2020年12月10日 トリプルシフト
今週のニュースの中心は、「経済対策、事業規模73兆円」にありました。
→新型コロナ対策に加え、企業や省庁の枠を超えてシステムの標準化や互換性を高める「デジタルトランスフォーメーション(DX)」、脱炭素化といった菅政権の看板政策を推進するための事業を盛り込む。8日に閣議決定する。
財政・税制で、前夜(第302夜)に綴ったトリプルシフト(HX・DX・SX)が勢ぞろいしたようなものです。
① HX:新型コロナ対策
② DX:デジタルトランスフォーメーション
③ SX:脱炭素経済対策:2兆円基金
上記のSXは、2030年のゴールを提示していて、DXとESGは、それを達成するプロセスとしてみるとわかりやすくなります。
さて、本夜は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の把え方について綴ります。
まず、「トランスフォーメーション」とは何でしょうか?
・trans-formation
英語の綴りではtrans-は接頭辞として出てきて、“超えて、…の向こう側、別の状態へ”の意味があります。
英語圏では、trans-を「X」と綴ることで、「デジタルトランスフォーメーション」は、『DX』と使うのだそうです。
ここで、第295夜」(『Transforming Our World』)では、SDGsの肝に「トランスフォーミング」を記しましたので引用します。
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「SDGs」のおさらいをすると、
SDGsとは、人類の未来を変えるために掲げられた世界共通の目標です。ここには、『2030年に向かうビジョン』があります。
貧困や不平等や環境破壊・・・、深刻化するさまざまな社会問題を解決しなければ、「地球に未来はない」と世界中の国々が危機感をもって、2015年9月に採択されました。
その採択された文書の表題は、
「Transforming Our World」(私たちの世界を変革する)
⇒これが最も重要な「心得・志」です。
このTransformingは、変革や変容とも訳されます。
⇒人類の未来をよりよいものに変えるために「もう後戻りしない・覚悟する」ということ
よく「Transforming」のイメージを理解してもらう例えとして、
・オタマジャクシがカエルになる
・蛹(さなぎ)が蝶になる
がよく使われます。
質が変わる、形態・状態、生態が変わって、「変態」しています。
「変態」することで、社会・環境・経済を好転換していくということです。
さて皆さん、これまでの延長線上(10年後)に、会社・地域の成長を描けますか?—
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そう「変革=トランスフォーメーション=シフト」が、政治・地域創生・事業創生・人財創生の中心になっています。。
それでは、「トランスフォーメーション」を3つの切り口(A/B/C)で見ていきます。
A,「DX推進ガイドライン」
平成30年12月の経産省「DX推進ガイドライン」には、
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、
業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
と記しています。
・DXの目的は、「競争上の優位性を確立すること」
・そのために、「IT技術を活用して、ビジネスモデルや会社の組織を変革すること」
に要約できます。
B.「デジタルの次は?」
上記A.は、『ビジネス』をベースとした把え方ですが、
自分自身は、前職パイオニア時代に、
・「デジタルの次は何か?」
というテーマで、20年前の2000年に、その姿を追って把えていました。
・analog→degital→cubital
それは、弁証法で進化の姿を仮説していたので、それを図解添付します。
DXの本質は、ここにあると断言できます。それを把えているかいないかで、未来を観る目が大きく変わってきます。
その進化図は、第205夜(デジタルから『質量への憧憬』)に綴っているので、そこから引用します。
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その進化の形は、
①アナログ→②デジタル→③キュービタル
と洞察しました。
キュービタルとは、キュービット(量子力学)とデジタルの造語です。
当時のカーナビの将来(車の運転)を検討した時の簡易的な事例では、
①アナログ:実際の運転席で、「次の交差点を右に曲がると六本木」という標識を観て進行先を判断する(=現実の風景)
②デジタル:カーナビのディスプレイの中にあるデジタル情報を見て、「次の交差点を右に曲がると六本木」という判断をする(=デジタルは、ディスプレイの中にいる)
③キュービタル:実際の窓の外の風景(アナログ)を見ながら、空間上にデジタル情報(⇒矢印や3次元の疑似車)が浮かび上がり、アナログとデジタルがインタラクティブに融合する世界。
という具体例です。そのようなカーメディアが10数年後に発売されました。
(自動運転やAIロボットもキュービタルです)
(「グーグルグラス」もその世界を狙っています)—
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14年前(2006年)には、前職パイオニア社で、どのような未来の広がり(時間と空間の拡張)があるのかを7つの世界で提示して、それをビデオにまとめました。
その世界は、Society5.0をピタリと言い当てていました。
その具現化が、『Society5.0』です。
日本政府のSDGsアクションプラン3本柱の一つです。
(キュービタルの本質を知っていると見えないものが見えてきます)
経団連では、
→「『Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成(Society 5.0 for SDGs)』こそ、企業が果たすべき役割と考え、2030年に世界で実現できるよう取り組んでいます」
と2017年11月に発表しました。
「キュービタル」は、デジタルの進化の姿を現したものです。
C.目指すものの進化
さらに、違った視点からの進化をみてみましょう。
①デジタイゼーション: アナログをデジタルに転換
②デジタライゼーション: ITを活用して既存の価値を高める(技術・新事業)
③DX:社会生活や企業のあり方を変革すること(社会価値×経済価値)
というものです。
こうなると、社会課題の実現に向かう「SX」がゴールで、「DX」が手段という意味合いが理解が深まったのではないでしょうか。
SXとDXは、コインの裏表です。
「人類の未来をよりよいものに変え、ありたい地球・社会・人生にしたい」
そして、SXとDXは、境界をなくし、ボーダーレスの性質を持っています。
それらを前提にした「在り方・あり様」を想像(イメージ)することが始まりになります。
その未来と現実のギャップを埋めるのが、イノベーションであり価値創造です。
多くの人を巻き込んで、いまの大ピンチを大チャンスに変えていきましょう。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
