価値創造の知・第88夜 『高い知』②=『守破離』

2017年11月26日 世阿弥の「風姿花伝」

前夜(第87夜)では、『高い知』のマンダラ図をアップしました。
本夜は、その図の左側の『守破離』をご案内します。
右側の『弁証法』が思考の知性に向かうのに比して、『守破離』はそれをも含んで、「心性・体性」の高みに向かうものです。

『守破離』(図解)とは、
守って破って離れる、のではない。
守破離は、
守って型に着き、
破って型へ出て、
離れて型を生む。
この思想は仏道の根本にも、それをとりこんで日本的な様式行為をつくった禅にも茶にも、また武芸にも、開花結実していきました。(第5夜)

そこの奥には、『自分を更新する』ことが中心にあるように思います。

『自分を更新することで、違いを生み、創ることができる』

何かとテクニックだけ真似て結果を出そうとする人がいますが、だいたい結果が出ません。
本当の本質の『違い』は、「継続的な努力からの更新」にあります。そのコトをお伝えしたかったのです。

「読み書きそろばん」を反復訓練するなど、プロはみな「守」からスタートします。書道・華道・柔道・大相撲・打ちそばの達人でも「守」からです。
自分の「型」を持つことも必要です。そして、『一剣を持して起つ』のです。「守破離」というのは、人がある道を究めるのに歩むべき3段階のことを言っているのです。

さて、「守破離」に関係のある世阿弥の『風姿花伝』のことを記し、そこの『花』と『違い』が同じであると思っていることを綴ります。
先ず、松岡正剛師匠の千夜千冊1600夜「守破離の思想」から抜粋します。
------------------
観阿弥・世阿弥の序破急は、能構成をさしていた。序は初番がカタの一貫した曲想曲趣で、二番はそのカタとクセが強くなる。破は三番で基本から精細のほうに移って、四番・五番はあたかも序を砕くほどに放埒だ。こうして挙句の能となるのが急である。この急は連歌でいえば名残りの折にあたる。極限に向かって出でて、急になる。
このように観阿弥・世阿弥の能構成はあくまで序破急なのである。だから守破離は出てこない。出てこないのだが、すでに「離」を重視していたはずである。そこが注目なのだ。
世阿弥(118夜)は『花鏡』に我見と離見をくらべ、「我が目の見る所は我見なり。見所より見る所の風姿は離見なり」と説いて、場における「離見の見」をみごとに集約してみせた。世阿弥にとっての「離」とは“見所同心”なのである。自分だけでは離にならない。「離見の見」は場とともにある。心はその場の見所のほうにおいていく。世阿弥はそのことをすでに指摘した。この見方を「目前心後」(もくぜんしんご)とも言った。
こうして、いつしか能の序破急と守破離の「破」がちょっとだけだが、しかしかなり深々と交差した。また世阿弥の「離見」が能の分野の外に流れだした。・・・
------------------

自分には、『序破急』『守破離』について学ぶことが『違い』や『イノベーション』を知ることにとても役立ちました。『価値』があったのです。
風姿花伝の中で、世阿弥の革新を象徴する概念として、「花」という言葉があるので、「100分で名著・風姿花伝(土屋惠一郎さん)」からご紹介します。

------------------
「花」は世阿弥が能楽論で使った言葉の中で、現在でももっともよく使われている言葉である。
「あの役者は花がある」などという言い方を皆さんも聞いたことがあると思います。
世阿弥は、能にとってもっとも大切なものを『花』という言葉で象徴しました。それは何かというと、ずばり「新しいこと」「珍しいこと」と言っています。
花と言えば、四季折々の花がある。季節が変わって咲く花であるからこそ、その花は珍しいものとなり、人々も喜ぶ。能も同じである。人にとって珍しく新しいものであるからこそ、おもしろいと感じるつまり、「花」と「おもしろい」と「珍しさ」とは同じことなのだ。
これは、人気に左右される芸能で勝つために、世阿弥が至った核心です。常に新しいもの、珍しいものを創り出していくことが大切だということです。例えば、毎回同じ演目を演じていては、観客に飽きられてしまいます。観客は今まで見たことがないものを見たいわけですから、もっとも大きな珍しさに値するのは新作です。ですから世阿弥は、自ら作品を創ることが大事だと繰り返し説きました。また、世阿弥が創り上げた複式夢幻能というパターンも新しいものの創造に大きく役立っています。・・・
------------------

能がなぜ六百年も続いてきたのかを考えれば、それは世阿弥が言い当てた「珍しきが花」という核心を脈々と受け継ぎ、止まることなく創造を続けてきたからだと言えるでしょう。

上記のことで、第87夜の図解左側がご理解いただけたのではないでしょうか。
『高い知』を日本と欧米の双方の視点から引いて視ることで、豊かに深みと高みにある違いを感じていただければ幸甚です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

高い知 守破離

価値創造の知・第87夜 『高い知』からの「抽象化能力」③

2017年11月25日 弁証法

本夜から、『本質的な違い』を創る3つ目の「抽象化能力」を綴ります。
第83夜~86夜を読んでいただいた方達には、もう察しが付かれていると想います。

それは、『高い知』です。それにどのようなイメージを持たれますか?
現在は皆さんご承知の様に、これまでの境界が変化する、或は、消滅する「多様性と流動性」が加速する「不確実性」の時代です。
「不確実性」の時代に、将来を観る精度が上がれば、『違い』づくりに自信が持てて、早く着手できますね。
いったい、どうすればいいのでしょうか?

