価値創造の知・第6夜 「色即是空・空即是色」とスティーブジョブズ

2016年12月13日 「空即是色」と「価値創造」

般若心経では、
「この世はすべて空で、形あるものはなに一つ存在しない。感覚・思い・分別・認識など何もない。また苦もなければ、教えや悟りを得ることもない。だから、心に障りもないため、すべての迷いを超越して心のやすらぎに至ることができる」 と教えてますが、ここの「空」と「無」の解釈ついては少し違和感を持っていました。

前職は、パイオニア社に勤めていましたが、「音(サウンド)と光(ビジュアル)」が事業の中心だったので、そこにある「意識」「波動」をどうとらえるのかが、自分の中の葛藤でした。
その為35歳の時に、ビートルズにも影響を与えた「マハリシ・ヨッギの超越瞑想」の門をご縁によりたたきました。そこに行って驚いたのは、大手の企業経営者が多いことでした。彼らは、「心を空にする」ことで経営の方向性や生き方を見出しているようでした。

さて、「超越瞑想」を習得していくと、数分で雑念が遠のき、感覚も遠のいてゆき、濁っていた心(脳と魂)が澄んでゆくのを体感できます。そしてその後に、不思議に望むセレンディピティが音連れることでした。

さて、冒頭の「色即是空・空即是色」です。超越瞑想をしていると、自分の自我や欲望がなくなって、「大元(おおもと)」に戻る、包まれる感覚になります。「色」とは現実であり、「空=モノゴトの大元」と見立てるとしっくりきます。

下記はその「色即是空・空即是色」が「価値創造」や「生き方」「ビジネス」に通じるコトが多いと思い記しました。

「色即是空」というのは、「現実=色」に問題・課題があるのなら、先ず心を無にして、「大元=空=大切なこと=真心」に戻りなさいと教えてくれているように思います。

そして、「空=大元=真心」に戻って従来のしがらみや常識から解き放たれて、その本質(=コンセプト=核心)を把えてから「現実=色」を観ると新しい世界(=現実=色=確信)が観えるということではないでしょうか。その確信を革新するのがイノベーションであり価値創造です。
スティーブジョブズは、禅寺に通っていたことを知った時に、「iPhone」は「核心→確信→革新」に至ったと確信しました。
だから、「色即是空」「空即是色」と繰り返しているのです。「色」と「空」が同じであれば、繰り返す必要はないのです。「色即是空」と「空即是色」の「色」は異なるものです。
さて、超越瞑想や禅に入ると、「無」は「何もない」ということではなく、「遠ざける・気にしない」という意味だと体感できます。

このような「価値」を生み出す、「超越瞑想・ZEN」だからこそ、多くの経営者が門をたたいているのではと想っています。皆さんも是非、一流の「色即是空・空即是色」を体験してみませんか。%e7%a9%ba%e5%8d%b3%e6%98%af%e8%89%b2

価値創造の知・第5夜 守破離とは

2016年12月12日 守破離と価値創造

「守破離」とは?

守って破って離れる、のではない。
守破離は、
守って型に着き、
破って型へ出て、
離れて型を生む。
この思想は仏道の根本にも、それをとりこんで日本的な様式行為をつくった禅にも茶にも、また武芸にも、開花結実していきました。

上記「守破離」については、師匠の「松岡正剛の千夜千冊」1252夜(http://1000ya.isis.ne.jp/1252.html)に詳しいので、是非ご覧ください。

さて私事の守破離なのですが、前職のパイオニア社で、5年後・10年後の研究所の将来シナリオをまとめていました。そこでシナリオプランニングの第1人者を米国から招聘して、「不確かな時代のシナリオの創り方」を直伝してもらいました。

その夜の懇親会で、そのイノベーションの達人から、

「守破離」とは?

「わびさび」とは?

「おもてなし」とは?

と立て続けに質問がありました。

実は数年前、松岡師匠がホストの未詳倶楽部(日本の格別・別格をあちらこちらで実体験する秘密倶楽部)で滋賀・京都に行っていました。その時、特別ゲストであの樂焼きの十五代 樂吉左衛門が来られていて、直々に「守破離」を学びました。(その時の写真を添付します)

そのことがあったので、一つ一つ心を込めて説明したら、イノベーションの達人からたいへん喜んでくれたことを思い出します。 「守破離」と「イノベーション」は深いつながりがあるのです。

私達は2020東京オリンピックに向けて、もっと素晴らしい「日本の方法(心得と作法)」を学校でも社会・会社でも知るといいですね。本当は、一流を直々に体験するのが一番なのですが・・・。

