橋本元司の「価値創造の知」第317夜:体系「価値創造ダイヤモンドグラム(DM)」をしる、わかる、活用する

2024年11月25日 「たらこスパゲティ」を『価値創造DG』で紐解く

 前夜に、「たらこスパゲティ」の『2+1』と『価値創造ダイヤモンドグラム』を提示しました。

再度、「たらこスパゲティDM」図解をご覧ください。


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 下半分は、これまでお伝えしてきた『2+1(ツープラスワン』の構図です。
右側の①は、『問題・課題(Problem)』は何か?
 ・いったい自分は何をしたいのか?
 ・どのような問題を解決したいのか?
 という、自分自身や、顧客や、社会の“想い”“欲求”“要望”です。

⇒この問題意識の『切実さ』の有無が結果に大きな影響を及ぼすことを経験してきました。
 企業ご支援、自治体ご支援してきた感覚では、90%以上でしょうか。

左側の②は、自分や顧客、社会にとって『大切なこと(Insight)』は何か?
 右側①の想いがあっても、それが左側②に響かなければ徒労に終わることが多いのです。
その数々を、前職パイオニア社の総合研究所時代の3年間で見てきました。

 真ん中に生まれてくるある新しい価値(命、ダイアモンド)がポイントです。
その新しい価値は、新しい組み合わせ(発見・偶有性:SERENDIPITY)の妙から浮かび上がってきます。

 さて、そのダイアモンドを『戦略・物語性(STORY)』に高めるのが、上半分です。
物語(STORY)の重要性は、第313夜(谷口正和師匠談)でお伝えしてきました。

 上半分の左側は、『顧客・社会の幸せ(SMILE)』です。
マーケティングの本質、肝(キモ)は、「顧客価値の最大化」です。
上記の「②Insight」と「Smile(顧客・社会の幸せ)」を両立させることが肝要です。

 そして、右側が『自社の強み、違い(STYLE)』です。
ここでは、「コンブ粉の発見」を提示していますが、この強み・違いが『継続性・持続性』の重要な要素となります。
次夜以降にも、この「強みが何か」を“iPhone”等のダイヤモンドグラムでお伝えします。

 そして、上半分の真ん中ですが、結果として“新しい文化”が生まれてきます。
「新しい文化が生まれるかどうか」が、「改善」と「改革」の違いです

『21世紀を牽引するものは「文化」です。 新しい文化が発生して、その後に経済が起こる』

 この認識です。
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 体系全体を習得(しる、わかる、活用する)することが、イノベーション実現の本筋です。

それでは、上記全体を価値創造図解で記します。

 私の企業ご支援、自治体ご支援の際に、「頭と心」の中には、いつもこの「価値創造DM」が羅針盤の半分です。
それを、残り半分の「3つの価値創造知(第21夜、第30夜、第57夜・第67夜:トリニティイノベーション体系)」との合わせ技にして完成に向かいます。

 ここで、3つの価値創造知」の方法の要約を記します。
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 ・・・新しい価値を見つける方法は2種類あります。
一つ目は、不要なものを削いで取り除いて核心に辿りつく方法です。(方法A)
二つ目は、モノやコトを新しく結びつけて革新に辿りつく方法です。ここには、時間(過去、現在、未来)を結びつける「縦の新結合」(方法B)と、空間で複数のモノ・コトを結びつける「横の新結合」(方法C)があります。

新しい価値を創造する基本の方法は、この3つの方法(A・B・C)でほとんど網羅できます。それを新価値創造研究所では、「(三位一体)トリニティー・イノベーション」として取りまとめ、商標登録しています。・・・
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 ここまでは、主に「方法B」を中心にお伝えしてきました。

 参考になれば幸いです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第316夜:日本人の味覚に合うスパゲッティを届けたい!

2024年11月23日 「2+1」:“たらこスパゲッティ”の誕生

 本夜は、どんなきっかけで、「2+1」が誕生していくのかを、
渋谷でよく食べに行く「壁の穴」というスパゲティ専門店を通してお伝えします。
「2+1」理解が進む事例として、多くの講演、研修で紹介しています。
とっても参考になり、喜ばれるいいお手本です。

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「壁の穴」
https://www.kabenoana.com/
スパゲティ専門店「壁の穴」が開店したのは、昭和28年。
当時は、日本ではイタリア料理はなじみの薄い時代でした。
そこで、日本人の味覚にあうスパゲティを独自に研究。
「たらこ」「うに」「納豆」など、さまざま日本の食材を使ったメニューを開発していきました。
それは「壁の穴」の定番となり、やがて“和風スパゲティ”として日本に広まっていったのです。
また、ヨーロッパと日本では水質が違いますから、イタリアのレシピでスパゲティを作ってもうまくいきません。
日本人の口に合う、旨味を出す方法はないものか。試行錯誤を重ねて、ついに昆布粉を発見。
あらゆるパスタソースに昆布粉を入れることによって、素材の味を損なわずに旨味を引き出すことに成功したのです。
料理の基礎を大切にしながら、少しずつ独自の改良を加え『和風スパゲッティ』を完成させました。
スパゲティが日本人にとって身近なものとなるよう、独自の研究を重ね、さまざまな日本の食材を使ってスパゲティを作り上げました。
こうして誕生したメニューは壁のの定番となり、やがて「和風スパゲティ」として、日本中に広まっていったのです。
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A.スパゲティ(半分)
B.たらこ(半分)
C.コンブ粉の発見(プラス1)