それをこれから本夜、次夜の2夜に亘り綴ります。
では最初に、図解の右側の「ヘーゲルの弁証法」から入ります。将来の「本質的な違い」を創りだす優れものの方法です。

ここのポイントは、「温故知新」です。『故きを温ねて新しきを知る』。大事なコトは、過去に潜んでいます。将来を観るのに、いったん過去に遡ります。
「現在と過去をつなぎ合わせ、核心(PASSION)し、本質を確信(MISSION)し、将来を革新(ACTION)する方法です。
それでは、わかりやすい事例を「コメント①」に載せます。

現在を1980年と思ってください。皆さんのお宅に設置している***ではなくて、ピンポーンという呼び鈴がありました。
その前の1960年には、「呼び鈴」がなくて、「ハシモトさーん、御届け物ですよー」と配達人さんが外で大きな声を出して呼びかけていました。
その声が誰のものかはわかる(GOOD!)のですが、ご近所迷惑(BAD!)でもありました。
それが、「呼び鈴」の時代になると、ご近所迷惑を解消し、家の中だけ聴こえる(GOOD!)ようになりましたが、一体誰が、呼び鈴を押しているのかが分からない(BAD!)状況でした。
それは、過去の「誰だかわかる(GOOD!)」機能がなくなっていたからでした。

さて、ここに「現在」と「過去」の情報が揃い踏みしました。
昔、皆から支持されていたモノゴトが、現在のBAD!を解消しながら将来に立ち現れてくるのが、「螺旋的弁証法」です。
「インターホン」はすぐイメージできますね。これが本質的な将来の違いを創る基本の一つです。

これで、多くの業種業態や地域創生の将来をイメージすることが可能です。ついつい未来だけを観ようとして迷走するのが通常です。「温故知新」なのです。
ポイントは、どこまで過去の事象をさかのぼるのかですね。会社や地域のご支援では、必ず行います。それは、「寺子屋」、「よろず屋」、「炭焼きによる自給自足」・・・だったりします。
「会社」の場合は、創業のときにそのヒントがあったりもします。

前職(パイオニア社)の2000年の時点での自部門の事例をご紹介します。
「オーディオ」で見てみましょう。
過去は、「アナログ」です。アナログレコード(カセット)プレーヤーでオーディオは成長しました。
次に登場したのが、皆さんご存知の「デジタル」です。
これで、「現在」と「過去」は出揃いました。その次の世界は、「キュービル」です。

アナログ ⇒ デジタル ⇒ キュービタル

詳しくは記しませんが、その世界をイメージ(認識)しているかどうかで、次の一手は違ってきます。

ポータブル ⇒ ポケッタブル ⇒ ウエアラブル ⇒ ハータブル(Heartable)

2000年から、オーディオに限らず、3年先・5年先・10年先の将来像を企画し、ビデオにまとめました。
以前にも綴りましたが、2006年にまとめた「10年後のキュービタル世界」のビデオ(4つの物語)は殆ど現在(2017年)の世界を言い当てていました。
この『高い知』から、テーマである『本質的な違い』が生まれ、創られるのです。

その時(2000年)に、一緒に提示した世界は、

ローカル ⇒ グローバル ⇒ グローカル
パブリック ⇒ インディデュアル ⇒ ソーシャル

です。

それらを横並びで観ると、隆々とした複数の将来像が観えていました。過去のGOOD!が革新と一緒に将来に甦るのです。
ただ、それは従来のやり方や考え方ではないので、これまでのイナーシャを超える経営革新が必要です。

CHANGE(変化) ⇒ CHANCE(機会) ⇒ CHOICE(選択)

大事なことをお伝えします。
将来・未来は、今・現在の中に点滅・明滅しています。もう既にここにあるということ。
そして、CHANGE・CHANCE・CHOICEを一気通貫で捉えるコトです。

・上記を認識していると将来は観える
・これまでの思い込み、常識にこだわると、将来は観えない

という認識が重要です。

この『高い知』を実のあるモノにするには、前夜・前々夜の『深い知』のスキルが必要なことがおわかりいただけたと想います。
船出に例えると、『深い知』は、錨(アンカー)、『高い知』は、北極星になります。これを軸にして『広い知』は意味のあるものになります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

高い知00

高い知99

価値創造の知・第86夜 『深い知』トレーニング方法

2017年11月20日 「シナリオプランニング」「禅・瞑想」

前夜(第85夜)は、『深い知』(=「抽象化能力」②)の考え方(型)を記しました。
本夜は、その『深い知』に辿り着くためのエクササイズ方法の一部を綴ります。

ポイントは、図解の「所有・使用」のこれまでの常識を疑うということから始めます。
これまでのやり方や考え方が、上手くいかずに行き詰っていても、なかなかこれまでの慣習・常識から離れられないのが通常です。

これまでの会社経営、地域経営環境は、ハードウェアをベースにした確実で合理的な意志決定が中心でした。
ところが、ITをベースとした「ソフトウェア*ハードウェア」、及び、ビッグデータを扱うAIoTでは、「ハートウェア*ソフトウェア*ハードウェア」をプロデュースする時代です。
それは、ズバリ『不確実性』を扱う時代になります。

前職(パイオニア社)の自部門では、2001年に『不確実性』に対応するために、「シナリオプランニング」を導入しました。(第15夜:不確かな時代を読み解く方法・シナリオプランニング)
『不確実性』にどう向き合うのかというのが、経営の中心課題になっていたからです。
旧来のやり方・考え方を突破する『イノベーション(=新価値創造)』は、確実で合理的なものではないことを認識する必要があります。それは、新しい価値、新しい解釈、新しいスタイルを創造するからです。
過去の成功体験を持っている方達は、従来のオペレーション、マネジメントに縛られます。なので、「イノベーション」が大の苦手です。
「これまでは、こうやっていた。それでうまくいっていた」というやり方や考え方の「常識を捨てる覚悟」が必要なのですがなかなかそれができません。
しかし、これまでの「行き詰まりの常識の厚い壁」を打ち破り、その奥にある「本質」を掴み取るのです。(第29夜)