さてさて、私は自分のセミナーや企業ご支援で価値創造の2番目の矢として、「守破離と弁証法」を用意・卒意しています。学校教育や企業の人財教育等、多くの方達にそれらをお伝えすることで知行合一につながると幸甚です。

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価値創造の知・第4夜 用意と卒意

2016年12月9日 不足転じて満足となす

12月7日のコラムで「おもてなし」を取り上げましたが、茶の湯の「おもてなし」の精神をあらわす言葉に、
「用意」と「卒意」があります。(「書」や「落語」でも使われます)

「用意」:お客をお招きする主催者が事前に準備をしておくこと。
「卒意」:主客一体となって、場をつくりあげること。その場の空気や出来事に応じて、とっさに判断・行動すること。

不意にやってきたお客には用意ができていませんね。「持ち合わせ」、「間に合わせ」だけでもてなさざるをえません。茶の湯では、亭主がお客に「侘び」ながら「持ち合わせ・間に合わせ」で心を込めておもてなしをすることを「侘茶」と言います。「ワビサビ」の「ワビ」ですね。

さて、ここから「卒意」の自分の体験を紹介します。
前職は、パイオニアという会社に勤めていました。1989年から「オーディオ事業」が衰退期に入り、イノベーション(パラダイムシフト)が必要でした。39歳の時、上司や事業部を飛び越えて「既存事業部ではできない、次世代のオーディオ・ビジュアルづくりをやらせてもらいたい」と社長に直訴しました。
社長からは、「新しい商品・技術ではなくて、枯れた技術を使って、量販店ではない売り方でヒット商品を創りなさい」という指示でした。

直訴の為に「次世代事業企画・パイオニアルネッサンス計画」を経営に「用意」したのですが、思惑がならずに、現状の枯れた商品・技術の「持ち合わせ・間に合わせ」というワビの「卒意」により、当初は3名で「ヒット商品緊急開発プロジェクト」を立ち上げました。

今では異業種コラボレーションは花盛りですが、当時は自前主義(スタンドアローン)が常識でした。
緊急プロジェクトでは、今までにない考え方・やり方を構想し、多様なメンバーを社内から集め、枯れた技術を使って、サントリー様や無印良品様等100社を超える外部の異業種と主客一体となってコラボレーションしました。(下図)

結果、連続して4つのヒット商品を世の中に出すことができました。まさに、「不足転じて満足となす」。これは、12月9日のコラムで記した「負の美学」そのものです。
現在、多種多様な企業をご支援していますが、将来に対する「用意」と持ち合わせ・間に合わせのワビの「卒意」のどちらもが役立っています。これも日本のDNAです。みんなで「卒意」しましょう。

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価値創造の知・第3夜 「負(マイナス)」の美学

2016年12月9日 「負」と「余白」の価値

私には二人の師匠がいます。松岡正剛さんと谷口正和さんです。

松岡師匠には「日本という方法・編集」、谷口師匠には「文化経済・バリューイノベーション」を基軸とした格別で別格の世界を学びました。今日は松岡師匠が語られた「負」の美学から「日本の方法」を綴りたいと想います。

藤原定家の有名な歌に「見渡せば花も紅葉のなかりけり浦の苫屋の秋のゆふぐれ」がありますね。

浜辺でまわりを見渡しても何もない寂しい秋の夕暮れだというのが表向きの意味です。しかし、定家は何もないのならそれでいいのに、わざわざ花(桜)や紅葉がないと言っています。「花も紅葉のなかりけり」と言葉の上で否定した表現によって、かえってそこから花と紅葉が現出することを可能にしたのです。

 

これは「逆転の見方」であり、「負(余白)の美学」です。自分(橋本)の理解では、これと同じ日本の方法が枯山水であり、俳句であり、長谷川等伯の「松林図屛風」です。

西洋の絵画のように「FULL」に描くのではなく、引いて引いて余白を残すこと。そのことにより、自分の中の何かが惹起して、イメージを投入する。自分が主役になっていく。その後に、主客が一体になってゆくという美学が感じれます。

感覚も同じです。皆さん「共感覚」という言葉を知っていますか?それは感覚のねじれ現象です。例えば、オーディオで「波の音」を流したとします。目を瞑ると耳が「波」の風景を見ます。本来は「目」で波を見るのに、「耳」で波を見るという感覚を「共感覚」といいます。

真っ暗な部屋の中に入ると、視覚が遮断されるので、他(聴覚や触覚)の感覚が鋭敏になります。ハリーポッターを本で読むのと映画で観るのでは違いがあります。現代の私達は知性・感性を高めるために、意識して感覚を遮断することが必要です。

