橋本元司の「価値創造の知・第123夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』➉「アブダクション」が不可欠!

2018年3月24日 「アブダクション」で飛躍する!

将来イノベーションを洞察する際に、是非身につけておきたい「推論法」をお伝えします。
これまでに、将来を洞察する別格の方法(守破離:第5夜、弁証法:第10夜、シナリオプランニング:第15夜)を綴ってきましたが、そこで使われる方法の中心は、①帰納法、②演繹法ではなく、③アブダクションです。

「本来と将来」を洞察することを生業としている人には「アブダクション」はあたり前ワードなのですが、一般に「アブダクション」という言葉を聴いたことがある人は少ないと想います。それは普段は、無意識で使っている方法なのですが、意識して活用することで人生に役だちます。

いったい「アブダクション」とは何でしょうか?
松岡正剛師匠の千夜千冊1556夜に記されているので加筆引用します。
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今夜は、どうもアブダクションという推論の方法が掴みにくいなと感じている諸君に向けます。正確には論理学についての知識も必要ですが、そこは軽く扱うので、心配無用。
でも、アブダクションを使えるかどうかは、諸君の仮説にかけるセンスと仕事を仕上げる腕っぷしにかかっています。
・・・
チャールズ・パース(1182夜)は
①帰納はひとつの値を決めるにすぎず、
②演繹はまったくの仮説の当然の帰結を生むだけ
③「アブダクション(仮説的推論)」は説明的な仮説を形成する過程である。それは新しいアイディア(観念)を導く唯一の論理的操作であるであるからだ。
・・・
②「演繹法」は与えられた観察データを“説明する”ための論理を形成するもので、わかりやすくいえば、「◇◇◇だから、☆☆☆である」という論理を数珠つなぎにしていって結論を引き出すという、そういう推論です。
すなわち、一般的な大前提をルールの措定された根幹にして(→人は死ぬ)、そこに中間段階の展開を加え(→ソクラテスは人である)、最終の言明(→ソクラテスは死ぬ)を確立するという方法です。
三段論法が最もよく知られているように、仮定をひとつずつ検証可能な真実かどうかを確認しながら進むため、導き出された結論は強い説得力をもっています。
ただし、最初の大前提(→人は死ぬ)は、仮説のようでいて仮説ではないのです。一般的な常識のように設定できるか、あるいは数学的な公理のように前提になっているような、そういう大前提を下敷きにしておく必要がある。
ということは演繹法ははなはだ自己決定的で、問題解決的だという性質をもっているということになります。だから技術や科学にはふさわしい。いったん前提から発進しはじめると、その次からはどんどん前に進みたくなる推論なんです。けれどもそのぶん、最初の一般的な大前提に偏見や誤りがあると(たとえば「民主主義は正しい」等々)、結論もおかしなものになりかねない。

①一方、帰納法は観察データに“もとづいて”一般化をするためのものです。
たとえば「人は死ぬ」という仮説を言明するために、「ソクラテスは死んだ、真田幸村は死んだ、リンカーンは死んだ、おじいさんも死んだ、隣りの姉さんも死んだ」というような事例をどんどんあげて、そうした個々の事例の集合にもとづいて「人はみんな死ぬ」という結論を導く。
そういうふうに、いろいろなものに“もとづく”という方法です。アリストテレスやキケロは「枚挙法」という言い方をしていました。似ているものを探しながら推理するといってもいいでしょう。
したがって帰納法は「量から質を導くとき」に有効で、そのぶんきわめて自己規制的(self-regulative)になります。これは、いいかえれば量的な現象に対して強いロジックで、それゆえすこぶる自己修正的(self-corrective)な性質をもっているんですね。
けれどもどこまで事例を集めればすむかというと、そこは案外はっきりしない。一定の範囲で共通項が見えたら、このくらいでいいだろうという質的な判断がまじります。
ただし、今日のようなビッグデータ時代では、似たような事例はそうとう集まってくるので、こういう場合の帰納法はそれなりに強力です。とはいえ、そればかりしていてはデータが厖大に重くなる。
ビッグデータはこの悩みをかかえているわけですね。

③ もともとアブダクションは帰納法の途中から発展していったものです。事例をどこまでも集めるだけではキリがないとき、いったん仮説を設定して、その仮説の地平からあたかも戻ってくるように推論を仕上げる、束ねるという方法ですからね。
この、「あたかも戻ってくるように推論を仕上げる」「いうところが、たいへん大事なミソです。ツボです。途中で先に進んで、そこから戻ってくるんです。
そのため、アブダクションはまたの名を「レトロダクション」(retroduction)ともいいます。いったん仮想した概念や事例のほうに推論の道を行って、そこからまた戻りながら推論の内実を仕上げていくからです。
パースはアブダクションを拡張的推論(amplative reasoning)だとも言っていました。拡張的機能あるいは発見的機能をもつ推論だからです。ぼくはそういうアブダクションこそ編集的機能をもっていると思っています。

★ それでは、どこが帰納法とアブダクションが大きく違うのかといえば、次の点にあります。
アブダクションという方法には、大きく傑出した二つの特徴があると思うといいでしょう。
ひとつには「われわれが直接に観察したこととは違う種類の何ものか」を推論できるということです。帰納法には「違う種類のもの」は入りません。似たものばかりが集まってくる。けれどもアブダクションは「違うもの」を引き込むことができるのです。ここがとても重要なところです。
またもうひとつには、「われわれにとってしばしば直接には観察不可能な何ものか」を仮説できるということです。いまだに例示されたことのない仮説的な命題や事例を想定することができるのです。これは哲学や社会学がこれまで前提にしてきた概念で言うと、いわば「ないもの」さえ推論のプロセスにもちこむことができるということで、きわめて大胆な特色になります。ぼくが気にいっているのは、ここなんですね。
このような驚くべき特徴は、アブダクションには「飛躍」(leap)があるということを示していると言えます。・・・
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皆さんにご理解いただくために、多くを引用させていただきました。上記で、もうお分かりかと思いますが、

