2024年12月18日 「知の怪人(佐藤優)」と「知の巨人(松岡正剛)」
前夜は、「価値創造の知」の体系を、「色即是空・空即是色」を交えながら、『大元・虚・there・あり方』で葛藤・通過しながら、「新しい現実・新しいやり方・別様」というイノベーションジャンプを解説しました。
その理論と実践を企業ご支援や地方創生の『場』でじっくりとお伝えしています。
2018年10月の仙台未詳俱楽部2日間(詳細は、第26夜・第119夜)には、「佐藤優さん」というとびきりのゲストが来られました。
昼は、塩釜発着松島周遊コースの船に遊び(第333夜)、夜は、秋保温泉 ホテル瑞鳳で「知の怪人(佐藤優)」と「知の巨人(松岡正剛」という二人が語り合う格別・別格の時空間なのでした。

■「負」や「行き詰まり」を乗り越えるための原因やヒント
佐藤優さんは、日本の外交官でもありました。
『知』と連関する「能力とやる気」についてのパートで、4つの分類をされたところから、夜の会は始まりました。
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① 能力があり、やる気がある人
② 能力があるけれど、やる気が無い人
③ 能力はないけれど、やる気がある人
④ 能力がなく、やる気が無い人
佐藤さんから、「一番問題のある人は誰だと思いますか?何番でしょうか?」という問いがありました。
皆さんは、どう思われますか?考えてみてください。
その時、自分の中では、前職・パイオニア社のトップを含むある役員の顔がすぐに浮かびました。
そして、すぐに分かりました。

佐藤優さんから、
「多くの人は②“能力があるけれど、やる気が無い人”を選びますがそれは間違いです。
答えは、③“能力はないけれど、やる気がある人”です。
「外交」でこれをやられると取り返しのつかないこと、後始末が大変なコトになりますね。
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企業や自治体でも全く同じです。
そのような人が権限を持つと、「とてもやっかいな人」になるのです。それが、事業や研究所や地域を衰退の道に導きます。
問題は、その人たちは、敷かれているレールの上で、もうやることが分かっている過去の「成長」のステージ(鉄道の時代:第141夜、第150夜、第333夜)では能力を発揮した「オペレーター&マネージャー」なのです。前夜図解の「左上領域」です。
しかし、成熟から衰退に向かうステージで、「次の柱」や「新しい本流(オルタナティブ・第148夜)」に舵を切る、乗り出す「航海の時代:第156夜」の「価値創造イノベーション&イメジメント」にはまったく不向きなのです。
そう、時代の変わり目には違う能力が必要なのです。
いまは「航海の時代(イノベーション)」なのに、「鉄道の時代(オペレーション)」の能力では太刀打ちできません。
会社の中では、「過去の能力(オペレーション)で以って将来も切り拓けるだろう」という間違った物差しで経営や重要部門のリーダーに選出される。
そして、その能力でやる気を発揮してしまうことが・・・。
前夜に綴った、
・「実に居て虚にあそぶことはかたし、虚に居て実を行ふべし」
のことです。
でもこれは、前職だけの現象ではありません。
これまで多業種業態をご支援してきましたが、その様な経営者のほうが多いのです。
企業ご支援、地域ご支援で、前夜につづった
・行き詰まり → 大元・空・虚 → 新しい成長
・ 切実 逸脱 別様
・ 本気 本質 次の本流
の事例・演習や、異業種・同業種の先行成功事例を駆使して、
「しる→わかる→かわる」
のステップで、経営者が開眼するケースも多くみてきました。
さて、「知の倶楽部」では、佐藤優さんから「知(インテリジェンス)の使い方」の徹底指南がありました。
ここでは書ききれないのですが、多くの深く高い見方、洞察、体系を学びました。感謝です。
■「古典」を読む!
夜会の後の「懇親会」になって、正剛師匠と佐藤優さんの間に入って私の悩みを打ち明けました。

当時、正剛師匠は、「松岡正剛の千夜千冊」において、すでに「1700夜」連載を超えていたのですが、私の「価値創造の知」の連載は、170夜くらいから行き詰まりを感じていました。
・『「価値創造の知」の執筆で壁にぶち当たっています』
という悩み事相談でしたが、
正剛師匠からは、迅速な回答がありました。、
・「古典を読むことで観えることが多くあるものだ」
という助言でした。
佐藤優さんからは、「古典ヘーゲルの知」を推薦されました。
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・・・なぜヘーゲルのように難しくて、資格や語学みたく人生に直接的に役立たない面倒くさい本を読み解いていかなければならないのかと思う人もいるかもしれません。
しかし『ヘーゲルのような古典こそ現実の出来事を具体的に見ていくうえで役に立つ』のです。
『実用的なノウハウは使える用途が限られるので、その様な断片的な知識をいくら身につけても、長期的には役立ちません。
根源的な知を身につけ思考の土台を作り、実際に役に立つところまで落とし込んでいくこと』が求められています。
逆に云えば、実際に役立つところまで落とし込むことができないのならば、ヘーゲルを読む意味がありません。・・・
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ポイントは、
・『実用的なノウハウは使える用途が限られるので、その様な断片的な知識をいくら身につけても、長期的には役立ちません。根源的な知を身につけ思考の土台を作り、実際に役に立つところまで落とし込んでいくこと』が求められているコト。
・『ヘーゲルのような古典こそ現実の出来事を具体的に見ていくうえで役に立つコト』
でした。
私は仙台の『知の出遊』から帰って、すぐに下記2冊を購入しました。
①「知の操縦法」佐藤優著

②「ヘーゲル『精神現象学』武田青嗣/西研 共著

その後も様々な「古典」を読み続けることが、自分の財産になりました。
そして、「価値創造の知」を継続展開することができました。
途中、3年半のブランクがありましたが、『古典の多くの知』が「自分の座標軸づくり」や「事業創生・地域創生・人財創生」に大きな役割をもたらしてくれました。
是非、皆さんも『古典』に手をのばすことをお勧めします。
その前提になるのが、
・あなたが求められている「知」は?
・あなたが求めている「知」は?
是非、探求されてくださいね。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