それが、図解の『在り様=Meaning=本質的な内容』です。
ここに辿り着く方法は、『座禅』『超越瞑想』と同じです。(第33夜)
欧米では、『禅・瞑想』が最強のビジネスツールと言っている人もいます。心の中が、「雑念」でいっぱいになっていて、例えていうと、透明な水が雑念でポカリスエットのように濁っている状態です。
そのような状態の時に『禅・瞑想』をすると、「雑念」がどんどん出てきます。それを真言(マントラ)等で心の外に追いやるのです。それを続けていると、だんだん濁った水が透明になっていきます。
削いで削いでいくことで、その奥にある新しい境地に近づきます。

それと同じことを、「禅・瞑想」ではない方法で、チームで行う方法があります。
それまでの常識、欲望を集団で認識して、そこから離れ、おいやり、追い込むのです。図解の様に、「モノ⇒コト⇒イミ(Meaning)」の順番(色即是空)です。
すると、そこに「ワクワクする新しい解釈・常識・スタイル(型)・市場」が浮かび上がってきます。
この「ワクワクする」ということがとっても重要です。ここに、対象への『自信』が生まれてくりからです。

それが見えてきたら、
「イミ(Meaning:価値)⇒新しいコト⇒新しいモノ」(空即是色)で拡げてゆきます。
それを繰り返すのが、「シナリオプランニング」です。

さて、だんだん慣れてくると、図解の一番下の三角形(「在り様」)に辿り着くことが早くなります。
そして、そこに扱いづらかった「不確実性」を自分のものにする『余白』があることがわかってきます。(第22夜)
あとあとに綴りますが、この「余白」が『本質的な違い』を生み出す『場』です。

是非、「シナリオプランニング」と「禅・瞑想」に挑戦してみてください。目に前の風景が変わり、人生が変わってきます。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
『深い知』=「抽象化能力」演習

価値創造の知・第85夜 『深い知』=「抽象化能力」②

2017年11月18日 「問い」の立て方

第83夜・第84夜の2夜で、『広い知』=「抽象化能力」①を綴りました。
本夜は、その基盤(=船の錨)、分母となる『深い知』をひも解いていきます。

私には二人の娘がいますが、次女は平成元年生まれです。特に、彼女の行動をよく観察していると、「モノ」に対して自分達の価値観とずいぶん変わっていることが分かります。
私は「所有」することが好きで部屋にはモノが溢れていたのですが、家族から「いい加減処分して」という声が高まり、かなり整理してきました。
次女には、下記「インターネット的」価値観が顕著に見られます。

「所有」の時代の背景には、「モノの不足」があり、そこでは何馬力、何ワット、何デシベルというように『性能』が重視されていました。
それが満たされてくると、次の充足は『機能』に移りました。生活空間には、使わない機能でいっぱいの機器が溢れていますね。
現在は、「モノからココロ」へと、よりインナーへの欲求に移っています。
それを表現すると
性能 < 機能 <効能
となります。私たちは『性能』からではなく、『効能』から捉えていく時代を生きています。
そして、前夜(第84夜)に綴った、3つのインターネット的特徴(①リンク、②シェア、③フラット)の浸透により、「所有」しないで、借りる、シェアするという「型」で「使用・体験」する時代になっています。

このような時代には、どのように「違い&共感」を創り出せばいいのでしょうか?
第4次産業革命(インダストリー4.0)は間違いなく進展していくでしょうが、その時に、時代の波に巻き込まれない方法の二つ目が『深い知』=「抽象化能力」②です。

参考の一例として、前職(パイオニア社)の25~20年前の体験を記します。
対象は、「オーディオ」事業です。「オーディオ」のピークは1988年で、そこから衰退の時代に入りました。(もう30年前ですね)
それまでは、『性能』の時代でしたが、一転、低価格競争になりました。もう、ハイファイデリティーという「忠実再生」だけでは経営が難しくなりました。
1992年ですが、「オーディオ活性化」「超高密度メディア」の両委員だった自分には、2005年にCDメディアに代わるパッケージメディア、通信革新、心理革新が点滅してる風景が観えました。
図解(『深い知』=「抽象化能力」②)の『使用』の奥にある『在り様』を探り出す必要性を感じていました。

それは、「オーディオをどうするか?」からではなく、「『「音・音楽と人との関わり』に将来どのような道(可能性)があるのか)」という「問い」を変えることでした。
『問いの立て方』をズームアウト(深く、高く、広く)することで、新しい目的・目標が見えてきます。その時に、技術進化と心理学から、「5つの進化の階段(ステージ)」が浮かびました。
そのファーストステージが、枯れた技術による「ライフスタイル異業種コラボ・連続ヒット商品」(第14夜)です。まだ、その上の複数ステージがあるのですが、「問い」の立て方と共通認識がポイントになります。

これは、「オーディオ」事業に限ったことではなく、殆どの事業・地域に応用できます。
これが、「在り様=Meaning」です。「Meaning」の中には、「Being(在る)」~「Becoming(なる)」が内包されています。
このように説明すると、「ピン!」ときた方達がいるかもしれません。

それは、『所有:色即是空 ⇔ 在り様:空即是色』です。「色即是空・空即是色」(第6夜)に記していますが、
「色即是空」というのは、「現実=色」に問題・課題があるのなら、先ず心を無にして、「大元=空=大切なこと=真心」に戻りなさいと教えてくれているように思います。
そして、「空=大元=真心」に戻って従来のしがらみや常識から解き放たれて、その本質(=コンセプト=核心)を把えてから「現実=色」を観ると新しい世界(=現実=色=確信)が観えるということではないでしょうか。その確信を革新するのがイノベーションであり価値創造です。

