橋本元司の「価値創造の知」第311夜:「間(MA」と「イノベーション」の絶妙な関係性

2024年11月12日 「間(MA」をしる

 イノベーションとは、「既存の組み合わせ」によってできる新しい全体(魅力・価値)です。(第308~310夜)
イノベーションを挑戦することによって、企業人、行政人や学生にとって最も有益なことは、
「既存の組み合わせで、自分オリジナルの思考や考えを持つことができること、そして、その成果に自信を持てること」
にあります。ここ重要です。
(アントレプレナーシップ養成やスタートアップ講座でも必ずお伝えしています)

 さて、日本人は、既存の二つのもの(第310夜:半分と半分)を両方活かすという特性、センスがあります。
それが、「間(MA」です。
 「間(MA」は、落語、映画、会話、勝負事(剣道、野球、相撲等)、茶道、書道、華道、建築(桂離宮)、等々に深く広く関わっています。
 
 目的を「イノベーション」とした時に、その実現手段(方法)がこの「間(MA」です。
これから、「間(MA」の奥にある方法を取り出し、「新しい関係性を発見する」ための入り口から綴っていきます。

 改めて「間(MA」とは何でしょうか?
普段の言葉の中で、いっぱい使われていますね。

間際
間違い
間合い
間抜け
間延び
床の間
間かいい
間にまに
間仕切り
間が持てない
間を合わせる
間を置く
間を欠く
あっという間
時間
空間
人間(関係)
等々
 私たちは、人生・世間(せけん)でたくさんの「間(MA)」に遭遇します。
前夜(第310夜)の「一対、新しい全体」でできる『さまざまな場』が『間(MA)』です。

 ここで、松岡正剛師匠の講義を引用します。
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「間」は日本独特の観念です。ただ、古代初期の日本では
「ま」には「間」ではなく、「真」の文字が充てられていました。

真理・真言・真剣・真相・・・

その「真」のコンセプトは「二」を意味していて、それも
一の次の序数としての二ではなく、一と一が両側から寄ってきて
つくりあげる合一としての「二」を象徴していたそうです。
「真」を成立させるもともとの「一」は「片」と呼ばれていて
この片が別の片と組み合わさって「真」になろうとする。
「二」である「真」はその内側に2つの「片」を含んでいるのです。

それなら片方と片方を取り出してみたらどうなるか。
その取り出した片方と片方を暫定的に置いておいた状態、
それこそが「間」なのです。・・・

・・・日本人にとって、「間」というのは、本当は
「あいだ」という意味じゃないんですね。、
AとBがあって、ふつうはこの二つの間が
「間」というふうに考えられているんだけれども、
実際は、AとBを取り巻く空間が「間」なわけです。・・・
 
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 参考に、松岡正剛著「間(MA)の本」をアップします。ww

 それでは、日本の「間(MA)」を形作った『一対』の例を見ていきましょう。

モノとコト
神と仏(神仏習合)
天皇と将軍
公家と武家
アハレとアッパレ
冥と顕
浄土と穢土
善と悪
ウツとウツロ
空(クウ)と色(シキ)
男と女
能と狂言
てり(照り)とむくり(起り)
平仮名と片仮名
記号(コード)と様式(モード)
等々

 本来の日本の方法は、一対(二つ)のものを両方活かす(デュアルスタンダード)ことだったので、日本人と「間(MA)」とのつきあい、相性は抜群なのです。
どちらかを選択するのではなく、両方を活かすことを『2項同体』といいます。この把え方が肝要です。

松岡正剛師匠は、いろいろな現場(未詳俱楽部)や視座によって、「間(MA」の奥にある秘密を紐解いて提示してくれましたが、
その一つとして、「バロック(二つの焦点=楕円)で見る」、「デュアルに見る」という方法が私に深く響きました。
 真円は「ルネッサンス」、楕円は「バロック」。
二つの焦点があることで、動的になりますね。(バロック時代です)

 それでは、私(橋本)のバロック(二つの焦点)への気づきとプロジェクトの具体的展開をお伝えします。
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1989年をピークとして、ホームオーディオ業界は衰退の道を辿り始めました。
1993年、「どうしたらオーディオ事業を活性化できるか」という委員となって熟慮していたところ、
「フィギアスケート大会」の夜のTV放送を見て、閃きが起こりました。
そこでは、フィギアスケートの「ルール(得点)の改正」を説明がありました。、
 「以前は、テクニカルポイント(技術点)が良ければ、金メダルをとれたのですが、今は、アーティスティックポイント(芸術点)との合算になり、その両方がよくなければ金メダルがとれない」旨の過去の映像を絡めながらの解説でした。

 その時に、そのルール変更を「オーディオ事業」に当てはめてみました。
「オーディオ事業」も、テクニカルポイント(ハイファイ:忠実再生)で成長してきたのですが、既にコモディティ化(商品同士の価値に差がなくなる状態)して、賃金の安い東南アジアに生産移転にシフトしていました。
 ここで、「フィギアスケート」の様に、「アーティスティックポイント(半分)」を合算する商品化をするとどうなるのか、魅力のある新しい全体(事業)ができないかという仮説を検討しました。


1994年、新しい2軸から新しい3象限を想定して、経営会議に提案しました。(将来ホームオーディオの3つの進化形も提示しました)


新社長のゴーサインが出ましたが、複数の役員から大反対の声が上がりました。
 その方たちは、新しい半分(アーティスティックポイント)は、とても成功するとは思えなかったのです。

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 結果的に、100社位と異業種コラボレーション[第1弾は、サントリー(半分)とパイオニア(半分)]して、メディアにも大きく取り上げられて、逆境の中、連続のヒット商品にすることができました。