 という構図ですね。

 ここで一番のきっかけになるのは、

①「日本人の味覚に合うスパゲッティを届けたい!」

 という想いです。
それが源流にあることです。

 そして、実現するために開発したのが、

② 「コンブ粉の発見」

 です。

 そして、それが、

③ 「新しい文化&物語」

 につながります。文化経済(文化が先行して経済を引っ張る)です。(第314夜)

 上記を図解したのが、
新価値創造研究所オリジナルの『ダイヤグラム(DG)』です。

この図解の下半分の『偶有性』と、上半分の『戦略・物語性』については、次夜に綴ります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造とは何か」?

 『価値創造』とは、「人に役立つことを先取りするコト」です。

・『価値』とは、「人に役立つかどうか」というコト
・『創造』とは、「未来を先取りする」というコト

詳細は、新価値創造研究所HPのコラム「価値創造の知・第75夜、第175夜」に記しています。

 『価値創造』(新価値創造研究所コラム・第175夜)という言葉を私が始めて公開したのは、1988年の時です。
 前職パイオニア社の技術職でしたが、労働組合の書記長を務めた一年後の33歳の時に、一年に一回開催される重要なイベントである「技術発表会」(2000人規模)の事務局長になりました。
 『性能から効能へ』という「価値転換」から把える時代になるコト。そして、それまで発表会には「コンセプト」がなかったので、

「新価値創造 NVC(=New Value Creation)」

を中心において、全てのテーマが「新しい価値を創造すること」に置くことを発表しました。
その後、それが「技術発表会」のコンセプトになりました。

 当時は「価値創造」「新価値創造」という言葉はどこにも使われていなかったので造語です。
もう、「価値創造」が時代の中心になることが観えていました。

 技術統括部(事務局長)の後、目黒本社に異動となり、
・調査企画(情報企画課)
・開発企画
・社長直轄 ヒット商品緊急開発プロジェクトリーダー(コラム第313夜)
・新事業創造室室長
・総合研究所:新価値推進センター所長(研究企画、シナリオ企画)、
・「パイオニア・次の柱」事業創出プロジェクトリーダー
 と現場で経験(マーケティング×イノベーティング)を積み重ね、

 「価値創造」の真髄を世の中にお伝えしようと、パイオニア社を早く卒業して、
・新価値創造研究所代表(2013年)
を設立しました。

 「価値創造」は企業存在の目的であり、その実現手段が「イノベーション」です。(コラム第309夜)
「価値創造」と「イノベーション」はコインの裏表です。
いま、紛れもなく「価値創造」と「イノベーション」は時代の中心です。

 その「心得と方法」を価値創造の知・第1夜から綴ってきました。
さて、私には、『松岡正剛(第308夜)』、『谷口正和(第313夜)』の二人の大師匠がいます。
お二人とも京都出身で、永眠されました。

 3年半の間、コラム「価値創造の知」をお休みしていましたが、
お二人から授かった「深く、高く、広い『知』」を、多くの方々にお役に立てるようにお伝えしなければならないと決意して、
第308夜から、深化、高化、広化した内容で再開しました。

 「価値創造」・「イノベーション」が実現できるプロセスを企業や自治体ご支援の現場で考察してきましたが、
本日、それを公開いたします。
 それは、

『切実』⇒『逸脱』⇒『別様』

 です。

 それを「価値創造の知・第308夜」からお伝えしていきます。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第315夜:“持続可能な観光”実現の鍵

2024年11月22日 持続可能のための「2+1(ツープラスワン)」

 11月20日の「クローズアップ現代」では、“持続可能な観光”実現の鍵をテーマに放送がありました。

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・・・2024年9月までの訪日旅行者数は、早くも2023年を超えて2,688万人。特に人気なのがニッポンの大自然。国は、全国35か所の国立公園全てにホテルを誘致するなど、宿泊施設を整備する方針を固めました。掲げられたのは、将来にわたって持続可能な観光を目指す、というもの。しかし、取り組みは始まったばかり。自然破壊やオーバーツーリズムなどの課題も指摘されています。番組では、ハワイなどの先進的な事例をヒントに実現への道を探りました。・・・

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 ここでは、「2+1(ツープラスワン)」の一対(第310夜)は、「経済性(観光資源の収益)」と「環境性(環境保護、保全)」の両立です。

 ゴールは、“C.持続可能な観光”の実現ですね。

番組では、

・沖縄県恩納村「青の洞窟」

・ハワイの先進的事例

・星野リゾート「軽井沢」

等が事例として取り上げられました。

①沖縄県恩納村「青の洞窟」では、多すぎるインバウンド客の問題・弊害のように、多すぎるシュノーケリング観光の問題(環境保護と事業性の葛藤)が取り上げられました

②ハワイの先進的事例としては、「地域住民、レジャー業者、行政」の連携により、「A.経済性:入場料アップ」と「B.環境保護:入場人数制限、及び週二日間の閉場」により、“持続可能な観光”を実現されていました。