前職は、パイオニアという会社に勤めていましたが、「カラオケ」は一番大事なボーカルを引くことでお客は主人公になっていく文化を創ったのでした。さて、アルコールフリーのビールはどうでしょうか?ビールにとって重要なアルコールを引くことで「交通事故を起こさない」文化を創りました。

禅寺に通っていたスティーブジョブズは、引いて引いて「iPhone」文化を創りましたね。隈研吾さんの「負ける建築」も同様です。
「引く」方法から大切な文化を編集するWILLとSKILLを習得することが重要なのです。

私達は、ついつい足すことで「価値」を付加しようと発想しますが、元々日本には「負(マイナス)」することで新しい文化が創るというDNAを持っています。あの「わびさび」の世界も同様ですね。

未来の価値づくり(新価値創造)には3本柱があるのですが、先ず「引く」方法について本日はお伝えしました。
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エコプロ2016

2016年12月8日 環境とエネルギーの未来展

本日から東京ビッグサイトで開催される「エコプロ2016」に行ってきました。
①「地球温暖化対策と環境配慮」
②「クリーンエネルギーとスマート社会」
を2大テーマに掲げ、「エコプロダクツ」から「エコプロ~環境とエネルギーの未来展」に進化しています。

注目商品は、「エコカー」「エコ家電(エアコン・証明)」「スマートハウス」「環境配慮包装」「エコビル・エコ店舗」と幅広くかつ繋がりが見えてきています。目移りがしてワクワクします。個人的には、「水素社会」と「スマートシェアリングシティー」に注目しています。

環境問題は、一企業の取組みでは解決できるものではありません。
「共生」を「ひとつながりの共創」で、次のステージへ大飛躍して欲しいですね。

そこに於いて、「日本のおもてなしの心と匠」&「IoT・AI」&「インダストリー4.0」を結合したエコロジー&エコノミー世界を支援してゆきたいと想います。

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価値創造の知・第2夜 お・も・て・な・し!

2016年12月7日 「価値創造」と「おもてなし」の親密な関係

2020年東京オリンピックのコンセプトは

「お・も・て・な・し」

です。

さて、古くから日本に伝わる「おもてなし」とは何でしょうか。
お茶会に遊ぶと、それは、

①しつらい:茶室の和のしつらい。
②ふるまい:作法。ふるまうこと。
③心づかい:あれこれと気を配ること

の三位一体でできていることを広島県の上田宗箇流茶会や
一流の方達との交流で実感しました。

それを価値創造ビジネスに当てはめてみると、
①しつらい=ハードウェア
②ふるまい=ソフトウェア(メニュー・プログラム等)
③心づかい=ハートウェア(ヒューマンウェア))
の三位一体となります。

下図(ビジネスの高度化)にはその変遷を載せていますが、私達のビジネスは、

モノ → コト → ヒト

を三位一体でプロデュースする時代になっています。
元々「おもてなし」のDNAを持っている民族ですから、ニッポンの出番です。

20世紀の「①ハードウェア+②ソフトウェア」は、
「顧客を囲い込む」
ことを主眼としていましたが、多くの企業が十分に行き詰っています。

今、伸張している21世紀企業は、①+②+③をプラットフォームにして
「顧客に囲まれる」
という姿になっています。それは顧客が準社員のようであり、顧客同士が受発信する創発世界です。

日本には、上記をプロデュースできる人財が不足しています。それには、一流の「おもてなし」を体感するのが一番です。
匠の技、一期一会、主客一体、間(ま)、守破離、わびさび、そして決定打が、おもてなし三位一体。
「ホスピタリティ」と「おもてなし」には違いがあります。
上記群を具体例とともに外国人や学生に説明すると目が輝きます。

2020年に向けて、企業や学校教育、地方創生や民泊の「現場」に「おもてなし」を埋め込みたいですね。

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価値創造の知・第1夜 生産性を上げるクリエイティブ&イノベーティブ

2016年12月6日 創造性による生産性向上と働き方改革

創造性とは、「未来を先取りするコト」と定義しています。
今、私達に求められている資質(WILL)と能力(SKILL)は何でしょうか?
①それは、豊かな未来を創りたいという情熱(PASSION)と
②その本質の発見力(MISSION)と
③周りを巻き込んで実現する行動力(ACTION)にあると想っています。

