橋本元司の「価値創造の知・第238夜」:松下幸之助のことば「衆知を集める」➉

2019年7月10日 縦串と横串

今から自分のやってきた仕事を振り返ると「衆知を集める」ことが大きなウエイトを占めていたように想います。
それは、第1現役のパイオニア社であり、早期卒業後の新価値創造研究所による会社、地域のご支援でも同様でした。

さて皆さん、「サイロ(英: silo)」という言葉をご存知でしょうか。
農産物、家畜の飼料を蔵置・収蔵する倉庫、容器等のことですが、企業の現場では、「サイロ化」という言葉をよく使っていました。
それは、「企業のある部門が、他の部門と情報共有や連携などをせずに独自に業務を遂行し、孤立した状態」を表す言葉です。

サイロ化について、「weblio辞書」から引用します。
「サイロ化した部門では、業務プロセスが縦割りで進行するため、他部門との連携を図ることはない。例えば、商品開発部門においては、顧客からの要望や意見などの情報を有している営業部や、機材の調達、管理をする機材管理部、製作費の管理をする経理部といった重要な部門との連携も取られない。
部門がサイロ化する原因には、社員同士の競争や派閥、部門間のしがらみなどが挙げられる」

日本の行政を見ても「縦割り行政」と言われるように「サイロ化」していて弊害が相変わらず目立ちますね。
大病院や企業も同様に弊害があります。それを『立串(たてぐし)』の弊害と呼んでいました。

縦割りにすることで責任が明確になり、集中して効率があがることはあるのですが、その縦割りを維持することが目的となって弊害が顕在化します。
縦割りが永遠に続けばいいのでしょうが、世の中の変化はその安逸とした状況を許しません。悪化が顕著になると、その『立串し』の事業部はリストラになります。
(詳しくは、「真の企業再生のための3つの切り口」として、A.リストラ、B.リエンジニアリング、C.リオリエンテーションについて、第45夜(自らハシゴを創る&リオリエンテーション)に綴っていますので、そちらをご覧ください)

行き詰まりを打開する方法として有効なのが、「横串(よこぐし)」です。横串の自分の体験の一部を時系列に綴ります。参考になれば幸いです。
①労働組合・書記長の経験(第13夜、第38夜))
自分は30歳の時に、それを2000人規模の労働組合・書記長として経験しました。
全組織(部門)を「横串」にして組合員と対話しました。それは上司の部門長よりも、多くの情報と本音と知恵を得るころができた瞬間でした。
そこで磨くことができたのが、対象事業の「本来と将来」でした。
日々生じる、問題と課題に「本来と将来」を検討し、整理して経営陣と議論しました。
30~31歳でそのような体験ができたことが、それからの活動の本源になりました。
②ヒット商品緊急開発プロジェクト(第14夜、第106夜)
前夜(第237夜)にも綴りましたが、39歳の時に、ヒット商品緊急開発プロジェクトのリーダーになりました。
社長直轄のそのプロジェクトでは、社内横断で9名の異能のメンバーを集めました。
新しい時代の舞台を用意して、それぞれの才能をフル稼働して、一気通貫で連続ヒット商品を創出することができました。
③新価値推進センター(第175夜:価値創造とは何か)
49歳の時に、総合研究所のトップに呼ばれて、研究所の5年後、10年後の方向性、研究テーマをシナリオプランニング(第15夜)でまとめました。
研究所の各研究室からメンバーを選出していただきましたが、これも横串です。
2006年、その創発(第78夜)で、縦串では生まれない10年後の4つの将来世界をまとめることができました。
それを、10年後の2017年の物語にしてビデオにまとめました。それは、10年後をまるまる言い当てていました。
それは、前夜(第237夜)に綴ったように、『人間はダイヤモンドの原石』です。
磨き方いかん、カットの仕方いかんで、様々に異なる燦然とした輝きを放つ横串の成果です。
④全社横断・事業創出プロジェクト(第175夜)
56歳の時に、全社横断の事業創出プロジェクトのリーダーになりました。
社内横断で15人のメンバーを集めて、パイオニアの「次の柱」となる新事業企画をプロデュースしました。
研究所・企画・デザイン・営業の横串の精鋭メンバーが集まり検討を行いまとめあげました。事業部を横断した『パイオニア社再興』となる核心・確信の企画提案でしたが、経営には採用されませんでした。
自分はその企画案を採用しないという会社の方針を確認して、早期退職の手をあげました。
ここで学んだことは、企業には、判っていること(既知)を効率的に将来するオペレーションが得意な人と、次の柱、新しい価値(未知)を生み出すイノベーションが得意な人がいます、
残念ながら、オペレーターには、衰退時の大事な「イノベーション」「次の一手」を判断できない人が多いのです。
⑤新価値創造研究所のご支援(2013年~)
これまで「サービス業~製造業、ベンチャー~老舗企業」という多種多様な業態をご支援してきました。
成長経営を実現する「深い知、高い知、広い知」という物事の本質を見きわめて、それに適応していく「3本の矢」はどの業種でも万能だからです。
そのご支援の多くが「社内横断の横串プロジェクト」を立ち上げて、課題解決と人財開発の両輪で成長経営を実践・実現されています。
そのプロジェクトチームの人数は、3名の少人数もあるし、20名くらいの場合もあります。
社内横串と外部の視野・視座が入ることで、プロジェクトは燃える集団となる「次の一手」「次の柱づくり」にむかいます。