 さてさて、「経営における現在の看過できない変化、課題は何でしょうか?」
経営者の方々に、セミナーやご支援先で質問すると、その項目がいっぱいでてきます。
そこから、『一対』を見つける心得と方法をお話します。

 ただ、「新しい全体(価値)」を創るには、「一対」を見つけただけではうまくいきません。
そこには、「『2+1(ツープラスワン)』という情報編集力」が必要になってきます。

それは次夜(第312夜)に綴ります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第310夜:現状は『半分』と見切るコト

2014年11月10日 「半分、一対」から「新しい全体」を考察する
 
「イノベーション」を基本からご理解していただくために、最初に三つのことをお伝えします。
1.「新結合」
 イノベーションとは、既存の二つのもの(こと)を組み合わせて、新しい全体(新しい一つ)を創ることです。
2.「一対」
 それは、対象とするものごとを「半分」であると見切ることです。まだ見えていない新しい全体(新しい一つ)のために、残り半分があると想うこと、確信する心意気が肝要です。
 一対(相手)が何かを考え、新しい全体(新しい価値)を想像、創造することです。
3.「赤ちゃん(新しい命)」で考える
 わかりやすい事例を一つあげます。
それは、赤ちゃんです。
男(半分)と女(半分)という一対があり、
新しい全体、新しい生命が生まれることです。

 さて、悪化する「地球環境、社会環境」と「経済環境」を両立することが経営の喫緊課題です。
地球よし、未来よしのWell-beingを目指して、イノベーションで解決することが必要です。
解決方法は、『本業(半分)×SDGs(半分:SDGs17目標)』から、「新しい全体(価値)」を創ることです。

 地球沸騰(GX:グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)は、後戻りしない変化(X:トランスフォーメーション)を例にすると、本業に対して、地球沸騰(SDGs17目標)やDX・AI等の課題を組み合わせる残り半分だと見切ることです。
 そこから、どの様な新しい全体(価値)を創れるかを想像することが始まりとなります。
これまでの幾多のご支援から、その想像と創造が、成長経営につながることを経験してきました。

 上記を整理すると、
①自分の対象を「半分である」と見切ること
②一対(半分と半分)が何かを炙り出すこと
③新しい全体に思いを巡らすこと

 これが、「イノベーション」理解の入り口、道筋です。
 この道筋で、
・前職パイオニア社では、異業種コラボレーション(100社)でヒット商品を連続創出しました。
・現在、「企業創生・地方創生・学生(アントレプレナーシップ)」に多くの時間を投入していますが、同様の道筋でご支援をしています。

ここで、松岡正剛師匠「千夜千冊:993夜『玄語』」から、引用させていただきます。
https://1000ya.isis.ne.jp/0993.html
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・・・この一組、あるいは一対は、私の見方ではそれ自体で「一つ」なんですね。もともとは別々の二つが寄り添ったり、並んだり、重なったのかもしれないが、それで一つになっている以上、それは一つのものとして見たほうがいい。
 ということは、半と半とで「一」になるわけで、一対にはいつも半と半とがあるということです。いいかえれば、どんな一つのことを見ても、そこには何かの半と半とがやってきていると見るとおもしろいということです。

 たとえば「中途半端」という言葉がありますね。あれはまさに物事を半ちらけでほったらかしにするということで、もっぱら非難のときに使う言葉なんでしょうが、この「半端」をそのままにしないで、むしろその「中途」のアドレスをもって活用したらどうか。私はそういうことを考えるんです。・・・
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 参考になれば幸いです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第309夜:「価値創造とイノベーション」

2024年11月9日 価値創造の目的と実現手段(=方法)
 いま、「世界・国家・地域・企業・個人」に求められる最重要キーワードは何でしょうか?
それは、『価値創造』です。
私は、その実現を「自分のミッション(使命)」にしてきました。

 持続的・継続的に『価値創造』できれば、「世界・国家・地域・企業・個人」は『成長』します。
でも、それができなければ、『衰退』します。
それが顕著にみえる、わかるのが、「企業と地方」です。
「企業倒産」と「地方衰退」です。

 日本の国の借金は、約1300兆です。
企業であれば、とっくに倒産していますね。
この借金を返すための最重要ポイントは、『価値創造』です。
経済成長の源泉であり、日本政治の中心で議論・構想・解決する一丁目一番地です。

 それを「企業」を例にして説明します。
経営の神様の「ピーター・F・ドラッカー」はいいます。

 企業の目的の定義はただ一つ。
 企業の目的は、『顧客価値の創造』である

企業は顧客に価値を提供し、顧客から対価を得る。
これが、原理原則です。

その価値(魅力)が低ければ、対価も低く(衰退)なります。
その価値(魅力)が高ければ、対価も高く(成長)なります。

 それでは、目的である『価値創造』を実現する手段は何でしょうか。
それが、『イノベーション』です。

 企業の目的は、『価値創造』
 その実現手段が、『イノベーション』

この二つの一対が、コインの裏表です。
(国の「産業成長力」の基盤であり、いま求められる「教育」の基盤です)

 国内外で、『イノベーション』の大合唱が起きていますが、
そもそも『イノベーション』って何でしょうか?
と言われても整然と答えられる人はほんの僅かです。

 『イノベーション』は、ヨーゼフ・シュンペーター(経済成長の創案者)の造語です。
イノベーションは、『内側に異質なものを導入して新しくする(新結合:Innovare)こと』を実行(:-tion)して、経済や企業が発展することです。

 企業・学校・自治体等から依頼される研修、セミナー、プロジェクト実支援では、上記『イノベーション』の基礎を『型』で図解(見える化)して、様々な事例をお伝えして、演習を通して自ら自分ゴトとして、使いこなせるようになっていただくように構成しています。