③また、110周年 を迎える星野リゾートが大切にする「自然との共生」。水力発電やムササビウォッチングなど、環境経営の取り組みが紹介されて、上記A.B.Cの「2+1(ツープラスワン)」の取組みの大いなる参考事例が取り上げられていました。

⇒②③が、観光戦略を転換した先行事例です。

 さて、上記の様に『持続可能な○○』を実現するためには、「観光業者、観光客、行政、関係者」が共有連携できるかが鍵となります。

 「持続可能な○○」の重要ポイントは、先ず『あり続けたい』というそれぞれの切実さや、想い、情熱を共有して、諦めるのではなく、『第3の方法』を創出することです。

 上記事例では、「経済性(半分)」と「環境性(半分)」というこれまで相いれにくい一対を、どのように両立したら『持続可能な○○』ができるのかという知恵を出すことが求められました。

(⇒これが『SDGs』展開、開拓で求められるど真ん中です)

 上記の様に、広く世界や世間を見渡すと困難にアプローチして、挑戦、成功されている事例が点滅しています。それを自分の目の前の問題に置き換えてみることをお薦めします。

そこに、「2+1(ツープラスワン)」という方法(武器)を使って、他の業界の成功方法を、自社や自分の属する業界に、置換することがとっても有効・有益です。

 私の異業種コラボレーションによるヒット商品開発(第311夜)は、フィギアスケートのルール改正をヒントにしたものです。

(私のご支援先のソーラーパネル販売会社さんの将来事業展開では、北海道札幌市のハウスメーカーの会社のベンチマーキングを提案・推奨しました)

 「2+1(ツープラスワン)」という方法を“知り、わかり、チャレンジ”することで、きっと目の前の風景が変わってきます。

ニュースを見ている時にでも、是非、

・「これは問題だ」

・「なんとかできないものか?」

・「何とかしたい」

 と思った時に、この方法(A.B.C)にあてはめて考察・置換してみてください。

それが、きっと『イノベーターへの道』につながります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第314夜:「2+1(プラス1)」と「両利きの経営」、「マンダラチャート」

2024年11月21日 ビジネス編[既存事業(B2B)と戦略事業(B2C)の両立へ]

 第313夜は、「2+1(プラス1)」を異業種コラボレーションを通してお伝えしました。
異業種先の100社位とコラボレーションして、連続のヒット商品と事業展開の新しい道筋を開拓しました。

 さて、本夜は、私が、企業ご支援で活用する「2+1(プラス1)」の活用事例をご紹介します。
ここ3〜4年で「下請けから脱皮したい」という中小企業経営者の依頼が急増しています。

・発注先の経営が右肩下がり
・度重なるコストダウン要求への嫌気
・自社の将来成長の要素、道筋が見えない
・近年政府が謳う賃上げに対応できない
等々

 『従来と同じやり方では将来がない(埒が明かない)』

というのが「脱皮したい」一番の想いです。

 より、本質的な観点からお伝えすると
 『大変化が常態化し、新しい価値(=イノベーション)を社会に出し続けなければ生き残れない!』
 『ひとつのことを長く続ける戦略』がリスクになっている!
という時代になっていることです。(両利きの経営から加筆引用)

 このような状況を打開、脱するのが「2+1(プラス1)」になります。
ゴールは、「現状の切実」から脱皮して、「新しい全体、新価値、将来成長」を創ることです。

 上記の「2+1(プラス1)」の構造を改めて考えて見ましょう。 
その重要な心得は、

 自分(会社、学校、自治体)の現在、現状は、
・道半ばである(半分である、途中である)
・まだ不足している(完成していない)
 という認識です。

 「両利きの経営」という経営書が刊行されてベストセラーになりましたが、この本で記されていることを橋本流に「2+1(プラス1)」編集して組み立てると、
“「2+1(プラス1)」を認識して、右手(A.既存事業)も左手(C.戦略事業)も使える経営を実現することです。”
(第311~312夜では、右手(テクニカルポイント)と左手(アーティスティックポイント)を両利きにした「2+1(プラス1)」を紹介しました)

今回のビジネス編では、「B2B(既知)」と「B2C(未知)」の両立です。
A.(半分):既存事業→B2B
B.(半分):まだ未決定(X-1)
C.(新しい全体)戦略事業の探索→B2C
 プラス1はまだ未決定(X-2)

 上記を実現している会社の一つをご紹介します。
近年の講演で必ず参考事例として説明しています。

 「(株)佐藤製作所(東京都目黒区)」は、令和3年度・東京都女性活躍推進大賞、令和4年度・第20回勇気ある経営大賞特別賞を受賞された会社です。
https://www.city.meguro.tokyo.jp/sangyoukeizai/shigoto/sangyou/satouseisakusho20210216.html