もう少し説明します。これは、「第33夜・禅と価値創造③」の内容とダブります。日本人がもっとも得意としているのは「引くこと」。
アルコールフリーのビール系飲料は「ビールからいちばん大事なアルコールを抜いた」ものだし、NHKのアンケートで「見たい国宝」の1位になった長谷川等伯の『松林図屏風』は西洋画のようにびっしりと描き込むことがなく、見る者がその世界に入り込める余白が設けてあります。
龍安寺石庭に代表される枯山水は「水を感じる」ためにあえて水を抜いてある。カラオケもまた「歌=ボーカル」という大切なものを抜いたことで大ヒットし、ひとつの文化となりました。
これらはすべて「禅の思想」。執着や先入観といったものを取り払う、あるいはいちばん大事なものを手放す。そうすることで『深い知』=「抽象化能力」が身につきます。

そうなんです。上記の「Next・オーディオ」も、執着や先入観といったものを取り払うという「オーディオが大事にするもの」そのものを手放すことから、新しい「違い&共感」が見えてきます。
・貴社は?
・クルマは?
・スマホは?
・照明は?
・エネルギーは?
・教育は?人財は?
・政治は?行政は?・・地域は
・資本主義は?
・自分は?
・・・・・

この「問いの立て方」の方法と、そこからの課題解決については、「バリュー・イノベーション・プロジェクト」で基本から応用まで演習とビデオを用意して、誰でも取り扱うことができるようになるようにお伝えしています。

さて、「AIoT・ロボティクス」「少子高齢化」「地方衰退」等が進展する時に、上記の方法がとても重要になります。そこに必要なのが「物語・ストーリー」(第54夜、第69夜、第70夜)になります。それは、第83夜図解の「新しい命・物語」のダイアグラムも同様です。
『深い知』=「抽象化能力」②に興味・関心が湧きましたら幸甚です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
『深い知』=「抽象化能力」②

価値創造の知・第84夜 本質的『違い』をつくる実践演習①

2017年11月17日

前夜(第83夜)は、「広い知」により、本質的『違い』をつくる「抽象化能力」の一つをご紹介しました。本夜は、その組み合わせから昇華する「物語(新しい命)」を紡ぎ出す実践演習をお伝えします。

 これまでの過去の成功例やビデオをご覧いただいても、『違い』創出ワークショップで実際に自社や自地域の「新しい物語」を紡ぎ出そうと思っても手がとまり、頭が回らないのが通常です。
それは、それまでが「スタンドアローン(他に依存せず単独で運営する環境)」で、何とか自前の制約の中で答えを出そうとする習慣・慣習があり、逸脱とオープンな環境からの発想・構想を実践していないためです。

さて、私たちの生活環境を変えた「インターネット」の特徴を「インターネット的:糸井重里著」では下記3つを上げています。
①リンク
②シェア
③フラット
好むと好まざるとに関わらず、これらがライフスタイルや企業経営・地域経営の中に沁み込んできます。
第4次産業革命、AIoTがそれを加速させます。それは、従来の「スタンドアローン」の環境とは真逆です。

そこで、これからの時代の波に巻き込まれず、波に乗りこなすための能力が「広い知=抽象化能力①」です。
難しいことではありません。好きな人が出来た時に「何としてでもこの人とお付き合いたい、結婚したい」と想い、本気で行動するプロセスと同じです。
そのために考えることは、
①二人の共通項(嗜好、趣味、人生設計等々)は何か?
②二人でできる幸せの物語・世界観をどう語るか?
です。
これが、「大三角形・感動物語」の下方の「共通項」であり、上方の抽象化・昇華の「命・物語」です。
二人の間に赤ちゃんができれば、それは新しい命の誕生となります。

必要なのは、対象がワクワクすること(=恋心)であり、その対象との結合に「本気・情熱」があることです。(第51夜、第61夜)
さて最初は、統合・結合するための簡単だけれど重要な「3パターンの基礎演習」を挑戦していただいてから、添付図の応用に辿り着き、ここで頭が痺れるような「2~3時間ノック」をチームで創りあげます。
それは、事務局が事前に二つの山となるカード(トレンドワードとライフスタイルワード)を用意します。貴社・貴地域の「解決すべき課題」と上記の引いたカード(ワード)を組合わせて、10分間で物語を紡ぎ出し、発表し、何回か休憩を挟みながら2~3時間行います。

そうすると検討時間、まとめる時間もぜんぜん不足しているので、「エイヤー」と想いも寄らない発想・物語・構想の卵が出てきます。いつもの自分達の「常識・枠」からの逸脱が始まります。
このノックを「対象」毎に行うことで、「抽象化能力」が大幅に鍛えられます。
スポーツをする時に、ビデオを見ただけでは上達しませんね。それと同じように「知」も訓練しないとそのための筋肉がつきません。
ただ、自分一人で闇雲にやっても上手くいきません。やはり、その道のプロにナビゲートして貰うのが一番です。関係者がその「知の汗」を一緒に流すことで、信頼感とレベルの高い「知」が生まれてます。

ただ、前夜(第83夜)にも記しましたが、これは「対象」をもっと深く(深い知)、高く(高い知)を捉えてから行うのが有効です。
多くのコンサルティングは、これ(再定義)をやらないで行うので、ワクワクするものを創れません。つまり、『違い』のレベルが低いものになります。
「対象」をワクワクするためには、「対象を本質的に『深く&高く再定義する』こと」がポイントになります。

それでは、次夜(第85夜)は、「深い知の『抽象化能力』」を綴ります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
大三角形演習00

価値創造の知・第83夜 『違い』をつくる秘訣は、「抽象化能力-①」

2017年11月16日 「抽象化能力」とは?