 松岡正剛師匠から、上記『イノベーション』について、
・知
・縁
・一対
・間(ま)
・守破離
・数寄
・余白
・日本流
・おもてなし
・苗代思考
・無常迅速
・別様
・虚実
・バロック
・フラジャイル
・イメージメント
・連想
・コードとモード
・鍵と鍵穴
 等々の『編集』の「視点・視座」や「型」を、一流の現場(未詳俱楽部)を通して、直伝で授かってきました。

次夜のコラムから、それらの「心得と方法」をお伝えしていきたいと思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第308夜:「一隅を照らす」

 2024年11月8日 3年半ぶりにコラムの連載開始

 きっかけは、本年8月に永眠された松岡正剛師匠と滋賀を遊行した未詳倶楽部(2011年)の面影を偲んで、比叡山延暦寺を訪れたことが始まりです。
 堂内で、一対一でお坊さんと対話をする機会があり、そこの中で言われた「一隅を照らす」が思いがけず、心に響いてきたことによります。

 これまで、仕事の多くの場で、「あり続けたい」「五方よし」というキーワードを学生、企業、行政のたくさんの方達にお伝えしてきました。
 いま、時代の価値観のトップは、「サステナビリティ=持続可能性」です。
地球・社会・会社がつながって、
 「どうあり続けるか」
が最重要の課題です。
 「地球」と「未来」が良い状態(Well-being)であることが共通の願いです。

 『五方よし』(第276夜)とは、近江商人の経営哲学のひとつである「三方よし」が進化した、
1. 売り手よし
2. 買い手よし
3. 世間よし
4. 地球よし
5. 未来よし
 が企業の経営と成長に求められています。

 企業の目的は「価値創造」(ピーターFドラッカー)であり、その実現の方法が「イノベーション」です。この「イノベーション(編集)」のとらえ方、「日本文化の方法」を、松岡正剛師匠から様々な「場」(未詳俱楽部、連塾、時塾、椿座等)で教えていただきました。
 これらを多くの方たちに伝える活動してきましたが、本コラムをお休みした3年間でバージョンアップした内容を伝えねばと思ったのが、「一隅を照らす」の言葉でした。 

🔹「一隅いちぐうを照てらす」
 社会の一隅にいながら、松岡正剛師匠と自分の「知の化合物」を照らし編集して発信することで、それが積み重なってこの世全体が照らされていく一助とする

 それを目指していこうと思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsシフト62「価値創造の知・第307夜」:『経営者のためのSDGs成長経営セミナー』

2021年2月17日 SDGs成長経営セミナーのご案内

来月3月19日(金)に、首記セミナー(2時間)の講師を務めることになりました。
添付リーフレットに記されているように、コロナ禍の影響で、オンライン(オンサイト)・オフラインなのですが、自分もすっかりオンラインに慣れると同時に、遠方の方たちが気軽に参加できるいい環境になったと思っています。

さて、
・SDGsって何かを知りたい
・SDGsに取り組みたいけれど、何をどうすればいいかわからない
・本業とSDGsをどのように適合したらいいのかわからない
・幹部社員、一般社員にSDGsの意味や意義を浸透させたい
・SDGsで、成長経営に変える方法や実例を知りたい

という経営者の「お悩み」が顕在化してきています。

SDGsについて、経営者が辿るプロセスは、基礎編と実践編があります。

・基礎編: 知る→わかる→かわる
・実践編: かわる→(ファンが)ふえる→(収益が)ふえる

ここで重要なことは、「わかる」から「かわる」にシフトすることにあります。
詳細は、第8夜(「わかる」ことは「かわる」こと)に記していますが、少し引用します。
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—それは、佐治晴夫さんが高校で理科を担当しているエリートの先生たちの研修会に呼ばれての話です。
そこで宇宙の始まりから人間に至るまでの話しをされた時に、国立大学のドクターで立派な業績を持って高校の先生になっている人が佐治さんのところにきて、

「今日先生がお話しされたようなことは、私は全部知っています。ビッグバンが起こる前に、どういうゆらぎがあったか、そこのところの数学的な話が聞きたかった」というわけです。そこで僕は彼に言ったんですよ。
「先生がそういうことをよく知っていらっしゃるということは僕にも想像できるけれど、僕から言わせていただくと、宇宙のことをあなたが勉強して知ることによって、あなたの人生がどう変わったかということをもって、知る、ということなのです。
あなたは生徒に、授業を通して彼らの人生をどのように変えられるかということを念頭において、地学の講義をしていますか?」

そう言ったら、彼は黙りましたね。
一番そこが問題ですよね。だから僕は「わかる」ということは「わ」と「か」を入れ替えて「かわる」ということだと思っています。—
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「わかる」から「かわる」にシフトするということは、「行動をかえる」「行動にうつす」ということです。変容することですね。
「わかったつもり」でも行動にうつすことがなければ、「知る」レベルだということでしょうか。

通常の企業支援では、「半日(4時間)×6回~10回」に実践プロジェクトの3回目あたりから、参加者が「かわる」モードになり燃える集団になることを経験しています。
心と脳に火がついて、自分で考え動き始めます。
(ただ、山形県でのご支援では、4時間で燃える集団になりました。それはトップに火がついたからです。トップの影響は大きいものがあります)

さて、来月のSDGsセミナーは、特定集団ではない、不特定参加社の2時間のダイジェスト版になります。
少しでも多くの方たちに、「かわる」ステージまでいって着火してもらいたいと思っています。

テーマでは、「経営者のための」となっていますが、個人の方でも楽しく学べる内容になっていますので、お気軽にご参加くださると幸甚です。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
210319SDGs成長経営セミナー

