橋本元司の「価値創造の知」第338夜:「土俵が変わる、土俵(自分・自分たちの)を変える」

2024年12月27日 『土俵が変わる、土俵(自分・自分たちの)を変える』

・前前夜(第336夜)は、左斜め上の領域から「変化に対応できなければ、会社は倒産する(第13夜)」コトをお伝えしました。
その時間軸の『大変化』において、「後戻りしない変化=3つのX:トランスフォーメーション」について綴りました。

・前夜(第337夜)は、「変化に対応する」ためには、「マネジメント(管理・オペレーション)能力」の前段の『イメジメント』の個人能力、組織能力の必要性をお伝えしました。
そのイメジメントに必要な「境目・境界を乗り越える能力」となる「3つの知」(深い知・高い知・広い知)を図解しました。

■ 「後戻りしない変化」
 上記をベースにして、本夜は、「後戻りしない」大変化に対応するためのオリジナル体系図を提示します。
それを多くのセミナーでお伝えしてきました。

①「後戻りしない変化」とは、『土俵が変わる』=『常識が変わる』ということです。
②「土俵が変わる」ということは、それに適応した『(自分・自分たちの)土俵を変える』ことが必要です。
③「土俵を変える」プロセスが、「構想」・「2+1」のプロセスであり、その結果が、「新しい全体」・「価値創造」になります

 さて、昭和時代の産業の高い利益は、「産業、家電業界、半導体業界」等、マルチの産業が叩き出していました。
しかし、いまは「自動車産業の一本足打法」に頼っています。
 ただ、オーディオ業界、携帯電話業界等が「iPhone」の登場(2007年)で産業が蒸発したように、クルマ産業も昭和時代の精密機械中心の価値から、「iPhone化」してバージョンアップする「大変化」の真っ最中です。

 つまり、クルマは、「ハードウェア×ソフトウェア×ネットウェア」(「2+1」)に進化しています。
スティーブジョブズ(第157夜、第165夜、第320夜、第321夜)の「iPhoneモデル」が
・『クルマ産業だけでなく、多くの将来産業の土俵を大きく変えている』
 という認識を持つと、産業の将来の風景が変わってきます。

■ 経営統合の意味と先行き
 今週、メディアで「HONDAとNISSAN」の経営統合の話が上がっていましたが、
『昔の土俵=常識・意識』のままでは、上述のオーディオ、携帯電話の二の舞になることが明らかです。
このことは、10年以上も前から言われていたことですが、「成功のジレンマ(成功体験こそが、失敗の原因になる)」を追随しています。

 是非「2+1」で、『逸脱→別様』していただくことを「構想→実行」(第337夜)していただきたいですね。
HONDAさんが『別様』に向かって挑戦してきた中に幾つかのヒントがあります。
日本のクルマ業界が持っているポテンシャルを、クルマ以外の『別様=価値創造』に向かうことが一本足打法からの脱却には『肝要』です。

 政治の世界も、「103万円の壁」で配分を考えること以上に、
日本の将来成長の『切実⇒逸脱⇒別様』に、政治・経済界多くの時間を割いて欲しいと「切」に思っています。
 
 そのために、土俵を変える「2+1」、「3つのX(トランスフォーメーション)」を多くのセミナーや各種ご支援で説明しています。

■ トランスフォーメーション(=X)と価値創造の体系図

◆ 左側は、時間軸を表します。
・下が現在で、上が2030年(SX)、2050年(GX)の変容です。
◆ 真ん中(センター)は、今まで何度も事例でお伝えしてきた価値創造の「2+1」です。
・本業(半分)とSDGs・17の社会課題(半分)から、新しい価値を創造して、新しい全体をつくります
・その価値創造のために、下記「3つの知(A.B.C)」が必要になります。

◆ センター下側が、「航海の時代」の『錨(いかり)』になります。
・それは、これまでの「常識」に屈しない「新ミッション」です。
・「A: いったいなんのためにやるのか?」(志・使命・存在意義・情熱)
・Being: どうありたいのか?
・「実に居て虚にあそぶことはかたし、虚に居て実を行ふべし」

◆ センター上側が、「航海の時代」の『北極星』になります。
・それは、将来の方向性を示す「新ビジョン」です。
・「B: なりたい姿、いつまでに?」
・Becoming: どうなりたいのか?
・「実に居て虚にあそぶことはかたし、虚に居て実を行ふべし」

◆ 右側が、上記を具体化するための『格別の手段』です。
・これが、第308夜からお伝えしてきた「イノベーション」です。

 重要な認識は、これらはつながっていることです。
トランスフォーメーションの時代に、「イノベーション」を実現するためには、「ミッション・ビジョン」の新しい読み解きが不可欠です。
その具体的事例を「価値創造ダイヤモンドグラム」(第317夜~320夜)でお伝えしてきました。 

■経営陣が明確にする3つのコト:プロセスの整理と関係

・ミッション→ビジョン→イノベーション
・深い知  →高い知 →広い知
・Why    →WHAT →HOW

大変化の時代に、リーダーは、経営者は、『深い知→高い知 →広い知』を読み解くスキルを身に付けること、磨き上げることが、自分たちの「本来と将来」を輝かせてくれます。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