前夜(第82夜)では、ビジネスで最も大切なコトは、「違いと共感」を別々にしないで統合して継続して高み(深み)を目指すことを綴りました。
本夜から数夜に亘り、その『違い』をつくる秘訣・方法について記します。

さて、ここで綴る『違い』の範囲・領域について、先ず明確にします。例えば、陸上競技場のトラック(競走路)にたくさんのプレーヤーがいて、ある決められたルール(規則)、一例で「5000メートル走」競技で走っていることをイメージしてください。
たくさんの実力伯仲のプレーヤーで上位になるのは大変です。(ビジネスでは、同じ実力の競合がいっぱいいるとすぐに低価格合戦になる)
でも、そこから抜け出すには、お客さんが喜ぶ「新しいルール」を創り、そのための新しいトラック、違うトラックで一番乗りできるように挑戦することです。

 それは、常識と思われていた世間の「ルール」を逸脱することです。例えば、「アイスクリームは子どものモノ」という常識から、「大人のためのアイス:『大人がって幸せに浸りたい』(ハーゲンダッツ)」。
スターバックスは、「ストレスフルの時代に、コーヒーを売るのではなく、職場でも家庭でもない、『くつろげる第3の居場所』」というように。このような逸脱した共感による『違い』の世界観によって、新しい市場や文化が立ち現れます。

さて、そのような逸脱して共感される『違い』を生む秘訣は、ズバリ、『抽象化能力!』にあります。これからのビジネスパーソンに求められる最も重要な能力と洞察します。
『抽象化』とは何でしょうか?「抽象」の反対は「具体」ですね。「具体的」というのは、あるモノやコトを明確に特定できる表現です。例えば、「iPhone(アイフォン)」と言えば、多くの人たちがそれを思い浮かべますが、これが「具体的」ということです。
次に、「抽象的」というのは、もう一つ上のレベルの表現です。「スマホ(スマートフォン)」といえば、「ソフトバンク」機種かもしれないし、「ドコモ」、「AU」の各機種かもしれません。
このように、モノやコトを見る時に、視点・視座を逸脱(高く・深く・広く)して観ることを「抽象度を上げる」といいます。それは、『モノやコトの本質を少ない情報で表現するコト』です。

それでは、はじめて「iPhone(アイフォン)」が発表される前の状況を想い浮かべてみましょう。
私は仕事柄、情報機器が数寄で、携帯電話・デジカメ・iPod・ボイスレコーダーを持ち歩いていました。それぞれの機器が独立していて、情報(コンテンツ)を移し替えるのに手間がかかりました。
それを「シームレス(seamless:とは、途切れのない、継ぎ目のない、縫い目のない)」にしてくれたのが、iTunes、iPhoneでした。複数の要素が組合さることで、新しい性質・新しい次元が拡がります。(第36夜、第78夜)
そして、世界を席巻しました。

一つ上の概念、次元に昇華したのですね。
この組み合わせから昇華する「広い知」が、『違い』をつくる「抽象化能力」の一つになります。(第78夜・「創発」)
ルネッサンス期の3大発明の1つに、「グーテンベルクの活版印刷」があります。世界を変えたグーテンベルクの活版印刷は、実家の刻印機にワイン農家の使うブドウ絞り機を組み合わせて誕生したものです。
前職に上記の方法でプロデュースした連続ヒット商品(ウィスキー×音楽、ファッション×音楽、・・・)は、全てこの方法です。いま、異業種コラボレーションが盛んですがそれは、この『広い知(=Gestalt)』の型です。(第17夜、第32夜)

ただ、ここで気を付けなければならないことは、この『広い知の抽象化』に行く前に、全て『深い知の抽象化』が行われていることです。
『深い知の抽象化』は、「ミッション」と深いつながりがあります。よく、この「ミッション・深い知」なしで、「何かいいアイデアがないか?」から「アイデア出し」のワークショップを見かけますが、だいたい失敗します。
それは、錨(アンカー)や目指すコト(北極星)の何かがないままでは漂流してしまうからです。この『深い知の抽象化』は、第85夜に綴る予定です

さてさて、「実際のビジネスの場では、『広い知』の抽象化能力を慣れて、習得する具体的ワークショップを行います。そのエッセンスを次夜(第84夜)に綴ります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

ピュアモルトスピーカー抽象化00

価値創造の知・第82夜 ビジネスで最も大切なコト

2017年11月12日 「違いと共感」

ビジネスで最も大切なコトは、「違いを創るコトと、共感を生み出すコト」を一緒にして、継続的に、高く結合することです。

「価値創造の秘訣@新価値創造イニシアティブ」を第76夜に公開しました。それらの一つながり(=ワンピース)が「解決すべき課題(AGENDA)」を解決して、成長・成功につなげるために必要な流れ(プロセス)です。

 そのプロセスに沿って、事業創生・地域創生を実践・ご支援している中で「ビジネスで最も大切なコト」を本夜、図解&まとめたものを公開します。
それは、『違いと共感』の新結合です。ここで最も重要なことは、この二つが、“二つでありながら一つ”であるという認識です。