そう、横串には、縦串ではできない新しいモノゴトを生み出す力があるのです。
そしてそこには、「プロデュース」するパワーが必要です。

さてさて、ここで上記と関係する松下幸之助さんのことばを引用します。
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「衆知を集める」

会社の経営はやはり衆知によらなければなりません。何といっても全員が経営に思いをいたさなければ、決してその会社はうまくいかないと思うのです。
社長がいかに鋭い、卓抜な手腕、力量を持っていたとしても、多くの人の意見を聞かずして、自分一人だけの裁断でことを決することは、会社の経営を過つもとだと思います。

世間一般では、非常にすぐれた一人の人がワンマンで経営すれば、事がうまくいうということをよく言いますが、社長一人で事を遂行することはできませんし、たとえできても、それは失敗に終わるだろうと思います。

やはり全員の総意によって、いかになすべきかを考えねばならないと思うのです。

出典「わが経営を語る」
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AIoT対応、第2の創業、多角化経営、事業承継、ヒット商品、副業、働き方改革、生産性改革、リオリエンテーション等々、時代激変の中、社長一人で事を遂行することはできません。
「衆知を集めること」そして、「対象の本質を把えて、燃える集団をつくること」
そこから成長経営は始動します。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば➉

橋本元司の「価値創造の知・第237夜」:松下幸之助のことば「人間はダイヤモンドの原石」⑨

2019年7月9日 「構想/舞台づくり」

前職パイオニア社では、39歳の時に新社長に直訴して、ヒット商品緊急開発プロジェクト(第14夜)のリーダーとして異業種コラボレーションによる連続ヒット商品をプロデュースしました。
先ず異なるスキルを持った社内人材を9名集めて、異なる業種との新結合(イノベーション)により、ヒット商品と新文化創造を実現しました。

 そこでは、明確な思想/構想を持って、ヒト・モノ・カネを集めて、集まったメンバーが磨かれ輝ける舞台を用意しました。
重要なことは、トップの後ろ盾と構想(情熱)と舞台づくりが出揃うことです。
これまでの常識を超えた新しい挑戦をする時に、トップの後ろ盾がなければ、横やりを入れる反対役員がいるのでスタートラインにも立てません。
ただ、実際にはその後ろ盾があってもいろいろな妨害がありました。まだ形になって見えていない「新構想」が自分たちの持つ常識とは違うからです。

「新構想」を提示して、「このゆびとまれ」で人を集め、新舞台を明示することで、メンバー才能が大きく花開きました。
そこでは、「入口の構想/企画(価値)から、出口の売り(対価)」まで一気通貫で実践しました。この一気通貫というのがキーワードです。社内の横やりが入ることで失敗する事例を多く見てきたからです。

さて、時代の変化に適応する「構想/舞台」を用意することで、それぞれの役割に責任を持って、人は燦然(さんぜん)と輝きを放ちます。
本夜は、上記と関係する人材/人財に光をあてた「松下幸之助さんのことば」を引用します。

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『人間はダイヤモンドの原石』

私は、お互い人間はあたかもダイヤモンドの原石のごときのものだと考えている。
つまり、ダイヤモンドの原石は磨くことによって光を放つ。しかもそれは、磨き方いかん、カットの仕方いかんで、様々に異なる燦然とした輝きを放つのである。

それと同じように、人間はだれもが、磨けばそれぞれに光る、さまざまなすばらしい素質を持っている。だから、人を育て、活かすにあたっても、まずそういう人間の本質というものをよく認識して、それぞれの人が持っているすぐれた素質が生きるようは配慮をしていく。それがやはり、基本ではないか。

