2026年10月16日:
「AIに何をつくってもらうか」ではなく、
⇒「私は何を創るのか?」
という自分の土台に持って、AIの力を借りながら、
自分の内側にある「意欲」を確かめ、自分の「才能」を働かせて、
まだ見ぬ「自分の可能性を新しい価値」へと変えていく。
「インターネット的」と「AI的」
2001年、糸井重里さんは著書『インターネット的』のなかで、インターネットの本質を表す言葉として、「リンク・フラット・シェア」が提示されました。
インターネットという技術そのものではなく、それによって人間のつながり方、情報の扱い方、社会のあり方がどう変わるのか。
そこに「インターネット的」の本質を見いだしていて、当時、「社内横断の企画開発&事業開発」を推進していた自分には、その「視点のずらし方からの洞察・展開」がとても参考になりました。

・人と人、人と情報がつながる。(=リンク)
・立場や境界を越えて、フラットに交流する。
・そして、情報や知識、経験をシェアする。
私たちがいま実感しているように、「インターネット」は、私たちが出会える人や情報の範囲を大きく広げ、これまでつながらなかったもの同士を結びつける可能性を拓いてきました。
2026年、上記と同じように「AI的」を考えてみました。
私がいま問いたいのは、AIという「技術の機能」ではなく、
「AIによって、人間の考え方、創造の仕方、そして人間と世界との関係がどう変わるのか」
という将来の洞察です。
1.「AI的」を表す三つの言葉
生成AIが急速に広がる現在、「AI的」とは何を意味するのかを考え、そして、その「本質」をこれまでの私のコラムの中から、次の「三つの言葉」で把えてみました。
*生成
→既存のものから、新しいものを生み出す
知識や情報を組み合わせ、文章・画像・アイデア・仮説などを生み出す。情報をつなぐだけでなく、新しい表現や可能性を形にする。
*対話
→問いかけ、応答し、考えを深める
人間が問いを投げかけ、AIが応答する。その応答を受けて問い直し、視点を変え、思考を深めていく。人間の考えも対話のなかで変化する。
*拡張
→人間の可能性を広げる
知識の探索、分析、発想、表現などを支援し、人間が一人では到達しにくかった可能性に手を伸ばせるようにする。
ただし、判断や責任までAIに委ねることとは異なる。
この三つは、「AIの技術仕様を分類する」ための言葉ではありません。
AIによって変わる人間の思考と創造のあり方を捉えるための、「インターネット的」に刺激を受けた「AI的」という私からの概念提案です。
ここで大切なのは、AIが人間に代わって価値を決めるのではなく、
*人間が生み出せる可能性そのものを拡張する
ということです。
2.「インターネット的」と「AI的」を「表」にする
その発想を受け継いで、「AIがもたらす変化」「AI的」と比較してみると、次のように整理できます。
第388夜の「バロック思考」(焦点が二つ)がここで役立ちます。

3.「二つ」を並べて見えてくることは?
*インターネット的
「つながる世界」
人と人、知識と知識、地域と地域をつなぎ、共有することで、新しい関係を生み出す。
*AI的
「生み出し、深め、広げる世界」
生成と対話を通して人間の思考や表現を広げ、新しい可能性を探る。
もちろん、インターネットにも生成的な活動はあり、AIにも人と人をつなぐ働きがあります。両者は「排他的な分類」ではありません。
私がここで示したいコトは、それぞれの技術の限界ではなく、
・時代の可能性を把えるための中心的な視点の違い
です。
そのうえで、両者の特徴を把えるために、私は次のように考えています。
*インターネット的が「つながる可能性」を拓いたとすれば、
**AI的は「人間が生み出せる可能性」を拡張する。
それでは、その拡張された可能性を、私たちはいったい「何に向けて」使うのでしょうか。
ここからが、私にとって「最も大切な問い」になります。
4.可能性を価値に変える「才能」と「意欲」(第388夜詳細)
皆さんもすでに体験済みだと思いますが、
AIは、「問い」かければ、さまざまな答えやアイデアを瞬時に返してくれます。
しかし、そこから
・何を選び、
・何を大切にし、
・何を実現しようとするのか。
それは、人間に委ねられています。
*何に心が動くのか。
*何を大切にしたいのか。
*どんな未来を実現したいのか。
そうした思いや願いが、一人ひとりの「行動の方向」を与えます。
私は、そこに「意欲」の本質があると考えています。(第388夜詳細)
・「意」は、自分の内側にある思いや意味、志向、意志。
・「欲」は、知りたい、探りたい、実現したいという願いと力。
この二つが結びつくことで、私たちは自分なりの目的を見いだし、行動へと踏み出すことができます。
そして、もう一つ大切なのが「才能」です。
私は、才能を単に個人が持つ能力として捉えるのではなく、
「自分の『才』で、対象の『能』を引き出す力」
と考えています。(第388夜詳細)
(ここでいう「才」とは、人間が持つ技術や工夫、創造への働きかけ。「能」とは、素材や自然、社会、データなど、対象のなかに潜んでいる可能性です)
対象をよく見つめ、問いを立て、自分なりの「才」を働かせることで、まだ表に現れていない「能」を引き出していく。
「AIとの協働」においても、この視点は重要です。