①を②③につなげるための基本の流れとして、
・模倣的(イミテイティブ)
・創造的(クリエイティブ)
・革新的(イノベイティブ)
を整理しておくことを「未来を切り拓きたい」と熱意と情熱を持っている方達にお薦めします。

特に、クリエイティブとイノベーティブの意味合いを整理しておくことは重要です。

それでは、ビジネスの現場におけるクリエイティブとイノベーティブの差異を整理してみます。

「イノベーティブ」とは、iPhoneに代表されるように、「新しい世界を創り出すコト=現実を変えるコト」
つまり、
「現実を変えたいという強い情熱と目標があり、周りを巻き込んでパラダイムシフトに繋げること」と定義しています。

さて、「クリエイティブ」については、「新しい視点を発見するコト=見方を変えるコト」
つまり、
「イノベーティブ」の前段で常識の殻を破るという重要な位置づけとして把えています。

その為、個人的には「イノベーティブ=現実を変える」を目的にしない「クリエイティブ」には興味が動きません。

人々を幸せにする「クリエイティブ&イノベーティブ」の連携と仕立ては、今の学校教育や企業の人財開発に必要なのに、体系的な仕組みができていませんね。

未来の日本の学校・企業や社会の中で必要とされる人々の資質(WILL)と能力(SKILL)の革新のために、
ますます活動の輪を広げたいと想っています。
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GOOD DESIGN EXHIBITION 2016

2016年11月2日 2016グッドデザイン賞

今年60周年を迎えたグッドデザイン賞ですが、プロダクト・建築・取組みなど幅広いジャンルを横断する各作品でした。「何かを変えるコト、新しいものを生み出すコト」というデザインから、「人々の日常の暮らしを豊かなものにする」というステージに向かっています。 グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)は、写真(上)にある世界地図図法 [オーサグラフ世界地図]でした。写真(下)は、トリニティ㈱作品ですが、3Dプリンターで自分のオリジナルを創りたくなってしまいました。http://trinity.jp/news/2016/10/6224.html
「モノからコトへ」と言われて久しいですが、「コトからカチ(VALUE)」にもっと振れて、社会に共有される価値を生み出し、望ましい社会像を導けるパワーをどんどん創造して欲しいですね。

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ロボットの本来と将来

10月20日 Japan Robot Week 2016

2015年2月に政府方針として発表された「ロボット新戦略」では、「ロボrット革命」の実現に向けて、わが国として「世界一のロボット利活用社会」を目指すこととしています。今後ロボットの活用を進めるべき分野として、ものづくり、サービス、介護・医療、インフラ・災害対応、農林水産業・食品産業の5分野が重点分野として位置付けられています。
神奈川県、東京都、埼玉県、愛知県の取組みが揃って聴ける「ロボット開発拠点戦略フォーラム」にも参加しましたが、ロボットAIの将来を考える時、「人間」とは何か?、人々はどのようなライフスタイルを望んでいるのか?に自分の想いが向かっていくのに気づきます。超高齢化社会とは相性が良いと洞察できますが、新産業を含めて、日本がロボット・AI・IoTの根本と隆々とした将来を提示できるようにしたいですね。

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マイナビ・インタビュー

2016年10月14日 従来のマネジメントからどうはみ出すか?

大手電機メーカー・パイオニア株式会社で、エンジニアの専門分野を歩んでこられましたが、ある時、発想の転換とともに「異業種とのコラボーションによる経営革新」という構想に辿り着きます。顧客、社会が幸せになれる顧客価値を創造しなければならないのに、機能&性能のモノ発想に追われ、効能という本筋を見失いがちな「専門分野一途の危険性」に気づき、積極的に異業種とWIN-WINとなる新しいライフスタイルを提案することで数々のヒット商品を生み出しました。100社以上とのコラボを行い、異能ぶりを発揮。「ミスター・アライアンス」と呼ばれることも。2013年、パイオニアを早期退職し、自らを代表に「新価値創造研究所」を立ち上げ、様々な企業に「顧客価値創造による経営革新」を促しております。業績不振からの脱却、異業種と交わることで社内活性化を狙う企業にとって、この構想力は躍進へのヒントに満ち溢れることでしょう。