『アブダクションには「飛躍」(leap)があるという驚くべき特徴がある』

ということが「価値創造とイノベーションのあいだ」のポイントです。
従来のやり方、考え方は、先細り・行き詰まりを感じておられる会社・地域が多くあります。『その行き詰まりの枠・制限を超える適切・的確な「飛躍」(leap)』が次の一手、次の柱、革新・イノベーションには求められます。

3つの『トリニティイノベーション』の「深い知・高い知・広い知」は全てそれまでの常識を打破る飛躍の方法です。
それは、「新奇」なものではなく、「目から鱗が落ちる」世界の発見・発現です。
それ故に、価値創造・イノベーションには、「アブダクション的思考」が不可欠なことを身をもって体験してきました。

ここで問題となるのは、飛躍することは「ファーストペンギン」になる可能性が高いということです。
(「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。
転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。
日本でも、NHKの朝の連続ドラマでそのエピソードが紹介され、広く一般に知られるようになりました)

そこで重要となるのが「核心⇒確信⇒革新」(第118夜)です。特に、『確信』がポイントですね。「確信」がなければ、「革新(イノベーション)」には向かいません。
そして、「確信⇒革新」に向かう時に、従来のやり方・考え方と違う世界を取り扱う、踏み出すという「覚悟」が必要になります。
そのためにも、私たちは従来事業を含み込む「適切・適確な飛躍(次の一手、次の本流)」には細心の注意を配ります。

「人(メンバー)」は自分の知識、情報や体験以上の発想ができません。そのために、私たちは異業種の事例やシナリオ、ビデオ等を多くご用意します。

一緒に、「適切・適確な将来(次の本流)」に向けて『飛躍』しましょう。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
アブダクション

橋本元司の「価値創造の知・第122夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』⑨想像力・創造力・構想力

2018年3月23日 想像力⇒創造力⇒構想力

多様な会社・地域のご支援で伺ってお聴きすることは、
「構想力のある人材がいない」ということです。
本当でしょうか?そんなことはありません。

本夜お伝えしたいことは、『確信のある構想のために』です。

・想像力⇒創造力⇒構想力

①想像力:夢・想いの世界を描く本気の力(気立て)
②創造力:独自の夢・想いを実現する本質の力(見立て)
③構想力:独自の夢・想いを組み立てて、次の本流にする力(仕立て)

上記の流れは、第117夜から続けてご覧になられている方にはすぐに納得いただけるかと思います。
それを図に表してました。

「構想力」は、「想像力」⇒「創造力」と共にあるのです。こことっても重要です。
「良い構想力」には、「想像力」「創造力」の『熱』が失われずに伝わってきます。
ただ、前夜(第121夜)にも綴りましたが、気をつけないといけないことがあります。
それは、「人(メンバー)」は自分の知識、情報や体験以上の発想ができないことです。
それを補完し、『熱』が伝わるようなプロセス・方法が外部人材に求められます。

いかがでしょうか。 貴社・貴地域では、そのように『構想』がつくられていますか?

いきなりコンサルティングの言われるままに、
SWOT分析や、3C分析をやって、
・誰に:WHO
・何を:WHAT
・どのように:HOW
という流れで検討されていませんか?

それは、「最初・先」にやるものではありません。
首記、「想像力⇒創造力⇒構想力」を進めてから、『後』に行うものです。
そうすると、迅速に全くレベルの違うものが出来上がります。

なぜならば、『深い知・高い知・広い知』が盛り込まれているからです。
そこには、『熱意』があるからです。
そして、メンバーの『確信』ができるからです。

 

図解をご覧ください。

左側の、「夢・想い・情熱」世界を常識の枠を外して拡げます。
そうして拡げたものから、そのなかにある「本質」(色即是空)を取り出します。
そこには、「ミッション・ビジョン・イノベーション」の大元があります。
それを将来(次の本流・新しい価値観)の実現の為に「想いを組み立てます」。
そこには、「物語的な感情(エモーション)」が必要です。
そして、将来の現実世界に反映(空即是色)するのですね。

上記の「色即是空⇒空即是色」については、第6夜、第85夜に綴っていますので是非ご覧ください。
このイメージと方法を手にすることで世界が変わります。

同様に貴方の『世界・世間』を変えるためにお伝えすることがあります。
それを次夜(第123夜)で、「想像力⇒創造力⇒構想力」の中で活用する「アブダクション(仮説形成や仮説的推論)」について綴ります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
想像創造構想

橋本元司の「価値創造の知・第121夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』⑧想像力と創造力をつなげる

2018年3月21日 「想像力」⇒「創造力」⇒「構想力」

本夜お伝えしたいことは、『創造力/イノベーションには、想像力が不可欠である』ということです。
「創造性」と「想像性」のあいだには、とても密接な関係があります。
「想像力」とは、夢・想いの世界を描く力であり、「創造力」とは、独自の夢・想いを実現する力です。「創造力」を生み出す触媒が、「想像力」といってもいいと思います。

それでは、「想像力」を違う角度から見てみましょう。
先日TV放送「SWITCHインタビュー達人達」で、声優の緒方恵美さんが出演されました。
アニメの声を2役3役と別格で演じられるアニメ界のプロフェッショナルですね。

その中(声優)で、
「想像力で自分が変わる」
「自分の想像力で自分の中の体の中を変えちゃう」
「中身がともなった人としての声で出していないと説得力がない」

上記が、価値創造/イノベーションと何の関係あるの?
と思われる方もいると想いますが、

将来に対する熱い夢・想いが脈々とあり、その光景、イメージが目の前にありありと、まざまざと浮かんでいるとその人の中身は『将来』になってしまうのではないでしょうか。
自分も全く同じ体験を何度かしています。

それを、声優の緒方恵美さんは、「自分の想像力で自分の中の体の中が変わる、変えちゃう」と表現されました。

「想像力」(イマジネーション)が明確にあれば、それをどう実現するか、という「創造力」(イノベーション)に移ります。

さて、私たちが企業/地域のご支援でうかがった時に、トップの方が選出されたメンバーに求める『創造性』について二つのパターンがあります。
①やたらにメンバーの「創造性」に期待する
②あまりメンバーの「創造性」に期待していない