AIが提示する答えをそのまま受け取るのではなく、
・「自分の意欲」を起点に問いを重ね、
・「対象の可能性」を見いだし、
・「新しい意味や価値」へと結びつけていくのです。
*つまり、「意欲」が方向を与え、「才能」が対象の可能性を引き出す。
そこにAIの力が加わることで、新しい価値創造が生まれる。
AIの能力が高まるほど、
・人間は何をしたいのか、
・何を大切にするのかを、
これまで以上に問われる時代がくると洞察しました。
5.「顕密思考」の教育OSから考える
これまで私は、価値創造のプロセスを「顕密思考」の視点から探究してきました。(第381夜~)
私たちの目の前に現れている「顕」の世界だけで判断するのではなく、まだ表に現れていない「密」の世界にも目を向ける。


その「密」にある「気配や可能性」に気づき、異なるものをつなぐ「間(ま)」をつくり、既存の型を学び、超え、自分なりの型を生み出す「守破離」へと進んでいく。(第387夜詳細)
この流れを、AI時代の価値創造に重ねてみます。
AIは、私たちがまだ気づいていない視点や組み合わせを提示してくれるかもしれません。
しかし、その可能性に気づき、心を動かし、「自分にとっての意味」を見いだすことが、「価値創造の出発点」になります。
異なるものをつなぐ「間(ま)」が可能性を拓き、「守破離」がその可能性を自分流の型へと育てる。
そこに、上記の「意欲」と「才能」が働き、AIとの協働を通じて、これまでとは異なる「別様・別流」の価値が生まれてくるのです。

6.AIの時代に、私たちは何を創るのか
・インターネットは、「つながる世界」を広げました。
・AIは、「人間が生み出せる可能性」を拡張しています。
しかし、可能性が広がることと、新しい価値が生まれることは、同じではありません。
*その生み出せる「可能性」を何に向けるのか。
**何を大切にし、何を実現したいのか。
***そして、自分はどんな「才」を働かせ、対象のどんな「能」を引き出すのか。
その「問い」を持ち続けることが、これからのAI時代の人間には欠かせないと考えています。
「AIに何をつくってもらうか」、だけではなく、
⇒「私は何を創るのか?」
AIの力を借りながら、自分の内側にある「意欲」を確かめ、自分の「才能」を働かせ、まだ見ぬ可能性を新しい価値へと変えていく。
それが、
・AI時代における人間ならではの価値創造であり、
・これからの教育が育んでいくべき力
なのではないでしょうか。
7.大切にしたい「つながり」
本夜は、これまでのコラムの「流れ」と「つながり」を整理して、
「一本の軸」にまとめました。
特に大切だと思うのは、
⇒ これからの時代、「人間は、私たちは、いったい何を創るのか?」
という「根源的な問い」に戻ってくることです。
「インターネット的」と「AI的」の比較表は、そのための導入になります。そして「意欲」と「才能」は、これまで探究してきた顕密思考や教育OSと、AI時代をつなぐ重要な接点になります。
本夜のコラム全体を貫く問い、
それは、
『私は何を創るのか?』
です。

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