もしそういう認識がなければ、いくらよき人材がそこにあっても、その人を人材として活かすことはむずかしいと思う。

出典「人を活かす経営」
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・それぞれの人が持っているすぐれた素質が生きるようは配慮をしていく。それがやはり、基本ではないか。

そう、その配慮の一番地が、才能が発揮できる「構想/舞台づくり」です。
そのような「舞台を用意する」「舞台を変える」ことが「働き方改革」「生産性改革」の本丸ではないでしょうか。それが経営陣の役割です。
そういう認識をトップが持つことが肝要です。

そうすることで「用意と卒意」(第4夜)が動き始めます。

さてここで、女性の活かし方について、自分が関係した二つのエピソードをご紹介します。
1.ヒット商品緊急開発プロジェクト
上記の4つ目のヒット商品は、「お風呂×音楽(オーディオ)」でした。
ちょうど、ベネッセの役員の方と懇談する機会があり、「たまごクラブ・ひよこクラブ」(「たまひよ」はベネッセ(Benesse)が運営する、妊活・妊娠・出産から子育て中のママ・パパを応援する情報メディア)の誕生について語ってくれました。

「感性は高いのだけれど、まだ仕事の完成度を低い女性と、仕事の完成度は高いが、感性が低い男性をペアにすることで双方を活かしていく(=新結合:第32夜))」ことで新しい事業になったそうです。
そこに、「たまひよ」で大きく成長された女性も来られてお話しを伺いましたがその内容に感動しました。

この仕組み、物語を「ヒット商品緊急開発プロジェクト」にも応用できないかと想いを巡らし、プロジェクトメンバーのベテラン男性と感性の高い女性をペアリングしました。
そこに、お客様相談センターにお願いして、若い女性6名を組込んだヒットプロジェクトとして発足しました。
結果、その商品は、若い女性向けの新しいライフスタイルを提案し、これまでにない店舗を開拓して新ジャンルのヒット商品となりました。

その時に思ったのは、無理やりに女性を男世界の管理職に組込むではなく、彼女たちの才能を開花させる「舞台/仕事/事業」をつくることでした。
そうすれば、生き生きと目を輝かせて仕事に向かってくれます。
人類の半分は女性なのですから、開拓の余地はまだまだいっぱいあります。それに貢献したいと思っています。

2.新事業開発プロジェクト
「サービス業~製造業、ベンチャー~老舗企業」と成長経営、事業開発のご支援を多様にしてきました。
その際に、社員の方達を入れたプロジェクトチームをつくってもらうのですが、必ずトップの方にお願いすることがあります。

それは、最低でもひとり、プロジェクトチームに女性を入れていただくこと。

それを必ず実行していただき、プロジェクトの「価値創造の3本の矢(第56夜)」から参加してもらって、一番才能が開花して伸びるのがその女性です。
周りの男性では出てこない目を見張るような具体的なアイデアを発表したり、女性ならではの見方や意見が飛び出てきます。
(もちろん、才能開花のメソッドを用意して環境等の整備をする必要はあります)
それから、男性陣の女性を見る目が尊敬に変わります。
その後、いろいろな資格を取られたり、部署が変わられてステップアップして活躍している多くの嬉しい事例を見てきました。

さてさて問題は、時代の変化に、男性も女性も、老若男女が置いてかれて磨かれていないのです。
それは、「サービス業~製造業、ベンチャー~老舗企業」問わずです。
今は、前夜、前前夜に綴ったように、小手先のHOW(どうやって?)ではなく、WHY(深いナゼ?の追及)の時代です。
そこを掴んでから 「HOW:この会社をどういう方向に進め、どのような姿にしていくのか」に向かうことをお薦めします。