会社の大小にかかわらず、仕事の分業化、効率化で、「全体を見る力」「先を見る力」が弱っています。
情業/脳業時代(第109夜)に綴った「不確実性」「不確かさ」がそれに拍車をかけています。

いきなり、将来を切り拓く「創造性」を期待されても困りますよね。
なので、いきなり「創造力を発揮しなさい」と社員や関係者にいっても彼らは困ってしまうのが現実です。

だいたい「ビジョン」が時代にあっていない、ズレていたり、何を目指しているのかが統一されていないことが多いのです。
指し示す「ビジョン・志」が明確であれば、イノベーションは発揮しやすいのです。

なので、「想像性」から入ることをお薦めします。
しかし、ここで気をつけないといけないことがあります。
それは、「人」は自分の知識、情報や体験以上の発想ができないことです。
ここで必要なことは、
①一人ではなく、異能の人財を集めて『衆知を結集』することです
②そして、全体を読んだり、先を読んだり、本質を読むのが得意な『外部人材』を投入することです。

そして、『想像力』『創造力』『構想力』を自由自在に働かせるのです。

『想像力』のステージでは、、
先ず、そこでは従来のやり方、考え方から意識的に離れることが必要です。離れることができなければ、意味がありません。
ただ、「離れる」ということは、必ず「新しいアプローチ」をすることが必要になります。その『覚悟』はトップに必要です。

次に、個性や独自性という「偏在」を良しとすることです。そうでなければ、「顧客から選ばれる理由」(第37夜)を創れません。
そこに、その会社/地域に看過できない現在情報、将来情報のボールをこちらから適宜、提供します。
そうすると、複数のイメージが出来上がってきます。

そのステージの最中に、『新価値創造研究所』が同時並行で巡らせているのは、
①顧客にとっての効能
②従来の価値観に代わる新しい価値観の可能性(=新しい目的)
③バリュープロポジションの候補
④成長のシナリオ(従来⇒開発⇒開拓⇒開際:第66、67夜)
⑤異業種連携等による実現性
・・・

等々です。

さてさて、上記を全員で汗をかき、描き、整理することで、

「想像力で自分が変わる」

ことを全員が体験できます。これがとっても重要です。
「想像力」と「創造力」を繋げるには、「3つの抽象化能力」(第89夜)と「物語り的な感情(エモーション)」が必要です。
それが、「価値創造の知」連載で多くを綴ってきた『深い知・高い知・広い知』(第66夜、第89夜)です。これで全員の自信がつきます。
更に、「学ぶ⇒真似ぶ⇒翔ぶ」(第114夜)ための、異業種や先行事例の情報・図解・ビデオを多数用意して『創造力』『構想力』の橋渡しを行います。

・多くの事例を知る、体感する(集合の「知」となり、自分たちの考えの自信につながる)
・「3つの抽象化能力」で、本質的・本格的な違いを生み出す(=意識的に余白をつくる)
・新しい価値観を創る、これまでの価値観を変える、(これまでの殻、常識を破る)
・顧客に選ばれる理由を明確にする(=ゆるぎないコンセプト)

「想像力」の共感で、気持ちが合わさり、「やる気・本気」のモードになっていきます。
つまり、「想像力」が「創造力」の触媒となり、その二つが、「構想力」の触媒になります。
そして、次のステージの「構想力」に向かうのですが、「創造力」には「想像力」が必要なことがおわかりいただけましたか。

隆々とした将来を望まれるのであれば、「想像力」⇒「創造力」⇒「構想力」です。
是非、メンバー全員に習得させてください。人生と会社/地域が変わります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
想像力と創造力

橋本元司の「価値創造の知・第120夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』⑦突破口は「幸せづくり」

2018年3月19日 企業(事業)の目的

従来のやり方、考え方では「事業の先細り」や「衰退の危機」を感じている会社や地域が多くあります。
その「世界」におけるルール、常識に縛られて身動きがとれないのが勿体無いですね。

本夜お伝えしたいことは、
・「次の柱」、新規事業を生み出したい
・「将来」を切り拓きたい
・「社会」に役立ちたい、「幸せづくり」したい

という会社/地域に向けた「突破口の『3段階』」(基礎)について綴ります。

1.先ずは、売上(利益)からではなく、「人・社会・地球の幸せ(3つのエコロジー:第9夜)」から考える
2.そこから生じる「夢・想い」から、自社・自地域の前向きの「存在意義」「使命」を考える
3.実現したい将来と従来の価値観、ルールとの違い、「新しい価値観の本質」を考える

「新しい切り口」から見え隠れするものが必ずありますから、情熱と当事者意識を持って『洞察・行動』することが肝要です。
ほら、心身にムズムズと暖かい電流が流れ始めたことでしょう。社員や関係者の方達の生きがい、やりがいにもつながってきます。

モノ不足の20世紀後半は、『技術ファースト(=性能・機能)が軸足』の時代でした。
モノ余りの21世紀前半は、コモディティー化(一般化したため差別化が困難となった製品やサービス)が進み、
『人・社会・地球の幸せファースト(=効能)が軸足』の時代です。(第111夜)
・性能⇒機能⇒効能(第77夜)
・モノ⇒心の豊かさ(第85夜)
・技術のイノベーシ⇒価値のイノベーション(第111夜)

現在、そして、未来に向けた3C、3I時代(第109夜、第112夜)には、それが顕著になります。
私たちは従来の価値観の古いメガネを新しい価値観のメガネに掛け変えねばなりません。(第20夜)
新しいメガネ、新しいものさしが必要不可欠ですね。

もう一度、原点を確認しましょう。
いったい、「企業(事業)の目的」は何でしょうか?(第75夜)
ピーター・ドラッカー(経営の巨人)は応えます。

「事業体とは何かと問われると、たいていの企業人は 利益を得るための組織と答える。
たいていの経済学者も同じように答える。この答えは間違いではない。
⇒「的外れ」である。
事業の目的として有効な定義はただひとつである。

