橋本元司の「価値創造の知」第371夜:価値はどこから生まれるのか?

2026年2月1日:「アントレプレナーシップセミナーin 香川大学 2026」

 前夜に綴った「価値創造工学」の全体像(通常24時間ワークショップの内容)を、4時間半のダイジェスト版(講義、動画、実践事例、演習など)に編集したものを香川大学の学生にお届けしてきました。

 先生方の強制ではなく、自発的に参加された学生の皆さんからの真剣な眼差しと溢れる熱意が伝わってきました。 この様な、受講者の眼差しと熱意の光景が大数寄です。 

 さて、セミナー前日は「こんぴらさん」(御本宮785段踏破)と弘法大師空海の誕生の地「善通寺」に参拝して、「身体と精神と智慧」の入り混じった時空間を深く感じてきました。

 そう、「弘法大師空海(第369~370夜詳細)」と「価値創造工学(第370夜)」は、深い関係、ご縁で結ばれていることを感じてきました。
空海は日本が誇る「イノベーター(=価値創造者)」であり、「目に見えない意味を、構造として可視化し、現実世界で機能させる知のあり方」をビジュアル化し、展開し、実践して広められたことです。
 少しでも「価値創造工学」との絆・中身が、世の中のお役に立てれば幸いです。

「空海の両界曼荼羅」と「新価値創造研究所の価値創造工学」のつながり(第369夜)を記します。
・胎蔵界曼荼羅:「気立て→見立て→仕立て」(=人間の内側から駆動する内的な力)
・金剛界曼荼羅:「切実→逸脱→別様」(=価値が生まれる外的プロセス)
 その上で、その誕生の地である「香川」で、「価値創造工学」をコアとするセミナーを開催していただけたことに深い意味と感動と感謝がありました。

■ メインテーマ: 価値はどこから生まれるのか?

 「価値」は、下図の1-①の「切実:なんとかしたい」から始まります。
(ここで言う「価値」は、「改善」レベルの価値ではなく、「変革・脱皮」レベルの価値です)
「本気、真剣、逆境」でなければ、その扉を開けられないことを前職や伴走支援でも痛感してきました。
「価値」は、図の「らせんプロセス」を通して磨かれていきます。
この全体像の中に、「理論と実践」の両立のエキスがいっぱい詰まっています。

 そして、「なんとかしたい(Want)」は、「なんとかする(Do)」に昇華していきます。

 今回は「ダイジェストセミナー」として、このらせんプロセスを順番に、ワークショップ体験していただきました。社会人に比べて、学生は「経験と知識」が不足していますが、いま、「知識」のほうは「生成AI」が有り余るほどのものを提供してくれます。

 「経験」のほうは、社会人が「常識」の中に固まっているのに比べて、「常識を疑う」想像力を持てることが大きな強みになります。
 子供の「創造力」は「想像力」によってしかもたらせられないことがよく言われます。
そう、子供も大人も関係なく、「創造力」「想像力」を触発しないかぎり生まれません。
制約を外した自由な「想像力(虚・Another)」こそが「創造力(別様)」を生み出します。
つまり、「想像力(心)」と「創造力(智慧)」はコインの裏表です。(第367夜詳細)

 空海の「胎蔵界曼荼羅」が「価値創造」の筋道です。
胎蔵界曼荼羅:「気立て→見立て→仕立て」(=人間の内側から駆動する内的な力)

そして、アントレプレナーシップとは、下図の「Another(別流)」を創り出す上記「心と智慧」が土台になります。


■ 「常識の枠」を外す
  上図のこれまでの延長ではない「別流」を見つける方法を、このコラムでは何回も記してきました。
「別流」を見つけるには、これまでの「常識の枠」を外す必要があります。
 その「常識の枠」を外す幾つかの訓練(編集稽古)があり、それらを通して、編集の基礎をつくってくれるバイブルが「プランニング編集術」(松岡正剛監修)です。

 多くの企業、学校、自治体で、「価値を創造するために、常識の枠を外す」ための編集稽古を有効活用してきましたが、今回のアントレプレナーシップセミナーには、これまで以上にその必要性を感じました。
 頭の中の「注意のカーソル」を動かすためには、それなりの方法と練習が必要です。
・コップを言い換える: コップの使い道
・頭の中の「注意のカーソル」を自在に動かす
・「見立て」「らしさ」がプランニングを彩る
・二軸で新しいポジショニングに気づく:ビジネスで最も大切なコト
・・・
 そんな「編集稽古」をダイジェスト版に組み込みました。

 参考に、「まえがき」から加筆引用します。
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 日本の企業競争力の低下が進む中、日本企業の事業開発部門やマーケティング部門では、
・従来のやり方にとらわれない発想をしなさい
・他社に勝てる斬新なアイデアを出しなさい
などという言葉が投げられています。
 斬新なアイデアを出せ、というのは簡単ですが、現実的には何をどうしたらよいのかわからない、というのが本音ではないでしょうか。

 ロジカルシンキング、クリティカルシンキングがブームになりましたが、もともと論理とは自分の考えを相手にわかりやすいように整理したり、自分の考えが間違っていないか分解しながらチェックするツールにすぎず、これを教科書通りに究めてみても新しい発想は生まれません。

 むしろ分解・分類した情報に、これまでとは違う角度から光をあて再編集・再構築することからイノベーションは生み出されます。・・・

 さびついた脳とマンネリ化した思考パターンから覚醒したいと思っていらっしゃる方には最適な本になるでしょう。・・・
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 上記の「編集稽古」を基礎にして、「逸脱する智慧」の根幹になる「3つの知」(第361夜、第364夜、第368夜参照)を動画と実例と演習により、習得してもらいました。

 これまでと「別の価値・様式」に到達するには、「心のあり方」「ものの見方」のフェーズを上げる必要があります。
 是非、アントレプレナーシップ教育には「価値創造工学」と「空海の両界曼荼羅」を組み込んでいただけれるとバージョンアップした内容になると思います。

■ 「イノベーティブスキル習得」の2本柱

 上記は、「常識(枠)を外す力」を綴りましたが、その後に必要なのが、「つなげる力」(=3つの知の「広い知」)になります。それがこのコラムで何回も綴ってきた「イノベーション」(第361夜)です。
 簡単な演習や実例動画で慣れながら、回数をこなすことで、誰でも体得することができます。
是非、習得されることをおすすめします。

■ 香川大学の先生方の溢れる熱意と熱量

 セミナー後の夜は、エネルギーに満ちた4名の先生方と、気づけば3時間半の懇親会でした。
立場を超えて深く語り合える、とても豊かで楽しい時間が続きました。
 その対話の中で、香川大学には、これからますます大きく成長していく力が確かにある——そんなことを強く感じた一日でした。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