SDGsシフト61「価値創造の知・第306夜」:『物事の前提を見直す』  

2021年1月4日 深い知&クリティカルシンキング

皆さま、あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願い申し上げます。
 年末年始の日本の第3波のコロナ感染が右肩上がりを続け、政府の再びの緊急事態宣言の検討が行われています。
A.「医療崩壊」の前提は
 欧州は、日本の10倍くらいの感染があるのに「医療崩壊」という言葉が伝わってきません。この国では「医療崩壊」と「緊急事態宣言」がリンクしているように思います。
なぜ、感染数十分の一の日本が、「医療崩壊」になってしまうのでしょうか?
ここを突き詰めて、メディアが伝えないことに問題があるのではあにでしょうか。
 根本は、一部の大きな病院だけが「コロナ治療」をしていて、手持無沙汰のその他の多くの病院がそれに対応しない差によるもの、というファクトによる見立てです。
B.「エネルギー政策」前提の見直し
 同様に、日本のエネルギー政策の見直しに関する、昨年7月の小泉進次郎環境相のメッセージを引用します。
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—今後のエネルギー政策の見直しでは、あらゆる選択肢をファクトベースで大いに議論すべきだと考えています。石炭政策の見直しもファクトに基づく議論をしたから動いた。
エネルギー分野の技術革新のスピードは速く、数年前は当たり前だったことが圧倒的に変わることもある。
再生可能エネルギーの価格が高い印象がありますが、海外では安くなっている。12年度の電源構成で再生エネの割合約22~24%の達成は当然であり、さらに全力で比率を引き上げるべきです。—
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C.2050年カーボンニュートラル
 上記B.を要因として、10月26日・菅首相の所信表明演説があり、抜粋引用します。
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・我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。
・もはや、温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です。
・鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした、革新的なイノベーションです
実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進します。規制改革などの政策を総動員し、グリーン投資の更なる普及を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組みます。
環境関連分野のデジタル化により、効率的、効果的にグリーン化を進めていきます。世界のグリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環をつくり出してまいります。
・省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで、安定的なエネルギー供給を確立します。長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換します。
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 上記A.B.C.では、「物事の前提を検証し、その事象の本質を見極めていき、抜本的転換をすること」の重要性がわかります。
「A.コロナ禍の医療崩壊」云々は、「攻めの手」と「受けの手」の対応がありますが、その双方が整っておらず、「受けの手」のほうを一年間放っておいたツケが回ってきただけです。これは人災です。
 お伝えしたかったのは「政府対応への批判」ではなくて、主題の『物事の前提を見直す』にあります。
 自分ゴトになりますが、関連する内容について、30年弱前(1992年)の前職パイオニア社の経営会議の内容を第29夜(未常識と非常識)に綴っていますので引用します。
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—1.第10夜詳細:「オーディオのイノベーション」
 1992年の経営会議で、
「2005年前後を境にして、オーディオはCDの時代から、超高密度メディア(USBメモリ)や通信の時代に移行する可能性が大きい。その為の準備を2000年までに行いたい」
という旨のプレゼンテーションを委員会メンバーを代表して行いました。
当時はCD全盛の時代ですから、すぐに担当部長に呼ばれて、
「橋本よ、そんなことは起きるはずがない」と。
その報告は非常識に思えたのでしょう。
その担当部長が退職されるときに、私のところにきました。
「お前が云うとおりになったな」
その時に、返答したのが、 「それは未常識だっただけです。超高密度メディア委員会メンバーのシミュレーションをただ図解してお伝えしただけです」と。
2.第14夜詳細:「社長直訴そしてヒット商品緊急プロジェクトへ」
 1990年移行、ホームオーディオは衰退期に入っていました。
そこで、「『性能・機能』ではなく、『効能としてのライフスタイル』をベースにして、異業種コラボレーションでヒット商品を生み出す」
という提案を1995年の経営会議で行いました。
その後に、ある役員からお呼びがかかり、
「新社長がOKしても、こんな提案が上手く行くわけがないだろう。
一体、何を考えているんだ・・・・」
次々に厳しい言葉が続いて浴びせられました。
 今、「目前にある課題・問題」に集中して、それを解決することを責務として事業を任せられている人からみたら、
そのように映ったのもわかります。
ただ、第13夜「倒産、そして新価値創造」を体験してきた自分からは、
「役員の人達が退職するまではそれでいいかもしれないけれど、その後に残った多くの若い社員や家族のためには、今ここで新しい目的のために行動に移さなければならない」
という熱い思い(志)がありました。
役員からみたら、良からぬ非業、非常識に見えたでしょう。
どちらも自分からの常識から見ていたのです。そして、私の方は「後になれば判る未常識」だったのです。—
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・これまでの延長線上に未来はない
 今のコロナ禍で、その様な業種業態があふれています。
 飲食業をみていただくとお分かりのように、「受け(待ち)の経営」と「攻めの経営」で結果は明らかです。
事務所の近くのウナギが美味しい「割烹・小料理屋」さんは、コロナ以前より、コロナ禍のほうが売り上げを大幅に伸ばしています。
待ちに入っていたら、倒産の可能性が高かったと思いますが、早々とテークアウトを行い、そこで新しいマーケティングを行っていました。
 前述の2050年カーボンニュートラルは、電力業界、クルマ業界、住宅業界等、全産業に大きなインパクトがありました。
それは、「大企業のコト」と思っていたら大間違いなのです。
 必要なことは、
・物事の前提を検証し、その事象の本質を見極めていき、抜本的転換をすること
 その能力を実装することが望まれます。
(それが、ピンチをチャンスに変える大きな一歩になります)
それは、
① 価値創造の知・第85~86夜「深い知」(トリニティイノベーション第一法則)
② クリティカルシンキング
 に方法が記してあります。
 日本の政治や産業界、そして、大学教育には、この能力が決定的に不足していることが大問題です。
ただ、いったん「C.2050年カーボンニュートラル」の様な大転換の方向性を示せたならば、それを実現する産業界の潜在能力は高いものがあると思っています。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsシフト60「価値創造の知・第305夜」:『新ルル3条:「ゴール・ツール・ロール」』