それは『顧客を創造』することである」と。(現代の経営より)
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・「売上(利益)を上げるにはどうすればいいのか?」という問いでは、
⇒「従来のサービス・商品・ルール」が前提となり、視点・思考が内向きになってしまいます。
そうすると、従来のやり方・考え方となり、革新(イノベーション)に向かいません。

・「顧客にとっての価値あるものを提供できているのか?」 という上記の『顧客を創造』の問いでは、
⇒「従来のサービス・商品」の改善や前提ではない、「顧客創造や社会貢献」に視点・思考が変わり、
『顧客を創造』を革新(イノベーション)しなければならなくなる。(利益は活動の結果です)

上記の様に、「設問」の違いで結果が大きく変わってきますね。
「売上(利益)」は自分中心であり、「顧客創造」は顧客中心です。どちらに対価は巡るか明らかですね。

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従来の狭い世界・ルールから、「人・社会・地球」の視点・視座・視界に移すと、必ず今までと違った世界が見えてきます。その事例はこれまで「価値創造の知」連載でご紹介してきました。
是非、トライしてみてください。上記の「洞察し、考える」ことをしなければ、留まるだけです。足を踏み出してみないと何も始まりません。

それは、幸せづくりからの「新しい価値観」を意味します。

それは、従来の「価値観を変えるコト、価値観が変わるコト」です。

それは、自動的に「違いと共感を創るコト」(第82夜)に直結します。

今まで気づいていない世界・世間(第80夜)を見つけ、磨き上げることにより、新しい価値として社会的に受け入れられて、経済が発展した状態のコト。
つまり「価値のイノベーション」の時代です。
そういう時代を私たちは生きています。

皆様の「気付き(自分革新)」「次の一手」「経営革新」にお役に立てれば幸甚です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
突破口は幸せづくり

橋本元司の「価値創造の知・第119夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』⑥日本に足りぬものは、「苗代(なわしろ)的思考」

2018年3月16日 「コードとモード」

本夜お伝えしたいキーワードは、「苗代(なわしろ)的思考」と「コードとモード」です。

1998年に松岡正剛主宰の「未詳倶楽部」に入門しました。もう20年になるのですね。そのご縁で、「連塾」「時塾」「椿座」にも連続参加して、「日本という方法」を自分の心と体と脳に刻み込みました。
その倶楽部の中で話された関連するキーワードの二つ①「苗代(なわしろ)的思考」と②「コードとモード」を本夜のテーマにします。

 最初に、「苗代(なわしろ)的思考」を紹介しますが、今の日本、これからの日本、そして、あらゆる会社や地域に有効です。

『いま日本に足りぬものは苗代(なわしろ)。グローバリズムの直植えではありません』

もう10年以上前の未詳倶楽部で松岡正剛師匠が話されていました。 日本は、世界は、「グローバリズムの直植え」で傷みましたね。
今は、「グローバリズム」の反動よる、英国のブレグジット(Brexit)という「EU離脱問題」が発生したり、米国トランプ大統領による「保護主義」の問題等がクローズアップされています。

さて、苗代(なわしろ、なえしろ)とは何でしょうか?
苗代とは灌漑によって育成するイネの苗床である。 もともとは種籾(イネの種子、籾殻つきの米粒)を密に播いて発芽させ、田植えができる大きさまで育てるのに用いる狭い田を指した。
「苗代」は日本特有の文化で、苗を直植えしないで仮の場所で育ててから植え換えをする方法です。

「外来のコード」をつかって、これを日本文化にふさわしい「内生のモード」に編集しなおす、植え換えをするという方法が脈々と受け継がれています。
古代から、 日本は外国から「コード」、いわゆる文化や技術の基本要素を取り入れて、それを日本なりの「モード」にしていく、様式にしていくということが、たいへん得意な国だったのです。

そのような、もともと日本が持っていた「仮置きの文化」や、「苗代」のような小さいエージェントを作る能力が、日本から失われてしまったということ、どうしたら復活できるかということを話されていました。

重要なことは、『外からのコード(基本要素)をそのまま受け取らずに、自分の中で編集してモード(様式)化』していくことが肝要である。

ということを叩き込まれました。

さてさて、自分が経験した実例(第15夜)を記します。

総合研究所のトップから、研究所の二つの顕在的な課題・不足を解決するために異動しました。
①顧客と接触が不足しているコト(=顧客価値の視点)
②将来の構想力が不足しているコト(=将来ビジョンの視点)

ご縁があって、その双方を解決するかもしれないということで、「シナリオプランニング」という方法の第一人者(J・オグリビー氏)を米国から招き、私達のチームに直伝して貰いました。
ところが、そのコード(基本要素)をそのまま使っても、ぜんぜん思うような結果が出ませんでした。それは、自分たちが「モノ発想」から抜け出られていないことにありました。

そこでは、「顧客価値発想」(深い知)、「弁証法」(高い知)、「新結合」(広い知)の各スキルが求められていました。その失敗から、「欧米のその方法(コード)に、『日本流のモード(禅的思考、守破離、間)と『異業種とのヒット商品体験』を組込んだ方法」をまとめあげました。

そう、「苗代(なわしろ)的思考」です。

日本流の方法は、松岡正剛師匠からの直伝です。「編集メソッド」を「ビジネスモード」に変換しました。
「本気」のグループが、課題の「本質」を確信して、次の「本流」を構想・行動・更新していく。続々といい結果を出せました。

そんな「事業創生・地域創生・人財創生」の成長・成功のご支援をしています。

第117夜、第118夜に綴った、巷の「コンサルティング」の失敗は、「直植えのテンプレート」を使うことにあったのです。

是非、皆様も「直植え」せずに、「苗代(なわしろ)的思考」へ。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
「苗代(なわしろ)的思考」

橋本元司の「価値創造の知・第118夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』⑤核心・確信・革新が道筋

2018年3月15日 「いちばんたいせつなことは、心で見なくてはよく見えない」

前夜(第117夜)は、「メイク・フィロソフィーをつくる」を綴りました。
それは、モノゴトの本質である「核心」を把え、自分がそれを「確信」する。それが、信念・志・エンジンとなり、「革新(イノベーション)」実行に向かいます。

 自分が「前職(パイオニア社)事業の行き詰まり」で悩んだ時は、

①このままの延長では「大変」なことなる
②一体、「何」が問題なのだろうか?
③一体、その「本質」は何なのか?