・人間はだれもが、磨けばそれぞれに光る。
・もしそういう認識がなければ、いくらよき人材がそこにあっても、その人を人材として活かすことはむずかしいと思う。

その通りだと思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

松下幸之助ことば⑨

橋本元司の「価値創造の知・第236夜」:松下幸之助のことば「自己観照」⑧

2019年7月8日 自省の強い人

  やるべきことが分かっている場合は、「HOW:どのように」のテクニックでいいのですが、
それが不明確、不確実なモノゴトが対象の場合は、「WHY:深い何故?の追及」がなければ始まりません。
 それは、人にとっても、会社、地域にとっても同じコトです。
 前職パイオニア社の「オーディオ」を例にしてみましょう。
日本のオーディオ業界は、1989年をピークとして30年右肩下がりを続けました。
過去の成功している時のやり方、考え方を基準にしていては状況を変えることはできません。
 ナゼ、ナゼを繰り返すことにより、「オーディオ」という単体のハードウェアから把えていたのでは、新しい楽しみ、新しい価値観、新しい文化に届かないことが分かります。
それを自分が検討していたのが、ピークから3年後の1992~3年のことでした。
 従来の「①性能→機能→効能」ではなく、「②効能→機能→性能」の様に、
「効能」から把えて、それが新文化に転換する、という切り替えが必要でした。
 つまり、質問や設問を従来の価値観で行うことが誤りの元になります。
「いったい、自分の会社は何のために存在しているのか」
従来の成功体験を捨てて、ナゼ、ナゼを繰り返すことで、良き質問や設問が浮き彫りになります。
 そこには、前夜(第235夜)の『素直な心』が必要です。
・私心なくくもりのない心というか、一つのことにとらわれずに、物事をあるがままに見ようとする心
・そういう心からは、物事の実相をつかむ力も生まれてくる
 と松下幸之助さんは話されています。
 内省している人、自省している人と話をすると会話の奥行が深く、広いことが直ぐに分かります。
本夜は、前夜(第235夜)の『素直な心』と関係の深い『自己観照』について引用します。
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『自己観照』
 自省の強い人は、自分というものをよく知っている。つまり、自分で自分をよく見つめているのである。
私はこれを“自己観照”と呼んでいるけれども、自分の心を一ぺん自分の身体から取り出して、外からもう一度自分を見直してみる。
これができる人には、自分というものが素直に私心なく理解できるわけである。
 こういう人には、あやまちが非常に少ない。
・自分にどれほどの力があるか
・自分はどれほどのことができるのか
・自分の適性は何か
・自分の欠点はどういうところにあるのか
 というようなことが、ごく自然に、何ものにもとらわれることなく見出されてくるからである。
 出典「その心意気やよし」
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 言うは易し、なかなか難しいことではあるのですが、現在の不確実な時代に必要なのは、自分を見直して、
・ごく自然に、何ものにもとらわれることなく見出す心
・物事の真実を見きわめて、それに適応していく心
 にあると思います。
 それは、前夜の「禅(ZEN)や瞑想の世界」と通じるところがあります。
それをメタファー(たとえ)としてチームやプロジェクトでも『チーム観照』『プロジェクト観照』に持ち込むことを実践して成果につなげています。
自省・内省は、ちくっとした『痛み』を伴うことが必ずあるのですが、それを共通認識して超えることで新しい世界に踏み入ることにつながります。
価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば⑧

橋本元司の「価値創造の知・第235夜」:松下幸之助のことば「素直な心」⑦

2019年7月5日 「真善美」

前夜(第235夜)では、「経営理念を明確に持つ」を綴りましたが、そこに必要なスキルは
「WHY:深い何故」
でした。

 それは、禅(ZEN)や瞑想の世界に通じています。
自分は35歳の時に、ビートルズにも影響を与えた「マハリシ・ヨッギの超越瞑想」の門をご縁によりたたきました。(第6夜)
そこに入って驚いたのは、大手の企業経営者が多いことでした。彼らは、「心を空にする」ことで経営の方向性や生き方を見出しているようでした。(空即是色)

そう、そこでは雑念をなくす、私心をなくすことを体得して、大事なコトは何か?そして、大事なものにつながることを体験してきました。
その体性、知性、心性を澄まし、磨いたことが自分の将来に大きな影響を与えました。

さて、上記の「深い何故(WHY)」は、その術(スベ)がまるまる一緒なのです。
そして、それは「素直な心」へとつながってきます。

それでは、ここで松下幸之助のことば「素直な心」を引用します。

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『素直な心』

素直な心とはどういう心であるのかといいますと、それな単に人に逆らわず従順であるということだけではありません。
むしろ本当に意味の素直さというものは、力強く、積極的な内容を持つものだと思います。

つまり、素直な心とは、私心なくくもりのない心というか、一つのことにとらわれずに、物事をあるがままに見ようとする心といえるでしょう。
そういう心からは、物事の実相をつかむ力も生まれてくるのではないかと思うのです。

だから素直な心というものは、真理をつかむ働きのある心だと思います。物事の真実を見きわめて、それに適応していく心だと思うのです。

出典「素直な心になるために」
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「素直な心」とは、
・一つのことにとらわれずに、物事をあるがままに見ようとする心
・真理をつかむ働きのある心
・物事の真実を見きわめて、それに適応していく心

