たちの夢です。本当にたくさんお客様にお伝えしたいことはありますが、一番伝えたいのは、お客様に満足いただくために私たちはここにいて、いつもベストを尽くしているということです。デザインや品質、生産過程、素材、すべての面で。だからお客様にはこれからも共にあり続けることをどうかお願いしたいです。成長のパートナーとなってくださることを。この会社は本当に特別です。特別な目的・目標・哲学を持っています。ビジネスのためだけでなく、社会全体の発展を目指しています。皆様にご満足いただける商品を作っていきますので楽しみにしていてください。・・・
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「自分のやりたい事で世界を幸せにしている」山口氏の笑顔が印象的でした。
講演が終わってからは来場者の皆さんが口々に「感動した」と仰り、講演会場であったアイビーホールから徒歩で3分程度の場所にあるマザーハウス青山骨董通り店に押し寄せたため店内は大賑わいの状態になりました。

その中の一人が私であり、気に入った商品を即購入しました。ww
それから4年後の2019年に、「Third Way:第3の道の作り方」を上梓されました。

是非、読まれることをお薦めします。
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25才で起業したときから掲げた言葉は、
『途上国から世界に通用するブランドをつくる』

それを「2+1(ツープラスワン」に表します。
図中の「B」をどうするか、その取組み、障壁、実践が記されています。
●「途上国」と「世界」
「途上国から」と「ブランドをつくる」
それぞれ相反する二つのモノを組み合わせています・(=「2+1」)
●「大量生産」と「手仕事」
→手仕事を“効率的”にやるには?
●「社会性とビジネス」
●「デザインと経営」
●「個人と組織」
●「グローバルとローカル」
→『今年、来年の数字を見る姿勢では何も生まれない』
私たちは、ついつい「妥協点を探る行為」を求めがちだけれど、きっとそれだけでは消耗していく。
私は両者の交差点で生まれるアイデアや共感、相互作用が『もう一段高い次元での解決策を、広く社会に提供するもの』であると信じている。
何より、その方が楽しい。ワクワクする。無理がなくて、長続きする。
だから、サードウェイという考え方を一人でも多くの人に知ってほしいと強く思った。・・・
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「2+1」「価値創造DG」を構想し、実践、成長されてきました。
2019年は、私がSDGsイノベーション」の心得と手段を、本格的に企業・学校・自治体に「啓蒙・啓発・啓行(しる・わかる・かわる)」している時でした。

この「山口絵里子」さんの“決意・生き様・方法”を図解して、いろいろな「場」でお伝えしてきました。
是非、参考にして活用していただければ幸いです。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