という順序で考えましたが、だいたい皆さんもこんな感じではないでしょうか?

ただ、③の本質をどのレベルまで掘り進むのか、ということが違いとなって現れます。
ここで前職で鍛えらえた力をお伝えします。

皆さんは、トヨタの「5回のなぜなぜ分析」をご存知でしょうか?
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トラブルに直面したとき、トヨタ社員は「なぜそれが起きたのか」を繰り返し考える。
すぐに思いつく答えを安易に結論とせず、真の原因を探ることが目的だ発生した問題事象の根本原因を探るために、「なぜ?」「なぜ?」とくりかえして掘り下げていく、
「なぜ?」「なぜ?」の問いかけを“5回はくりかえせ”ということで、別名「なぜなぜ5回」とも呼ばれる。
元々、トヨタが発祥の地であり、トヨタ生産方式の普及とともに、他の業界や分野でも使われるようになりました。
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前職では、TOYOTA・HONDAというクルマメーカーさんとB2Bの関係でよく名古屋や宇都宮・狭山に行きました。
この突き詰めるということは、対症療法ではなく、問題・課題の本質を把えるということでたいへん役立ちます。いい経験をさせて貰いました。

「メイク・フィロソフィー」もそのプロセスに近いところがあるのですが、「5回のなぜなぜ分析」は、モノやシステムを取り扱います。
しかし、「改善」ではない『価値創造』の場合は、その本質が目にみえない「核心」「確信」という「ココロの領域」を扱うところが違うところです。
「ココロの領域」には、『禅的思考』(第33夜、第76夜)が有効です。そこにエッセンスを綴っていますので、関心のある方はご覧ください。

事業の目的は『顧客価値の創造』です。
これが原理原則。

星の王子さま サン・テグジュペリの名言に、 「いちばんたいせつなことは、心で見なくてはよく見えない」(第63夜)を記しました。
そう、「価値創造」には、心を見る力を身につける必要があるのです。 「バリューイノベーション・プロジェクト」では、そのスキル習得を「3.本質創造力」(第65夜)で用意しています。

その本質である『核心』が把えられ、腑に落ちれば、『確信』に繋がります。
この『確信』がとっても重要です。だいたい、深堀をしないでそこそこのところで妥協してしまうとうまくいきません。

会社・地域をご支援する中で、メンバー達が、TOPが共感され、『確信』に至れば、目を輝かせて、「次の一手」に踏み出します。
その『確信』には、
①大切なコト(アンカー・錨)の再定義:深い知
②将来の姿(ビジョン):高い知
③革新の道筋(イノベーション):広い知

の3つ全てがイメージできる、揃うことが必要です。

前夜(117夜)に綴った、これまでのコンサルティングは、気づき・起爆剤があっても
その先の上記①②③には手をつけないのです。

上手くいかないコンサルティングは、
「通常のコンサルティングのテンプレートを提示しました。その先は、あなたたちの問題です」
だから、だいたい失敗するのです。

「核心」・「確信」に至れば、「革新(イノベーション)」に繋がります。
それが、新価値創造研究所の「価値創造」ウェイです。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
核心確信革新

橋本元司の「価値創造の知・第117夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』④メイク・フィロソフィー

2018年3月13日 メイク・フィロソフィー:「最後の講義『大林宣彦』

NHKドキュメンタリー(3/11)の「最後の講義『大林宣彦』」はご覧になりましたか?
その講義(大隈講堂)を拝聴している若い学生たちの真剣さが伝わってきました。
自分が映画監督・映画作家の大林宣彦さんの大ファンだったこともありますが、心に残る番組でした。

その中心は、「メイク・フィロソフィー(=自分のフィロソフィーをつくる、持つコト)」の重要性です。
「フィロソフィーとは、哲学・哲理、ものの見方、ものの考え方」と理解しています。

さて、「事業創生・地域創生・人財創生」には、この「メイク・フィロソフィー」が不可欠なのです。

・優れた「事業・地域・人財」には、優れたフィロソフィーがある
・優れた「事業・地域・人財」には、中心に「大切にするもの、信念、情熱」がある
・「優れたフィロソフィー」をつくることから、優れた事業・地域が生まれる、創れる

「価値創造」も同様です。それが、サービスや商品からにじみ出てきます。
それを持って、プランから販売、メンテナンスまで一気通貫することが重要です。
新価値創造研究所の価値創造「深い知・高い知・広い知」の「深い知」(第85夜・第86夜、第28夜)がそれに当たります。

さてさて、「最後の講義」のテーマは3つありました。(NHKドキュメンタリーから引用します)
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1.「映画とは“フィロソフィー(哲学)”」
作り手側が“伝えたい哲学”を明快に持って、しっかり表現することが大事であるというお話です。

2.「自分の中の平和孤児」
日本敗戦のとき、大林さんは7歳。敗戦で世の中がひっくり返ってしまい、「平和というものがよく分からなくなった。僕らの世代は平和孤児だ」と、ご自身の経験を踏まえたお話です。

3.「100年後に分かる映画」
大林さんは、ご自身の作る映画のことを“シネマゲルニカ”と呼んでいます。“ゲルニカ”とは、1937年にピカソがスペイン内戦を描いた象徴的表現の絵画です。おばあちゃんの目が真横に並んでいるような描き方です。
大林さんは、「もしあれがリアルに描かれていたらたぶん後世まで残らなかったんじゃないか」「象徴的だからどんな意味があるんだろうと考える」と感じているそうで、だから映画も、「今分かるような映画じゃだめだ。
100年後ぐらいに分かればいいんだ」と思っていらっしゃるようでした。
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大林宣彦「最後の講義」の中心コンセプトは『メイク・フィロソフィー』

何かを創り、生み出すには、『自分が考えているコト、自分が伝えたいコトを明快に持つ』ことが最も大切。
それを伝えたい想いが痛いほど伝わってきました。それは、黒澤明さんから伝わっているのですね。

ここに、自分が綴っている「価値創造の知」も117夜になりますが、

・一体、自分は何を伝えたいのか?
・自分が考えていることは何か?