是非、多くの方達に体得して欲しいと思っています。経営者には必須です。

自分は仕事上、上記を体得している経営者や同朋との会話や議論がありますが、その時には疲れがありません。迅速に結論が出てきます。

さてさて、「価値創造の知」の3本柱の一つである『深い知』(第85~86夜)は上記の「大切なモノゴト」を掴み取る方法です。
それは、執着や先入観といったものを取り払う「問い」の立て方が重要になります。(第85夜)

そのイメージをお伝えすると、ペットボトルのポカリスエットがナチュラルウォーターに見えるようになることです。
執着、先入観という濁りを、「無(ム):=遠ざけるコト(第177夜)」にすることで、どんどん透明にしていくことです。
その奥底に、真実を含む「真善美」が必ず観えてきます。
それが前夜の「経営理念」に直結します。

それに、松下幸之助さんの云う「素直な心」が重要な働きをします。
そこには、「本気」と「覚悟」が必要です。

それに連なる「価値創造の深い知」はイノベーションの元になる「新しい目的(第28夜)」「新しい意味(第130夜)」をも生み出す優れものです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば⑦

橋本元司の「価値創造の知・第234夜」:松下幸之助のことば「経営理念を明確に持つ」⑥

2019年7月4日 「ミッション→ビジョン→イノベーション」

「栄枯盛衰」とは、人や国家、企業などが盛んになったり、衰えたりすることを意味する言葉です。
栄えたり衰えたりを繰り返す人の世のはかなさをいう時によく使われます。

 前夜にも綴りましたが、先週、前職・パイオニア社が950人のリストラを行いました。
1993年と2005年の二回、自分がパイオニア社の大きな危機を感じて、経営会議で提言を行いました。
それは従来の延長上のやり方、在り方では危ない、持たないということ。そのための方向転換をまとめたものでした。

栄枯盛衰の真っ只中でそのような思考や革新実践をしたことが、いまの自分の貴重な土台になっています。
まさに、「人間万事塞翁が馬(「何かが起こった時、一見幸福でも後の災いに、一見災いでも後の幸福になることがある。人間の幸不幸は解らないものである)」ですね。

現在、「行き詰まり」を感じられている会社は多くあります。
ご支援先では、
『これまでの延長線上には未来がない』
ということを共通認識するところが出発点になります。

その時に重要なことは、
・HOW:「どうやったらいいのか?」
という手段からいったん離れていただくことです。

・WHY:「深いなぜ?」
という思考から独自の「意味(新しい目的)」を見つけることです。
そこに前夜(第233夜)に綴った「再継続のための新しいコア」があります。

それが凝縮されたのが行き詰まりを超える「新しい経営理念」です。
本夜は、その「経営理念」について松下幸之助さんの言葉を引用します。

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『経営理念を明確に持つ』

創業者の求められる資質なり条件というものは、統率力とか決断力、先見性や実行力、さらには責任感など、いろいろあげられましょうが、なかでもきわめて重要なのが、しっかりとした経営理念を持つことだと思います。

「自分の会社は何のために存在しているのか」
そして、
「この会社をどういう方向に進め、どのような姿にしていくのか」
というような企業の基本的在り方についての考え、それが私のいう経営理念ですが、そういうものを明確に持つことが非常に大事で、そうしてこそ初めて、いまあげたようなさまざまな要件も、生きてくるのではないかと思うのです。

出典「松下幸之助・経営の真髄」
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上記を編集すると、
ミッション:「自分の会社は何のために存在しているのか」
ビジョン: 「この会社をどういう方向に進め、どのような姿にしていくのか」

ここには深い「なぜ」と「構想力」が求められます。
ここを真剣に考えて実行にうつす企業とそうでない企業には大きな差が着きます。
それは、「人」についても同様です。

上記を航海に例えれば、
ミッション=船の錨
ビジョン=北極星
となります。
そして、その後に上記に基づいた「イノベーション(革新)」が続きます。

つまり、「ミッション→ビジョン→イノベーション」です。
それがないまま、「どうやって?」に入ってしまうことで方向の定まらない表層の内容になってしまうのです。

さて、ミッション・ビジョンの「深いなぜ」を見つけるには秘訣・コツ(要領、ポイント、要点)があります。
それをしっかり体得することが「ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)」につながります。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

松下幸之助ことば⑥

橋本元司の「価値創造の知・第233夜」:松下幸之助のことば「物をつくる前に人をつくる」⑤

2019年7月3日 『新しいコアをリボーンする』

中小企業をご支援するときには、「次の一手」を検討する前段において、関係者全員でそれを実行に移すための「思考の土台、構想」を共有することを大切にしています。
急がば回れで、その認識があるか否かでその後の取り組みや成長が大きく変わることを経験しています。
そのようなステージにレベルが上がったときは、全社員が燃える集団に変わってきているのですが、経営者の方達がそこで心から気づくことを「松下幸之助のことば」からお伝えします。