金属加工、特に銀ロウ付け溶接の展開を得意とされている会社ですが、10年前は、連続赤字で倒産を考えられていました。 
取引先が5社(B2B)だった10年前から、現在は約500社(B2B、B2B2C、B2C)の取引先となり、7年連続の賃上げを実現されています。

A.(半分):既存事業→B2B:金属加工
B.(半分):女性の積極採用・活用・活躍(SDGs目標5:ジェンダー平等を実現しよう)
C.(新しい全体)戦略事業の実現→B2B2C、B2C

 
 10年前の倒産危機の『切実』から、全社員の反対を押し切って女性新入社員を採用し、活用し、活躍という『逸脱』を推進されました。
そのことで、『別様』の新しい事業展開の道が拓けました。
(現状は、10年前の高齢男性だけの職場から、現在は社員数16名のうち、半分が20代、6名が女性に代謝さています)


  
 10年前の赤字状態が   「会社バージョン1.0」
 現在の連続賃上げ状態が、「会社バージョン2.0」
 これからの10年の経営が、「会社バージョン3.0」
という次のバージョンアップが楽しみな成長企業です。

 翻って、将来の打開、展開が見えない会社・企業(第(個人・学生・自治体)は、[A]のやり方が行き詰って滞っています。
それが、私の多くの企業ご支援での実感です。

・A:今は、まだ半分(中途)の状態である
・C:どのような状態に脱皮(=逸脱)したいのかを自由に探索する
・B:Cを実現ためには、何が不足しているのかを探索してみる
 そして、「2+1(プラス1)」のA~Cの素敵な物語(想像と創造)を空想・妄想してみる。(第313夜)

 さてさて、いま、MLBで大活躍の大谷翔平選手の高校時代の「人生設計シート(目標目標シート)」がよくメディアで取り上げられています。
その「人生設計シート」は、当時は、皆(野球界)から「こんなの絶対無理」「非常識」と言われる項目が並んでいます。
夢を書き、恥をかき(そんなの無理)、汗をかくことで願いを実現してゆきました。
この「人生設計シート」「マンダラチャート」のど真ん中が、『C:新しい全体』にあたります。

私の講演・研修・SDGsファシリテーション、企業ご支援等で、「2+1(プラス1)」「マンダラチャート」をセットにして自在に活用させていただいています。

是非、「2+1(プラス1)」とのセットで、「個人・学生・企業・自治体」等で、活用されてみてください。
効果抜群です。ww

 これまで「2+1(プラス1)」を『空間軸』で観てきましたが、次夜(第315夜)は、「2+1(プラス1)」を『時間軸(過去・現在・未来)』で観て進化する方法をお伝えします。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第313夜:「新しい物語」

2024年11月18日「2+1(プラス1)」、「間(MA)」そして「物語」へ

第311~312夜で、イノベーションの肝(キモ)となる「間(MA)」と「2+1(プラス1)」について、お伝えしました。
「2(半分と半分)」が目の前にあっても何も起きませんね。
そこに、「プラス1」を入れることが、新しい全体、新しい化合物(価値創造)につながります。
 その「プラス1」を入れた状態が「間(MA)」です。

そこでは、
・いい間合い
・間が悪い
・間違い
・間抜け
 が生まれてきます。

 ここで、講演等でしばしば取り上げて納得される事例が、前職パイオニア社の「ヒット商品緊急開発プロジェクト」の第一弾ヒット商品が、「ピュアモルトスピーカー」です。
・「A.サントリー(半分)とB.パイオニア(半分)」という一対があって、そこに、サントリー社の廃材となる「C.ウィスキーの樽材(プラス1)」が入ることによって、それが素晴らしい音色を奏でる「スピーカーのキャビネット」として生まれ変わり、新しい物語と利益が生み出されました。
 「片(人と自然と響きあう)と片(音響)を共通項とした新しい樽物語」です。
 実際には、「サントリー・ウィスキー樽」、「オークビレッジ・匠の木組み工法」、「パイオニア・音響の匠」の3社が結合して、“ピュアモルトスピーカー”という樽物語が誕生しました。

[新しい物語の背景にあるのは]
①ウィスキーの樽材に使われていたのは、樹齢100年のオーク材です。それを40~50年も使うと香りや色が薄れて廃材となります。
その廃材を再生して使って、通常の2~3倍のスピーカーの販売価格でも購入していただけるロングランの商品になりました。
 「エコロジー×エコノミー」
 として、様々な大きな賞を受賞することにつながりました。

②このウィスキー樽と出会うきっかけとなったのは、ちょうど2年前に永眠された谷口正和師匠のお陰です。
1990年から、谷口師匠が主宰する「エコロジー研究会」に参加していて、そこに、オークビレッジ(株)の稲本正・初代社長が講師として来られました。
サントリー社のウィスキー樽(廃材)を再利用して、“森の再生”をメインテーマにして、「家具」を制作されている内容でした。
 その講演の最中に想ったことは、