という哲学・信念についてはブレがないことを再確認しました。

それは、『価値創造』の心得と方法を伝えたいのです。

そこに行きついた理由を少し紐解きます。
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前職(パイオニア社)では、何回か事業に行き詰まりがありました。

・オーディオ事業
・プラズマディスプレイ事業
・総合研究所の次のテーマ

その度に、幾つかのコンサルティング会社の方達がこられ、プロジェクトを支援していただきました。
それらのプロジェクトに参加しましたが、結果的にはうまくいきませんでした。
そこでは、いつも同じ欧米の方法(テンプレート)を使い、それで、不足していることに「気づく」、起爆剤が用意されていました。
しかし、問題点や気づきには届いても、その先の「解決策」、用意されずに届かないものでした。

私は異業種とのつながりが多くあったので、異業種企業のコンサルテーションの中身を見せてもらうとどこも同じようなものでした。
また、大手のコンサルティング会社を訪ねましたが、そこでは、コンサルティングが成功に届かない悩みを持たれていました。

その時に2つの疑問が湧きました。

① これらのテンプレートだけでは、バックミラー的で、未来を切り拓けないのではないか?
② 手段・方法(テンプレート)ではなく、新しい目的の再定義と具体化が必要なのではないか?

そう思った時に、吹っ切れました。新しい時代に役立つものを創ろう、と。

自分の複数の成功体験、失敗体験(師匠、数千冊の書籍、ヒット商品、シナリオプランニング、経営品質、文化経済、等)と新結合して、「価値創造の心得と方法」まとめました。
それを、パイオニア社内で『講座:創造型人材開発』と『バリューイノベーション:事業創出プロジェクト』でお伝えしてきました。

同時に、多くの企業・地域が行き詰まりで悩んでいることを知りました。
現在では、それをブラシュアップして多くの業種・業態にお伝えし、ご支援しています。
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前夜(116夜)に綴りましたが、
『普通』では、もう人は購入しないし、働かない時代です。
そこに求められるのは、素敵な「フィロソフィー」と「舞台(ステージ)」です。

人は、素敵なフィロソフィーのある物語と、そこに自ら参加できる「舞台・場」を求めています。

素敵な将来を、共に気づき、築きましょう。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
メイクフィロソフィー

橋本元司の「価値創造の知・第116夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』③インターネットの次にくるもの

2018年3月12日 ストーリテリング&知配

昨夜(第115夜)は、「インターネット」(世界)ではなく、「インターネット的」(世間)」(第80夜)を綴りました。
日本の経済成長が停滞しているのは、この不可逆な「インターネット」「インターネット的」に対応した産業に後れをとっているのが大きな原因の一つです。

そして、第109夜・第112夜で提示しました、3I(AI・IoT・Industry4.0)と3C( Computer・ Communication・Control)がシナジーを持って進展していくのは避けられません。
ここで重要に想うのは、二つあります。

一つ目は、①「インターネットの次にくるもの」を洞察するコト。
二つ目は、②「日本の方法」です。本来、日本が持っている方法(第47夜)を知り、上記の①「インターネットの次にくるもの」と②「日本の方法」を「かさね・あわせ・きそい・そろい」を想像・創造することで独自性を発揮するコト。
過去が豊かにあると、現在と将来が豊かになります。その①と②が不思議に相性がいいことがわかり、新結合(第17夜、第18夜)にして、有機的にストーリーにすることをお薦めしています。

それでは、①「インターネットの次にくるもの」の12章の一行要約(訳者あとがき:398p)から引用します。
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1.Becoming
ネット化したデジタル世界は、結果ではなくプロセスとして生成。
2.Cognifying
世界中が利用して人工知能を強化することで、それが電気のようなサービス価値を生じる。
3.Flowing
自由にコピーを繰り返し流れる。
4.Screening
本などに固定化されることなく、流動化(アップデート)して画面で読まれるようになる。
5.Accessing
すべての製品がサービス化して、リアルタイムにアクセスされる。
6.Shearing
シェアされることで、所有という概念が時代遅れになる。
7.Filtering
コンテンツが増えすぎて、フィルターしないと見つからなくなる。
8.Remixing
サービス化した従来の産業やコンテンツが、自由にリミックスして新しい形となる。
9.Interacting
VRのような機能によって、高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになる。
10.Tracking
そうしたすべてを追跡する機能が、サービスを向上させるライフログ化を促す。
11.Questioning
問題を解決する以上に新たな良い疑問を生みだす。
12.Beggining
すべてが統合され、著者がホロスと呼ぶ次のデジタル環境へ進化する。
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ここでは、近未来の一日をストーリー仕立て(ストーリテリング)で編集されているのでわかりやすい本になっています。
(「ストーリーテリング」とは、伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させる印象的な体験談やエピソードなどの“物語”を引用することによって、聞き手に強く印象付ける手法のこと)
世界各地で翻訳されていますので、貴社・貴地域の将来に関心のある方は是非ご覧ください。

 

さて、ポスト製造業の経営戦略「ミレニアル起業家の新モノづくり論」で著者の仲暁子さんは上記ストーリテリングについて次の様に記しています。
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ストーリーとは、要は「なりたい自分像」や「理想の世界の状態」のことを指す。それは例えば定量的な「体重がXkg」とかではなくて、数値では表せない定性的なもの。だから、ストーリーと言われる。
例えば、
・iPhoneを買う消費者は、別にiPhoneのスペックを購入しているわけではなく「iPhoneを持っている、イノベーティブでスマートなイケてる自分像を買っている。
・シェアハウスに住む若者は、単純にお金がないというだけでなく、(昨今の人気のシェアハウスは一人暮らしよりも高かったりする、「オープンに人と関わり合って進化していく自分像」を買っている。
・パタゴニアで人が働くのは、「品質の高いフリースをつくりたい」からではなく、「自然への敬意・情熱・愛を持っている人たちと一緒に世界環境をよくしていく自分像」を実現するために働いている。
安いとかバッテリーのもちがいいとか、給料が高い、だけじゃもう人は購入しないし、働かない。