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『物をつくる前に人をつくる』

私は、ずっと以前でしたが、当時の年若き社員に、得意先から
「松下電器は何をつくるところか」
と尋ねられたならば、
「松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電気製品をつくっております」と、
こういうことを申せと言ったことがあります。

その当時、私は事業は人にあり、人をまず養成しなければならない、人間として成長しない人を持つ事業は成功する物ではない、ということを感じており、ついそういう言葉が出たわけですが、そういう空気は当時の社員に浸透し、それが技術、資力、信用の貧弱さにもかかわらず、どこよりも会社を力強く進展させる大きな原動力となったと思うのです。
出典「松下幸之助一日一話」
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このようなトップをいただく社員の方達は幸せ者ですね。
社員を歯車の一部品として扱われたら、成長の芽が摘まれてしまいます。

それは、「子どもの成長の芽を摘む親、伸ばす親」と同じ構図です。
・すべての子どもには大きな可能性があり、伸びる力を持っている、秘めている
・そのことを信じて、適切に接することで成長の芽を引き出していく
・そして、日々発芽のチャンスを用意・卒意する

それが前提です。そのようなマインドの有無で将来が変わってきます。
社員も全く一緒なのです。

先週、前職・パイオニア社のリストラ(950人)が発表されました。多くの後輩からメールが届きました。
才能があるのに、持っている能力の三分の一、五分の一、あるいはそれ以下の能力しか発揮できない状況が続いていました。多くの仲間が卒業しました。

ビジネスの成長の最大の軸足は、「継続力」です。
その本質は『継続とはコア(核)をキープする』ということであります。
そのコアがキープできないことで、右肩下がりに陥り、リストラにつながります。

必要なのは、『新しいコアをリボーンする』こと。
ここを創り上げることで、社会への「新しい価値、使命、貢献の道筋」が観えてきます。
その舞台をつくり、社員をオンステージにあげることが経営者に与えられた役割です。

そのことで、人は能力をフル活用して輝きを取り戻します。

特に、「舞台をつくる人」への人づくり、活躍のステージづくりが前もって重要です。
それがあれば、多くの社員は「舞台に上り、能力を発揮」するのです。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ

松下幸之助⑤

橋本元司の「価値創造の知・第232夜」:松下幸之助のことば「企業は社会の公器」④

2019年5月17日 「価値」とは「社会に役立つコト」

「道」「人」について引用してきましたが、それ続いて「企業」についての大切な言葉を「実践経営哲学」から引用します。

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『企業は社会の公器』

一般に、企業の目的は利益の追求にあると言われる。たしかに利益は健全な事業経営を行う上で欠かすことができない。しかし、それ自体が究極の目的かというと、そうではない。

根本はその事業を通じて共同生活の向上をはかることであって、その根本の使命を遂行していく上で利益が大切になってくるのである。

そういう意味で、事業経営は本質的には私の事ではなく、公事であり、企業は社会の公器なのである。

だから、たとえ個人企業であろうと、私の立場で考えるのではなく、常に共同生活にプラスになるかマイナスになるかという観点からものを考え、判断しなければならないと思う。

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「利益は手段であって、究極の目的ではない」ということを言っているのだと思います。

ビジネスとは何でしょうか?(写真参照)

それは、『顧客に「価値」を提供して、顧客から「対価」をいただくコト』です。
「価値」とは「社会に役立つコト」です。
顧客に「価値」を提供できなくなると、右肩下がりになり倒産にむかいます。
前職・パイオニア社も上記ができなくなって、リストラを繰り返して上場廃止にむかいました。

ピータードラッカーは、著書「マネジメント」の中で、
『企業の目的は。顧客価値を創ることである』
と綴っています。

松下幸之助は、「根本」「根源」という言葉をよく使います。
実用的なノウハウは一過性のもので盛衰があり長期的には役立ちません。根源的な知を身につけ思考の土台を作り、実際に役に立つところまで落とし込んでいくことを松下幸之助さんは実践されていました。

フォッサマグナの様な激変の曲がり角の時代には、上記の根源的な知を身につけ思考の土台を作る必要を痛感します。
その様な意味で、不祥事の多い時代に、いま多くの経営者に求められるのは