第37夜の「禅マインド」から引用します。
——————
座禅の姿勢は、「結跏趺坐(けっかふざ)」という右足と左足を組んでいますね。 この姿勢は、『二つではない、一つでもない』という「二元」性の「一者」性を表わしています。これが、もっとも大事な教えです。
もし私達の心と身体が二つである、と考えるとそれは間違いです。心と身体が一つである、と考えるとそれも間違いです。私達の心と身体は、“二つでありながら一つ”なのです。
私達は普通、もし何かが一つ(単数)でなければ、それは二つ以上(複数)であると考えます。けれども実際の人生の経験に照らしてみましょう。
私達の人生は、複数であるばかりではなく、単一です。私達は、互いに支え合うと同時に自立しています。
——————-
特に、“二つでありながら一つ”は、第17夜“「間(ま)」と「創造」”、第37夜 “コンセプトのつくり方”、第80夜”『世界と世間』”の中でその真髄を記しています。

さて、『違いと共感』です。
最初に『違い』(第65夜~第78夜参照)ですが、他と違いがなければ、「低い提供価値」になります。そうなると、顧客の関心・興味が薄れて対価が減り、次の価値づくり、投資が出来なくなります。継続の維持が危ぶまれてます。
ただ、「総合研究所や技術研究所」でよく見かけることですが、「違い」ばかりに目を奪われて、それが世の中に、顧客に、本当に役立つのか、共感するのかを見極めないで突っ走り、結局何も成果が出せなかったという数多くの事例があります。

「研究開発・技術開発」だけが先行して、研究者や技術開発者が、「この研究・技術が何かに役立たないかな?」とつくり始めてからプランナーやマーケターに相談することが多々あります。
その理由は、研究開発の前にテーマを相談すると、「市場にそのようなニーズはない」という声が上がり、そのテーマ自体が潰されることがあるからです。ポイントは後述する「顧客の『NEXT共感』」を捉える想像力の有無にあります。

次に、『共感』(第2夜、第63夜、第64夜参照)です。共感度が低ければ対価も下がります。現在の市場の短期的な「共感」にだけフォーカスしていると「違い」への逸脱ができ辛くなります。「共感」にもグラデーションがあって、慣れてくると価値が薄れてきます。他との「共感度」に差がなくなれば、図解の左側の低い「共感」に向かいます。顧客の「NEXT共感」を明確にして顧客を捉える想像力が必要です。(価値創造イニシアティブ:2.他者を愛する「幸せ創造力」参照)

“ドラッカー”が言うように、「企業の目的は、“顧客価値”をつくること(=顧客価値創造)」にあります。それを維持・継続できなければ、企業は存続できません。
その“顧客価値”をつくることができる、ただ二つの機能が『違いと共感』です。図解の様に、この二つを“二つでありながら一つ”の高みに持っていくことがポイントです。
それではもう少し紐解いていきましょう。

この二つの拠り所を説明します。
『違い』をつくるのは、「技:イノベーティング」で、『共感』を生み出すのは、「心:マーケティング」です。(イノベーションの進行形、広がりとして、「イノベーティング」という言葉を使用しています。第32夜参照)

企業では、「イノベーティング」は、主に研究開発・技術開発部門が担当し、「マーケティング」は主にマーケティング部門が担当します。マーケティングは『心(Will&Smile)』を扱い、イノベーティングは『技(Skill&Style):新結合』(第32夜)が拠り所になります。

下記「新価値創造イニシアティブ(第77夜)」のプロセスの中で、ビジネスと創生で『違いと共感』がどのように活用されているのかを皆様イメージしてみてください。
1.自分を変える:危機意識・情熱力
2.他者を愛する:幸せ想像力
3.余白をつくる:本質創造力
4.舞台をつくる:仕組構想力
5.関係をつくる:伝える力・伝わる力
6.信頼をつくる:巻き込む力・巻き込まれる力
7.成功をつかむ:すぐやる力・やり抜く力
『違い』は、1~7の全ての項目にあり、『共感』も1~7の全てにあります。その双方が顧客に「伝える・伝わる」&「巻き込む・巻き込まれる」の『「違いと共感」の物語(Story)』となります。

この二つを別々にしないで、“二つでありながら一つ”に新結合することがビジネスで最も大切なコトと納得いただけたでしょうか。「イノベーティング部門」「マーケティング部門」の双方は、上記に向けて逸脱・新結合することが必要です。
さてさて、その二つの機能(『違いと共感』)を創り・生み出す心得と方法が、『トリニティ・イノベーション』(第21夜)になります。「心得(Will&Smile)と方法(Skill&Style)」を是非、ご活用ください。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

 

違いと共感00

価値創造の知・第81夜 『擬(MODOKI)』を擬く

2017年11月5日 創発・偶有性・コンティンジェンシー、そして、『擬』

昨晩、紀伊国屋書ホールの『擬』(春秋社)出版記念講演に行きました。
テーマは「もどき仕事」。「松岡正剛師匠」と「いとうせいこう氏」という「せいごう&せいこう」の見事な創発に痺れました。

 二人の創発(第18夜、第78夜)の私の印象は、まるで「擬」を擬いているようでした。そこで浮かんだままの感想を綴ります。
近頃の世の中は、グローバル主義により多様化のものが、普遍的、一様的になっていてたいへん息苦しくなっていますね。
世の中が、「普遍」「合理」をめざしすぎると何か大事な忘れものをしてしまうのではないかという問題意識が前提にあるように思います。
子どもの頃の自然、お祭り、職人の匠、会社のリストラ、犯罪、それは、フェリックスガタリの云う「3つのエコロジー」(第9夜)の、社会環境・社会環境・心の環境の各エコゾフィーにもつながってきます。
それは、懐かしさとは違っていて「大切なもの」がどんどん欠け落ちてしまい、「このままでいいのだろうか、否、なんとかしなくてはならない」という感覚です。
これは、主に欧米からの「搾取も含んだグローバル主義」が象徴的です。

「グローバル主義」を代表とする普遍・合理という一様化で、従来の多様化は枯れてきてしまっています。
そのままにしないで、大切なものを拡げ、豊かにしていく方法がないものでしょうか?
どのような方策が、未来・将来への活路としてあるのでしょうか?

