2025年11月19日:価値創造を実現する「3つの知」を「しる→わかる→かわる」
「事業(企業)の大目的は『顧客価値の創造』です」(第82夜、第170夜、SDGs経営塾第10回に詳細)
「顧客価値の創造」が継続的にできなければ、急速に商品・サービス・ブランドの魅力がなくなります。それは、顧客からの「対価」がなくなることを意味しています。企業は、先を読んで『世の中の変化』に適応して、「新しい価値」を創造し続けなければ生き残れないことをこのコラムでは繰り返しお伝えしてきました。
「顧客価値の創造」とは、「世の中に役立つ未来を先取りすること」を目的(鍵穴)として、「イノベーション(3つの知)」の方法(鍵)を通して実現することにあります。下図の様に、「価値創造」と「イノベーション」」はコインの裏表です。

日本の失われた35年から「離脱・脱皮」する最上の方法が『価値創造』です。従来通りの「事業の業務改善」だけでは立ちいかない「後戻りしない変化(トランスフォーメーション)」による様々な課題が顕在化しています。そこに必要なのは、「業務改善」対応ではなく、「事業革新(改革)のための『価値創造』」です。
それをスティーブジョブズは、「Think outside the box(=箱を出る)」と言っていました。彼の口癖だったそうです。これまでの「価値観の箱(常識・枠・殻)」をはみ出る、跨ぐことです。
従来の「枠・境界」を越えて「逸脱」しないと「新しい価値」は生まれません。
下図は成長経営するための境目・境界を乗り超える『逸脱』の「3つの知」軸を表しています。
そこに、『深い知(人間軸)・高い知(時間軸)・広い知(空間軸)』という体系的な「3つの知」があります。

・下図の様に、「価値創造・3つの知」は、成長経営の羅針盤(ミッション・ビジョン・イノベーション)そのものに直接つながってきます。

・そして下図の様に、この「3つの知(型)」は相互に関係しあって、
「Why?→What?→How?」という本筋となります。

■ 「価値創造」のための「逸脱」の方法:「Think outside the box」(第170夜詳細)
「顧客価値創造」のための『逸脱(=箱を出る)』の方法は二つだけです。(第75夜)
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1.不要なものを削いで取り除いて核心に辿りつく方法(深い知)
2.モノやコトを新しく結びつけて革新に辿りつく方法(高い知、広い知)
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この二つは、もともと日本が得意としてきた二つの方法です。(第362夜に詳細)
「2.モノやコトを新しく結びつけて革新に辿りつく方法」の「高い知」と「広い知」は同じ方法なのですが、対象が「時間軸(高い知)」「空間軸(広い知)」が違うものです。
詳細は図解と共に後述します。
⇒上記1.2.二つ(2軸)が、『ビジネスで最も大切なコト』です。
1.『A.共感』を生み出すコト:不要なものを削いで取り除いて核心に辿りつく
2.『B.違い』を創るコト:モノやコトを新しく結びつけて革新に辿りつく
上記二つは、『経営の2大戦略』に繋がってきます。