『企業は社会の公器』

という認識と実践と思います。

価値創造から「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば④

橋本元司の「価値創造の知・第231夜」:松下幸之助のことば「事業は人なり」③

2019年5月16日 これからの時代に『適切な人』

本夜は、「道」「熱意が道を切りひらく」に続く松下幸之助のことばを「実践経営哲学」より引用します。

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『事業は人なり』

“事業は人なり”といわれるが、これはまったくそのとおりである。どんな経営でも適切な人を得てはじめて発展していくものである。

いかに立派な歴史、伝統を持つ企業でも、その伝統を受け継いでいく人を得なければ、だんだんに衰微していってしまう。経営の組織とか手法とかもちろん大切であるが、それを生かすのはやはり人である。

どんなに完備した組織をつくり、新しい手法を導入してみても、それを生かす人を得なければ、成果もあがらず、したがって企業の使命も果たしていくことができない。

企業が社会に貢献しつつ、みずからも隆々と発展していけるかどうかは、一にかかって人にあるともいえる。

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“事業は人なり”とはまったくそのとおりだと思います。

それはそのとおりなのですが、レールの上を走れば良かった20世紀後半の鉄道の時代と違って、激変する21世紀の航海の時代には、上記の企業が社会に貢献しつつ、みずからも隆々と発展して『舵を切る』ことのできる『人』が必要とされています。

ところがその様な人財を据えないことで、ここ数年、特に大企業の衰退や倒産を目の当たりにすることが顕著になっています。それは「人災」です。

言うことをきく可愛い「イエスマン」や鉄道の時代の「オペレーター」を新社長におくことで「革新・再興」ができないことによる悲哀が目立ちます。

その様な「人」は、オペレーションについては判断できても、舵を切る「イノベーション」についての判断がとても弱いのです。その様な経営陣を上にいただくと、再興・新成長の提案を通すことは極端に難しくなり、悪循環の道にはまり込んでいきます。

そこには、「革新性」「成長性」「生産性」が大きくからんできます。まさに、『事業は人なり』です。

社会や未来をみないで、上ばかりみている真面目な「平目人」達を私たちは、「良い子」と名付けていました。経営陣や経営戦略・経営企画が「良い子」ばかりだと危ういと思ってください。

どうしたらいいのでしょうか?

松下幸之助の言う、これからの時代に『適切な人』をよく把えること、据えることにあると思います。

そして、それに迅速に応えなくてはならない「日本の教育の大課題」でもあります。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば③

橋本元司の「価値創造の知・第230夜」:松下幸之助のことば「熱意が道をきりひらく」②

2019年5月15日 自らハシゴをつくること

本夜は、前夜の「道」に深く関連する松下幸之助のことば②です。

『熱意が道を切りひらく』

早速、「社員稼業」より引用します。

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『熱意が道を切りひらく』

私は今までたくさんの人に働いてもらっておりますが、なるほど偉い人、というとおかしいが、ほんとうに間に合うという人は熱心です。熱意のある人です。

早く言えば、この二階に上りたい、なんとかして上りたいという熱意のある人は、ハシゴを考えましょう。
非常に熱意のある人は、どうしたら上れるのか、ということでハシゴを考える。
この二階に上ってみたいなあ、というくらいの人ではハシゴは考えられません。
おれの唯一の目的は二階に上ることだ、という熱意のある人であればハシゴを考えると思います。

仕事の上の熱意がなかったらお豆腐みたいなものです。人間はなんといっても熱意です。皆さんの習った技術、知識というものも熱意があればぐんぐん生きて決ます。

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上記テーマについてこの「価値創造の知」連載では、

・第44夜: 危機意識・情熱・本気
・第45夜: 自らハシゴを創る&リオリエンテーション
・第61夜:(前編)1.自分事力@7つの力
・第62夜:(後編)1.自分事力@7つの力

に綴っています。

第44夜を編集しますので、参考になれば幸甚です。

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—人口減少社会、AIot社会で人々の価値観や市場そのものがが激変する中で、如何に事業を創生するか、地域を創生するか、ということが喫緊の課題となっています。

企業や自治体をご支援する時に、トップが「本当に本気で強い危機感を持たれているいるのかどうか」が最大のポイントになることを痛感しています。。そのような本気の当事者意識を持っているトップやメンバーがプロジェクトに参加しているかどうかが成否の鍵を握ります。いいプランも実践もそれがなければ間に合いません。

トップに、「他(他社や他地域)も同じだ。リストラでまだ何とかなる、国が手が差し伸べてくれる」等というぬるい意識があるときは、だいたい上手くいきません。それは、従来のやり方や考え方で進めるほうが面倒がなく「楽」だからです。けれど、そのままの延長では、惨な方向に向かう数々で溢れています。