それが世の中の「多様化 一様化(グローバル主義・普遍主義) 別様の可能性」
として見立てになったのでないかと推察しました。

その方法として、「二人の創発」では、日本芸能の「お能や人間浄瑠璃」が提示されました。
そうすると、自分の中では、世阿弥の「複式夢幻能」、「秘すれば花」、「囃子方の打合せ」等々が浮かんできます。また、茶道の「主客一体」にも及びます。
そう、それは首尾一貫性を持ったものではなくて、創発や偶有性、コンティンジェンシーという取組み・方法が俄然意味をもってきます。

それは、本質を捉えようと、「大元(おおもと)を手繰ろう、掴もうとした時に、静的にではなくて、動的に立ち現れてくる」過程(プロセス)です。
それは、そいでそいで本質を捉えるのではなくて、内と外をわけずに、ゴチャマゼにした中から立ち現れてくるもの。
その過程と結果に、グローバル主義・普遍主義を超えるものがある。日本の方法「擬」にはそれがある。

先ず、
①大元、本質を捉えるという主体性があること
②モノゴトを削いだり、分けたりしないで、マゼコゼにして捉える。
③そこから別様の可能性(複雑系・第36夜)が生まれ、その中に守破離も含まれる。それは、創発・偶有性・コンティンジェンシーである。
④それは、「お能・茶道・おもてなし・本歌取り」等々に、「日本の方法」として存在している。
⑤それが「擬を擬く方法」の中心ではないか。

そんなふうに、勝手に妄想・想像・創造しました。
「日本の本来と将来」「価値創造のの本来と将来」という「知」を捉える時に「『擬』-別様の可能性」が大変有効な意味と意義を持つように思いました。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

IMG_0667

IMG_2537

IMG_2535

価値創造の知・第80夜 世界と世間

2017年11月2日 『擬』~「世」あるいは別様の可能性~

『擬(MODOKI)』という松岡正剛師匠の最新刊本を読みました。
サブタイトルには、~「世」あるいは別様の可能性~
カバーには、~「世」はすべて「擬」で出来ている~
とあります。

 読む前には、「世」と「擬」と「別様の可能性」との関係が記され、読み解く旅へ誘われるように感じました。
私の重心、関心ゴトは、「価値創造の知」なので、「上記の関係性」と「価値創造の知」との交流の明滅がワクワクドキドキとなります。
そんな視点・視座での一部を本夜は綴ります。

先ず、「世の中」に「世界」と「世間」を提示しています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いまの「世界」は、ロゴスによるユニバーサルでユビキタスな普遍主義として捉えています。でも、世の中はロゴスによる「世界」だけでできてはいるのではなくて、農耕や裁縫や日々の言葉づかいや食欲は、もっとくだけている。
ぼくはこれを、世界に対して「世間」ということにする。世の中で世界に属するルール・ロール・ツールでかたちづくられているのが一割か二割くらいだとすれば、のこりの八割や九割は世間だらけになっている。
そのうち面倒なことがおこった。世界基準のルール・ロール・ツールが(グローバル主義のように)だんだん世間に押し付けられていったのだ。実際は世間なのに、その継ぎ目に「世界の部品」をどんどん使わなければ認めないというふうにした。
これでは世間が世界の支配に屈していく。
------------------------

このような「見立て」に自分の脳がかなり刺激されます。
自分の中では、そこから勝手に「20年前の通産省の廊下の話(出典:田坂広志「これから市場戦略はどう変わるのか」)」が浮かび上がりました。
通産省の廊下の部屋の前の部局の看板には、「鉄鋼課」「繊維課」「産業機械課」「自動車課」「電子機器課」・・・が並びますが、期待されている産業は何だったのでしょうか?
当時のニーズは、「環境産業」「シニア産業」「教育産業」「Eコマース産業」であり、それぞれ、
・快適な環境に住みたい
・豊かな老後を過ごしたい
・子供に楽しく学ばせたい
・手軽にショッピングがしたい
といった生活者の「ニーズ」を中心として形成される「ニーズ型産業」なのでした。

それは、決して「鉄鋼課」「産業機械課」等の『縦串』では対応できません。世の中の将来を洞察して、『横串』でなければ実現できません。
そんな時代に、「横串でできる事業の型(ビジネスモデル)」を実現したくて、23年前に社長に直訴して創ったのが、「ヒット商品緊急開発プロジェクト(第14夜)」でした。

「縦串」と「横串」の構図は、今でも根強くあって、「ビジネス4.0、ビジネス5.0」というのは、横串でなければ対応できません。そこには、一気通貫で横串する構想力・プロデュース能力が求められます。縦串の中にいては世界と世間が見えないので、外部の力を活用する時代です。
上記の「世界」と「世間」で云えば、「世界」は縦串(1~2割)で、「世間」は横串(2~9割)です。世界と世間の間(ま)となる『継ぎ目』をどう編集するかにかかっています。私たち(新価値創造研究所)はそこを仕事にしています。

さて、この本(『擬』)には、「知の本来と将来」のヒントが満載なのですが、重要なキーワードについて触れます。
それは、コンティンジェンシー(Contingency:偶有性)です。本分から引用抜粋します。