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◆あの芳醇なスピーカーを生み出した構想力

非常にわかりやすい異業種コラボの実例としては、パイオニア時代にサントリーさんと『ピュアモルトスピーカー』という商品をプロデュースしました。サントリーさんで40~50年使用し続け、すっかりウイスキーが染み込んだ樽の木を使用したスピーカーです。樽材は樹齢100年の水楢材を使用していますが、ウイスキーを樽の中で10~15年と熟成させ、それを約半世紀の間に3回も繰り返しますと、もう香りや色等がなくなって御役御免なんですね。ただ、木材としての寿命はあと50年もあるのです。そこでウイスキー樽をスピーカーへと活用し、商品化するプロデュースに取り組みました。ヒントは有名な高級バイオリンの『ストラデバリウス』です。あれも木材を塩漬けにすることによって、中の導管が通り、あのような美しい音色が可能になるそうです。そこには樽物語というストーリーをつむぐこともできますし、元々ウイスキーと音楽は相性が良いのです(笑)。新聞発表したら、すぐに完売しました。次のヒット商品は「音楽とファッション」の相性に着目しました。ポータブルCDプレーヤーをスケルトンにして、その商品をラフォーレ原宿の全マネキン人形にたすき掛けする展示でニュースになりました。そのヒットプロジェクトには異能な人財を社内から集め、新たな生命と物語を次々に生み出し、また、企画から販売までを一気通貫することで、自分たちの新しいスタイルをそのまま顧客にお届けすることができました。

◆21世紀はレールなき航海の時代

20世紀は「鉄道の世紀」でした。レールがあり目的地も明確で、「改善と効率でいかにそこに早く到達できるか」を競い合っていた。つまりオペレーションとマネジメントを得意とした企業が勝つというモデルでした。それが得意な方々が現在、企業の役員です。ところが21世紀は先行きが不確実な混迷の時代です。レールがないから行く先も、道筋も分からない。言わば「航海の時代」です。私のやり方は社内の選抜メンバーにドックに入っていただいています。最初に、「私たちが将来に向けて大切にすべきなのは、一体何か?」という『錨』(本来)を明確にした上で、「この船はどの方向へと向かっていきたいのか?」目指す『北極星』(将来)を一緒に探していきます。実は、この「何が大切なのか?」を浮き彫りにするプロセスが得意なのは女性なんです。それは『こころ』を扱うからなんですね。また、良い意味で企業の固定観念に縛られていませんから。「ちょっと、ここがおかしいと思います」「こうじゃないですか?」と堂々と言えてしまう(笑)。それが強み。そのように言える環境をこちらが醸成していくのですが、メンバーの中で女性が一番スキルアップすることが多く、『場』が活性化します。だからこそ私は、経営陣の方達にあらゆるプロジェクトに、必ず女性を入れることを推奨しています。

◆従来のマネジメントからどうはみ出すか?

グーテンベルクの活版印刷機は、羅針盤、火薬と並んで「ルネッサンス期の世界三大発明」と呼ばれています。グーテンベルク氏の実家は刻印機を作っていたそうです。家の周囲にはワイン製造に使うぶどう搾り機がありました。そんな環境の中、ぶどう搾り機と刻印機が新しく組み合わさり、活版印刷機という化合物ができました。そのような意味で、何かと何かをつなげるアイディア、ヒット商品、新事業とは、すべて既存のモノ、コトの組み合わせです。イノベーションという言葉を提唱したシュンペーターは、それを『新結合』と呼びました。前述のヒット商品『ピュアモルトスピーカー』も新結合です。そのコツは、共通項を見出し、境界を乗り越えて新しい生命を吹き込み、そこに素敵な物語を紡ぎ出すことにあります。AI/IoTの時代、すべての製造業は今後、形を変えたサービス業へと変化すると思います。もし難しい場合は、それを専門とした企業とアライアンスをすることで道を拓くことをお薦めします。

◆企業へのメッセージ

もしも行き詰ったり悩んだりした時は、常識の殻を破る「三本の矢」をイメージして下さい。第一が、「私たちは一体何を大切にしていくのか?」を洞察します。事業の再定義がポイントです。これが「インサイト(深く読む)」。第二が、「世の中いったいどうなるのか?」と洞察する。それが「フォーサイト(高く読む)」。そして、第三がそれらを新結合する「ゲシュタルト(広く読む)」。この3本の矢が出揃うと新しい事業の輪郭、顧客の笑顔が見えてきます。

さて、21世紀は「イメージメント(構想)とイノベーション(革新)」が牽引する時代です。従来価値観の常識を疑い、顧客・社会を幸せにする「イメージ力」が問われます。新しい時代の本質を見抜き、次の本流をイメージして、本気(PASSION)→本質(MISSION)→本流(ACTION)の流れを創ってくれるのが「三本の矢」なんです。そして、新しい成長には、構想→行動→更新が必須です。それが私の得意とする構想力と革新力です。ぜひ、ご一緒に、隆々とした未来を創りましょう!