ストーリテリング能力とは、こういった背景の物語を組み立てて言語化し、発信できる力のことを指す。

ストーリーはもの不足の時代からマーケティングでは必須だったが、ものが溢れる現代においては一層重要性が増している。
消費だけでなく労働者という観点においても、個々人の心情の変化やAI,ロボットの台頭という外的要因がストーリー重視の流れを加速している。・・・
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多くの会社・地域に、ストーリテリングの力が不足しています。
その能力(背景の物語を組み立てて言語化し、発信できる力)を体得するが、「深い知(第85夜)と高い知(第87夜)」です。

本夜は昨夜(第115夜)を実践する時の補完として、重要な二つのこと(①インターネットの次、②ストーリテリング)を綴りました。
『気配』という言葉があります。
・「気配(けはい/きはい)」とははっきりとは見えないが周囲の様子から何となく漠然と感じられる様子

上記の対として『知配(ちはい)』という造語が浮かびました。
「様々な業種・業態や地域」、及び、上記「過去と未来の情報」等に触れるコト、考えるコトによって、想像・創造の『知配(ちはい)』が高まります。

さらに、「気配と知配」をたかめ、価値創造にフィードフォワードしたいと想います。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
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橋本元司の「価値創造の知・第115夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』③インターネット的

2018年3月11日 ③インターネット的(リンク、シェア、フラット)

アナログ的、デジタル的、総合的、実用的、恒常的、・・・
『・・的』とは、「そのような性質をもった意」「そのようなようすの、それらしい、などの意」を表しています。

 本夜は、糸井重里さんが著した「インターネット的」を参考にしながら、それを『価値創造とイノベーションのあいだ』に組み込んだ世界を皆さんに想像・創造していただきます。
できれば、第112夜(3C)と第114夜を下地にしていますので、事前に読んでおいていただければ幸甚です。

さて、「インターネット」と「インターネット的」はどう違うのでしょうか?
糸井さんは下の様に解説(引用&編集)しています。
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・「インターネット」は、「伝える仕組み」です。いわば、人間の生み出す情報という「料理」をすばやくどこにでも届ける「お皿」です。ほんとうは、一番面白いのは、お皿に何をのせるかということのはずです。
・「インターネット的」とは、インターネット自体がもたらす社会の関係の変化、人間関係の変化みたいなものの全体を思い浮かべてほしい。

もっとイメージしやすいたとえでいうなら、「インターネット」と「インターネット的」の違いは、自動車とモータリゼーション(自動車が発明され、社会に広く浸透していくようになってから変化していったすべてを含む)の違いに似ているでしょう。
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どうでしょうか、イメージできましたか?
「インターネット」が社会に、生活に進展・浸透する中で、私たちのビジネス環境やライフスタイルは大きく変わっています。『スマホ』ひとつをとってもその双方に影響を及ぼしていますね。

糸井さんは、「インターネット的」といった時に、3つの軸(①リンク、シェア、フラット)を提示しています。

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①リンク:従来の「ジョイント」的つながりは、いわば、「問いと答えのセット」のようなつながりですね。
しかし、「リンク」というつながり方は、「問い」のほうにも、「答え」のほうにも、たくさんの付属する情報があるのですが、それが有機的につながりあうというのが魅力的であり、「インターネット的」。
周辺情報だとか、リンクの先のリンクにまで延々と深くつながってゆくのです。これこそが、「インターネット的」の一番の鍵になるのです。

②シェア:個人でつくったもの、個人の力をみんなで分けと。あって楽しむというシェア(おすそわけ)は、クラブ活動などで体験しています。分け合うというのは、なぜかは知らねど、楽しい、と。
その「シェア」というよろこびの感覚が、「インターネット的」。情報はたくさん出した人のところに集まります。
おすそわけをたくさんしている人や企業には、「これも、あなたが配ってください」という新しい情報が集まる交差点のようになってゆきます。

③フラット:従来は、「みんなのプライオリティが一定している」ことが、社会が安定していることと考えられていました。
フラットというのは、それぞれが無名性で情報をやりとりするということと考えられます。そこでは、情報のやりとり自体やそこで交わされる意味や思いだけが存在しています。
価値の三角形は、バタンと倒れて、平ら(フラット)になり、そこではそれぞれの人が自分の優先順位を大事にしながら役割をこなしている。
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「インターネット」自体がもたらす「インターネット的」の鍵が揃いました。
第109夜、第112夜で提示しましたが、それは、3C『①C: Computer=脳(AI)②C: Communication=神経系(IoT)③C:Control=手足等(Industry)』の「②C: Communication=神経系」が発達したのです。
そして、「①C: Computer=脳(AI)」と③C:Control=手足等(Industry)」に変化をもたらして、「三位一体の世界の扉」を開けました。

その鍵の中心が、「リンク」と「シェア」であり、結果として、フラットな世界が生まれつつあります。
(因みに、「インターネット」が世界で、「インターネット的」が世間(第80夜)です)

さて、私たちの身の回りには、
・スマホ、Facebook、LINE、Instagram、・・
・住居やクルマのシェアリング、・・
・異業種コラボレーション、企業間連携、産官学連携、官民協働、・・
・COOKPAD、アマゾン、グーグル、メルカリ、・・
・・・

次々に、社会の関係の変化、人間関係の変化があり、従来のピラミッド型価値観が大きく崩れました。
社会関係、人間関係が変われば、貴社も貴地域も逸早く変える、再定義する必要があります。

さてさて、皆さんの会社や地域に、上記の3つの軸(リンク、シェア、フラット)は組み込まれていますか?
日本経済が長く停滞している原因の一つが、広義の意味のインターネット系の産業の遅れにあります。もう、インターネット的な社会・産業になっているのです。
早速、「インターネット的」を組込んでみましょう。
それを組込んだ時に、どのような変化が訪れるのかを想像してみてください。今までの制限を外すと、いきなり「余白」が生まれてきますね。
従来の枠を外し、隆々とした将来を想像・創造するのがコツです。

