橋本元司の「価値創造の知・第136夜」:『魅力がなくなるコト』が根本原因 ⑤量が質を生む

2018年4月17日 盗めよ、さらば与えられん。

前夜(第135夜)は、将来の「魅力/価値」を創るためには、いまの「学校の在り方」を革新しなければ手遅れになる、という主旨の提言をしました。

本夜お伝えしたいことを要約すると、
「魅力/価値」を創るためは、
①「量が質を生む」コト
② それは「一流/本物」を体験するコト
③ その「心得と方法」を習得するコト
がたいへん有効というより、必要ということです。
それを体験させて貰い、受け取り、実践してきた実感です。

それでは、
①「量が質を生む」コト、とはどういうことでしょうか。

あらゆる分野に、感動や革新があります。
それらをたくさん見る(観察・体験)ことです。

そうすると、第127夜:インストラクション(相互理解)に綴った
a.『大きな絵』(すなわちインストラクションを与えられるコンテクスト)で説明できる
b.『ある分野の知識をほかの分野に応用できる』ように、パターンを見つけることができる
c.『ひとつのアイデアをいろいろに表現する』こと、つまり3次元的な像を示すことができる
ようになります。

それは、次の一手を繰り出す『大局観』に繋がります。
それは、先を見通す『構想』の元になります。

次に、② それは「一流/本物」を体験するコト
上記①に関係することですが、その「量」も「「一流/本物」を体験することです。
そのことで、③ その「心得と方法」を自然に習得するコトができます。

1.一つ目が、20年に亘る『格別・別格の一流人』との出会い
それが、松岡正剛師匠主宰の「未詳倶楽部」(詳細は、第26夜・第119夜)です。

松岡正剛師匠は、「知の超人」です。

一年に2回ほど開催される「秘密倶楽部」に20年前に入門しました。「未詳」とは、まだ詳しからず、まだつまびらかでないのです。
意味のある「場」に、格別・別格の一流人が来られ「日本という方法」を一泊二日で体験します。そのゲストと共に夜のプログラムは進み、夜中を越えて宴は続きます。

そこでは、主人と客は分離されていなくて、毎回「主客一体」「一期一会」となり演じていきます。
「能、大鼓、三味線、謳い、俳句、料理、書、歌、茶道、茶碗(第5夜)・・・・」
それは、「日本という方法」を身をもって体感できる「至福と冷や汗」の入り混じった極上の「場」と「時間」となりました。
それが、20年続きました。日本の一流の系譜を心身で受け取りました。

そのエッセンスが写真の『侘び・数寄・余白』-連塾・方法日本-にあります。是非ご覧ください。
また、「ISIS編集学校」(編集工学研究所がインターネット上に開校した、方法の知のための学校)では、自分が学衆となって『編集』の基礎を学びました。
私がこれまで「価値創造の知」で綴ってきた「日本流の知」は、上記「未詳倶楽部」・「ISIS編集学校」・『侘び・数寄・余白』をビジネス用に編集したものが土台になっています。

2.二つ目が、マーケティングで素晴らしい成果を上げている100社の企業訪問
それが、永田仁先輩主宰の「企業訪問フォーラム(詳細は第23夜)」(日本マーケティング協会主催)です。
マーケティングで素晴らしい成果を上げている様々な企業を訪問して、、
①現場で学ぶ、②実例に学ぶ、③相互に学ぶ、というように、直接企業風土に触れながら、事例研究をして、意見交換もできる研究会でした。
それは、1993年~2010年まで18年間続き、その殆どの100社をその先輩を通して訪問させて貰いました。
その100社は、全て業種・業態が異なります。
そのことで、どのような会社/地域から、ご支援依頼がきても動じない土台ができたように思います。

通常では体験できない、この一流の100社を直接見ることで、技術者出身の自分が一気に「マーケティング」の深さ・高さ・広さを知覚することができるようになりました。
それが、後の「ヒット商品開発プロジェクト(詳細は第13夜)」に繋がりました。その方法は、①の「未詳倶楽部」(詳細は、第26夜・第119夜)をフルに活用しました。

3.三つ目が、変革をリードする企業(および起業家)の200社のセミナー
それが、谷口正和師匠師匠主宰の「文化経済研究会(第24夜)」「エコロジー研究会」です。
「文化経済の視点」からマーケットに新しい価値を創造した人、次世代ビジネスを実践されている人などを講師に迎えながら、我々が直面する企業課題をひも解き、
新しい時代に求められるべきストラテジーを指し示していく研究会です。
21世紀を牽引するのは、「文化」です。文化が発生して、その後に経済が起こる。この文化経済の時代の重要な認識は、今までの経済優先の発想を越えられるか、ということです。
過去の大企業主義、シェア至上主義は音を立てて崩れつつあります。
小さくても志を持って立ち上がり、自分たちのミッション、フィロソフィー、ポリシーをあくまでも貫き、従来の提供者論理を切り捨て、真の顧客主義に立った企業だけが存在を許される時代です。
人も企業も個性が連鎖して新たな変化の潮流を引き起こす21世紀。未来社会経済学ともいうべき視点から、変革をリードする企業および起業家からその発想と戦略を学んできました。
一年に6回開催され、変革をリードする企業および起業家の200社(人)からその発想と戦略を学んできました。

「文化が先行して、その後に経済が起こる」

私が「新文化づくり」を先行させる原点はここにあります。
様々の業種・業態の起業家の皆様から、その想い・心得とビジネスモデルを学びました。
同時に、前述の「ヒット商品プロジェクト」の企画の元はここにあり、更に、異業種コラボ展開の企業を谷口正和師匠から直接紹介されたことが成功の加速になりました。
如何でしょうか?
上記、「一流・別格・格別」の『量』をいっぱい浴びてきました。
それらが、「大局観」となり、次の一手、次の柱の「質/次元」を生み出します。

・自分に自信がないときは、歴史にも世の中にもまだまだ「欠けたモデル」があるのだと思えばいい。
・21世紀を牽引するのは、「文化」です。文化が発生して、その後に経済が起こる。
・盗めよ、さらば与えられん。

そう、たくさんの一流・本物を「感動・感激・感謝」しながら、盗んできました。
それらをつないで「新結合」すると未開の地平が見えてきます。
みなさま是非、格別な師匠をもたれてください。
その系譜が、核心⇒確信⇒革新につながります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

量が質を生む