現在のやり方、考え方の、延長線上に未来はありません。その重いツケは、次世代の若い人達に向かいます。

そう、「事業創生、地域創生」のスタートで肝要なのは危機感の共有であり熱意です。創生に向かって変化対応の意志のある「企業・自治体」だけが道を切り拓いていることを痛感しています。

強い危機感・熱意があれば、従来のやり方・考え方に固執することなく、顧客・市場の今と未来に真摯に向かいあうことができます。そして、そこから顧客・市場との双方向のコミュニケーションが始まります。

成功のポイントは、先ずこれまでの対象の中心にあるやり方・考え方から意識的に離れることです。それは「守破離」(第5夜)です。

変革・進化は、通常「中心」から起こすのは難しく、「周縁」から音連れるからです。外部が必要なのはその視点・視座を持っているからです。「中心」にはこれまでの制約や言い訳があるから変革できないのです。ここがジレンマであり大きな問題です。周縁や未常識から観るメガネと熱意があれば乗り越える道が必ずみつかります。

常識の枠を外すと、対象の将来成長に向けた「鍵と鍵穴」が見えてきます。これまで業種の違うベンチャー企業をいくつかご支援してきましたが、彼らの鍵穴を見つけるスピードは迅速です。危機感・熱意があり本気モードだからです。—

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「事業創生・地域創生」の道筋は、

・本気(パッション)⇒本質(ミッション)⇒次の本流(アクション)

にあります。

次の本流を切り拓くには、最初に、『本気・熱意・当事者意識』が必要なのです。

『熱意が道を切りひらく』 とは上記を引き寄せ、手繰り寄せるためのはじめの大きな一歩を言っているのではないでしょうか。
これまで綴ってきたことで皆様ももうお気づきのことと思いますが、「事業創生・地域創生」の前には「人財創生」が必要なのです。

・自分が変わること
・自らハシゴをつくること

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば②

橋本元司の「価値創造の知・第229夜」:松下幸之助のことば「道」

2019年5月14日 休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる

今年3月の中旬に、「チーム創発」のメンバーで関西圏ツアーに出遊しました。
2日目、3日目は、大阪パナソニックミュージアム(大阪)、PHP研究所(京都)を訪問しました。

「チーム創発」のメンバーの一人が、松下幸之助のエバンジェリスト(伝道師)第一期生ということがあり、その真髄と多くの学びを得られた素敵な旅となました。

それまでの自分の松下幸之助氏のイメージは、「経営の達人」が占めていたのですが、

・モノゴトの根源に身をおいている道(タオ)の人(第177夜・老子の知)

であることに気づかされ、「商術ではなく、商道からの本質」を学ぶことができました。

本夜から、そこにある「知」を言葉足らずですみませんが、そのエッセンスの複数をお伝えすることで、皆様に何かのお役にたてれば幸甚です。

最初のワードは、「道」です。
大阪パナソニックミュージアム(大阪)の入り口(写真参考)に足を踏み入れるとそれが目に飛び込んできます。
それでは引用(出典『道をひらく』)します。

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「道」

自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、他の人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。のぼりもあればくだりもある。坦々とした時のあれば、かきわけかきわけ汗する時もある。

この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。なぐさめを求めたく時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。

あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まずに歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。

他人の道に心をうばわれ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならなぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。

それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。
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冒頭に、「チーム創発」を記しました。
会社を退職や早期退職した「志のあるメンバー」が集まって、この変化の時代に、会社や地域の右腕となって、再興・成長のご支援を通して社会に役立つことを目的としています。

「人生100年の時代」「少子高齢社会」「AIot・ロボット社会」等は、従来の延長線上に未来がありません。
それを企業の現場で体験・実践・革新してきたメンバーが共創・革新に並走します。

・思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。

退職して「年金リタイア」するだけでは、若い人達から「嫌老」に見える時代になります。「リボーン」するのが、令和の時代の基準です。
さて、ビジネスの現場では、従来のマーケティング・マネジメントだけでは太刀打ちできなくなっています。

激変に対応するには、イノベーション・イメジメント(構想)のwillとskillが必要です。そこに新たな道が拓けてきます。
「商術」というテクニックではなく、「商道」という深い知が源、根源となって将来が拓けてきます。

もうとっくに単なるアドバイザーのご支援の時代は終わりました。
水先案内人としてのナビゲーター、パートナーが求められているのを実感してきました。

・道をひらくためには、まず歩まねばならなぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。

不易流行で歩みます。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ
松下幸之助ことば①