2020年12月23日 SXとDXが日本成長戦略の2本(日本)

 今週、菅総理が『グリーンとデジタル』を日本の成長戦略の二本柱と発表しました。
①グリーン=SDGsトランスフォーメーション(SX)
②デジタル=デジタル・トランスフォーメーション(DX)
 2050脱炭素宣言を通して、やっと日本政府の成長戦略の方向性が決まりました。遅かったですね。
この二つが出そろったのは、今回の「コロナ禍」のおかげといってもいいのではないでしょうか。

・新型コロナは黒船である(第288夜)
・災い転じて福となす(第290夜)

この決定で、多くの産業人に事業創生・地域創生・日本再興の道筋が見えました。

 実は、昨年の9月にそれらを見越したものをパワーポイント1枚にまとめて、添付の資料をコンサルティング仲間に見せました。
「わかる人(20%)」と「わからない人(80%)」にわかれました。

 その反応を見て、「この日本柱の変革はもう近い!」と直観しました。

上記の2トップ(グリーンとデジタル)は、2009年の半ばから実践モードとして顕在化していたのですが、それでも時代の流れを見ている人と見ていない人の差がくっきりとわかる瞬間でした。
地球温暖化、世界的な格差、世界を完全に変えてしまうAI、生物工学等は世界的な問題です。国単位だけで考えていたら、21世紀の問題は解決できません。
SXとDXはグローバルな課題&解決手段です。その課題解決は即『世界』につながります。

 改めて、令和時代は、この2トップが「政治・経済・社会」をけん引していくと宣言します。

 さて、2トップの認識として、
・SX(グリーン)は、「ゴール」であり、DX(デジタル)は「ツール(手段)」。
 この「おおもと」をおさえておくことが『価値創造』には必要です。

 この二つ(SX&DX)を対角線上に組み合わせて、『新しい組み立て』を行っていくことが、成長経営のポイントです。
その「新しい組み立て」こそが「価値創造」の真骨頂です。添付資料を参照されてください。
繰り返しになりますが、先陣グループが「競争」「共創」の実践モードに入っていることが顕在したのが2019年半ばでした。

・チコちゃんではありませんが、「ボーっとしていてはいけません」
いま、世界中が、大競走・大共創の時代に突入しているのです。

 さてさて、ここで未詳倶楽部(第26夜、第119夜)で松岡正剛師匠から学んだことが役立つと思い、お伝えします。

・—「記譜(スコア)の元は、ルール(決めごと)とロール(役割)とツール(道具)」にある。このことを私は「ルル3条」と言っていますが、この3つがたいていは新しいシステムになっていくわけです。—」

 前職パイオニア社でプロデュースした「異業種コラボ・連続ヒット商品創出(第14夜)」は、異業種コラボレーションという新しいルールを「オーディオ業界」にインプットしました。
そうすると、実現のための「ツール(道具)」は、「新しい組み立て、新しい物語」となり、自分や事業の「ロール(役割)」も否応なく大きく変わることを実体験しました。

 是非、皆さんも会社や地域、そして自分自身の「ルル3条」を整理されてみてください。
セミナー等でそれを検討していただくことがありますが、特に「ロール(役割)」が明確になることで、将来の新しい風景や戦略が見える経営者が続出します。

 首記には、『新ルル3条:「ゴール」「ツール」「ロール」』を明示しました。
「ルール」の部分が「ゴール」になっていますが、それは、SDGsそのものに、「ゴール&ルール(ESG)」が示されているからです。
そのゴールと本業を新しく組み合わせ、見極めることで、自社の、自地域の「新しいロール(役割)」が浮き彫りになってきます。
そして、それを実現するための「ツール(手段)」は何か、に目が移るというのが本筋です。
(実際には、「ツール」から入られる経営者が多いのですが、相対的に視野・視座が狭くて同質競争に陥り、事業の拡張や成長が鈍くなりがちです)

つまり、「ゴール」⇒「ロール」⇒「ツール」という『新ルル3条』です。

 これまでの縦割りの業界では、上記の「ツール」からの「見立て・仕立て」が中心でしたが、
「SDGs」は17のゴール(展開目標)がドミノの様につながっているので、横割りの積極的なドミノ目線が必要であり、結果的にそれが大きな『違いの創出』につながります。
そう、2030年のありたい姿、ゴールという一段上から俯瞰する「鳥の目」「新しい全体」「新しい展望」(第36夜)がアドバンテージ(優位)になることがおわかりいただけたでしょうか。
 もちろん、そのありたい姿と現実とのギャップ(溝)を埋める「イノベーション=価値創造」が十分条件になりますが。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsシフト59「価値創造の知・第304夜」:『トリプルシフト』

2020年12月13日 トリプルシフト

「コロナ禍を通して、企業が生き残るための3つの変革(新ルール)が浮き彫りになりました。---」

というキャッチフレーズで、自分が関わるセミナー等のリーフレットに記すことが多いのですが、

自分の本心は、
・生き残り
・サバイバルandサスティナブル
という言葉はあまり使いたくありません。
 そこには、「悲愴さ」や「寂しさ」がついてまわります。
私たちが求めているのは、変革の先にある「喜びや楽しさ、充実感」ではないでしょうか。
「3つの変革の先の喜びと道筋・心得」をお伝えしたいのですが、リーフレットでは、それが直接響かないところにもどかしさを感じています。