「このウィスキー樽材をスピーカーのキャビネットに使用したら、どのような音色を奏でるのだろうか」と。

 さっそく、サントリー社樽材で、自社の売れ筋のサイズで、スピーカーを制作しました。

 スピーカーから響くその素晴らしい音色に関係者は感動しました。
バイオリンの最高峰「ストラディバリウス」は、木片を4〜5年海水につけていたという話を聴きましたが、同様に、ウィスキー樽に10~15年浸かって導管が通ったからの超音色かもしれないと、パイオニア社の最高の音響技術者が語っていました。

 この時、谷口正和師匠と『物語』について懇談しました。
谷口師匠は、
 「・・・『2+1(プラス1)』には、物語の要素が必要です。
人間は「心」で「つながり」をつくる生き物なので、
人間は、「物語」を介在させないことにはつながり合うことができません。
物語とは、新しい現実を受け入れる形にしていく働きです。・・・」

 そうなんです。異業種コラボレーションには、『素敵な物語』が必要です。
そこに素敵な物語を導入し実現することで、顧客の心に大きく響き、大きな売り上げになることを経験しました。 

 さて、上記の『素敵な物語』があることで、
・新商品発表会には、三大新聞(読売新聞、朝日新聞、毎日新聞)がパイオニア本社に来られ、たくさんのメディアに取り上げられ、広告費を使わない大宣伝につながりました。
・また、購入者のアンケート結果には、家族からのこれまでにない感想と支持が記されていました。
・世間から、「ヒット商品緊急開発プロジェクト」が次にどのような商品をリリースするのかの関心が高まりました。

・ウィスキー(味覚)×オーディオ(聴覚)
・ファッション(視覚)×オーディオ(聴覚)
・インテリア(視覚)×オーディオ(聴覚)
・バス(入浴)ライフ(触覚)×オーディオ(聴覚)
・・・

 パイオニア社にあるのは、音響技術(テクニカルポイント)ですが、ウィスキー、ファッション、インテリア等のアーティスティックポイントはありません。
そして、『物語の素(モト)』は、異業種先にあります。
素敵な物語を発信されている企業と次々にコラボレーションしていきました。

①テクニカルポイント×アーティスティックポイント(第311夜)
 (新しいルール)
  ↓
②パイオニア社×異業種コラボレーション(第311夜)
 (新しい物語)
  ↓
③サントリー社、佐治敬三会長との対談
 (異業種先との信頼)
 (ピュアモルトスピーカーの命名)
  ↓
④新しい文化、新しい経済
 (新しい文化経済:エコロジー×エコノミー)

 実は、オークビレッジ・稲盛正初代社長の講演(エコロジー研究会)の2年前に、パイオニア社先輩の紹介で、サントリー社経営戦略の方との「祇園遊行」のご縁がありました。
試作品ができた時に、すぐに堂島本社の彼のところに電話しました、そこで、試作品を持って、鳥居慎吾(現・サントリーホールディングス代表取締役副会長)にお引き合わせいただき、スピーカーの音を聴いていただきました。その響きにとても喜ばれて素敵な懇談の時間を過ごしました。
 このスピーカーに、『御社のピュアモルトを使ったピュアモルトスピーカーと名付けることができたら嬉しい』旨のお話をしたところ、佐治敬三会長との会談(東京青山)を設定をしていただけるという、『最上のご縁』にジャンプしてゆきました。
 「切実な想いは実現される」
ということを実感しました。

 
 さて、上記①②③④が、異業種コラボレーションのヒット創出のセオリーです。
このセオリーは、いまでも変わらないものと思っています。
参考にしていただけると幸いです。

 さてさて、谷口師匠はその後、「文化経済研究会」を発足されました。
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「文化経済研究会」とは

21世紀を牽引するものは「文化」です。
文化が発生して、その後に経済が起こる。この文化経済の時代の重要な認識は、今までの経済優先の発想を越えられるか、ということです。過去の大企業主義、シェア至上主義は音を立てて崩れつつあります。
小さくても志を持って立ち上がり、自分たちのミッション、フィロソフィー、ポリシーをあくまでも貫き、従来の提供者論理を切り捨て、真の顧客主義に立った企業だけが存在を許される時代です。
人も企業も個性が連鎖して新たな変化の潮流を引き起こす21世紀。未来社会経済学ともいうべき視点から、変革をリードする企業および起業家からその発想と戦略を学びます。
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 「文化経済研究会」発足から、会員となってずっと参加しました。
重要な認識は、『文化が発生して、その後に経済が起こる』です。

「ヒット商品」のレベルではなく、それが新しい文化(経済)につながるのかを先に洞察するようになりました。
そこでは、100社以上の経営者が講演に来られて、数えきれない気づき、学びを得て、自分の活動(パイオニア社総合研究所、新価値創造研究所)の基盤になりました。
 この100以上の経営者とのご縁と、上記の100社位の異業種コラボレーションのご縁が、自分の大きな財産となって、その後の、講演、研修、企業ご支援に活かすことができました。

 松岡正剛、谷口正和の両師匠から学んだ、「2+1(プラス1)」、「間(MA)」、「新しい物語」が普遍の知です。
少しでも参考になれば幸いです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第312夜:「2+1(ツープラスワン)」