さて、この二つは「別々のもの」ではなく、「二つでありながら一つ」です(第82夜:「違いと共感」に詳細)。 身近な例では、「鍵と鍵穴」「表と裏」「陰と陽」「心と身体」「夫婦」「坐禅の結跏趺坐」「縁側」「陰翳礼讃」等があります。
(参考:私達の心と身体が二つである、と考えるとそれは間違いです。心と身体が一つである、と考えるとそれも間違いです。私達の心と身体は、“二つでありながら一つ”なのです)
それでは、それぞれ、「共感」と「違い」を要約していきます。
⦿ [A.共感]: 『共感度』が低ければ対価も下がります。現在の市場の短期的な「共感」にだけフォーカスしていると「違い」への逸脱ができ辛くなります。「共感」にもグラデーションがあって、慣れてくると価値が薄れてきます。他との「共感度」に差がなくなれば、図解の左側の低い「共感」に向かいます。顧客の「NEXT共感」を明確にして顧客を捉える想像力が必要です。
⦿ [B.違い]: 他と『違い』がなければ、「低い提供価値」になります。そうなると、顧客の関心・興味が薄れて対価が減り、次の価値づくり、投資が出来なくなります。事業継続の維持が危ぶまれてきます。
前職パイオニア社では「総合研究所や技術研究所」に在籍していましたが、シーズの「違い」ばかりに目を奪われて、それが世の中に、顧客に、本当に役立つのか、ニーズがあるのか、共感するのか、を見極めないで突っ走り、結局何も成果が出せなかったという事例を多くみてきました。複数の他業種の研究所に、「シナリオプランニング」のご支援でうかがいましたが、どこも同様の悩みがありました。
あらためて、「企業の目的は、“顧客価値”をつくること」にあります。それを維持・継続できなければ、企業の存続は困難になります。 その“顧客価値”をつくることができる、ただ二つの機能が上記の『違いと共感』です。
さて、『違い』をつくるのは「技:イノベーション」で、『共感』を生み出すのは「心:マーケティング」です。(第32夜参照)
因みに、企業では「イノベーション(違い)」は、主に研究開発・技術開発部門が担当し、イノベーションは『技(Skill&Style):新結合』を扱い、「マーケティング(共感)」は主にマーケティング部門が『心(Will&Smile)』を扱います。
図解の様に、“二つ(2軸)でありながら一つ”の高み(右上の象限)に持っていくこと、両立することがポイントです。 詳細は第82夜をご覧ください。
■ 「顧客価値創造」を実現する「3つの知」
「1.不要なものを削いで取り除いて核心に辿りつく方法」が「深い知」(方法A)です。
「2.モノやコトを新しく結びつけて革新に辿りつく方法」は2種類あります。
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・一つ目は、時間(過去、現在、未来)を結びつける「縦の新結合」
=「高い知」(方法B)
・二つ目は、空間上で複数のモノ・コトを結びつける「横の新結合」
=「広い知」(方法C)
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それぞれ、「SDGs経営塾(全10回コラム)」に詳細を上げていますので、事例や図解は下記のURLでご覧ください。要約は後述します。
⇒「A.深い知」:人間軸のイノベーション
https://www.kiraboshi-consul.co.jp/column/sdgs_vol6/
⇒「B,高い知」;時間軸のイノベーション
https://www.kiraboshi-consul.co.jp/column/sdgs_vol5/
⇒「C,広い知」;空間軸のイノベーション(=主客一体)
https://www.kiraboshi-consul.co.jp/column/sdgs_vol4/
■「A.深い知」:人間軸のイノベーション(禅的思考)
https://www.kiraboshi-consul.co.jp/column/sdgs_vol6/
・「A.深い知」は、不要なものを削いで取り除いて『核心』に辿りつく方法(深い知)です。
それは、日本人が本来得意としてきたもので、禅、茶道、枯山水、わびさび、俳句・俳諧、おもてなし等に代表される奥義です。
それは、「ビジネスの大元(経営のあり方)」につながる重要なスキルです。
・そもそも何のためにビジネスをおこなうのか?
・いったい世の中の何を変えたいのか?
・何を大切にするのか?
という大変化の時代(第361夜)の経営者の心の根本レベルの“あり方の再定義”が、社内外から求められています。
そのために経営者は、下記の生活者ニーズの変化を先取り、深堀していくことが必要になります。
・所有(○○が欲しい)→使用(こう使いたい)→あり様(こうでありたい)
「あり方、あり様」まで枠を超えられるかどうか(深堀)が、成長有無の分岐点になります。
ここで重要なことは、「いま自分(自地域、自社)が置かれた状況、局面」において、
①それは意味のあるコト(下図のmeaning)なのか
②それは必要性が高いコトなのか
という社会性、経済性、環境性を確認・確信しておくことが、結果的に持続性、成長性に大きく関わってきます。
(事例を使って後述します)

今の時代、下方の赤枠の三角形には、“本当はこうでありたい”という『真善美』の価値を見つけること、『意味(meaning)』を見つけることが、事業(企業)の成長につながってきます。(これも後述します)
『真善美』(第235夜詳細:素直な心)とは、人間が生きる上での理想の状態を3つで、
・「真:偽りのないこと」
・「善:良いこと・道徳的に正しいこと」
・「美:美しいこと・調和していること」
を表現した言葉です。社会性に大きく関与してきます。
実例の図解でお伝えしますが、「あり様:being」の領域には、『真善美』に深く紐づいた経営者の深い言葉(コンセプト)が入ってきます。それが、経営(事業)の「ミッション(使命)」「パーパス(存在意義」や「創業」に繋がってきます。
・事例の一つ目に、「アルコールフリービール」を上げます。
キリン(株)は、アルコールフリーという画期的な製品で新しいビール市場を開拓しました。その女性開発者の“大切にした想い”を紹介します。
「2007年は、飲酒運転撲滅の雰囲気が世間にありました。いくつかの大きな事故があり、警察の取り締まりが強化されるなど、飲酒運転はダメという消費者の意識が強くありました。お酒が原因で悲しい事故が発生するのが嫌だったんです」
開発者の大切で切実な願いは、
・「飲酒運転がなくなる幸せ」
でした。
その“あり方”が土台にあることで、技術開発やマーケティングの“やり方”も変わって成功につなげました。