 さて、先日、東洋経済online(11月23日)で
→日本人が即刻捨てるべき「経済大国」という幻想
 という記事がありました。一部を引用します。
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— いま、日本に必要なのは、「日本は経済大国」「日本はものづくり大国」といった幻想から脱却し、生産性を高める産業構造へ変革することだ。
それは、これまでの常識をリセットする、大変革である。コロナ禍で世界が大きく変わりつつある現在、日本は最大の転換期を迎えているといっても過言ではないのだ。—

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 確かに、「経済大国」という名のもとに、長いデフレの中の「ハングリー精神の薄さ」が大問題でした。
「ハングリー」については、第157夜に綴っています。

第157夜(スティーブジョブズ編:Stay hungry.Stay foolish)から引用します。
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—直訳では、「ハングリーであれ、バカであれ」

普通の人はピンときませんね。本質がわからないと表面的なものになってしまいます。

繰り返しますが、頭では、机上では分かりづらいのです。この理解には「禅」の思想、思考と実践知が求められます。
そして、「情熱・覚悟」ゆえの「「痛み、辛さ」そして「喜び」の体験をした人には、直感できるように思います。

自分が意訳すれば、

Stay hungry. =「安泰」でいるな、“不足”を大事にしろ。
Stay foolish. =「良い子」でいるな、“逸脱”を大事にしろ。

となります。

「安泰」「良い子」は「楽(らく)」なのです。試練がないのです。イノベーターではなく、オペレーターなのです。
でも「安泰」「良い子」のままでは、イノベーションのスタートラインにつけません。
 日本の教育は、高い処理能力のオペレーターをつくってきたのですね。そのオペレーターは、AI・ロボットの登場でその場を失ってゆきます。—

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 日本の生命線は、「ハングリー&バリュー・イノベーション」であり、「バリュー・イノベーター」をつくることが肝要です。
それなのに、「安泰オペレーション」ばかりしていて、「ハングリー・イノベーション」に遅れをとりました。

 そこに、今回の各国の「コロナ禍」対応の比較で、政治・経済・社会・地域・医療・教育等々の数々の問題や遅れが白日の下に炙り出されました。
「日本はそんなに遅れていたのか」
黒船来航のような、それが国民の実感でした。

 さてさて、上記の東洋経済記事の「大変革・日本最大の転換期」とは何でしょうか?

それは、突き詰めると、
・SX: SDGsトランスフォーメーション
・DX: デジタルトランスフォーメーション

 という二つのシフトのことであり、それを基盤とした「新産業化」の先取りです。

 そして、SXとDXを統合した「HX:ハーフandハーフ変革(第302夜)」が様々な業種業態で次々に生まれてきています。
(それは、HXと記していますが、『GX:ゴールデン・トランスフォーメーション』と呼んでもいいかもしれません。「SDG」とは、SX・DX・GXのs新結合と表せます)

 それらは、首記の「変革の先にある喜びや楽しさ、充実感」を目指しています。
そこにフォーカスして、「働き甲斐」「働き方改革」「生産性改革」を実現していくのが道筋ではないでしょうか。

 そして、「SX」の17ゴールと「DX」の双方は、単独で存在していられなくて、つながり合い、結び合っている特質があります。
(SXの各ゴールは、密接にリンクしています。そして、DXの本質はボーダーレスになることです)
そのため、単独(スタンドアロン)でやることには限界があります。

 SX・DXはひとりでいられないのです。

参考に、松岡正剛師匠の「千夜千冊・第1125夜:ボランティア」より加筆引用します。
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—金子さんが本書で証していることは、一言でいえば、ボランティア・ネットワークを自分が動くことそのものがもうひとつの情報の特質だったということにある。
—ボランティアという言葉には、もともと志願者とか義勇兵とか篤志家という意味がある。それらはボランティア活動者という主体の意志をあらわしている。なるほどボランティアは主体的である。
けれども、本来のボランティアの意味の奥には”WILL”そのものの動向というものがあり、その”WILL”はじっとしているわけではないのだから、
それらが「つながり」や「かかわり」や「めぐりあい」をおこしたとたん、そこには関係性というものが形成される。

その関係性に結び目をしっかりつけたものがネットワークの正体であって、そのネットワークはもとをただせば何かが自発することで開始された情報の動向そのもののことでもあったのである。
電話線やコンピュータ・ネットワークのルーターばかりがネットワークではない。そこに相互の出会いをもたらし、「もうひとつの情報社会」の潜在性が立ちあらわれて、見えないボランタリー・ネットワークがそこかしこに見えてくること、そのことが金子さんが実感したかったネットワークだったのである。
  大筋、金子さんは本書を通して、こうしたことを”発見”した。ボランティアとは、ボランタリー・ネットワークを自発させる一人ずつのエンジンのことであり、そのように情報を見直すことだったのだ。
ぼくはここから「情報はひとりでいられない」というメッセージを貰った。—

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 「二つの変革『SXとDX』は、“ひとりでいられない”という特質を持っている」

 ということを心に留めておいていただきたいのです。

・「ありたい姿」に、はしごをかける
・「本業の前後」をつなげる
・「異業種」とつながる

 はしごをかけて「ありたい姿」を明確にして、ボーダーレスに次々つながる、結び付ける(=新結合=イノベーション=価値創造)

 そう、「つなぐ、わかる(新しい性質)、かわる」ことの素敵な成長物語が新しい価値やGDPを創っていきます。
次夜は、「そのつなぎ方、結び方」に日本本来の強みがあることを綴りたいと思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsシフト58「価値創造の知・第303夜」:『デジタルトランスフォーメーション』

2020年12月10日 トリプルシフト

 今週のニュースの中心は、「経済対策、事業規模73兆円」にありました。
→新型コロナ対策に加え、企業や省庁の枠を超えてシステムの標準化や互換性を高める「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、脱炭素化といった菅政権の看板政策を推進するための事業を盛り込む。8日に閣議決定する。