そして今は、「インターネット的」に加えて、「AI的」を組込む時代が迫っています。(もう、トラックでは一周遅れではないですか?)
別に、「インターネット」「AI」の中身・仕組みまで知る必要は全くありません。
上記の「お皿(インフラ)」側でなければ、「料理」関係を把えれば良いのです。しかし、第112夜で提示しました様に、舞台(Prepare⇒Performance⇒Promote)をプロデュースすることはお薦めします。

最後に、「インターネット的」とは『リンク・フラット・シェア』する生き方であり、考え方です。そのような環境を生きています。
それを貴社・貴地域に組み込んだ途端に「イノベーション」が始動しはじめます。

その時にすぐに下記が判ります。

「このままでは進めない。足りないものがある」と。

その時に必要なのが、貴社・貴地域の新機軸です。
それを明確にするのが、「広い知(ミッション)・高い知(ビジョン)・広い知(イノベーション)」(第82夜、第89夜)であり、それによる『確信と革新』となります。
そして、それを実現するのは「人財」です。

隆々とした将来のために、「3C」「3I」(第109夜)の時代に先手を打ちましょう。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

インターネット的

橋本元司の「価値創造の知・第114夜」『価値創造とイノベーションのあいだ』③学ぶ⇒真似ぶ⇒翔ぶ

2018年3月10日 学ぶ⇒真似ぶ⇒翔ぶ

本夜は、次夜(第115夜)の『インターネット的:価値創造とイノベーションのあいだ』のための前段です。
『3C』(第112夜)の時代に、異業種・異業態のいい仕組みを取り入れることによって「イノベーション」につなげられている実例です。

それを下地にして、『インターネット的』なるものをベースにした時に、現在の会社(事業)はどのようなイノベーションの可能性があるのかを考えてもらうための前提になります。
研修先やご支援先によって幾つかの事例(コンテンツ)をご用意していますが、今回は「バリューイノベーション研修」で活用しているものをご紹介します。

今回は、3つの事例(①スターバックス、②トヨタ生産方式、③株式会社武蔵野)をあげます。

①スターバックス
エスプレッソの歴史は18世紀初頭、ナポレオンが発令した大陸封鎖令によって、イタリアでのコーヒー豆の流通が激減し、 ローマのカフェで小さなカップで飲まれるようになったのが始まりと言われる。
米スターバックス CEOハワード・シュルツがミラノを訪れたのが1983年。シュルツは現地で多くのカフェバールを訪れるが、その後のスターバックスの将来に大きく影響を与える光景を目の当たりにする。
それは、上質で洗練されたエスプレッソとホスピタリティ溢れる熟練したバリスタ、人々が集まり形成されるコミュニティの存在だった。
アメリカに戻ったシュルツは、それまでコーヒーの量り売り専門店だったスターバックスにエスプレッソを持ち込み、1984年にカフェビジネスをスタートする。
こうして、現在のスターバックスのスタイルが確立された。(引用加筆:ESPRESSO JOURNEY)

②トヨタ生産方式
「アメリカのスーパー」から生まれたトヨタ生産方式は、 意外な結びつきによって何かが生まれ、新しい発想が得られるという模倣から生まれた逆転の発想です。
それは改善ではなく、「イノベーション」です。

大野氏は、著書『トヨタ生産方式』で次のように説明している。
「スーパーマーケットから得られたヒントとは、スーパーマーケットを生産ラインにおける前工程とみてはどうかということであった。
顧客である後工程は、必要な商品(部品)を、必要なときに、必要な量だけ、スーパーマーケットに当たる前工程へ買いに行く。
前工程は、すぐに後工程が引き取っていった分を補充する。こうしてやっていくと、私どもの大目標である『ジャスト・イン・タイム』に接近していけるのではないかと考え
本社工場の機械工場内で昭和28年(1953年)から、実地に応用してみた」

③株式会社武蔵野
株式会社武蔵野は、「経営品質賞」を2度受賞された中小企業の会社で、小山昇社長には、2回お会いしました。

私は自称「パクりの天才」です。「他社からパクる」ことを決定する。真似こそ、最高の創造である。「『株式会社武蔵野』の正式名称は、『株式会社盗品見本市』」と冗談めかして話すくらい、他社の真似ばかりしてきました。
個性が尊重される時代にあっては、「真似すること」は「恥ずかしいこと」だと思われがちです。「独自性で勝負することが正しい」と考えられています。ですが、私はそう思いません。
とくに中小企業は「真似することが、正しい」。「学ぶ」は「マネぶ」。真似こそ最高の創造であり、真似こそ最高の「戦略」です。「他業界の成功事例」を積極的に取り入れてきたからにほかならない。
「株式会社武蔵野」のしくみは、100%どこかの真似であり、自社で考えたものは、なにひとつありません。

この会社の凄いのは、「真似たものを徹底的にシステム化」するところにあります。それも含めて本格的にコンサルタントをされています。

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第100夜に綴りましたが、先輩や師匠のおかげで、たくさんの会社・地域の現場を訪問し、数百社の想い、仕組みを私自身が体験してきました。そのような引き出しを持っていることで、連続のヒット商品もプロデュースしてきました。
「学ぶ」の語源は「まねぶ」であり、模倣は「創造の母」とも言われます。優れた異業種・異業態を学び、お手本として、そのの本質を見抜き、そして飛翔する。ここがポイントです。そこには、『確信』が必要です。

学ぶ ⇒ 真似ぶ ⇒ 翔ぶ

というのが、上記、①スターバックス、②トヨタ生産方式、③株式会社武蔵野
でも分かりますね。上記はほんの一部で、イノベーションの神様の「スティーブジョブズ」も同様でした。

さて本夜は、首記で記したように前段です。ここに、「インターネット的」なるものを「合わせ、重ね」をした時のイノベーションを次夜(第115夜)に綴ります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
学ぶ真似ぶ翔ぶ