さて、ビール事業にとってのコアは“酔えるアルコール”です。その一番のコアを無くしてしまうのは凄い決断だと思いませんか?でも、女性開発者にとって重要な熱い想いは、“飲酒運転のない幸せ”でした。本業と社会課題(飲酒運転)が結合して、ここから「アルコールフリー」という新しいビール市場(新事業)が創出されました。
前職のパイオニア社が開発した“カラオケ市場”も上記と同様に、歌手にとって一番大事な“歌”の部分を抜いてしまいました。そのことで、歌手ではない一般の人たちが“主役”になって新しい市場と文化が生まれました。
2013年に東京国立博物館がWEBサイト上で行った人気投票「あなたが観たい国宝は?」で一位に輝いたのは、長谷川等伯の『松林図屏風』でしたが、引いて引いた余白の負の美学がそこにはあります。 その引き算、余白、空白が観る人の想像力をかき立てます。
方丈の前の庭である京都の龍安寺の『枯山水』はどうでしょうか?水を感じさせるために水を抜いた枯山水は、日本人の究極の美学をあらわしていますね。
能、禅、わびさび、俳句、山水画等々、引いて引いく『引き算の美』『余白の美』という方法が日本には息づいています。
そう、「本業のコア」に執着しないことがポイントです。“大切なこと”、“大切な想い”、“社会課題”に思いを馳せて、様々な制約をはずして、引いて引いて自在になって「余白」をつくること、「別流(another)」をつくることが新しい価値を創造します。
・事例の二つ目として、「北海道旭川市にある旭山動物園」を上げます。
時は1997年にタイムシフトします。その頃、全国の動物園の来園者数は右肩下がりで減り続けていました。
当時、旭山動物園の獣医係長(現園長)の坂東元さんは、従来の“パンダやコアラという奇獣、珍獣で来園者を集めるやり方や動物の姿を見てもらうための「形態展示」”ではなく、“普通の動物の本来の行動や生活を見てもらう「行動展示」”へと転換を図りました。メディアにたびたび取り上げられ、国内外からたくさんの観光客がくるようになりました。
さて、坂東園長が転換を決意した“最も大切にした想い”は何でしょうか?
ここは大事なので、皆さん少し考えてみてくださいね。
⇒旭山動物園が掲げる永遠のテーマは、「伝えるのは命」です。
そこには、坂東さんが獣医として“動物の命”の大切さにずっと寄り添ってきたことが込められています。そのテーマによって、これからの時代の主役になる子どもたちが、動物たちの未来や地球の未来を真剣に考える場所になっています。
旭山動物園が大事にする赤枠の中に入る言葉は「命の大切さ(を伝える)」でした。
ここで重要なことは、経営の“あり方(目的・縦軸)”が変わることで、“やり方(手段・横軸)”が変わることです。それまでの「形態展示」から、「普通の動物の“行動展示”」というやり方に転換しました。そのことで、右肩下がりの来園者数が急激な右肩上がりになり、旭川市を含めて経済価値(利益)が上昇しました。