 財政・税制で、前夜(第302夜)に綴ったトリプルシフト(HX・DX・SX)が勢ぞろいしたようなものです。
① HX:新型コロナ対策
② DX:デジタルトランスフォーメーション
③ SX:脱炭素経済対策:2兆円基金
 上記のSXは、2030年のゴールを提示していて、DXとESGは、それを達成するプロセスとしてみるとわかりやすくなります。

 さて、本夜は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の把え方について綴ります。

 まず、「トランスフォーメーション」とは何でしょうか?
・trans-formation
英語の綴りではtrans-は接頭辞として出てきて、“超えて、…の向こう側、別の状態へ”の意味があります。
英語圏では、trans-を「X」と綴ることで、「デジタルトランスフォーメーション」は、『DX』と使うのだそうです。

 ここで、第295夜」(『Transforming Our World』)では、SDGsの肝に「トランスフォーミング」を記しましたので引用します。
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「SDGs」のおさらいをすると、
SDGsとは、人類の未来を変えるために掲げられた世界共通の目標です。ここには、『2030年に向かうビジョン』があります。
 貧困や不平等や環境破壊・・・、深刻化するさまざまな社会問題を解決しなければ、「地球に未来はない」と世界中の国々が危機感をもって、2015年9月に採択されました。

その採択された文書の表題は、

「Transforming Our World」(私たちの世界を変革する)

⇒これが最も重要な「心得・志」です。

このTransformingは、変革や変容とも訳されます。

⇒人類の未来をよりよいものに変えるために「もう後戻りしない・覚悟する」ということ

よく「Transforming」のイメージを理解してもらう例えとして、
・オタマジャクシがカエルになる
 ・蛹(さなぎ)が蝶になる
 がよく使われます。

質が変わる、形態・状態、生態が変わって、「変態」しています。
 「変態」することで、社会・環境・経済を好転換していくということです。

さて皆さん、これまでの延長線上(10年後)に、会社・地域の成長を描けますか?—

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 そう「変革=トランスフォーメーション=シフト」が、政治・地域創生・事業創生・人財創生の中心になっています。。 

 それでは、「トランスフォーメーション」を3つの切り口(A/B/C)で見ていきます。

A,「DX推進ガイドライン」
 平成30年12月の経産省「DX推進ガイドライン」には、
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、
業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 と記しています。
・DXの目的は、「競争上の優位性を確立すること」
・そのために、「IT技術を活用して、ビジネスモデルや会社の組織を変革すること」
 に要約できます。

B.「デジタルの次は?」
 上記A.は、『ビジネス』をベースとした把え方ですが、
自分自身は、前職パイオニア時代に、

・「デジタルの次は何か?」

というテーマで、20年前の2000年に、その姿を追って把えていました。

・analog→degital→cubital

 それは、弁証法で進化の姿を仮説していたので、それを図解添付します。
DXの本質は、ここにあると断言できます。それを把えているかいないかで、未来を観る目が大きく変わってきます。

その進化図は、第205夜(デジタルから『質量への憧憬』)に綴っているので、そこから引用します。
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その進化の形は、

①アナログ→②デジタル→③キュービタル

と洞察しました。
キュービタルとは、キュービット(量子力学)とデジタルの造語です。

当時のカーナビの将来(車の運転)を検討した時の簡易的な事例では、
①アナログ:実際の運転席で、「次の交差点を右に曲がると六本木」という標識を観て進行先を判断する(=現実の風景)
②デジタル:カーナビのディスプレイの中にあるデジタル情報を見て、「次の交差点を右に曲がると六本木」という判断をする(=デジタルは、ディスプレイの中にいる)
③キュービタル:実際の窓の外の風景(アナログ)を見ながら、空間上にデジタル情報(⇒矢印や3次元の疑似車)が浮かび上がり、アナログとデジタルがインタラクティブに融合する世界。

という具体例です。そのようなカーメディアが10数年後に発売されました。
(自動運転やAIロボットもキュービタルです)
(「グーグルグラス」もその世界を狙っています)—

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 14年前(2006年)には、前職パイオニア社で、どのような未来の広がり(時間と空間の拡張)があるのかを7つの世界で提示して、それをビデオにまとめました。
その世界は、Society5.0をピタリと言い当てていました。

 その具現化が、『Society5.0』です。
日本政府のSDGsアクションプラン3本柱の一つです。
(キュービタルの本質を知っていると見えないものが見えてきます)

経団連では、
→「『Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成(Society 5.0 for SDGs)』こそ、企業が果たすべき役割と考え、2030年に世界で実現できるよう取り組んでいます」
と2017年11月に発表しました。

 「キュービタル」は、デジタルの進化の姿を現したものです。

C.目指すものの進化
 さらに、違った視点からの進化をみてみましょう。

①デジタイゼーション: アナログをデジタルに転換
②デジタライゼーション: ITを活用して既存の価値を高める(技術・新事業) 
③DX:社会生活や企業のあり方を変革すること(社会価値×経済価値)

 というものです。
こうなると、社会課題の実現に向かう「SX」がゴールで、「DX」が手段という意味合いが理解が深まったのではないでしょうか。

 SXとDXは、コインの裏表です。
「人類の未来をよりよいものに変え、ありたい地球・社会・人生にしたい」

 そして、SXとDXは、境界をなくし、ボーダーレスの性質を持っています。
それらを前提にした「在り方・あり様」を想像(イメージ)することが始まりになります。
その未来と現実のギャップを埋めるのが、イノベーションであり価値創造です。

 多くの人を巻き込んで、いまの大ピンチを大チャンスに変えていきましょう。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