--------------------------
コンティンジェンシーという言葉は、そこに含まれている意味がとてつもなく重要なわりには、いささかわかりにくい。語源はラテン語の動詞“continger”である。「互いに触れ合う」「同時に重なる」という意味を持つ。
お互いに(con)接触(tingence)しあっているところ、相互に共接しあっているものという意味になる。だから、訳せば、偶発性ではなく、偶有性なのだ。
何かの事件や事故がおこった時、「まさかこんなことがおこるとは思わなかった」というふうに多くの者が感じる。事件や事故は起こったわけだから、そこには何かが先行していたはずである。たいていの原因は複合的で多因的だろう。
こうした時、この一連の出来事やシステムには、「もともとなんらかのコンティンジェンシーが偶有されていた」というふうに見る。
見えなかった原因が見えてきたというのではない。ある結果に対して原因が見つかったというのでもない。「他様な発現」をきっかけに、それらの因果を含めた『別様の可能性』が認められたのだ。そういうとき、その対象や現象やシステムには、共接的なコンティンジェンシーがひそんでいたというふうに見る。
あらかじめ、コンティンジェンシーに気が付けば、そこから新たな創発的な筋書きが組み立てられる。
--------------------------

前記の「世界と世間」には、一様と多様、上記には、「他様と別様」が発現します。それぞれを別々に捉えるのでなく、『一緒くた』にしての別様の発現にいつもときめいていている自分が理解できました。
そして、コンティンジェンシーという見方で脳が再整理されました。「わかる」は「かわる」(第8夜)なのですね。
多様な企業や地域のご支援のときに、いつも対象の「本来と未来」を『一緒くた』に説明していなかったのですが、その継ぎ目が観えたように想いました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・ぼくが考えている「擬」という考え方は、ボードリヤールのシミュラークルではないし、従来のシステムに代わるアナザーシステムでもない。本物があって偽物があるのではなく、「ほんと」と「つもり」がまじった状態でしか世界や世間は捉えられないという見方だ。・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クリエィティブ、イノベィティブ、価値創造の仕事は、模倣や見立てをとりこんで、どんどんモドキをつくっていくことと響感しました。知の奥に潜むたくさんの型、偶有性、そして日本の方法が満載でした。
本夜の部分抜粋だけでは、皆様には伝わり辛かったと想います。ただ、『深い知、高い知、広い知』がこの本には一途に多様に散りばめられています。
上記『知』に対する強い関心のある方、また背負う覚悟のある方達には必読の書に想います。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

IMG_0648

 

価値創造の知・第79夜 ブルーボトルコーヒーの本来と将来

2017年10月17日 バッハ・スタバ・ブルーボトル

雨の中、ブルーボトルコーヒー新宿Cafeに行ってきました。ブルーボトルコーヒーの日本での最初の店は清澄白河で、2店目が表参道・青山でした。
コーヒーの第3の波(サードウェーブ)ということで、大きく取り上げられました。
そして、次々に、日本で店舗展開されましたが、先月(9月)食品世界最大手のネスレ(スイス)が米ブルーボトルコーヒーを買収というニュースが入りました。

さて、本夜は上記ブルーボトルコーヒーを取り混ぜながら、「高い知:Foresight」の演習風景を私の数寄なコーヒー店で取り上げてみます。
①自家焙煎コーヒー バッハ
②スターバックスコーヒー
③ブルーボトルコーヒー

 

さてさて、ブルーボトルコーヒー清澄白河の日本第1号店は、2015年2月でした。
新価値創造研究所では、その年前の2014年3月に「バリューイノベーション研修」の中で、下記『スタバの未来:コーヒーの本来と未来』というお題で研修を行っていました。
「トリニティイノベーション」の第2ステージ(高い知)で、対象の『本来と将来』をワークショップで読み解くというものです。

図(螺旋型弁証法)の様に、真ん中の緑の楕円に、スターバックスを置きます。そして、その下にある「GOOD! BAD!」を書き入れます。次に、過去はどうだったのかを同様に記入します。
私の中では、数寄な南千住の「自家焙煎コーヒー バッハ」が思い浮かびました。ここに何を入れるかという選定で将来のイメージが変わってきます。
例えば、怪しげな喫茶店を入れると、GOOD!が変わりますね。

将来を豊かにするには、過去と現在を豊かにすることが必要です。
・「コンビニエンスストアの本来と将来」
・「学習塾の本来と将来」
・「デジタルの本来と将来」
・「エネルギーの本来と将来」
・「・・・・の本来と将来」

という様々なテーマをご支援してきましたが、これにより豊かな将来のイメージを手に入れることができます。
そのテーマに関係のある参考ビデオも複数ご覧いただくことで、将来への強い確信が生まれてきます。
このプロセスを行うことがとっても重要です。

上記のテーマの過去の事例としては、
・よろづや:コンビニエンスストア
・寺子屋:学習塾
・デジタル:アナログ
・エネルギー:自家炭火焼

が挙げられます。
若い人達は、それらを知らないことが多いので、是非歴史から学んでください。
そのことで、過去と現在から、豊かな将来が浮かび上がります。ポイントは、過去のGOOD!にあります。
それが、現在無くなっているのです。是非、それを形を変えて現在に蘇らせてみてください。

その「価値創造の知」を身につけるだけでも、きっと貴方・貴女の将来は変わってきます。
少しでもお役に立てれば幸甚です。

最後に、「サードウェーブコーヒー」の「Great!」をご覧ください。
ここからブルーボトルコーヒーは、まだまだ高みを目指せることが分かります。まだ余白がいっぱいあります。
メインのお客様を誰にするのか、仕組み構想力で大きく変わってきますね。
個人的に、ブルーボトルコーヒー店では、表参道・青山Cafeが一番数寄です。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

コーヒー弁証法
IMG_0518
13124861_1043528575721663_3713184121536229141_n
IMG_9160