「色即是空」というのは、「現実=色」に問題・課題があるのなら、先ず心を無にして、「大元=空=大切なこと=真心」に戻りなさい。そして、「空=大元=真心」に戻って従来のしがらみや常識から解き放たれて、その本質(=コンセプト=核心)を把えてから「現実=色」を観ると新しい世界(=現実=色=確信)が観える(「空即是色」)ということです。(第85~86夜)
人々から喜ばれる「新しい現実」を創るコトが「価値創造/イノベーション」の狙いです。
研修、セミナーや新事業開発プロジェクト/創業プロジェクトご支援では、
「A.現実→B.大元→C.新しい現実」の流れを「色即是空・空即是色」を使って、理解を深めていただいて、自社向けに展開・策定していただいています。
下図に、「経営」を図解しています。
「経営」の“経”という字は、縦糸のことを表しています。“経”という縦糸(あり方:being)と“営(いとなむ:doing)”の横糸(やり方、行動)で織物が紡がれます。
経営が行き詰っている時は、それまでの横軸の“やり方(doing)”が行き詰っていることが多いものです。是非、そのような時は経営の縦軸の“あり方”(目的、道理、意味:being)に目を向けて、再定義することにトライされてください。
上図の「おおもと」が「経営のあり方」です。その再定義の挑戦の場が赤枠の三角形です。

■「B.高い知」;時間軸のイノベーション(=温故知新)
https://www.kiraboshi-consul.co.jp/column/sdgs_vol5/
・「B.高い知」は、「将来、何を目指すのか」という経営の「ビジョン」に繋がってきます。
・いきなり、現在から未来を見るのではなく、過去を紐解くと「未来が豊か」に見えてきます。
・“過去と現在”を縦(時間軸)に配置して、双方を新結合でブリッジして、新しい全体(1ランク上の価値創造)を創出する方法です。(事例を後述します)

それは。過去を温(たず)ねて、元々のあり方(本来)を知ることにより、過去と現在の“両方の知”を豊かにして結合することで将来の新しい価値が生み出す方法です。
弓道のイラスト図を載せましたが、 矢を的(まと)に的中するには、弓を後方に引いて溜めをつくりますね。いきなり未来を考えないで、この大きな溜めが前に飛翔するための原動力になります。将来という的を射抜くために、過去と現在の十分な溜めが肝要というイメージがこの図から伝われば幸いです。
参考に、10年前の2015年にご支援して、作成したものをご案内します。
①コンビニの本来と将来(2015年に作成)

②エネルギー事業の本来と将来(2015年に作成)

是非、本業や業界の本来を紐解いてみてください。
改めて、どのように将来を紐解いていくのかのコツを下図でお伝えします。
ポイントは“A: 過去のGood!”という現在の中では薄れてしまったものが、“B: 現在のBad!(社会課題)”と新結合することで、新しい全体として、“C: 将来のGreat!”に甦ってくるという図式です。
ただ、この図式はすぐには使いこなせないという声が上がります。
・A: いったい何を過去(本来)に置いたらいいのかわからない
・B: 現在のBad!に何を入れたらいいのか
・C: Great!に記した内容に自信が持てない
そのため、成長経営のご支援では、“時間軸のイノベーション”事例をビデオや演習で体感いただき、“インターホンの本来と未来”という誰でもわかる事例から、次々に複数のテーマを検討してもらうと、だんだん手法に慣れてきて、“自社(業界)の本来と将来”を自ら導きだすことができるようになってきます。
本業の“本来と将来”“のありたい姿”が明確になり、成長経営への道を進まれている多くの社員・経営者の方々を輩出してきました。

・下図は、もう25年前の2000年頃に作成したものですが、これから世の中を大きく変えていく「デジタルの本来と将来」も載せますので参考にされてください。(詳細は、第363夜をご覧ください)

・下図のように、現在は「現状から積み上げる(フォアキャスティング)中期計画」では行き詰まりが多く見られます。SDGs成長経営やAIデジタル成長経営等で、私たちに重要なのは未来から現在を見る(バックキャスティング)という視点の転換です。
この「未来の姿」を導き出すのが「高い知」の方法です。
企業、地方自治体の「ビジョン」(何を目指すのか?何を変えたいのか?なりたい姿は?)」につながって成長経営に直結します。
これまで多くの高校生、大学生、社会人(企業・自治体)の方たちと共に作成してきましたが、これからが楽しみです。

上図について、中学生、高校生、大学生、社会人が納得されるコンテンツが、「大谷翔平選手の高校時代に目標達成シート」(下図)です。「なりたい姿からの逆算」が現在を変えていくのが実感できます。
各研修、セミナー、ご支援プロジェクトでは、皆さんにシート作成に挑戦していただいています。効果絶大です。