2024年 11月13日 一対にあと一つを加える

 第308夜から、「価値創造の知・『バージョン2.0』」を開始しました。

その流れを俯瞰することで、「価値創造の知」の理解が進む一助になれば幸いです。

・第308夜:「一隅を照らす」ために、

 (比叡山で、心に火が点灯)

   ↓

・第309夜:価値創造とイノベーション(半分×半分)

 (自分のミッションの再確認)

   ↓

・第310夜:現状を「半分」と見切るコト

 (ものの見方を提示:現状は中途半端、途上である)

   ↓

・第311夜:「間(MA)」とイノベーション

 (新しい全体:「間」の構造を理解する)

   ↓

・第312夜:「2+1(ツープラスワン)」

 (一対プラス1で、新しいものを生み出す)

 本312夜は、 「一対(二つの要素)に、あと一つを加えて『別のもの』を生み出し、新しい全体をつくる方法」の前半をお伝えします。

松岡正剛師匠の講義を加筆引用します。

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 ・・・簡単に言ってしまえば、

二つのものが目の前にあって、

そこにもう一つ加わると、

何か別のものが生まれるということです。

 たとえば、Aという子がフリスビーを持っていて、

Bという子が砂場で遊んでいる。

 それだけでは何も起こらないけれど、

そこにCという子がホースを持ち込むと、

ホースから水を出して、砂をこねてお団子を作り、

フリスビーをお皿に見立てて、

「ごっこ遊び」が始まったりするとか、・・・

・・・「お母さんとカレーライス」という一対に「買い物(プラス1)」を入れるか、

「お母さんとカレーライス」に「弟(プラス1)」を入れるか、

いろいろ変わってきたときに何かが見えるんじゃないでしょうか。

プラス1というのは、変化の多様性なんです。・・・

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 ルネサンス三大発明に、グーテンブルクの『活版印刷』(1450年頃)があります。

グーテンブルクの家は、「A.刻印機」をつくっていました。

そして、その途方には、「B.ぶどう絞り機」がありました。

 AとBだけでは何も起こりませんね。

『活版印刷』により、手作業(書き写し)ではできない「大量印刷が可能」になり。

世界に聖書や歴史、技術などが広く知れ渡るようになりました。

 そう、一対(AとB)だけでは何もおこらず、そこに「C.様々な術(わざ)」

を組み込むことによって生まれてきました。

 「何をしたいか」、「何をつくりたいか」というイメージが先にあり、

あるものとあるものの関係性の発見能力、つまり、意味のある情報どうしを

とってきて、組み合わせ、組み替える能力の両方が必要です。

 これを松岡師匠は、「イメジメント」と言いました。

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 多くの会社は、「マネジメント」はそこそこできているのだけれど、

新しい価値の創造には、「マネジメント(能力)」ではなく、

「イメジメント(能力)」が肝要なんだ。

 「パイオニア社」と「イメジメント」は相性がいいんじゃない。(笑)・・・

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 前職パイオニア社の本社に来ていただいた時の懐かしい言葉です。

 次夜(第313夜)は、この具体的実例を「サントリー社とパイオニア社」の新結合を通してお伝えしたいと思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第311夜:「間(MA」と「イノベーション」の絶妙な関係性

2024年11月12日 「間(MA」をしる

 イノベーションとは、「既存の組み合わせ」によってできる新しい全体(魅力・価値)です。(第308~310夜)
イノベーションを挑戦することによって、企業人、行政人や学生にとって最も有益なことは、
「既存の組み合わせで、自分オリジナルの思考や考えを持つことができること、そして、その成果に自信を持てること」
にあります。ここ重要です。
(アントレプレナーシップ養成やスタートアップ講座でも必ずお伝えしています)

 さて、日本人は、既存の二つのもの(第310夜:半分と半分)を両方活かすという特性、センスがあります。
それが、「間(MA」です。
 「間(MA」は、落語、映画、会話、勝負事(剣道、野球、相撲等)、茶道、書道、華道、建築(桂離宮)、等々に深く広く関わっています。
 
 目的を「イノベーション」とした時に、その実現手段(方法)がこの「間(MA」です。
これから、「間(MA」の奥にある方法を取り出し、「新しい関係性を発見する」ための入り口から綴っていきます。

 改めて「間(MA」とは何でしょうか?
普段の言葉の中で、いっぱい使われていますね。

間際
間違い
間合い
間抜け
間延び
床の間
間かいい
間にまに
間仕切り
間が持てない
間を合わせる
間を置く
間を欠く
あっという間
時間
空間
人間(関係)
等々
 私たちは、人生・世間(せけん)でたくさんの「間(MA)」に遭遇します。
前夜(第310夜)の「一対、新しい全体」でできる『さまざまな場』が『間(MA)』です。

 ここで、松岡正剛師匠の講義を引用します。
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「間」は日本独特の観念です。ただ、古代初期の日本では
「ま」には「間」ではなく、「真」の文字が充てられていました。