SDGsシフト57「価値創造の知・第302夜」:『ハーフandハーフ レボリューション』

2020年11月13日 ハーフandハーフ変革

 実務にかまけて、本コラム執筆がおろそかになってしまいました。大反省です。 ただその時間の分、より深く・高く・広く考え、行動したことで、自分の中の「質」が大幅にバージョンアップしたと思います。

 さて、第102回文化経済研究会の動画配信の中で、谷口正和師匠が「ハーフandハーフ変革」というコンセプトを話されているのを視聴し、その言葉が自分の脳の中に響き、駆け巡りました。
 先ず、『ハーフandハーフ レボリューション』を自分の中では「HX」と命名しました。『X』とは、「トランスフォーメーション」のことです。 メディアを騒がせている「デジタルトランスフォーメーション」をDXと言っているのはご存じかと思います。 (=デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital transformation)とは「デジタルによる変革」を意味し、ITの進化にともなって新たなサービスやビジネスモデルを展開することでコストを削減し、働き方改革や社会そのものの変革につなげる施策を総称したもの) 『DX』については、どこかの夜に、その本質を綴ります。
 さてさて、「トランスフォーメーション(=X)」とは、変容や変革とも訳され、それは、①「さなぎが蝶になる」、②「オタマジャクシがカエルになる」ように後戻りできない進化のことをいいます。  同様に、『SDGs』の肝(きも)は、「トランスフォーミング」です。 SDGs採択文書の正式タイトルは「Transforming Our World(我々の世界を変革する)」 つまり、『SDGs』とは『SX』(サスティナブル・トランスフォーメーション)と命名できます。  本年のコロナ禍を通して、これから何を「変容・変革・トランスフォーミング」するのかが見えてきました。 このコロナ禍で、身近な事例を上げましょう。  職場は「リモートインテリジェンス(DX)」を、飲食店は、「テークアウト(HX)」を、レジでは、「プラスチック製レジ袋の有料化(SX)」があります。 それらはほんの一部で、「HX」「DX」「SX」が地下茎のように時代を動かしていきますが、それは別の夜に綴ります。
 本夜は、首記待望の本が上梓されたので、駆け巡った中心となる『ハーフandハーフ レボリューション(二分の一革命)』の内容にフォーカスして綴ります。  まず、<はじめに>より抜粋します。 「コロナ・パンデミックから我々がどう立ち上がり、次のパラダイムのためにどのように行動すべきなのか。 ①この危機を逆転的に活用し、むしろチャンスだという理解を促進するための本として、 ②そして我々は未来に対して何ができるのか。  「ハーフandハーフ」とは、全てを半分にせよ、という地球からのメッセージである  そのヒント集として出版されました。  さきほど、身の回りの「テークアウト」を事例にあげました。 私たちの多くは、換気の保てないお店の中で食事をとることに躊躇してしまいます。 そこで、生き残り(サバイバル)をかけて「テークアウト(テークアウェイ)」というサスティナブルな新業態があちらこちらで現れました。 従来のメニューにはないものを試しているお店を複数見かけ、また、様々な業種業態でもハーフandハーフの新業態が一般化していることがわかりました。
 皆さん、屋形船でクラスターが発生したのを覚えておられますか? 従来の業態のままでは、経営が立ちいかないのは明らかでしたが、今年7月に下記ニュースが飛び込んできました。 ラ・ローズ・ジャポネのスイーツを楽しむ東京湾クルーズ 創業100年の老舗の屋形船「あみ達」が人気スイーツ店「パティスリー ラ・ローズ・ジャポネ」とコラボした「屋形船×アフタヌーンティークルージング」の航行を2020年7月11日(土)より開始する。 ・ご家族やご友人と!コロナ対策が行き届いた屋形船のゆったり空間で【東京湾クルーズ×スイーツ】をお楽しみください!!  そこでは、顧客ターゲットもメニューも内装も変わっていました。(従業員の方たちは同じ) 不易流行に挑戦したした「新業態」には、トランスフォーミングする知恵と行動がありました。
 それは自分の身の回りで見聞きした事例ですが、新著の「序章」にエッセンスが記されていますので、序章の<変化をポジティブに活用する>から引用します。
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 情報社会の理解にとって、まず必要なのは、「変化の活用」という認識である。—次々にやってくる変化を積極的に活用していくことが求められるということである。 —人々はその中で、情報を学習のツールとして活用し、理解促進し、そして自分自身の思いを変え、その結果、それぞれがその思いを現実化するような行動をとれば、社会構造が変わる。 しかし、変化を恐れ、不安の要因としてしか受け止められないのであれば、それは自らの中に現状への依存体質が染みついてしまっているのかもしれない。—  変化によって甚大な被害を受け、悲しみに打ちひしがれようとも、過去を変えることはできない。変えられるのは未来だけなのである。だからこそ、ビジネスもライフスタイルも、従来のものを復元させる、あるいは取り戻すという発想ではなく、その変化自体を活用し、『新しい生活・市場・社会の創造』に向かって前進していくという認識が重要である。
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 従来のものを整理し、それらが本当に必要かを繰り返し問い直していくことで本質(深い知)へと近づいていく。余剰のそぎ落としと未来への変革の種まきが「HX」です。 コロナの影響で加速度的に進んだ「ハーフandハーフの単位革命」を過去にUターンすることなく、問題意識を持って促進していくことが求められています。 「全てを半分にする」、その認識とそれでできる「余白」「構想」が未来へ進むエンジンになると実感しました。 本章にはそのヒント群が大満載されています。

是非とも、老若男女問わず、全政治家・全商売人・全学生に見てもらいたいと思いました。 参考に、新著の章立てをアップします。
・序章  <現在>原点への問い直しから始まる新しいチャンス
・第一章 <過去)>時代のエンディングノート
・第二章 変化の谷を飛べ ・第三章 <未来>変革の種まき
・第四章 ホーム・インベストメント そのヒント集

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