■「C.広い知」;空間軸のイノベーション(=主客一体)
https://www.kiraboshi-consul.co.jp/column/sdgs_vol4/
「イノベーション」の本質は、『内側に異質なものを導入して新しくする(新結合:Innovare)こと』を実行(:-tion)して、経済や企業が発展することです。それは「『異質なもの』を自分の内部に導入して、一段高い次元での解決策(新バージョン)で成長する」ことにあります。(第361夜)

・「広い知」は、空間上で異質な複数のモノ・コトを両サイドにおいて、二つを結びつけて1レベル上の価値を創出する「横の新結合」です。
分かりやすい事例が下図の
・「異業種コラボレーション」(第312~313夜他)
・「本業×SDGs(17の社会課題)」(第314夜他)
・「本業×AIデジタル」(第363夜他)
等であり、それは、新しい市場・文化・スタイルを創る基盤になります。本コラムでは、数多くの事例をお届けしてきたのでご覧ください。




⇒「生成AI」(第363夜)と「人不足」を掛け合わせて、悩んでいる現場と結びつけてみましょう。

・AIロボティクス×医療介護(介護の現場、高度施術、認知症、コミュニケーション・・・)
・AIロボティクス×建築現場(解体、搬入搬出、カスタマイズ設計・・・)
・AIロボティクス×農業・漁業・林業等
・AIエージェント×全ての業務(経営、企画、設計、マーケティング、営業・・・)
Others
参考に、広い知「本業×SDGs」の企業実例をご紹介します。





・そして、これからの日本の原動力となる「新成長ルル三条」を上げます。
本コラムの第359~363夜に詳細を綴っています。

■ 体系的「3つの知」
ここまで「深い知」「高い知」「広い知」をご案内してきました。
それらは、従来のやり方、考え方、常識を超える方法です。そして、その方法は、決して特別なものでなく『革新』を起こすために様々に使用されてきた価値創造の『知』です。
下図をご覧いただくと直ぐにおわかりいただけると思いますが、赤い枠線(▽・〇・◇)の中が「空白・余白」になっています。首記に記した「Think outside the box(=箱を出る)」です。
それは、これまでの「価値観の箱(常識・枠)」をはみ出たところにあります。従来の「枠」を越えて「逸脱」しないと「新しい価値」は生まれてきません。
ビジネスの「行き詰まり」というのは、余白(=新しい可能性)が思い浮かばないことです。
でも、クライアントのお話しに耳を傾けていると、「自ら制約を設けてしまって、モノゴトの見方や視座を狭くしてしまっている」ことが多いことを実感します。
よく経営者から聴く「行き詰っている」というのは、この「空白・余白」が見えていないことが多いのが実感です。実際のご支援では、共にその『制約』や『常識』の殻を破って「3つの空白・余白」を埋めることで、ワクワクする視界が広がってくる喜びを数多く経験してきました。
さて、「3つの知」を進める順番なのですが、『深い知』⇒『高い知』⇒『広い知』で行うことをお薦めします。

・『深い知』は、「大切にすることは何か」という事業の再定義につながり、ミッション(使命)を生み出します。自分達が何に「命を使う」のかに関わってきます。当然、ワクワクするものに命を使いたいですよね。船でいう錨(アンカー)の役割です。
・『高い知』は、「何を目指すのか」という「新しいビジョン」に繋がります。そのポイントは、「温故知新(故きを温ねて新しきを知る)」です。現在と過去を豊かにすることが将来を豊かにすることに繋がります。
これが、船・航海で例えると、「北極星」を見つけたことになります。そして、『深い知』からの新しい形(世界と世間:第80夜)を見つけることに繋がります。(=空即是色)
・『広い知』は、上記「深い知(ミッション)」と「高い知(ビジョン)」をつなげたビジネスの新機軸の世界を具現化する『イノベーション』の役割(下図)を持ちます。
この「広い知」が、『内側に異質なものを導入して新しくする(新結合:Innovare)こと』を実行(:-tion)して、経済や企業が発展すること(=イノベーション)そのものです。それは「『異質なもの』を自分の内部に導入して、一段高い次元での解決策(新バージョン)で成長する」ことで、新しい市場・文化・スタイルを創ります。


是非、多くの方達にその方法と心得を挑戦・習得いただいて、「本質的な違いづくり、共感づくり」、「地域(地球)幸福」、「成長経営」そして、「事業創生・地域創生・人財創生」を通した「幸せづくり(Well-being)」に挑戦していただけると嬉しいです。


価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