真理・真言・真剣・真相・・・

その「真」のコンセプトは「二」を意味していて、それも
一の次の序数としての二ではなく、一と一が両側から寄ってきて
つくりあげる合一としての「二」を象徴していたそうです。
「真」を成立させるもともとの「一」は「片」と呼ばれていて
この片が別の片と組み合わさって「真」になろうとする。
「二」である「真」はその内側に2つの「片」を含んでいるのです。

それなら片方と片方を取り出してみたらどうなるか。
その取り出した片方と片方を暫定的に置いておいた状態、
それこそが「間」なのです。・・・

・・・日本人にとって、「間」というのは、本当は
「あいだ」という意味じゃないんですね。、
AとBがあって、ふつうはこの二つの間が
「間」というふうに考えられているんだけれども、
実際は、AとBを取り巻く空間が「間」なわけです。・・・
 
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 参考に、松岡正剛著「間(MA)の本」をアップします。ww

 それでは、日本の「間(MA)」を形作った『一対』の例を見ていきましょう。

モノとコト
神と仏(神仏習合)
天皇と将軍
公家と武家
アハレとアッパレ
冥と顕
浄土と穢土
善と悪
ウツとウツロ
空(クウ)と色(シキ)
男と女
能と狂言
てり(照り)とむくり(起り)
平仮名と片仮名
記号(コード)と様式(モード)
等々

 本来の日本の方法は、一対(二つ)のものを両方活かす(デュアルスタンダード)ことだったので、日本人と「間(MA)」とのつきあい、相性は抜群なのです。
どちらかを選択するのではなく、両方を活かすことを『2項同体』といいます。この把え方が肝要です。

松岡正剛師匠は、いろいろな現場(未詳俱楽部)や視座によって、「間(MA」の奥にある秘密を紐解いて提示してくれましたが、
その一つとして、「バロック(二つの焦点=楕円)で見る」、「デュアルに見る」という方法が私に深く響きました。
 真円は「ルネッサンス」、楕円は「バロック」。
二つの焦点があることで、動的になりますね。(バロック時代です)

 それでは、私(橋本)のバロック(二つの焦点)への気づきとプロジェクトの具体的展開をお伝えします。
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1989年をピークとして、ホームオーディオ業界は衰退の道を辿り始めました。
1993年、「どうしたらオーディオ事業を活性化できるか」という委員となって熟慮していたところ、
「フィギアスケート大会」の夜のTV放送を見て、閃きが起こりました。
そこでは、フィギアスケートの「ルール(得点)の改正」を説明がありました。、
 「以前は、テクニカルポイント(技術点)が良ければ、金メダルをとれたのですが、今は、アーティスティックポイント(芸術点)との合算になり、その両方がよくなければ金メダルがとれない」旨の過去の映像を絡めながらの解説でした。

 その時に、そのルール変更を「オーディオ事業」に当てはめてみました。
「オーディオ事業」も、テクニカルポイント(ハイファイ:忠実再生)で成長してきたのですが、既にコモディティ化(商品同士の価値に差がなくなる状態)して、賃金の安い東南アジアに生産移転にシフトしていました。
 ここで、「フィギアスケート」の様に、「アーティスティックポイント(半分)」を合算する商品化をするとどうなるのか、魅力のある新しい全体(事業)ができないかという仮説を検討しました。


1994年、新しい2軸から新しい3象限を想定して、経営会議に提案しました。(将来ホームオーディオの3つの進化形も提示しました)


新社長のゴーサインが出ましたが、複数の役員から大反対の声が上がりました。
 その方たちは、新しい半分(アーティスティックポイント)は、とても成功するとは思えなかったのです。

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 結果的に、100社位と異業種コラボレーション[第1弾は、サントリー(半分)とパイオニア(半分)]して、メディアにも大きく取り上げられて、逆境の中、連続のヒット商品にすることができました。

 さてさて、「経営における現在の看過できない変化、課題は何でしょうか?」
経営者の方々に、セミナーやご支援先で質問すると、その項目がいっぱいでてきます。
そこから、『一対』を見つける心得と方法をお話します。

 ただ、「新しい全体(価値)」を創るには、「一対」を見つけただけではうまくいきません。
そこには、「『2+1(ツープラスワン)』という情報編集力」が必要になってきます。

それは次夜(第312夜)に綴ります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第310夜:現状は『半分』と見切るコト

2014年11月10日 「半分、一対」から「新しい全体」を考察する
 
「イノベーション」を基本からご理解していただくために、最初に三つのことをお伝えします。
1.「新結合」
 イノベーションとは、既存の二つのもの(こと)を組み合わせて、新しい全体(新しい一つ)を創ることです。
2.「一対」
 それは、対象とするものごとを「半分」であると見切ることです。まだ見えていない新しい全体(新しい一つ)のために、残り半分があると想うこと、確信する心意気が肝要です。
 一対(相手)が何かを考え、新しい全体(新しい価値)を想像、創造することです。
3.「赤ちゃん(新しい命)」で考える
 わかりやすい事例を一つあげます。
それは、赤ちゃんです。
男(半分)と女(半分)という一対があり、
新しい全体、新しい生命が生まれることです。

 さて、悪化する「地球環境、社会環境」と「経済環境」を両立することが経営の喫緊課題です。
地球よし、未来よしのWell-beingを目指して、イノベーションで解決することが必要です。
解決方法は、『本業(半分)×SDGs(半分:SDGs17目標)』から、「新しい全体(価値)」を創ることです。

 地球沸騰(GX:グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)は、後戻りしない変化(X:トランスフォーメーション)を例にすると、本業に対して、地球沸騰(SDGs17目標)やDX・AI等の課題を組み合わせる残り半分だと見切ることです。
 そこから、どの様な新しい全体(価値)を創れるかを想像することが始まりとなります。
これまでの幾多のご支援から、その想像と創造が、成長経営につながることを経験してきました。

 上記を整理すると、
①自分の対象を「半分である」と見切ること
②一対(半分と半分)が何かを炙り出すこと
③新しい全体に思いを巡らすこと

 これが、「イノベーション」理解の入り口、道筋です。
 この道筋で、
・前職パイオニア社では、異業種コラボレーション(100社)でヒット商品を連続創出しました。
・現在、「企業創生・地方創生・学生(アントレプレナーシップ)」に多くの時間を投入していますが、同様の道筋でご支援をしています。

ここで、松岡正剛師匠「千夜千冊:993夜『玄語』」から、引用させていただきます。
https://1000ya.isis.ne.jp/0993.html
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・・・この一組、あるいは一対は、私の見方ではそれ自体で「一つ」なんですね。もともとは別々の二つが寄り添ったり、並んだり、重なったのかもしれないが、それで一つになっている以上、それは一つのものとして見たほうがいい。
 ということは、半と半とで「一」になるわけで、一対にはいつも半と半とがあるということです。いいかえれば、どんな一つのことを見ても、そこには何かの半と半とがやってきていると見るとおもしろいということです。

 たとえば「中途半端」という言葉がありますね。あれはまさに物事を半ちらけでほったらかしにするということで、もっぱら非難のときに使う言葉なんでしょうが、この「半端」をそのままにしないで、むしろその「中途」のアドレスをもって活用したらどうか。私はそういうことを考えるんです。・・・
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 参考になれば幸いです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第309夜:「価値創造とイノベーション」

2024年11月9日 価値創造の目的と実現手段(=方法)
 いま、「世界・国家・地域・企業・個人」に求められる最重要キーワードは何でしょうか?
それは、『価値創造』です。
私は、その実現を「自分のミッション(使命)」にしてきました。

 持続的・継続的に『価値創造』できれば、「世界・国家・地域・企業・個人」は『成長』します。
でも、それができなければ、『衰退』します。
それが顕著にみえる、わかるのが、「企業と地方」です。
「企業倒産」と「地方衰退」です。

 日本の国の借金は、約1300兆です。
企業であれば、とっくに倒産していますね。
この借金を返すための最重要ポイントは、『価値創造』です。
経済成長の源泉であり、日本政治の中心で議論・構想・解決する一丁目一番地です。

 それを「企業」を例にして説明します。
経営の神様の「ピーター・F・ドラッカー」はいいます。

 企業の目的の定義はただ一つ。
 企業の目的は、『顧客価値の創造』である

企業は顧客に価値を提供し、顧客から対価を得る。
これが、原理原則です。

その価値(魅力)が低ければ、対価も低く(衰退)なります。
その価値(魅力)が高ければ、対価も高く(成長)なります。

 それでは、目的である『価値創造』を実現する手段は何でしょうか。
それが、『イノベーション』です。

 企業の目的は、『価値創造』
 その実現手段が、『イノベーション』

この二つの一対が、コインの裏表です。
(国の「産業成長力」の基盤であり、いま求められる「教育」の基盤です)

 国内外で、『イノベーション』の大合唱が起きていますが、
そもそも『イノベーション』って何でしょうか?
と言われても整然と答えられる人はほんの僅かです。

 『イノベーション』は、ヨーゼフ・シュンペーター(経済成長の創案者)の造語です。
イノベーションは、『内側に異質なものを導入して新しくする(新結合:Innovare)こと』を実行(:-tion)して、経済や企業が発展することです。

 企業・学校・自治体等から依頼される研修、セミナー、プロジェクト実支援では、上記『イノベーション』の基礎を『型』で図解(見える化)して、様々な事例をお伝えして、演習を通して自ら自分ゴトとして、使いこなせるようになっていただくように構成しています。

 松岡正剛師匠から、上記『イノベーション』について、
・知
・縁
・一対
・間(ま)
・守破離
・数寄
・余白
・日本流
・おもてなし
・苗代思考
・無常迅速
・別様
・虚実
・バロック
・フラジャイル
・イメージメント
・連想
・コードとモード
・鍵と鍵穴
 等々の『編集』の「視点・視座」や「型」を、一流の現場(未詳俱楽部)を通して、直伝で授かってきました。

次夜のコラムから、それらの「心得と方法」をお伝えしていきたいと思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